奏楽者たち (カラヴァッジョ)
『奏楽者たち』(そうがくしゃたち、伊: Concerto di giovani、英: The Musicians)は、イタリアのバロック期の巨匠ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(1571 - 1610)により1595年ごろに制作された絵画である。1952年から、ニューヨークのメトロポリタン美術館に所蔵されている。1983年に大がかりな修復が行われた[1]。 概要カラヴァッジョは、1595年にフランチェスコ・マリア・デル・モンテ枢機卿の家に入居した。『奏楽者たち』は、特に枢機卿のために描かれたカラヴァッジョの最初の絵画であったと考えられている。カラヴァッジョの伝記作家である画家バッリオーネは、「自然から巧みに引き出された音楽を演奏する枢機卿の周りの若者と、リュートを演奏する若者のために描いた」と述べている。「リュートを演奏する若者」とは、おそらくカラヴァッジョの別の作品、『リュート奏者』のことであり、『奏楽者たち』の対作品となっているようである。 絵画は、ほとんど古典的な衣装を着た四人の少年を描いている。そのうちの三人は、さまざまな楽器を演奏したり歌ったりしており、四人目はキューピッドに扮してブドウの房に手を伸ばしているところである。本作は、食べ物が生命の糧であるように、音楽を愛の糧として関連させる寓意である[2]。 カラヴァッジョは、二人の人物の習作に基づいて絵画を構成したようである[3]。リュートを持つ中央の人物は、カラヴァッジョの仲間であるマリオ・ミンニーティと同一視されており、その隣にいて鑑賞者の方を向いている人物は、おそらく画家自身の自画像である[1]。キューピッドの姿の少年は、数年前に制作された『果物の皮を剥く少年』、さらに『アッシジの聖フランチェスコの法悦』の中の天使と非常に類似している。 描かれている写本は、少年たちが愛を祝うマドリガーレを練習していることを示しており、中心人物であるリュート奏者の目は涙に濡れている。歌はおそらく愛の喜びではなく悲しみを表しているのである。前景にあるバイオリンは、五人目の登場人物がいることを示唆しており、暗黙のうちに鑑賞者を画面に引き込んでいる[1]。 当時、奏楽者たちを表す場面は人気のあるテーマであった。教会は音楽の復活を支援し、特にデル・モンテなどの教養ある、進歩的な高位聖職者によって、新しい様式や形式が試されていた。しかし、本作は宗教的というよりは明らかに世俗的であり、ヴェネツィア発祥で、カラヴァッジョより早い時期にティツィアーノの『田園の奏楽』によって例示された「コンサート」絵画の長年の伝統を想起させる[4]。 本作はカラヴァッジョのこれまでで最も野心的で複雑な構図であり、画家は明らかに四人の人物を別個に描くのに苦労した。四人は互いに、または画像空間とは関連性がなく、全体的にやや不器用に制作された感じを与える。写本の中のテノールとアルトの部分は判別できるものの、絵画の状態は悪く、描かれている音楽の写本は過去の修復によってひどく損傷してしまっている。それでも、相当絵具が剥落しているにもかかわらず、作品の独創性は損なわれていない[4]。 脚注
外部リンク
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