2023年のパシフィック・リーグクライマックスシリーズ
2023年のパシフィック・リーグクライマックスシリーズは、2023年10月に開催されたプロ野球パシフィック・リーグのクライマックスシリーズ。前年に引き続きパーソルホールディングスがタイトルスポンサーとなり、「2023 パーソル クライマックスシリーズ パ」の名称で施行される。 概要本大会はSMBC日本シリーズ2023出場権をかけたプレーオフトーナメント。開催球場は2021年と同じ。 →「クライマックスシリーズ § 実施方式」も参照
ファーストステージレギュラーシーズン2位の千葉ロッテマリーンズと3位の福岡ソフトバンクホークスが3戦2勝先取制で争い、勝者がファイナルステージに進出する。
ファイナルステージレギュラーシーズン1位(1勝分のアドバンテージが与えられる)のオリックス・バファローズとファーストステージ勝者の千葉ロッテマリーンズが6戦4勝先取制で争い、勝者がSMBC日本シリーズ2023への出場権を得る。 オリックスとロッテがファイナルステージで対戦するのは2021年以来、2年ぶり2回目。 トーナメント表
日程ファーストステージ
ファイナルステージ
試合結果ファーストステージ
第1戦
ロッテの先発は佐々木朗、ソフトバンクの先発はスチュワート・ジュニア。 ロッテは1回裏、荻野の先頭打者本塁打、ポランコのソロ本塁打で、2点を先制した[3]。3回裏には3つの四球で一死満塁とすると、ソフトバンクは投手をスチュワート・ジュニアからヘルナンデスへ交代[4]。ポランコを遊ゴロに打ち取り併殺を狙うも、二塁手・三森が悪送球し、その間にロッテが2点を追加した[4]。 ロッテの先発・佐々木朗は、最速162km/hを記録するなど、3回まで無安打無四球無失点4奪三振の投球を見せた[5][6]。しかし、体調不良明けで9月17日以来27日ぶりの実戦登板だったため、3回までで降板[5][6]。4回からは中村稔が登板し、2回無失点に抑えた[7]。 ソフトバンクは6回表、中村稔から代わった3番手・坂本から柳田が2点本塁打を放ち2点差に追い上げた[8][注 2]。対するロッテも直後の6回裏、前の回から続投した4番手・嘉弥真から岡、ポランコ、安田の3連打で1点を追加[7][10]。一死後、5番手・津森から藤原の適時打で2点を追加すると、さらに8回裏には安田の適時打で8点目を挙げた[7]。 7回以降、ロッテは西村、澤田、澤村がそれぞれ1回無失点に抑えて8-2で勝利し、ファイナルステージ進出へ王手をかけた。 ソフトバンクは先発のスチュワート・ジュニアが試合を作れず救援陣も失点を重ね、打線も4安打に終わり、勝負どころで守備にもミスが出るなど攻守に精彩を欠いた[4]。 第2戦
ロッテの先発は西野、ソフトバンクの先発は有原。共に2016年以来、7年ぶりのCSでの登板となった[12][13]。 ソフトバンクは1回表、二死2塁から近藤の適時打で先制に成功[14]。対するロッテは直後の1回裏、一死1,3塁からポランコの犠飛ですぐさま同点に追いついた[15]。 ソフトバンクは3回表、先頭打者・三森の二塁打などで一死3塁のチャンスを作ると、柳田が左翼線にポトリと落ちる適時二塁打で勝ち越しに成功[14][注 3]。なおも二死3塁とし、中村晃の適時打でもう1点を加え、3-1と2点をリードした[14]。 ソフトバンクの先発・有原は、2回以降ロッテ打線に二塁を踏ませない好投を見せ、6回5安打1四球1失点4奪三振でマウンドを降りた[13]。その後は藤井、松本裕、オスナの救援陣も無失点に抑え、ソフトバンクが3-1で勝利し、ファイナルステージ進出へ逆王手をかけた。 ロッテは先発・西野が不調で今季最短となる3回で降板[12]。その後は救援陣がピンチを迎えつつも無失点で抑えたが[17]、打線が有原を打ちあぐね、走者を出しても併殺打などで繋がらず、敗戦した[15]。 第3戦
ロッテの先発は小島、ソフトバンクの先発は和田。 ソフトバンクは1回表、川瀬の左前安打と近藤の四球で二死1,2塁のチャンスを作るも、中村晃が二飛に倒れ無得点[19]。対するロッテも1回裏に荻野の左前安打とポランコの四球で二死1,3塁のチャンスを作ったが、岡が遊ゴロに倒れて無得点に終わった[20]。 その後両チーム共に無得点のまま迎えた6回表、ソフトバンクは一死から柳田が二塁打で出塁すると、続く近藤が右前安打を放ち、柳田が本塁へ突入[19][21]。しかし、ロッテの右翼手・荻野の好返球で柳田は本塁でアウトとなり、この回も無得点で終わった[21]。 ソフトバンクの先発・和田は5回2安打2四球無失点3奪三振で降板[20]。6回以降は又吉、ヘルナンデス、藤井、松本裕、オスナが、安打や四球でピンチを招きながらも9回まで無失点に繋いだ。対するロッテの先発・小島も6回まで4安打無失点と好投[19]。7回も続投したが、先頭打者・三森を空振り三振に打ち取ったところで降板した[19]。その後は西村、澤田、益田が9回まで1人も走者を許さずに繋ぎ、試合は0-0のまま延長戦に入った[22]。 10回表、ロッテはこのシリーズ3連投となる澤村が登板[23]。一死から代打・柳町が二塁打で出塁すると、代打・生海こそ空振り三振に倒れるも、続く周東の中前安打で代走・上林が生還し、ソフトバンクが先制に成功した[24]。さらに続く川瀬が初球を左中間へ弾き返し適時三塁打で2点目を追加[24]。ここでロッテは澤村から坂本に交代したが、柳田も初球を右前適時打とし、ソフトバンクが3点をリードした[25][注 4]。 10回裏、ソフトバンクは津森が登板[26]。対するロッテは先頭打者の代打・角中が10球目を中前安打とすると、荻野は三塁前へのボテボテの内野安打で出塁[22]。無死1,2塁とチャンスを作ると、続く藤岡が3点本塁打を放ちロッテが同点に追いついた[22]。ソフトバンクはここで投手を大津に交代[26]。ロッテは二死から岡が左前安打で出塁すると、最後は安田が右中間へ二塁打を放ち、岡が一塁から生還[22]。ソフトバンクはリクエストするも覆らず[27]、ロッテがサヨナラ勝ちでファイナルステージ進出を決めた[22]。 CS[注 5]におけるサヨナラ試合は史上15度目で、サヨナラ勝ちでファイナルステージ進出を決めたのは2004年の西武以来史上2度目[28]。また、日本シリーズやプレーオフを含めたポストシーズンにおける3点差以上の逆転サヨナラ勝ちは2009年第2ステージの日本ハム以来史上2度目で、延長戦では史上初であった[28]。 ロッテがCSファーストステージを勝ち上がるのは、出場8度のうち7度目で史上最多となった[28]。また、本拠地・ZOZOマリンスタジアムでは出場4度全て突破となった[28][注 6]。この試合を以てオリオンズ時代となる1990年から33年間に渡ってウグイス嬢を務めた谷保恵美が勇退した。 2023年シーズンを終えたソフトバンクは、試合終了から約1時間半後に藤本博史監督の退任を発表した[29]。 ファイナルステージ
第1戦
オリックスの先発は山本、ロッテの先発は美馬。本年の山本は史上初となる3年連続投手四冠を獲得し[31]、特にロッテ戦では9月9日にノーヒットノーランを記録するなど、4試合の登板で3勝1敗、28回を13安打2失点、防御率0.64と好相性を誇った[32]。 ロッテは1回表、先頭打者・荻野がピッチャー強襲内野安打、続く藤岡が中前安打と連打で出塁し、角中が犠打を決めて一死2,3塁とすると、4番・ポランコが初球を打って右中間への2点適時二塁打とし、2点を先制[33][34]。さらに続く安田、岡がいずれも詰まりながらも安打を放ち満塁とすると、山口の遊ゴロの間に3点目を追加した[34][35]。 オリックスは4回裏、二死1,2塁から紅林が右中間へ適時二塁打を放ち1点差とすると[36]、さらに続く宗が左翼線へ適時打を放ち、同点に追いついた[37]。 ロッテの先発・美馬は4回限りで降板し[38]、5回は2番手・中森が無失点に抑えた。6回表、先頭打者・山口が安打で出塁すると、二死二塁から荻野が中前適時打を放ち、4-3と再びリードを奪った[39]。 対するオリックスは直後の6回裏、この回から登板したロッテの3番手・中村稔から先頭打者・セデーニョが四球で出塁すると、続く杉本が右中間を破る適時二塁打で同点に成功[40][41]。中村稔は、続くゴンザレスに対して2ボールとしたところで降板[40][42]。しかし、代わった東妻もゴンザレスに対して暴投と四球で無死1,3塁とすると、紅林が右前適時打を放ちオリックスが勝ち越した[36][40]。なおも一死2,3塁から若月の高く弾んだ投ゴロの間に1点、さらに中川圭の左前適時打でもう1点を追加し、7-4と3点をリードした[40]。 ロッテは7回表、藤岡と角中の連打で無死1,3塁とし、ポランコの犠飛で7-5と2点差にするも[34]、続く安田は併殺打に倒れ1点止まり。一方のオリックスは8回裏、ロッテの6番手・鈴木から二死ランナー無しとなるも、宗、若月の2者連続二塁打で1点を追加し、8-5と再び3点差とした。 オリックスの先発・山本は7回116球10安打3四死球5失点9奪三振で降板[34]。CSではこれまで2試合の登板で2勝0敗、17回無失点に抑えていたが、3試合目で初めての失点となった[34]。5失点するのは本年では初であり、二桁安打を浴びるのは4月22日の西武戦以来[34]。初回には5安打を浴びたが、1イニングに5安打を浴びるのはレギュラーシーズン・ポストシーズン合わせて2019年7月5日以来、3度目であった[43]。 山本の降板後、8回は左腸腰筋の筋損傷で9月27日に登録抹消されて以来の復帰となった山﨑颯[44]が1回無失点、9回は平野佳が無失点に抑え、オリックスが8-5で勝利[注 7]。優勝チームに与えられるアドバンテージの1勝を含め、オリックスが2勝0敗とした[46]。 ロッテは、CSファイナルステージでは2013年第3戦から1分を挟み10連敗となった[47]。 第2戦
オリックスの先発は田嶋、ロッテの先発はメルセデス。10月19日に「バファローズ」と「ロッテ」が対戦するのは、1988年の10.19(近鉄バファローズ対ロッテオリオンズ)以来となった[49]。 ロッテは1回表、先頭打者・荻野が四球で出塁すると、一死から石川慎も右前安打で出塁[50]。オリックスの右翼手・廣岡の送球間に石川慎は2塁へ進塁して一死2,3塁とすると、4番・ポランコの二ゴロの間に荻野が生還し、ロッテが2試合連続で初回に先制点を挙げた[50][51]。 対するオリックスは直後の1回裏、先頭打者・中川圭の当たりはロッテの中堅手・岡の好守備に阻まれたものの[52]、続く2番・宗から6番・紅林まで5者連続で単打を放ち、1-2とすぐさま逆転に成功[53][注 8]。なおも二死満塁とし、続く7番・ゴンザレスが中犠飛を放って1点を追加した[53]。 オリックスの先発・田嶋は立ち上がりこそ制球が定まらなかったものの、2回から4回までは安打を許さず5回まで1失点に抑えた[51]。6回も二死ランナー無しとしたが、石川慎、ポランコに2者連続で四球を与えて1,2塁とピンチを背負うと、続く岡に左前に落ちる適時打を浴び1点を返される[51]。打者走者の岡は、オリックスの左翼手・杉本が二塁へ直接返球せず遊撃手に返球したのを見て、一気に二塁まで進塁する好走塁を見せ(記録は二塁打)、なおも二死2,3塁とすると[54]、続く安田の右前安打で二者が生還し、ロッテが4-3と逆転した[55]。 一方、ロッテの先発・メルセデスも2回以降は立ち直り、5回7安打1四球3失点4奪三振で降板した[56]。6回は西村が無失点に抑え、7回は澤田が登板。二死ランナー無しから森が死球で出塁すると、セデーニョが左翼へ2点本塁打を放ち、オリックスが5-4と再び逆転した[57]。 8回表は宇田川が登板し三者凡退で繋ぐと、9回表は山岡が登板。対するロッテは先頭打者の代打・角中が四球で出塁すると、代走で和田が起用された[58]。続く安田に対する8球目で和田が二盗に成功すると、安田は10球目を打って一塁線を破る適時二塁打とし、ロッテが同点に追いついた[59]。安田には代走・小川が送られ、茶谷の犠打で一死3塁となると、続く代打・山口が追い込まれながらも中犠飛を放ち、6-5とロッテが再逆転に成功した[59][58]。 9回裏、ロッテは益田が登板[60]。二死ランナー無しから森に四球を与えたものの、最後はセデーニョを三振に打ち取り、ロッテが勝利した[60]。 ロッテはCSファイナルステージにおける連敗を10で止め[61]、対戦成績をオリックスのアドバンテージ1勝を含め、1勝2敗とした[59]。 第3戦
オリックスの先発は東。対するロッテは中継ぎ投手が短いイニングを投げて1試合をつなぐ、CS史上初となる「ブルペンデー」を選択[63][注 9]。先発投手は澤村が務めた[69]。 ロッテは1回表、安打と四球で一死1,2塁のチャンスを作るも、ポランコが遊飛、安田が左飛に倒れて無得点[70]。対するオリックスは1回裏、安打と2つの四球で二死満塁とするも、紅林が三ゴロに倒れ、こちらも無得点に終わった[69]。 ロッテは2回から2番手・中森が登板[71]。2回こそ二死満塁のピンチを招くも、森を二ゴロに抑え無失点[72]。その後は3回、4回と安打を許さず無失点に抑え、5回からは国吉がシリーズ初登板[72]。5回は二死1,3塁のピンチを招くも、紅林の痛烈なライナーを国吉が好捕して無失点[73]。6回も無失点に抑えると[73]、7回は4番手・坂本が7球で三者凡退とし、7回まで無失点に抑えた[74]。 一方、オリックスの先発・東は、初回こそピンチを招いたものの、2回は三者連続空振り三振[70]。5回には一死2,3塁のピンチを招いたが、左翼手・杉本の好捕もあり、5回4安打無失点4奪三振と好投した[70]。6回は小木田が無失点に抑えると、7回は前日敗戦投手となった山岡が登板[75]。死球でランナーを背負ったが、藤岡を遊ゴロとし、10球で無失点に抑えた[75]。 8回裏、ロッテは西村が登板[74]。対するオリックスは、先頭打者・杉本の詰まった打球が左翼前へポトリと落ちる二塁打となり、チャンスを作る[74]。その後二死3塁から、若月が左前適時打を放ち、オリックスが先制した[74]。さらに続く宜保には、左足薬指疲労骨折から復帰した頓宮が代打として送られる[76]。その頓宮は初球を打って左翼線へ適時二塁打とし、2-0とリードを2点に広げた[76]。 9回表は平野佳が登板。無死2塁のピンチを背負ったものの無失点に抑え、オリックスが2-0で勝利し、アドバンテージを含め3勝1敗として、日本シリーズ進出に王手をかけた。 第4戦
オリックスの先発は本年のロッテ戦では6試合で3勝0敗、防御率1.06と好相性の宮城[78]、ロッテの先発は右肘炎症から23日ぶりの復帰登板となる種市[64]。 オリックスは1回表、一死から西野が四球で出塁すると、続く森が右翼席へ2点本塁打を放ち先制に成功した[79]。 ロッテの先発・種市は3回2安打2失点で降板した[80]。対するオリックスの先発・宮城は6回4安打無失点の好投[78]。6回表こそ先頭打者・荻野の二塁打などで一死3塁のピンチを招いたものの、石川慎を三ゴロ、ポランコを空振り三振に打ち取り無失点でマウンドを降りた[78][81]。 オリックスは6回裏、5回から登板していたロッテの3番手・森から先頭打者の森が二塁打で出塁すると[82]、一死3塁から杉本が適時二塁打を放ち3-0とリードを3点に広げた[80]。 ロッテは8回表、オリックスの3番手・山﨑颯から先頭打者・藤原がソロ本塁打を放ち1点を返す[83]。さらに9回表には4番手・平野佳から、先頭打者・ポランコがソロ本塁打を放ち3-2と1点差に迫ったが[80]、最後は山口が三直に倒れオリックスが勝利[84]。3年連続15度目となる日本シリーズ進出を決めた[85]。 3年連続での日本シリーズ出場は、2017年 - 2020年のソフトバンク以来史上12度目で、球団では阪急時代の1967年 - 1969年、1975年 - 1978年に次いで45年ぶり3度目[85]。CSを3年連続で突破するのは2017年 - 2020年のソフトバンクに次いで史上2度目だが、リーグ戦で3連覇したチームが3年連続で突破するのは史上初[85]。また、オリックスの監督・中嶋聡は、1986年 - 1988年の森祇晶以来史上2人目となる監督就任1年目から3年連続日本シリーズ出場した監督となった[85]。 一方、セ・リーグのCSでは阪神が広島を相手に4勝0敗で勝ち上がっており、オリックスが阪神と日本シリーズで対戦するのは初となった[85]。日本シリーズにおいて本拠地を関西に置く球団同士の対戦(関西ダービー)となるのは1964年(阪神タイガース対南海ホークス)以来、史上2度目となる[85]。 なお、ロッテはこの日、ファーストステージ第1戦で先発した佐々木朗がプロ入り後初めてブルペン待機したが、登板は無かった[86][注 10]。 表彰選手
記録ファーストステージ第1戦
第3戦ファイナルステージ第1戦第2戦
テレビ・ラジオ放送およびネット配信テレビ放送ファーストステージ放送日程
ファイナルステージ放送日程
ラジオ放送ファーストステージ放送日程
ファイナルステージ放送日程
ネット配信
脚注注釈
出典
関連項目外部リンク
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