国道33号(こくどう33ごう)は、高知県高知市から四国山地部を経由し、愛媛県松山市に至る一般国道である。
概要
一部区間を除いてかつての土佐街道(松山街道)と同じ経路をたどる。高知市と松山市の間を高岡郡佐川町・上浮穴郡久万高原町などを経由して最短距離で結んでいる大動脈であるが、四国山地部を縫うように進むため線形不良箇所が多く、冬季の積雪や凍結による危険や、異常気象時の事前通行規制区間も存在している[1]。そのため現道に沿うかたちで地域高規格道路の高知松山自動車道が現在整備されている。
なお、国道33号では東南海・南海地震時発生等における被災状況等の把握のため、高知県側の吾川郡いの町波川から県境を通って愛媛県側の伊予郡砥部町千足までの区間で、ヘリコプターから視認できる対空標示(道路の起点からの距離を示すキロ程の数字)が国道路面に記されている[注釈 1][2]。
路線データ
一般国道の路線を指定する政令[3][注釈 2]に基づく起終点および重要な経過地は次のとおり。
歴史
高知と松山を結ぶ道は、662年(天智天皇元年)に久万官道として開かれた。この道は後に松山街道・土佐街道と呼ばれた。
年表
工事概要
- 1952年(昭和27年)高知県佐川町内の赤土峠の改良工事に着手。
- 1958年(昭和33年)8月、高知市・伊野町境咥内坂の改良工事に着手。
- 1959年(昭和34年)愛媛県美川村の河口橋に着手。
- 1960年(昭和35年)10月、佐川町の霧生関の改良工事に着手。
- 1961年(昭和36年)高知県越知町横倉-仁淀川町寺村、堀切峠の改良工事に着手
- 1962年(昭和37年)10月16日、愛媛県内三坂峠の改築に着手。
- 1963年(昭和38年)2月26日、高知県内咥内坂の改築を完了。8月、愛媛県砥部地区改良に着手。12月、久万バイパスに着手。
- 1964年(昭和39年)2月20日、高知県内霧生関の改築を完了。3月10日高知県内堀切峠の改築を完了。10月、寺村トンネルに着手。
- 1966年(昭和41年)2月、愛媛県久万町藤ノ棚 - 笛ヶ滝間開通。3月、寺村トンネル完成。4月、松山南道路に着手。越知バイパスに着手。8月、砥部地区の1次改築を完了。9月、久万バイパス完成。12月10日愛媛県内三坂峠の改築を完了。
- 1967年(昭和42年)3月、高知県伊野地区を最後に高知県内の一次改築を完了。
- 高知県内の一次改築においては、道路線形にクロソイド曲線が採用され車両の走行性向上と工事の経費削減に効果を発揮した。また、赤土峠の改良工事で造られた赤土隧道は、四国における直轄施工としては、初のトンネル工事で請負工事で施工された。掘削工法は、底設導抗掘削で人力掘削、木製支保工、ズリの搬出は0.6 m3トロッコを使用。トンネル中央に断層があり工事中に落盤が発生、越知側坑口での湧水など、難工事であった。4月、佐川バイパスに着手。
- 1968年(昭和43年)3月、高知県境付近(西之谷、落出大橋)を最後に愛媛県内の一次改築完了。
- 愛媛県内の一次改築においては、三坂峠で四国で最初となる凍結とタイヤ・チェーンに対する耐久性の優れたグースアスファルト舗装を施工。
- 1969年(昭和44年)、大渡ダム関連付け替え道路着手。
- 大渡ダム完成に伴い水没する区間を幅員、線形等を改良するものである。起点は吾川郡仁淀川町大字大尾、終点は吾川郡仁淀川町大字橘、延長は2.864 km、規格は第3種第3級、完成2車線で道路幅員は8 m、車線幅員は3.0 mである。工事区間の舟戸トンネルは、発破工法では下方の人家集落に多大な影響を与えることからジャイアントブレーカとクローラドリルを組み合わせた機械掘削工法を採用した。
- 1970年(昭和45年)3月、高知県高岡郡越知町の越知バイパス完成。
- 1973年(昭和48年)、熊秋トンネルに着手。
- 1974年(昭和49年)2月1日、高知県高岡郡佐川町の佐川バイパス完成。4月に高知西バイパス事業に着手。
- 1975年(昭和50年)9月、大渡ダム関連付け替え道路完成。12月に熊秋トンネル完成。
- 1979年(昭和54年)12月、松山南道路全線暫定供用。
- 1983年(昭和58年)3月24日、高知県高岡郡佐川町の赤土歩道トンネル完成。
- 2014年(平成26年)12月25日、佐川歩道トンネルL=322 m(高岡郡佐川町甲から佐川町乙)供用開始[22]
- 2020年(令和2年)1月25日、橘防災事業によって橘中津トンネルが開通[23]。
災害について
- 1980年(昭和55年)12月11日、高知県高岡郡越知町横倉で崩壊のため約1週間通行止め。
- 1982年(昭和57年)1月2日から豪雪のため愛媛県上浮穴郡久万町で約1ヶ月交通が途絶。
- 1982年(昭和57年)8月27日に愛媛県上浮穴郡柳谷村の柳谷第二洞門内で台風13号による豪雨で面河川が増水し、洞門基部を洗掘し路面陥没が発生。9月5日まで全面通行止め、全面開通は昭和58年2月6日。
- 2011年(平成23年)2月26日10時頃、高知県吾川郡仁淀川町名野川で斜面が高さ約25 m、長さ約30 m崩壊、27日12時まで全面通行止め[26]。
路線状況
バイパス
現道
高知松山自動車道(地域高規格道路)
- 高知西バイパス2期区間(吾川郡いの町枝川 - 波川)
- 越知道路(高知県高岡郡越知町野老山 - 越知町越知丙)
- 三坂道路(愛媛県上浮穴郡久万高原町東明神 - 松山市久谷町大久保)
- 砥部道路(愛媛県)
別名
- 土佐街道(松山街道、久万街道)
- 電車通り(土佐電鉄線との並走区間)
- 砥部陶街道(砥部町内区間)[27]
重複区間
- 国道194号(高知県高知市本町5丁目・県庁前交差点(起点) - 吾川郡いの町羽根町)
- 国道494号(高知県高岡郡佐川町甲 - 吾川郡仁淀川町川口・川口交差点)
- 国道439号(高知県吾川郡仁淀川町川口・川口交差点 - 吾川郡仁淀川町大渡・大渡交差点)
- 国道440号(愛媛県上浮穴郡久万高原町柳井川・柳谷大橋交差点 - 上浮穴郡久万高原町東明神)
- 国道379号(愛媛県伊予郡砥部町千足 - 松山市二番町4丁目・市役所前交差点(終点))
- 国道440号(松山市久谷町 - 松山市二番町4丁目・市役所前交差点(終点))
- 国道11号・国道494号(愛媛県松山市小坂・小坂交差点 - 松山市二番町4丁目・市役所前交差点(終点))
- 国道317号(愛媛県松山市勝山町・勝山交差点 - 松山市二番町4丁目・市役所前交差点(終点))
道路施設
橋梁
- 鏡川橋(鏡川、高知市)
- 新鏡川橋(鏡川、高知市)
- 中ノ谷橋(高知市)
- 実光橋(吾川郡いの町)
- 八代橋(吾川郡いの町)
- 宇治川橋(宇治川、吾川郡いの町)
- 仁淀川橋(延長374 m、幅員5.5+2.0 m) - 1930年度(昭和5年度)完成
- 会処橋(高岡郡佐川町)
- 三青橋(春日川、高岡郡佐川町)
- 富士見橋(柳瀬川、高岡郡佐川町)
- 川内ヶ谷橋(立野川、高岡郡越知町)
- 越知橋(坂折川、高岡郡越知町)
- 横倉大橋(延長195 m[28]、高岡郡越知町)
- 釜乃淵橋(延長170 m[28]、高岡郡越知町)
- 引地橋(吾川郡仁淀川町)
- 落出大橋(面河川、上浮穴郡久万高原町)
- 美川大橋(久万川、上浮穴郡久万高原町)
- 砥部川橋(砥部川、伊予郡砥部町)
- 重信大橋(延長278 m、幅員11.4、11.4 m、重信川、伊予郡砥部町 - 松山市) - 1978年度(昭和53年度)、1988年度(昭和63年度)完成
- 乙井橋(内川、松山市)
- 天山橋(小野川、松山市)
- 永木橋(石手川、松山市、国道11号重複区間内)
トンネル
- 高知西トンネル:延長635 m、幅員10.8 m、1992年(平成4年)竣工、高知市 - 吾川郡いの町
- 霧生関隧道:延長70 m、1961年(昭和36年)竣工、高岡郡佐川町
- 佐川トンネル:延長270 m、1973年(昭和48年)竣工、高岡郡佐川町
- 赤土トンネル:延長385 m、幅員6.5 m、1958年(昭和33年)竣工、高岡郡佐川町
- 横畠トンネル:延長962 m[28]、2022年(令和4年)竣工、高岡郡越知町
- 熊秋トンネル:延長862 m[30]、1975年(昭和50年)竣工、高岡郡越知町
- 寺村隧道:延長572 m、幅員8.0 m、1966年(昭和41年)竣工、吾川郡仁淀川町
- 大渡第一隧道:延長135 m、1967年(昭和42年)竣工、吾川郡仁淀川町
- 大渡第二隧道:延長63 m、1966年(昭和41年)竣工、吾川郡仁淀川町
- 森山隧道:延長63 m、1965年(昭和40年)竣工、吾川郡仁淀川町
- 堀切トンネル:延長583 m、幅員8.0 m、1964年(昭和39年)竣工、吾川郡仁淀川町
- 舟戸トンネル:延長127 m、1975年(昭和50年)竣工、吾川郡仁淀川町
- 橘トンネル:延長441 m、1971年(昭和46年)竣工、吾川郡仁淀川町
- 橘中津トンネル:延長1,877 m、幅員10.25 m、2020年(令和2年)竣工、吾川郡仁淀川町 - 愛媛県上浮穴郡久万高原町
- 矢淵トンネル:延長280 m、1993年(平成5年)竣工、上浮穴郡久万高原町
- 落合トンネル:延長98 m、1964年(昭和39年)竣工、上浮穴郡久万高原町
- 三坂第一トンネル:延長3,097 m、2007年(平成19年)竣工、松山市
- 三坂第二トンネル:延長1,300 m、2007年(平成19年)竣工、松山市 - 伊予郡砥部町
- 塩ケ森トンネル:延長142 m、1964年(昭和39年)竣工、松山市 - 伊予郡砥部町[32]
道の駅
事前通行規制区間
1968年(昭和43年)12月、異常気象時における事前通行規制区間を設定。平成21年度時点の区間は下記のとおり。
区間 |
延長
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高知県高岡郡越知町横倉 - 吾川郡仁淀川町森山字オオヂミ |
20.3 km
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高知県吾川郡仁淀川町森山字オオヂミ - 愛媛県上浮穴郡久万高原町柳井川 |
12.9 km
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愛媛県上浮穴郡久万高原町柳井川 - 愛媛県上浮穴郡久万高原町中黒岩 |
7.6 km
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愛媛県松山市久谷町 - 愛媛県砥部町千足 |
12.8 km
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すべての区間において、降水量が250 mm以上になると規制が開始される。各区間の入口には積算雨量を示す電光掲示板が設けられているが、高知県側と愛媛県側では表示様式が異なっている。交通規制を参照
地理
通過する自治体
交差する道路
交差する鉄道
峠
ギャラリー
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高知県高知市本宮町
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高知県吾川郡仁淀川町
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愛媛県境
愛媛県上浮穴郡久万高原町(現在は旧道)
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脚注
注釈
出典
参考文献
- 建設省四国地方建設局松山工事事務所(編)『松山工事四十年史』四国建設弘済会、1985年10月。
- 建設省四国地方建設局高知工事事務所(編)『高知工事事務所四十年史』建設弘済会、1987年11月。
- 建設省四国地方建設局(監修)『四国地方建設局三十年史』四国建設弘済会、1988年6月。
- 建設省四国地方建設局(編)『建設省四国地方建設局40年のあゆみ』四国建設弘済会、1999年3月。
- 国土交通省四国地方整備局土佐国道事務所(編)『土佐国道事務所40年のあゆみ』国土交通省四国地方整備局土佐国道事務所、2003年3月。
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
国道33号に関連するカテゴリがあります。
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1 - 100 (1 - 57号は旧一級国道。59 - 100号は欠番) |
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101 - 200 (旧二級国道、109 - 111号は廃止・欠番) |
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201 - 300 (201 - 271号は旧二級国道、214 - 216号は廃止・欠番) |
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