国道461号(こくどう461ごう)は、栃木県日光市から茨城県高萩市に至る一般国道である。栃木県内では日光北街道や黒羽街道と呼ばれる。
概要
栃木県日光市より東へ向かい、栃木県北部の矢板市・大田原市の山麓・丘陵地域と、茨城県北部の大子町・常陸太田市水府地区の八溝山地・阿武隈山地地域を経て茨城県高萩市の国道6号まで東西に結ぶ路線。茨城県大子町では、国道118号と一部重複して南下し、観光名所である袋田の滝近く(袋田の滝入口交差点)で分岐東進して再び単独区間となる。
もともと、栃木・茨城両県の山間地域の県道を統合・昇格して国道となった路線で、路線指定当時は未改良区間が多く存在したが、拡幅や線形改良など改良工事が進められてきた。栃木県那須郡那珂川町の一部では、1車線の狭隘区間が今なお存在する。
路線データ
一般国道の路線を指定する政令[1][注釈 1]に基づく起終点および重要な経過地は次のとおり。
歴史
1993年(平成5年)4月1日に国道指定を受けて、これまでの県道(県道今市矢板線、栃木県道271号大田原矢板線の一部、県道大田原黒羽線、茨城県道・栃木県道13号大子黒羽線線の一部、栃木県道321号南方須佐木線の一部、県道大子馬頭線の一部、県道高萩大子線、県道折橋山方線の一部[6])が昇格して国道となっている。
国道指定当初の起点は大谷向交差点で、国道121号現道と一部重複して東方向へ向かい大谷向駅前より国道121号から分岐して単独区間(日光北街道)となり、日光市豊田交差点で現道と合流していた。2016年(平成28年)5月に大谷向駅前 - 豊田間が日光市に移管され、バイパスが現道となり起点も七本桜交差点に変更された[2]。
終点付近はセンターラインがなく、国道6号と接続する交差点から300 mほどで常磐線踏切がありボトルネックになったため、2006年(平成18年)に踏切手前で南側に延伸し日立市側に跨線橋「いぶき橋」を建設した。この区間の旧道は廃道となって[3][注釈 6]、このルート上に歩行者と自転車のみ通行ができる一般道路に変った。
茨城県大子町では、かつては大子市街の商店街を抜ける区間で西行きの一方通行区間があり、東行きは国道から外れていたが、2012年(平成24年)の大子バイパスの完成により解消された。
年表
路線状況
全般に道路改良が進められつつあり、栃木県大田原市以西は主要幹線道路としての2車線規格を満たしているが、以東では狭隘路も混在する。特に栃木県東部から茨城県内にかけて狭隘区間が多い。那珂川町内では、広い谷間に散在する集落を、直線的な1車線道路で民家の軒先をかすめて南北に結んで行く。南下するとそのまま、馬頭市街から続いてくる2車線の栃木県道52号矢板馬頭線に突き当たり、ここを左折するのがそのまま国道となる。なお、峰一つ東に並行している茨城県道・栃木県道13号大子黒羽線がこの区間の狭隘路を迂回している。
久慈郡大子町までは道路整備が進捗し、2車線化が進んでいる。大子町袋田周辺の道路は整備され、春秋行楽シーズン中は車両の往来が多い。
常陸太田市水府地区は谷間の集落を南北に走る。かつてこの区間の旧道は谷間の山里を縫って1車線強のカーブした狭隘路が連続し、春・秋の行楽シーズンはすれ違い渋滞が随所で生じるため、待避所や信号機無しの交差点に交通整理員が立つことがあったが、2015年(平成27年)5月には高倉橋が開通し、この付近の南北縦軸の道路が拡幅されている[18]。さらに高倉橋から東に位置する里見地区と結ぶ国道349号と交差する折橋交差点までの北沢峠越え区間は、大型車が通行できない狭隘道路であったが、水府里美拡幅事業により北沢トンネルを基本とする道路改良が行われ[25]、2021年(令和3年)10月23日に開通。折橋以東は2車線の改良済道路である。
バイパス・道路改良事業など
- 船生バイパス
- 塩谷町船生の旧日光北街道にあたる旧道の南側を迂回するバイパス道路。船場東交差点から天頂交差点までの5.4 kmが該当。1998年(平成10年)に事業採択され、2005年(平成17年)に船生南交差点以東(1区)が、2009年(平成21年)に船生南交差点以西(2区)が開通し全線開通。
- 玉生バイパス
- 奥沢バイパス
- 大子バイパス
- 屈曲部が多く幅員狭小な大子町市街地内を迂回するバイパス道路。大子町役場前交差点からJR常陸大子駅前までの約600 mの区間[26]。2006年(平成18年)より事業化され[27]、2012年(平成24年)10月に開通した[15][16]。バイパス開通によって旧道区間は、2013年(平成25年)3月に国道指定から外され、大子バイパスは現道の一部となっている[17]。
- 水府里美拡幅
- 常陸太田市上高倉町から折橋町までの狭隘区間の交通安全性の確保を目的に道路を拡幅改良する、1999年(平成11年)度より事業化された延長7.2 km、幅員11 mの道路改築事業[25]。南北軸の現道拡幅およびバイパス新設からなる上高倉町字湯草 - 下高倉町字馬次(高倉橋)間の区間は、2016年(平成28年)までに供用済み[20]。東西軸の現道拡幅および北沢トンネル新設からなる北沢峠区間は2021年(令和3年)10月23日に開通[23]。
重複区間
道路施設
橋梁
起点から
- 栃木県
- 並木大橋(大谷川、日光市)
- 大渡橋(鬼怒川、塩谷郡塩谷町 - 日光市)
- 蛇尾橋(蛇尾川、大田原市)
- 那珂橋(那珂川、大田原市)
- 茨城県
- 湯の里大橋(久慈川、久慈郡大子町)
- 花貫大橋(花貫川、高萩市)
- 鳥曽根橋(花貫川、高萩市)
- 花貫橋(花貫川、高萩市、1989年(平成元年)10月竣工)
トンネル
起点から
- 茨城県
- 花貫第一トンネル(高萩市中戸川)
- 花貫渓谷上の阿武隈高地を貫く、本国道上で最も東に位置するトンネル。延長326 m、高さ4.7 m、幅員7.0 m。1995年(平成7年)11月竣工。
- 花貫第二トンネル(高萩市中戸川)
- 花貫第一トンネルの西側に隣接するトンネル。延長180 m、高さ4.7 m、幅員7.0 m。1996年(平成8年)9月竣工。
- 北沢トンネル(常陸太田市下高倉町 - 折橋町)
- 水府里美拡幅事業のトンネルであり、北沢峠をバイパスする。延長1,581 m。2021年(令和3年)10月竣工。
- 新月居トンネル(久慈郡大子町小生瀬)
- 小生瀬と袋田を結ぶ道路にあるトンネルで、延長540 m、高さ4.7 m、全幅8.5 m(車道部6 m、歩道部1 m)。1976年(昭和51年)3月竣功。1976年(昭和51年)に高柴台で全国植樹祭を開催する関連事業として、主要地方道日立大子線[注釈 8]を改良整備するために新たに掘られたトンネルで、茨城県道路公社が管理する月居トンネル有料道路として開通している[28]。1987年(昭和62年)2月1日に無料開放された[29]。
道の駅
交通量
24時間交通量(平成17年度道路交通センサス)
都道府県名 |
地点 |
台数
|
栃木県 |
那須塩原市一区町231-7 |
11,209
|
茨城県 |
久慈郡大子町下金沢261 |
03,668
|
地理
通過する自治体
交差する道路
交差する道路の特記がないものは市道・町道。
峠
起点から
脚注
注釈
出典
- ^ “一般国道の路線を指定する政令(昭和40年3月29日政令第58号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2022年6月9日閲覧。
- ^ a b c “栃木県公報(平成28年5月)定期第2780号”. 2018年12月15日閲覧。
- ^ a b “道路の区域の変更(平成19年6月14日 茨城県告示第812号) (PDF)”, 茨城県報 (茨城県) 第1883号: pp. p.17, (2007年6月14日)
- ^ a b c d e f g “表26 一般国道の路線別、都道府県別道路現況” (XLS). 道路統計年報2023. 国土交通省道路局. 2024年4月20日閲覧。
- ^ “一般国道の指定区間を指定する政令(昭和33年6月2日政令第164号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2012年10月26日閲覧。
- ^ 県道の路線の廃止(平成5年4月1日 茨城県告示第435号) (PDF) ,茨城県報 号外第47号(1993年(平成5年)4月1日)より
- ^ 道路の区域の決定(平成5年4月1日 茨城県告示第430号) (PDF) ,茨城県報 号外第47号(1993年(平成5年)4月1日)より
- ^ “道路の供用の開始(平成9年2月10日茨城県告示第137号) (PDF)”, 茨城県報 (茨城県) 第828号: p. p. 2, (1997年2月24日)
- ^ “道路の区域の変更(平成14年8月26日 茨城県告示第1033号) (PDF)”, 茨城県報 (茨城県) 第1393号: pp. p. 15, (2002年8月26日)
- ^ “道路の区域の変更(平成17年4月4日 茨城県告示第435号) (PDF)”, 茨城県報 (茨城県) 第1659号: pp. pp. 4–5, (2005年4月4日)
- ^ “道路の供用の開始(平成18年3月13日 茨城県告示第300号) (PDF)”, 茨城県報 (茨城県) 第1755号: p. p. 9, (2006年3月13日)
- ^ “道路の供用の開始(平成19年8月13日 茨城県告示第1040号) (PDF)”, 茨城県報 (茨城県) 第1900号: p. p. 5, (2007年8月13日)
- ^ “道路の区域の変更(平成19年11月1日 茨城県告示第1340号) (PDF)”, 茨城県報 (茨城県) 第1923号: pp. p. 11, (2007年11月1日)
- ^ “道路の区域の変更(平成20年2月14日 茨城県告示第186号) (PDF)”, 茨城県報 (茨城県) 第1951号: pp. pp. 21–22, (2008年2月14日)
- ^ a b “道路の供用の開始(平成24年10月22日 茨城県告示第1107号) (PDF)”, 茨城県報 (茨城県) 第2430号: pp. pp.14-15, (2012年10月22日)
- ^ a b “国道461号大子バイパスが10月26日に開通しました。”. 土木部道路建設課国道・市町村道. 茨城県 (2015年2月12日). 2015年4月5日閲覧。
- ^ a b “道路の区域の変更(平成25年3月7日 茨城県告示第196号) (PDF)”, 茨城県報 (茨城県) 第2467号: p. p. 40, (2013年3月7日)
- ^ a b 『【お知らせ】一般国道461号高倉橋が開通しました(PDF:247KB)』(プレスリリース)茨城県常陸太田工事事務所。オリジナルの2016年3月5日時点におけるアーカイブ。https://web.archive.org/web/20160305035052/http://www.pref.ibaraki.jp/soshiki/doboku/otado/documents/takakurabasi.pdf。2016年1月4日閲覧。
- ^ “道路の供用の開始(平成27年5月21日 茨城県告示第706号) (PDF)”, 茨城県報 (茨城県) 第2692号: p. p. 6, (2015年5月21日)
- ^ a b “道路の供用の開始(平成28年8月22日 茨城県告示第1109号) (PDF)”, 茨城県報 (茨城県) 第2821号: p. p. 8, (2016年8月22日)
- ^ “道路の区域の変更(平成29年7月18日 茨城県告示第392号) (PDF)”, 茨城県報 (茨城県) 第2912号: p. p. 5, (2017年7月18日)
- ^ “道路の区域の変更(平成31年3月25日 茨城県告示第300号) (PDF)”, 茨城県報 (茨城県) 第3082号: p. p. 18, (2019年3月25日)
- ^ a b “国道461号 北沢トンネルの開通について” (PDF). 茨城県 (2021年9月28日). 2021年9月28日閲覧。
- ^ “道路の供用の開始(令和3年10月21日 茨城県告示第1158号) (PDF)”, 茨城県報 (茨城県) 第249号: p. p. 16, (2021年10月21日)
- ^ a b 土木部 常陸太田工事事務所 (2016年11月22日). “一般国道461号(水府里美拡幅)”. 茨城県ホームページ. 茨城県. 2016年6月4日閲覧。
- ^ “道路の区域の変更(平成18年12月25日 茨城県告示第1441号) (PDF)”, 茨城県報 (茨城県) 第1836号: pp. pp.8-9, (2006年12月25日)
- ^ “国道461号大子バイパス”. 2014年2月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年12月4日閲覧。
- ^ 影山雄之『茨城県大百科事典』茨城新聞社、水戸市、1981年、707頁。
- ^ “有料道路の料金の徴収期間の変更(昭和62年1月29日 茨城県道路公社公告) (PDF)”, 茨城県報 (茨城県) 第7521号: p. p.9, (1987年1月29日)
関連項目
外部リンク
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通過自治体 |
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バイパス |
船生 - 玉生 - 奥沢 - 大子 - 水府里美拡幅
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道の駅 | |
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道路名・愛称 | |
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主要構造物 |
大渡橋 - 那珂橋 - 湯の里大橋 - 新月居トンネル - 北沢トンネル - 花貫第二トンネル - 花貫第一トンネル
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自然要衝 | |
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1 - 100 (1 - 57号は旧一級国道。59 - 100号は欠番) |
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101 - 200 (旧二級国道、109 - 111号は廃止・欠番) |
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201 - 300 (201 - 271号は旧二級国道、214 - 216号は廃止・欠番) |
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