『TK MUSIC CLAMP 』(ティーケー・ミュージック・クランプ)は、1995年 (平成 7年)4月13日 から1998年 (平成10年)4月2日 まで、フジテレビ が毎週木曜日の未明(水曜日深夜)に放送していた音楽 トーク番組 である。通称は「TKMC 」。小室哲哉 の冠番組 で、タワーレコード の一社提供 番組だった[ 注釈 1] 。
概要
当番組スタートの半年前にスタートした音楽番組 『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP 』を補完するためにスタートした深夜番組 である[ 1] 。実際、過去にテレビの音楽番組出演経験の少ないアーティストが、『HEY!HEY!HEY!』出演に先立ち音楽番組に慣れる目的で当番組に出演するケースが多く見られた[ 1] 。
放送時間
フジテレビでの開始当初(1995年4月 - 1996年 4月)は毎週木曜日 0:50 - 1:20(水曜 深夜 、JST )の放送であった。1996年4月末からは放送開始時刻を10分繰り下げ、1:00 - 1:30 (JST)の放送となり、同年10月からは再び放送開始時刻を10分繰り下げ、その後は最終回まで1:10 - 1:40(JST)の放送であった。なお、番組編成の都合上、放送時間が多少変動することもあった。
番組成立の経緯
『HEY!HEY!HEY!』でブレイク前のJUDY AND MARY がゲスト出演した回で、番組プロデューサーのきくち伸 が「ジュディマリはロリータパンク と言われている」と浜田雅功 に伝え、トークでYUKI にその話を振ったら、真面目なYUKIが音楽論を延々話し始め、観客がドン引きした[ 2] 。この光景を見たきくちは「『HEY!』では音楽の話をしてはいけない。音楽の話をしない音楽番組をやらせてもらっているからこそ、アーティストが音楽の話だけをする番組を作ろう」と考えた[ 2] 。『HEY!HEY!HEY!』の第6回のゲストのメインは玉置浩二 だったが[ 3] 、構成を変更し、ゲストの一組だったMr.Children の登場を番組頭に持ってきたら民放のレギュラー音楽番組では10数年ぶりという視聴率 20%超えを記録した[ 2] [ 3] 。この功績により、編成からきくちへ「深夜番組 だが、タワーレコード 一社提供 の音楽番組を持たせてやる」と打診があった[ 3] 。きくちの頭に浮かんだのが愛聴していた佐野元春 の『サウンドストリート 』(NHK-FM )、大瀧詠一 の『ゴー・ゴー・ナイアガラ 』(ラジオ関東 /TBSラジオ )、『吉田拓郎のオールナイトニッポン 』(ニッポン放送 )の3つのラジオ番組のテレビ版であった[ 2] [ 3] 。さっそく佐野と大瀧、吉田の順でオファーしたが、佐野と大瀧には断られ、吉田とは当時ツテがなかった[ 3] 。それで遊び友達でもあった小室哲哉なら断らないだろうし、まあ小室でいいか、小室のMCが決まった[ 3] 。
構成
番組の内容は、司会とゲストによる音楽に関するトークや企画などで構成[ 1] 。合間にミュージック・ビデオ などを紹介。番組後半は、アイドル・女優・素人などが、小室ファミリー の楽曲を小室や久保こーじ らの演奏で歌うコーナーが放送され、当時このコーナーで歌っていた人物の多くがその後各ジャンルで成功を収めた。
番組名の「TK」は初代司会者・小室哲哉のイニシャルに由来している。小室にとって初の冠番組・初の司会・初のレギュラーとなるテレビ番組であった。しかし、小室は本業のミュージシャン ・音楽プロデューサー としての活動が多忙になり、レギュラーの出演が困難になったため、放送50回目を迎えたタイミングで中居正広 が番組の司会を受け継いだ[ 1] 。中居は当番組を機に司会・進行の能力が評価され、その後1999年 までの間に『中居くん温泉 』(読売テレビ )、『うたばん 』(TBS )、『中居正広のボクらはみんな生きている 』(フジテレビ)、『サタ☆スマ 』(フジテレビ)と、一気にメイン司会の番組を4番組獲得した。なお、小室は司会降板後もスーパーバイザーとして番組に携わり、度々出演していた。それゆえ、小室のイニシャルは番組タイトルにそのまま残された。放送100回目を迎えた1997年 6月からは、中居に代わり華原朋美 が3代目の司会に就任。華原のアーティストとしての凛々しく回転の速い部分をより前面に押し出し、10代・20代の女性を中心に幅広い層をターゲットにした音楽トークの展開を目指した[ 4] 。
当番組における司会とゲストとのトークをまとめた書籍として、『With t 小室哲哉音楽対論』(幻冬舎 ・全5巻、文庫版は幻冬舎文庫より全4巻)と『SMAP MIND 中居正広音楽対談』(幻冬舎・全4巻)が発売されている。
当番組の終了後、コーナーの一つであった「FACTORY」が『FACTORY 』のタイトルで独立した番組としてスタートした。
エピソード
コーナー
CLAMP
司会とゲストが音楽を中心にトークを行う、当番組のメインコーナー。小室MC時代は、小室がゲストの印象や楽曲のイメージを語っていた。
「ミュージシャン・小室哲哉と音楽についてお互いのこだわりを話し合う」「どこにもないブッキングをする。基準は『大御所かどうか』ではなく、『旬かどうか』で決める」をテーマにしていた[ 8] 。
FACTORY
-T K-
華原MC時代に始まった、小室哲哉による音楽談義のコーナー。小室MC時代および中居MC時代のコーナー「FACTORY」に相当する。アーティストとの対談を収録したVTRを数回に分けて放送した。
このコーナーにはDJ KOO とSAM (TRF )、近田春夫、MCの華原が出演した。このうちDJ KOOとSAM、華原は海外での収録であった。
エンディング歌コーナー
小室MC時代および中居MC時代には、番組の最後に若手女優やアイドル、素人歌手などのゲストが歌唱するコーナーがあり、当番組のエンディングを兼ねていた。小室曰く、「『CDデビュー前のCMで段々話題になり始めている子』をピックアップし、音楽をやりたい子のために歌を披露してプロモーションする場を提供する。僕に対してでも、世間に対してでもいい」をコンセプトにしている[ 8] 。コーナーの名称や内容は時期によって異なるため、以下に順番に記していく。
放送初期は「TK REPRODUCTS 」と称して、小室と久保こーじ の演奏をバックに、過去の小室作品を歌唱するコーナーであった。無名時代のともさかりえ [ 3] 、浜崎あゆみ 、広末涼子 、鈴木紗理奈 [ 3] 、遠峯ありさ時代の華原[ 3] も当コーナーに出演し歌唱した。
第24回(1995年 10月12日 放送)よりリニューアルが行われ、コーナー名を「PRODUCTS 」に改め、歌唱曲が番組オリジナル曲である「MOONLIGHT to DAYBREAK」に固定になった。演奏は小室に代わり、久保の率いるバンドであるNo! Galers が担当。リニューアル後最初に当コーナーで歌唱した仲間由紀恵 は、後にこの曲で歌手デビューを果たした。仲間は小室MC時代の最終回である第50回(1996年 5月9日 放送)でも同曲を歌唱しており、この時は仲間の歌手デビューが決定していたこともあって、小室が演奏で参加している[ 9] [ 10] 。また、第31回(1995年11月30日 放送)ではKEIKO が当コーナーで歌唱している。当時、KEIKOは既にglobe としてデビューしていたが、本人の要望により当コーナーでの歌唱が実現した[ 11] 。
MCが中居に交代した第51回(1996年5月16日 放送)からはコーナー名を「REPRODUCT 」に改め、当コーナーではCLAMPに出演するゲストアーティストの代表曲を歌唱するようになった。演奏はWACK WACK RHYTHM BAND が担当し、第82回(1997年 1月9日 放送)からはJACK DIAMONDS に交代した。
出演者
レギュラーメンバーのみ記載。各回のゲストについては「放送リスト」の項を参照のこと。
放送リスト
下記放映日はキー局(フジテレビ)における初回放送日である。
小室哲哉MC時代(第1回〜第50回)
中居正広MC時代(第51回〜第102回)
華原朋美MC時代(第103回〜第140回)
#
放映日
CLAMPゲスト
- T K -
1997年(平成9年)
103
6月19日
中山美穂
第1シリーズ
(SAM・DJ KOOとの対談)
104
6月26日
森高千里
105
7月3日
MY LITTLE LOVER featuring AKKO
106
7月10日
大貫亜美
107
7月24日
中谷美紀
108
7月31日
吉村由美
109
8月7日
篠原ともえ
第2シリーズ
(近田春夫との対談)
110
8月14日
工藤静香
111
8月21日
千秋
112
8月28日
内田有紀
113
9月4日
鈴木紗理奈
114
9月11日
吉川ひなの
115
9月18日
松雪泰子
116
9月25日[ 注釈 3]
'97第二四半期総集編
117
10月9日
YUKI from JUDY AND MARY
第3シリーズ
(CLAMPゲストに関わる過去の小室の映像)
118
10月16日
T.M.Revolution 西川貴教 (1)
119
10月23日
T.M.Revolution 西川貴教(2)
120
10月30日
IZAM (from SHAZNA )
121
11月6日
宝生舞
第4シリーズ
(華原朋美との対談)
122
11月13日
野宮真貴 (from PIZZICATO FIVE)
123
11月20日
観月ありさ
124
11月27日
アン・ルイス
125
12月4日
奥居香
126
12月11日
奥菜恵
127
12月18日
高橋真梨子
1998年(平成10年)
128
1月8日
'97第三四半期総集編(1)
129
1月15日
'97第三四半期総集編(2)
130
1月22日
坂井真紀
(コーナー休止)
131
1月29日
知念里奈
132
2月5日
加藤紀子
133
2月12日
藤田恵美 (from Le Couple )
134
2月19日
SPEED
135
2月26日
MAX
136
3月5日
SPECIAL EDITION FY1997
(華原朋美MC時代の総集編)
137
3月12日
SPECIAL EDITION FY1996
(中居正広MC時代の総集編)
138
3月19日
SPECIAL EDITION FY1995
(小室哲哉MC時代の総集編)
139
3月26日
小室哲哉
140
4月2日[ 注釈 9]
90min SPECIAL (End of the series)
スタッフ
当番組のスタッフクレジットは全て英語、及びローマ字で表記され、スタッフ名も愛称や渾名等が入り混じった。また華原MC時代はフジテレビのロゴも英字表記された。
writer(構成):CHONMAGE LUCKY(津曲裕之)、NONAKA HAPPY?(野中浩之)・KIYOSHI TAMAI(玉井貴代志 )
art produce(美術プロデューサー):SHINICHIRO ISINABE(石鍋伸一朗)
designer(デザイン):YUKIE KOSHINO(越野幸栄)
vande(美術進行):YOSHIDA(吉田敬)
set(大道具):NAGATOMI(永富育浩)
acryl(アクリル装飾):KAINOSE(貝野瀬修)
so-shock(装飾):KURIHARA→TSUBUYAKI
den-shock(電飾):KISHI(岸和幸)
effect(視覚効果):OGUMA(小熊雅樹)
title(CGタイトル):DENPA CLUB(電波倶楽部)→YUKIYA MATSUMOTO(松本幸也)
gacky(楽器):ISOMOTO(磯元洋一)
stylist(スタイリスト):YOKO TANAKA→TSUYOSHI NOGUCHI
hair+make up(ヘア・メイク):MOTOO YOSHIMURA、KAZUHIRO SUGIMOTO、YOKO OKIYAMA(興山洋子)→YOSHIAKI ABURAYA
technical director(テクニカルディレクター):馬場直幸
sw(スイッチャー):SASAKI(佐々木信一)→KANNO(菅野恒雄)
cam(カメラ):SEKI(関克哉 )→YONE(米山和孝)
aud(音声):SENDA(仙田俊一)
ve(ビデオエンジニア):YAZAWA(矢沢英幸)
ld(照明):SHIBUICHI(四分一浩)→UEMATSU(植松晃一)
vari-lite(バリライト):KOBAYASHI
pa(パブリックアドレス):HIMENO(姫野義和)
edit(編集):MIYOTA(御代田祥一/パッチワーク )
se(音響効果):NAKATA(中田圭三/4-Legs )→KAWABATA(川端智之)(4-Legs)
mix(MA):GUNJI(郡司佐茂亜/4-Legs)
technical support(技術協力):KYODO Television(共同テレビ )、HAPPO TV(八峯テレビ )、NS
webmaster:GIOTONG
webstaff:YO!、NAO
room:HIRO
adviser(アドバイザリースタッフ):T.HARA(原知行/オフィス源)
supervisor(スーパーバイザー):SHINGO INOUE(井上信悟 /フジテレビ、番組初期)
floor director(フロアディレクター):GOTZ&POCCA(平野雄大)
time-keeper(タイムキーパー):YUKI(石原由季)
director(ディレクター):GOTZ(後藤優)
desk(制作デスク):TOMMY(富張明子)
program director(演出):KIKCHY(きくち伸 )、KINO(城野智則)、TOM(冨田哲朗)
producer(プロデューサー):KIKCHY(きくち伸)
制作:フジテレビ第二制作部
produced by(制作著作):fuji television(フジテレビ)
ネット局
放送終了時点。フジテレビとの同時ネット局は高知さんさんテレビ のみで、それ以外の局は番組購入 による放送。
過去のネット局
特記なき限りフジテレビ系列局。
脚注
注釈
^ その為、セット後方にはタワーレコードの宣伝イルミネーションが設置されていた。
^ この回より、コーナー名を「REPRODUCTS」から「PRODUCTS」に変更。
^ a b c d 1時間スペシャル。
^ 東京 ・恵比寿 のライブハウス「恵比寿みるく」にて収録。
^ この回をもって、中居は当番組のMCを引退した。
^ 第81回(1996年12月25日)で放送。
^ 第50回(1996年5月8日)で放送。
^ 第9回(1995年6月14日)で放送。
^ 1時間30分スペシャル。
^ ただし、これ以前にも単発的に放送していた。
^ 1997年4月に一旦休止したが、同年6月より再開。
出典
^ a b c d 「制作者インタビュー 若い人に本物のギターテクニックを見せたかった LOVE LOVEあいしてる、TK MUSIC CLAMP / きくち伸」『新・調査情報passingtime』第4号、東京放送、1997年3月1日、15 - 17頁、NDLJP :3479794/9 。
^ a b c d 長谷川朋子「オレたちを熱狂させたブランド 自分のスキをみんなに伝えたい きくちP流演出術 」『昭和40年男 』2020年9月号、クレタパブリッシング、12–13頁。
^ a b c d e f g h i 長野智子のテレビなラジオ 2022/11/29 (火) きくちPこと フジテレビきくち伸さんと長野智子が語り合う「フジテレビの危ない人たち伝説」、そしてLOVE LOVEあいしてる最終回での吉田拓郎さん秘話・・・
^ “TK MUSIC CLAMP PRESS RELEASE VOL.80 ”. www.fujitv.co.jp . 2024年8月21日 閲覧。
^ “NON-EDIT TALK : 吉田拓郎 * 小室哲哉” . フジテレビジョン . (2018年1月3日). https://www.fujitv.co.jp/TKMC/BACK/TALK/takuro.html
^ a b 日経BP 刊『日経エンタテインメント! 』2007年5月号105Pより。
^ “KO MUSIC CLANP ”. www.fujitv.co.jp . 2024年8月22日 閲覧。
^ a b ワン・パブリッシング 刊「BOMB 」1995年7月号「SPECIAL・ヒーロー人物伝 小室哲哉 僕のことを戦略的だと非難する人はいません」pp.93-96より。
^ “MUSIC CLAMP HomePage VOL.78 ”. www.fujitv.co.jp . 2024年8月21日 閲覧。
^ “REPRODUCT Vol.78 ”. www.fujitv.co.jp . 2024年8月21日 閲覧。
^ “PRODUCTS Vol.8 ”. www.fujitv.co.jp . 2024年8月21日 閲覧。
関連項目
外部リンク
月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 単発 帯番組 レーベル
JOCX-TV2(1987年10月 - 1989年9月)
JOCX-TV+ / およびJOCX-TV PLUS(1989年10月 - 1991年9月)
JOCX-MIDNIGHT TV+
JOCX-MIDNIGHT(1993年10月 - 1996年3月)
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