聖アンナと聖母子 (カラヴァッジョ)
『聖アンナと聖母子』(せいアンナとせいぼし、英: Madonna and Child with St. Anne)、または『馬丁たちの聖母』(ばていたちのせいぼ、伊: Madonna dei palafrenieri)は、1605年から1606年に描かれた、イタリアのバロック期の巨匠カラヴァッジョの成熟した宗教的作品の1つである。サン・ピエトロ大聖堂内の「馬丁たちの聖アンナ信心会」(イタリア語: Arciconfraternita di Sant'Anna de Parafrenieri) [1][2] の祭壇のために制作された。この作品は、おそらく聖母の非正統的な描写ゆえに撤去される前に、バチカンの教区教会、「馬丁たちの聖アンナ教会」に短期間展示された[3]。作品は、その後、シピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿に売却され、現在その宮殿であるボルゲーゼ美術館に所蔵されている。ボルゲーゼ美術館には、他にも5点のカラヴァッジョの作品が展示されている。『果物籠を持つ少年』、『病めるバッカス』、『書斎の聖ヒエロニムス』、『ゴリアテの首を持つダヴィデ』(1606年作と推定)、そして『荒野の洗礼者聖ヨハネ』である。 本作はカラヴァッジョの最良の構図ではないものの、当時の聖母マリアの非典型的な表現であり、一部の同時代の鑑賞者に衝撃を与えたに違いない。表されている寓意は、その核心において単純である。聖母は、抱いている息子の幼子イエス・キリストの助けを借りて、悪または原罪の象徴であるヘビを踏みつけている。絵画が称賛しているはずの聖アンナは、出来事を目撃者である皺の寄った老婆である。薄い光輪は直立している人物たちを戴冠している。ヘビはで反光輪のものとして反り返っている。聖母もイエスも裸足である。イエスは完全に裸で、割礼を受けていない子供である。人物とヘビ以外のすべては主に影であり、人物は光の中で記念碑的性格を獲得している。 本作がキリストの祖母を称えることを意図していたとしたら、アンナの皺の寄った顔の卑俗な描写が敬虔または偶像的なものとして見なされたかはわからない。ベッローリが述べたように、聖母マリアの肌を露出した衣服がさらなる衝撃を生んだに違いない。平行線となっているイエスの性器と脚はどちらもヘビと戦い、比喩的にヘビに対抗するものであることを示唆していると推測できる。 その他の作品聖母のモデルとなった人物は、カラヴァッジョの『ロレートの聖母』にも見出される。本作の張りつめたような場面をレオナルド・ダ・ヴィンチの有名な『聖アンナと聖母子』に見られる、より平穏な家族の配置と比較してみるとよい。 脚注
外部リンク
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