カーター・スチュワート
スコット・カーター・スチュワート・ジュニア(Scott Carter Stewart Jr.[1]、1999年11月2日 - )は、アメリカ合衆国フロリダ州メルボルン出身のプロ野球選手(投手)。右投右打。福岡ソフトバンクホークス所属。 フロリダ州のオー・ガリー高校へ在学していた2018年にMLBドラフト会議でアトランタ・ブレーブスから1巡目で指名されたものの、入団への合意に至らず、卒業後に東フロリダ州立短期大学へ進学。2019年の途中から、NPBの福岡ソフトバンクホークスに所属している。 NPBでの登録名は「C.スチュワート・ジュニア」だが、スコアボード等で「スチュワートJr.」の表記が用いられることもある。 経歴プロ入り前オー・ガリー高校在学中[2]の2017年に、ジュニアシーズンの公式戦で、11勝2敗、防御率0.81、104奪三振を記録。ペトコ・パークで開催されたパーフェクトゲームオールアメリカンクラシックにも参加した[3]。 野球の他にもゴルフが得意で、プロ入り前のベストスコアは18ホールを60台と、プロゴルファーを目指すことも検討される実力の持ち主であった[4]。 2018年には、シニアシーズンの公式戦で、6勝2敗、防御率0.91、128奪三振を記録。フロリダ州のGatorade Baseball Player of the Yearに選ばれた[5]ことから、「トップ・プロスペクト」(有望株)として注目された[6][7]。 高校卒業時(2018年6月)に開催されたMLBドラフト会議でアトランタ・ブレーブスから1巡目(全体8位)で指名された[8]が、指名後の身体検査で、右手首に異常が見つかった。また、ブレーブスの提示した契約金額とスチュワート側の要求に開きがあったこと[9]から、契約期限の7月6日までに入団へ合意しなかった[10][11]。このような事情から、2019年のMLBドラフト会議で改めて指名されるべく、東フロリダ州立短期大学に入学[12]。NJCAAに所属するEFSCタイタンズで公式戦13試合に先発すると、2勝2敗ながら防御率1.70、108奪三振を記録した[13]。 ソフトバンク時代2019年5月25日に、NPBの福岡ソフトバンクホークスへの入団で合意した[14]。報道によれば、ソフトバンクとは6年契約で、契約期間の年俸総額は700万ドル(約7億7000万円)。出来高などの条件も付いているため、条件をすべて満たした場合には、最高で1200万ドル(約13億2000万円)前後まで達するとされる[15]。背番号は2で、背ネームは「STEWART JR.」。NPBの球団で背番号2を付ける投手は、阪神タイガースで1962年から1963年に着用した中島広喜以来56年ぶりである[注 1][注 2]。 この厚遇と2020年に新型コロナウイルス感染拡大によってマイナーリーグの試合が中止になったことから、父は「日本の球団と契約して幸運だったよ。野球ができて、お金がもらえるんだから」とスチュワートに伝えている[16]。 入団後は、三軍でプロ野球選手としてのキャリアをスタート。7月9日には、三軍の一員として、九州三菱自動車硬式野球部とのプロアマ交流戦で実戦デビューを果たした[17]。三軍戦では、先発を中心に10試合に登板すると、通算投球イニング43回1/3で4勝3敗、防御率4.36を記録[18][19]。一・二軍の公式戦には登板の機会がなかったが、シーズン終盤からのフェニックス・リーグで2試合に登板した[20]。 2020年は、二軍(ウエスタン・リーグ)の公式戦にデビュー。15試合に登板すると、通算投球イニング67回で、3勝7敗、防御率4.16を記録した[21]。一軍公式戦でのデビューは見送られたものの、三軍戦には7試合に登板。通算投球イニング27回2/3で2勝0敗、防御率1.95を記録した[22]。 2021年は、4月17日の対埼玉西武ライオンズ戦(メットライフドーム)9回裏に一軍公式戦へデビュー[23]。この試合から救援で4試合に登板した後、一度降格するも、ファームでは好成績を残し(防御率1.47)、8月15日の対北海道日本ハムファイターズ戦(福岡PayPayドーム)で初めて先発を任された[24]。当初先発を予定していた和田毅が左肩のコンディション不良を理由に出場選手登録を抹消されたことに伴う抜擢ながら、1回表に先頭打者の淺間大基を死球で出塁させただけで、5回を無安打無失点9奪三振と好投。後続の5投手も日本ハム打線を無安打に抑えたため、チームは「6投手の継投による9回ノーヒットノーラン」というNPB公式戦史上初の記録を達成したが、試合が0対0(9回規定による引き分け)で終わったため白星は付かなかった[25]。その後は一軍でユーティリティに役割をこなし、最終的に11登板(4先発)で0勝2敗1ホールド、防御率6.08の成績だった[26]。 2022年は前年から一転、一軍での登板機会を得られなかった[27]。ファームでは14試合(うち先発は11試合)に登板。与四球率は7.04にまで達するなど制球力に大きな課題を残しながらも[28]、防御率は3.19に留めた[29]。 2023年は大関友久、藤井皓哉らの戦線離脱、石川柊太の不振に伴って6月18日のセ・パ交流戦・対阪神タイガース戦で先発を任された結果、勝敗こそは付かなかったが5回1/3を無失点という好投を見せた[30]。2先発目となった6月28日の対東北楽天ゴールデンイーグルス戦でも6回1失点の好投を披露したが、ここでもプロ初勝利には届かなかった[31]。その後も安定した投球を続けながら援護に恵まれなかったが、5戦目の7月26日、対オリックス・バファローズ戦でプロ初勝利を挙げた[32]。6戦目の日本ハム戦(8月6日)でも勝利投手となる[33]など、その時点で防御率は1.60を記録するほど好調を維持した。それ以降は8試合に先発しながら1勝のみに留まり、最終的に3勝6敗、防御率は3.38であった。ポストシーズンでは千葉ロッテマリーンズとのクライマックスシリーズファーストステージ(ZOZOマリン)の初戦で先発を任されたが[34]、初回に荻野貴司とグレゴリー・ポランコに本塁打を打たれるなど3回途中4失点で降板し、敗戦投手となった[35]。 2024年1月8日、2025年シーズンからさらに2年間の契約延長をすることで合意したと球団から発表された[36]。7月19日の埼玉西武ライオンズ戦(ベルーナドーム)で7回無失点で自己最多の4勝目[37]。後半戦の開幕戦となった7月26日のオリックス・バファローズ戦(みずほPayPayドーム福岡)で先発を務め7回途中1失点で5勝目[38]。20試合に先発、9勝4敗、防御率1.95と安定した成績を残し、4年ぶりのリーグ優勝を支えた[39]。日本ハムとのクライマックスシリーズでは10月18日の第3戦に先発し5回2失点で勝ち投手になった[40]。 選手としての特徴投球フォームはオーバースロー[41]。最速160km/h[42]、最高回転数は2700rpmを超えることもある力強いストレートが武器[43][44]。変化球はカーブ・カットボール・スプリットなどを投じる[45]。 コントロール[46]と走者を置いた場面での投球に課題を抱えている[47]。 人物愛称は「ジュニア」[42]。 代理人はスコット・ボラス。ソフトバンク入団時の担当スカウトは元投手のマット・スクルメタで、自宅の近くに住むスチュワート一家と親交があることから、スチュワートを13歳の頃から指導していたという[48]。 ハンバーガー等のアメリカ料理が大好物で、来日当初はラーメンやうどん等の日本料理が口に合わず、偏食ぶりが心配されたが、カレーを好きになったようである[20]。 倉野信次は彼のコーチを務めた身として彼を「お坊ちゃん」と評しており、倉野は「通訳を介してなのできちんと伝わったかは分からないが」と断りを入れつつも2021年シーズンに2回ほど本気の説教をしたと語っている[4]。 詳細情報年度別投手成績
年度別守備成績
記録
背番号
登場曲
脚注注釈出典
関連項目外部リンク
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