ISBN
ISBN(アイエスビーエヌ)は、International Standard Book Number の略称(頭字語)[2][3][4]。図書(書籍)および資料の識別用に設けられた国際規格コード#code(番号システム)の一種[5][6][2][3][7]。アラビア数字で表される[注 1]。日本における漢訳名は「国際標準図書番号」[8]。 開発されたのは1966年のイングランド、W・H・スミス社のプロジェクトによる (cf. )。 歴史1965年にイギリスで、SBN (Standard Book Number) と呼ばれる書籍特定コードがトリニティ・カレッジ(ダブリン大学)のゴードン・フォスターにより開発された[9][10]。コンピュータが普及し、統一的な管理番号が求められたことが背景にある[4]。これは翌年にイギリス国内で利用され始めた[10]。1967年、国際規格ISBNのアルゴリズムが考案された[11][12][13]。ISBNは国際標準化機構 (ISO) で1970年に採用された (ISO 2108)[10]。 なお、出版物(本)に関する国際標準化機構の国際規格は、ISBNの他に、逐次刊行物(雑誌)のシリーズごとに付与される国際標準逐次刊行物番号 (ISSN) がある。 特徴ISBNは、各種の書籍(単行本、漫画など)の他、CD-ROM・カセットテープ・マイクロフィルムなど、出版社から刊行されて出版取次・書店で流通する出版物におおむね適用される[4]。ただし、日本などでは、ムックを除く雑誌にはISBNではなく雑誌コードを使用する。また、ウェブサイト・広告物・ゲームなどは、国際的にもISBNの対象外である。 ISBNは、中身が同じでも出版形態が異なれば別の番号を割り振られる[4]。例えば、ある小説が単行本・文庫本・電子書籍の3つの形態で発売されれば、それぞれ別の番号が付けられる[4]。 絶版となった場合でも、ISBNを新刊に使い回すことはない[4]。 旧規格(2006年12月31日まで)ISBNは10桁のコードで表され、通常4つのパートからなった。なお、この、10桁であらわされる(旧規格)ISBNコードを、現行の13桁のISBNに対して ISBN-10 と呼ぶことがある。 ISBN-10は、
のように表示される。しかし、●、A、Bの各部分の割り当て桁数は決まっておらず、合計で9桁(必ず1桁のC部分を入れると10桁)となる範囲内で、それぞれの部分は増減する。 それぞれの部分の意味は、
チェックディジット(2006年まで)旧規格のISBN (ISBN-10) のチェックディジットは、「モジュラス11 ウェイト10-2」という計算法にて算出される。(チェックディジットを除いた左側の桁から10、9、8…2を掛けてそれらの和を取る。和を11で割って出た余りを11から引く) ここで、例として ISBN4-10-109205-□ のチェックディジット(□部分)を求めてみる。 4×10 + 1×9 + 0×8 + 1×7 + 0×6 + 9×5 + 2×4 + 0×3 + 5×2 = 40 + 9 + 0 + 7 + 0 + 45 + 8 + 0 + 10 = 119 119 ÷ 11 = 10 あまり 9 11 - 9 = 2 よって、このISBNのチェックディジットは2である。なお、計算結果が10になった場合、10の代わりにX(アルファベットの大文字)を用いる。また、11になった場合は、0となる。 現行規格(2007年以降)ISBNは2006年までは10桁であったが、一部のグループ記号(英語圏)で、発番可能な出版者記号(前項例示のA部分)の枯渇が目前となったため、13桁ISBNの規格が制定され、2007年1月1日に完全施行された。それと同時に、それまでに発番された10桁のISBNは無効となったが、書店での書籍検索・注文など、実際にISBNを利用する場面においては、かつての10桁ISBNも併用できるよう便宜が図られている場合がほとんどである。 2007年以降の新刊書には当初から13桁の新規格ISBNが付けられており、10桁ISBNは新たに発番しない。一部の通販業者において、13桁ISBNから自動的に10桁ISBNが生成されるかのような表示があるが、これらは誤った運用である。また、かつて発番された10桁ISBNについては、その頭に 978- を挿入し、チェックディジットを計算しなおした13桁のものを正規のISBNとして取り扱う。 例: (旧ISBN)4-00-310101-4 → (現行ISBN)978-4-00-310101-8(チェックディジットの計算法は後述) なお、現行規格によって表されるISBNを、旧規格のISBN (ISBN-10) に対してISBN-13と呼ぶことがある。 ISBNは13桁のコードで表され、通常5つのパートからなる。
●、A、Bの各部分の桁数は決まっておらず、合計で9桁の範囲内でそれぞれの部分は増減する。
各パートの間は、ハイフン(またはスペース)で区切りを付けるのが正式な表示法である(区切りを付けなくても書籍を特定する上での問題はない)。 チェックディジット(2007年以降)現行規格のISBN (ISBN-13) のチェックディジットは、JANコードと同じく、「モジュラス10 ウェイト3・1(モジュラス10 ウェイト3)」という計算法にて算出される。(チェックディジットを除いた一番左側の桁から順に1、3、1、3…を掛けてそれらの和を取る。和を10で割って出た余りを10から引く。ただし、10で割って出た余りの下1桁が0の場合はチェック数字を0とする。) ここで、例として ISBN 978-4-10-109205-□ のチェックディジット(□部分)を求めてみる。 9×1 + 7×3 + 8×1 + 4×3 + 1×1 + 0×3 + 1×1 + 0×3 + 9×1 + 2×3 + 0×1 + 5×3 = 9 + 21 + 8 + 12 + 1 + 0 + 1 + 0 + 9 + 6 + 0 + 15 = 82 82 ÷ 10 = 8 あまり 2 10 - 2 = 8 よって、このISBNのチェックディジットは8である。 各国におけるISBN日本→「日本図書コード」も参照
2022年現在、日本では、ISBN(国際標準図書番号)・分類記号・価格コードという3種類の情報で構成された「日本図書コード」が使用されている[5][17]。 日本は1981年に[4]ISBNに関する国際的な枠組みに加盟した。その後、1988年にJIS X 0305としてJIS規格となっている。 日本におけるISBNの統括的な管理は、出版関連の団体によって設立された一般社団法人日本出版インフラセンターに所属する日本図書コード管理センターが独占的に担っている。ただし、出版活動上の便宜を考慮し、個別の書籍に対するISBNの付与は登録出版者が行う方式が取られている[18]。 関連項目
脚注注釈出典
参考文献
外部リンク
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