マヂカルラブリー
マヂカルラブリーは、吉本興業(東京本社)所属のお笑いコンビ。2007年結成。略称は「マヂラブ」[2]。大宮ラクーンよしもと劇場の専属芸人「大宮セブン」の一角を担う。M-1グランプリ2020王者[3]、キングオブコント2018・2021ファイナリスト。 メンバー
来歴「マヂカルラブリー」結成まで2002年、野田は中学を卒業して間も無い15歳で同級生とコンビ「セールスコント」を組みインディーズ劇場での活動や、『学校へ行こう!』(TBSテレビ)の「お笑いインターハイ」において参加者約5,000人の中で優勝、同年にインターネットの相方募集掲示板で知り合った相方とコンビ「役満」を結成[1]、翌2003年に16歳で吉本所属のプロとなりM-1グランプリでは3回戦進出。その後、ピン芸人として地下ライブで活動していた。 また、村上は法政大学のお笑いサークル・HOS(5期)出身で2005年・2006年に『大学お笑い日本一決定戦』で連覇するなど[9][10]、学生芸人として活動していた[注 1]。その後は就職活動で相方2人の就職が決まったものの村上だけは就職できず、そのまま流れでお笑いを続けることになった。学生時代はマスコミ志望でフジテレビ等を受験していた。 村上が所属していたお笑いサークルがアングラ気質だったため、面白いと噂の地下芸人のカリスマ・野田のことは彼が18歳の時から一方的に知っており、学園祭にも呼んでいた[11]。当時の野田は東京の地下芸人に憧れて客が笑わないお笑いを追求していた最中で「スベるのは面白いからだ」と自己解釈し、観客からの笑い声がなくても野田は意に介さなかったものの学園祭側ではスベり過ぎて問題となり、実行委員の一員だった村上は「あれ呼んだの誰だ?」と周りから責められた。「キングオブフリー」というインディーズ芸人ライブを村上が観に行った際にたまたま野田が出演しており、「面白すぎる」「僕と組めばいけるんじゃないか」と思ったという。2007年2月、大学卒業を機にプロの芸人になろうと相方を探していた村上が石橋哲也(元カオポイント)に相談したところ、偶然にも野田を勧められた[11]。村上は知り合い伝手に「コンビを組みたがっている奴がいる」とだけ前もって伝えてもらい、野田のライブの出待ちをして声を掛けそのままコンビ結成に至った[11][12]。コンビ名の由来は2人とも巨漢で男臭かったため、コンビ名くらいは可愛くしようとお互いに一番可愛いと思う単語を出し合った所、「マジカル」と「ラブリー」であったことから[13]。コンビ名を「マジカル」ではなく「マヂカル」とした理由は、「ネットで検索した時に上位に来る」のを期待してと述べている[14]。 結成後結成後は「LIVE疾風迅雷」などのインディーズ・ライブで毎回のように優勝を収めるなど好成績を残し、マヂカルラブリーとして吉本興業へ所属する。野田は役満時代から吉本に籍を残していたため、村上のみがこのタイミングで吉本へ所属した形になる。また当時吉本の若手芸人達が出演していたAGEAGELIVEに出場し、約半年ほどでレギュラー組に昇格する。しかしNSC出身でないことから劇場にはなかなか出られず、2015年に大宮ラクーンよしもと劇場の専任になってからはライブの数が増えていった[12]。このこともあり、2人は地下芸人を自称している[15]。 『M-1グランプリ』では結成間もなくして3回戦進出、結成1年にして準決勝まで進出し早くも実力を示す[16]。しかし仕事は増えず、ルミネtheよしもとなどの劇場にも出演できずにいた[17]。お笑いだけでは食べていけず、2017年まで2人はアルバイトを続けた[18]。2010年に『M-1グランプリ』が一旦終了後、『THE MANZAI』では2011年、2012年の認定漫才師となるがその後は振るわなかった。復活後の『M-1グランプリ2015』では自信満々で挑むも準々決勝進出に終わる[16]。この敗北が転機となり、「このままでは終わってしまう」「ウケたい」と意識が変わってネタのブラッシュアップに力を入れ始め[19]、翌年の『M-1グランプリ2016』には準決勝まで進出する[16]。 『M-1グランプリ2017』では7回目の挑戦で初の決勝戦進出を果たし、「野田ミュージカル」を披露するも、審査員全員に80点台を付けられ最下位に終わり[20]、特に上沼恵美子からは「好みじゃない」「よう決勝に残ったな」と酷評を受けた[21]。予選でウケたにも拘らず、決勝では上手くいかなかったため今後もそうなるのではないかと思い[22]、出番が終わった後の楽屋で2人は「もう漫才はできないんじゃないか」と口にするほどだった[23]。また、周りの芸人からは励ましの言葉やアドバイスを貰っていたが、それすらも聞けないほどショックを受けていた。この一連の流れが逆に話題となり、仕事(特に営業)が増え収入も上がった[24]ものの、そこでは『スベって上沼に怒られた芸人』としての振る舞いを求められており、その屈辱的な状態に不満を抱き続けることとなる[24]。 2018年、『キングオブコント2018』で初の決勝進出を決める。最終結果は7位。 野田は2018年と2019年の『M-1グランプリ』敗者復活戦では「えみちゃん、待っててねー!」と、優勝を果たした2020年の『R-1ぐらんぷり』では「えみちゃん、ありがとうー!!」と叫び、度々上沼に怒られたことをネタにしていた[25]。2018年・2019年の『M-1グランプリ』の決勝まで行けなかったことでネタの温存ができ、後の優勝に繋がった[22]。 2020年3月8日、野田が『R-1ぐらんぷり2020』で初の決勝進出を決め優勝。これにより野田は史上初のM-1グランプリ、キングオブコント、R-1ぐらんぷりの3大会全てでのファイナリスト経験者となった。 2020年、新型コロナウイルスの大流行によって感染防止のため劇場公演が中止になり、70日間漫才が出来なくなるという事態となった[26]。また『キングオブコント2020』の出場も考えていたが、コロナ禍の影響で5〜6月に予定していた単独ライブが9月に延期したため、コントを披露しようにも間に合わず出場を辞退[27]。 『M-1グランプリ2020』優勝『M-1グランプリ2020』で3年ぶりに決勝進出。『M-1グランプリ2017』で酷評を受けた上沼と再会を果たしたが[21]、上沼本人はそのことをすっかり忘れていた。ファーストラウンドでは野田はせり上がりの際に正座の状態で登場し、『M-1グランプリ2018』の敗者復活戦でネタにした「高級フレンチ」を披露。オール巨人以外から90点以上評価し、上沼からは94点という高得点を受けた。上沼は「バカバカしさが突き抜けるというのは芸術」と評価し、合計649点となり2位で最終決戦に進出した。最終決戦では「つり革」を披露して3票を獲得。優勝を果たした。同じく最終決戦に進出した見取り図、おいでやすこがが2票ずつ獲得したため、マヂカルラブリーはM-1グランプリにおいて、史上初の過半数以下の得票で優勝したコンビとなった。また、過去に決勝大会で総合最下位を経験したコンビが優勝を果たしたのもマヂカルラブリーが史上初である[注 2]。最終決戦で披露した「つり革」は野田がしゃべらずに動き回り、村上がツッコむ漫才であったため、「あれは漫才なのか」とネット上で議論が巻き起こった[28](M-1グランプリ2020#マヂカルラブリーのネタに対する議論も参照)。 優勝後の会見では、野田は史上初の3冠(R-1ぐらんぷり、M-1グランプリ、キングオブコント)を目指すと宣言[23][29]。 2021年1月1日に行われた無観客配信イベント「マヂカルラブリーno寄席」がチケットよしもとの歴代配信チケットの売り上げ枚数1位となり、2020年11月の「アキナ牛シュタイン」によるユニットライブの約1万4000枚の記録を越えた[30]。 宣言通り野田の3冠獲得(R-1、M-1、キングオブコント)を目指して『キングオブコント2021』に出場し、3年ぶりに決勝進出。M-1優勝後にキングオブコントファイナリストになるのはサンドウィッチマン以来2組目。1stステージのトリ(10番目)に「こっくりさん」を披露したが、455点で9位に終わり、M-1グランプリに次ぐ優勝はならなかった。 2021年11月、「GQ MEN OF THE YEAR 2021」にてメン・オブ・ザ・イヤー・ベスト・コメディ・デュオ賞を受賞[31]。 2021年12月1日、ニホンモニターが発表した「2021年タレント番組出演本数ランキング」の、昨年との出演番組の増加数を比較したブレイクタレントランキングでは、290本の増加で、おいでやすこがと共に同数で1位となった。2020年の番組出演本数は59、2021年の番組出演本数は349だった[32]。 芸風主に漫才。独特で変則的なコント漫才が多い[20][21]。ネタの初めに野田が「○○になりたいよー!」「○○だよー!」と宣言、シチュエーションを提案しコントに入る。視覚的なお笑いで、全身を使い表現する動きの多い1人コントのようなボケの野田に対して[33]村上がシンプルにツッコむ[26][34]。村上のツッコミは、「普通のことを大きな声で言う」鈴木拓(ドランクドラゴン)の系譜だという[35]。2010年以前は、村上は”優しい国語の先生”のようなスタンスで山里亮太(南海キャンディーズ)の「ツッコミでも気の利いたワードで笑わせる」というツッコミに近かったが、鈴木と出会ってからはシンプルかつ若干口の悪いツッコミになっていった[36]。『M-1グランプリ2020』では野田のあまり喋らずに動きで見せるボケに対し、村上の情報を補完する説明ツッコミという無声映画のようなサイレントコメディ色の強い漫才へ変化した[37]。野田によるとネタ中の特徴的な動きは、インディーズ時代に舞台が狭かったため狭いスペースでダイナミックさを出すために作られたという[38]。我流漫才とも称されるこのスタイルは「みんなは全部が仕上がりすぎてる笑い(伏線を回収していく構成され尽くした和牛のような漫才)を目指すけど、俺らは無理だと気づいてからの勝負。比べられない存在でありたい」という野田の想いから来ている[39]。 ネタのツカミで挨拶する際は村上が「村上です」と名乗り、野田が「○○です」と言った後、村上が「マヂカルラブリーです」とコンビ名を言うのと同時に野田はそのまま「○○でーす」と言う。○○の部分は様々なパターンがあり、例として「僕」「村上」「変な虫」「でっかい海老」「凄腕スナイパー」「魅惑の何か」などがある。『M-1グランプリ2020』の決勝ファーストラウンドでは「どうしても笑わせたい人がいる男です」と挨拶した。このツカミはコンビ結成時から行っている。 単独ライブではコントも披露しており、「コントの方が漫才より楽しくできる」と語っている[40]。キングオブコントでは2018年・2021年に決勝進出[41][42]。 評価前田登(はりけ〜んず)は彼らについて、「こんなネタは書けないし習ってもいない。今まで見たことないし、(自分たちが若いときに)やってたら怒られていた」と話している。博多大吉(博多華丸・大吉)は「僕は(こういうネタは)怖くてできない」「ここから先はわからない。われわれの手には負えない」と述べている[43]。塙宣之(ナイツ)は「男芸人は野田君みたいなボケに1番憧れる。ああいうのって先輩や周りから色々言われたりとかで、みんな心が折れてやらなくなる」と評した[44]。 賞レース成績・受賞歴など→ピン(個人)での戦績は「野田クリスタル#賞レースなどでの戦績」を参照
M-1グランプリ
キングオブコント
THE MANZAI
その他
出演→単独での出演については「野田クリスタル#出演」「村上 (マヂカルラブリー)#出演」を参照
テレビ番組
*MCもしくはメインキャスト
不定期出演ラジオ
ウェブ番組
ウェブドラマCM
舞台単独ライブ
神保町花月
劇団ムゲンダイ
その他
脚注注釈
出典
外部リンク |