国道336号(こくどう336ごう)は、北海道浦河郡浦河町から十勝郡浦幌町を経て、釧路市に至る一般国道である。
概要
路線データ
一般国道の路線を指定する政令[1][注釈 1]に基づく起終点および重要な経過地は次のとおり。
歴史
現行の道路法(昭和27年法律第180号)に基づく一般国道の路線として、1974年(昭和49年)11月12日政令第364号の公布によって第3次追加指定され、翌1975年(昭和50年)4月1日施行によって国道になった路線である。
道東・十勝平野の十勝川河口を渡河しているが、1992年(平成4年)12月に十勝河口橋が開通するまでは国道に橋はなく、十勝川両岸の渡し船が連絡するという「渡船国道」だった。日本最後の渡船国道は、バイクや自動車は渡ることは出来ず、人以外は上流側の橋へ22 km迂回する案内が出されていた。人力で船頭が川の上に架かっているロープを引っ張りながら小さなボートを運行していた。1990年代初期まで渡船場入口や、広尾郡大樹町 - 中川郡豊頃町付近にダート区間が残されていた。
年表
路線状況
通称・愛称
- 浦幌道路
- 十勝郡浦幌町豊北 – 昆布刈石間(13.1 km)で枝線となる「浦幌道路」の建設が進められ[7]、2012年3月16日に全線開通した[8]。
- 襟裳国道
- 浦河郡浦河町(国道236号分岐) - 幌泉郡えりも町庶野(北海道道34号襟裳公園線交点)の区間の通称。
- 黄金道路
- えりも町庶野 - 広尾町音調津の33.5 km。1934年(昭和9年)10月31日竣工で[9]、竣工当時の名前は日勝海岸道路[10]。正式には地方費道帯広浦河線といった[11]。日高山脈が海岸までせまり、交通の難所となっていた場所で、黄金を敷き詰められるほど、建設に莫大な費用(総工費94万5,503円、1 mあたり28円20銭)を投じ、1927年(昭和2年)の着工から8年もの歳月を要して、断崖を切り開く難工事の末に開通したことが名称の由来[12]。
- 黄金道路には殉職記念碑など多くの石碑が建立されており、タコ労働として過酷な労働を強いられた者も多く、20人以上の犠牲者を出す難工事の末に完成している[9]。1960年(昭和35年)から、舗装化や覆道工事などの改築が進められたが、舗装化だけでも1 kmあたり9億8,000万円を要し、当時の一般的な国道の10倍近い費用がかかっている[15]。
- 道路は落石も多く、覆道が数多く設置されており、悪天候時にはたびたび通行止となる。平成18年までの10年間の通行止回数は112回にも及び、夏冬通じた通行止め回数は、北海道の国道で最も多い[16]。天気の悪い日の「黄金道路」は白波をかぶることもあり、通行止めになった際は国道236号野塚トンネルが、迂回路として使用される。
- ナウマン国道
- 広尾郡広尾町シチュウウス(北海道道1071号音調津陣屋線交点) - 十勝郡浦幌町の区間の通称。中川郡幕別町にあるナウマン象発掘の地のそばを通っている[注釈 3]。1969年(昭和44年)7月に広尾郡忠類村(当時)の農道工事現場で発見された約12万年前に生息していたとみられるナウマン象の化石が発見されたことから、忠類村はナウマン象発掘の地として全国的に有名になり、このあたりだけが「ナウマン国道」とよばれている。
渡船国道
豊頃町・浦幌町の境界に当たる十勝川を渡る区間は、1992年(平成4年)11月まで旅来(たびこらい)渡船という渡船による連絡になっていた[19]。旅来渡船場は、一日5便、小型ボートで両岸渡されたロープを人力で伝って航行するもので、人間以外は渡河することが出来ないものであった。
この渡船場は、1904年(明治37年)に創設され、1957年(昭和32年)には一般道道となり、1975年(昭和50年)に国道336号に昇格となった。河川を渡船でつなぐ国道は、ここが日本で最後であったが、十勝河口橋の開通(1992年12月8日[20])により、路線経路は大きく海側に移動し、姿を消した。豊頃町側の渡船の跡地(北海道道320号旅来豊頃停車場線と北海道道911号大津旅来線の交点付近)には「渡船記念の碑」が建立されている[21]。なお、十勝河口橋の開通により、他に3箇所にあった十勝川の渡船場も廃止となっている[22]。
重複区間
- 国道236号(浦河郡浦河町大通3丁目・大通2丁目(起点) - 浦河郡浦河町西幌別・西幌別交点)
- 国道236号(広尾郡広尾町豊似・豊似南交点) - 広尾郡広尾町豊似・豊似北交点)
- 国道38号(十勝郡浦幌町 - 釧路市)
道路施設
トンネル
- 様似町
- 塩釜トンネル(120 m)
- 東冬島トンネル
- 山中トンネル (850 m)
- 幌満トンネル (800 m)
- えりも町
- 広尾町
- 新宝浜トンネル (2016年2月18日開通 2,438 m)
- タニイソトンネル(2,020 m)
- フンベトンネル
主な橋梁
- 幌別橋(日高幌別川、浦河郡浦河町)
- 様似橋(様似川、様似郡様似町)
- 幌満橋(幌満川、様似郡様似町)
- 猿留橋(猿留川、幌泉郡えりも町)
- 楽古橋(楽古川、広尾郡広尾町)
- 野塚橋(野塚川、広尾郡広尾町)
- 豊似橋(豊似川、広尾郡広尾町)
- 歴舟橋(歴舟川、広尾郡大樹町)
- 十勝河口橋(十勝川、中川郡豊頃町 - 十勝郡浦幌町)
地理
黄金道路の区間は、日高山脈が海岸まで迫る切り立った岩の崖と、荒波が打ち寄せる太平洋とがせめぎ合う岩礁際の海岸線に沿って走っており、道路まで波しぶきがかぶることがある。この区間は難所のため道路改良の結果トンネルが多いため景色は見えづらく 、途中に施設や見どころといったものがほとんどない。黄金道路区間の南端から分岐する、北海道道34号襟裳公園線を通じて日高山脈最南端の襟裳岬に至る。
通過する自治体
交差する道路
日高振興局
- 浦河郡浦河町
- (国道236号との重複区間は省略)
- 様似郡様似町
- 幌泉郡えりも町
十勝総合振興局
- 広尾郡広尾町
- (国道236号との重複区間は省略)
- 広尾郡大樹町
- 中川郡豊頃町
- 十勝郡浦幌町
- (国道38号との重複区間は省略)
沿線
脚注
注釈
- ^ 一般国道の路線を指定する政令の最終改正日である2004年3月19日の政令(平成16年3月19日政令第50号)に基づく表記。
- ^ a b c d e f g 2022年3月31日現在
- ^ 別名「ナウマン農道」ともよばれる中当農免農道とのT字路付近では、「ナウマン象発掘の地」という看板が目に入る。
出典
参考文献
関連項目
外部リンク
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1 - 100 (1 - 57号は旧一級国道。59 - 100号は欠番) |
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101 - 200 (旧二級国道、109 - 111号は廃止・欠番) |
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201 - 300 (201 - 271号は旧二級国道、214 - 216号は廃止・欠番) |
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