1968年カナダグランプリ
1968年カナダグランプリ (1968 Canadian Grand Prix) は、1968年のF1世界選手権第10戦として、1968年9月22日にモントランブラン・サーキットで開催された。 90周で行われたレースは、マクラーレンのデニス・ハルムが6番手スタートから優勝、チームメイトのブルース・マクラーレンが2位、BRMのペドロ・ロドリゲスが3位となった。 背景前年のカナダGPの成功後、このイベントは1968年のF1カレンダーに掲載されたが、開催地はモスポート・パークからモントランブランに移された[2]。グラハム・ヒルが30点でリードし、27点で2位のジャッキー・イクス、26点で3位のジャッキー・スチュワート、24点で4位の前年度王者デニス・ハルムが続く、ドライバーズチャンピオン争いに注目が集まった[2]。 エントリーアメリカ大陸で行われる終盤3戦のうち、最初のレースとなった本レースは22台が参加した。 イーグルのダン・ガーニーは、自身のイーグル・ウェスレイクに見切りを付け、マクラーレンから3台目のM7Aを借り出した[3]。地元カナダのフォーミュラA/F5000ドライバーのアル・ピースが古いクライマックスFPFエンジン(2.7L直列4気筒)を搭載したイーグル・T1Fでスポット参戦した[4]。同じくフォーミュラA/F5000の地元ドライバーであるビル・ブラックは、チーム・ロータスの3台目でスポット参戦した。BRMはペドロ・ロドリゲス1台のみ参加した。マトラ・スポールはF2ドライバーのアンリ・ペスカロロを起用し、ジャン=ピエール・ベルトワーズとの2台体制とした。マトラ・インターナショナルも前戦イタリアGPに引き続き、同じくF2ドライバーのジョニー・セルボ=ギャバンが起用され、ジャッキー・スチュワートとの2台体制とした。これにより、マトラは合計4台が参加することになった[2]。ホンダは北米3連戦を迎えるにあたり、レースを走る能力がないRA302を日本へ送り返し、RA301のみに集中することにした[5]。 エントリーリスト
予選ブラバムはこの年、パワーアップを目指して新設計されたレプコエンジンの信頼性の低さで低迷していたが[8]、終盤戦に入ってようやく機能し始め、ヨッヘン・リントが平均速度101.711 mph (163.688 km/h)でポールポジションを獲得した。フロントローはリントの他、フェラーリのクリス・エイモンとロブ・ウォーカーのロータス・49Bを駆るジョー・シフェールが占め[注 1]、3台目のマクラーレン・M7Aを借り出したダン・ガーニーとロータスのグラハム・ヒルが2列目、デニス・ハルムとブルース・マクラーレンのマクラーレン勢がホンダのジョン・サーティースを挟み込む形で3列目を占めた[2][9]。サーティースはRA301の2号車を走行中、左リアアンダーアームを折ってスピンしたところに、軽い失火を起こしたグラハム・ヒルの事故を見ていて慌てた警備員たちが消火剤を必要以上に撒いてしまったため、2号車が使えなくなってしまった。やむを得ず1号車に乗り換えたが、投入当初から使われ続けていたエンジンは疲弊していて、マグネシウム製のエンジンブロックには小さな疲労クラックが何ヶ所も入る状況で、走るたびにクラックはどんどん進行していった[10]。 ドライバーズチャンピオンを争うジャッキー・イクスはなかなか思うようにならないスロットルと格闘した末にクラッシュし、マシンは大破した。イクスは膝から下を骨折してしまい、チャンピオン獲得の可能性は潰えた[11]。 予選結果
決勝90周のレースは晴天の状況で行われた。クリス・エイモン(フェラーリ)がスタートで先行し、ジョー・シフェール、ヨッヘン・リント、ダン・ガーニー、グラハム・ヒルが続き、上位勢はレース序盤、この順位をキープした[2][9]。ジョン・サーティースは8位を走行中の11周目にギアボックスのトラブルでリタイアした[10]。ヒルは14周目にガーニーを抜き、ガーニーは12周後にラジエーターが壊れてリタイアした。29周目にシフェールのロータス・49Bがオイル漏れを起こしたためリントが2位に浮上したが、直後にエンジントラブルでリタイアした。これでヒルは2位に浮上したが深刻な振動に見舞われて次第に後退し、デニス・ハルムとブルース・マクラーレンのマクラーレン勢に先行され、さらにペドロ・ロドリゲスとジョニー・セルボ=ギャバンにも抜かれていった。数周後(72周目)にセルボ=ギャバンがスピンアウトを喫してリタイアしたため、ヒルは5位に戻った[2][9]。 エイモンは72周目まで首位をキープしたが、またしても悲運が彼を襲う。12周を過ぎたあたりからクラッチが固くなりはじめ、クラッチに頼らずにギアチェンジを行ったが、73周目にファイナルギアの歯車が耐えられずリタイアした[11]。これでハルムがマクラーレンを従える形でマクラーレン勢が1-2体制を築き[14]、ハルムはマクラーレンに1周の差を付け、2時間27分11秒2(平均速度97.799 mph (157.392 km/h))で前戦イタリアGPに続く今季2勝目を挙げ[2][9]、4位に終わったヒルとポイントで並んだ(33点)が[14]、上位入賞回数の差でヒルが辛うじて首位をキープして[注 2]残り2戦を迎えることになった。ロドリゲスは3位表彰台を獲得した[2]。ジャッキー・スチュワートは6位に入賞し、ヒルとハルムに6点差の27点でランキング3位をキープした[14][注 3]。 レース結果
第10戦終了時点のランキング
脚注注釈出典
参照文献
外部リンク
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