ロレートの聖母 (カラヴァッジョの絵画)
『ロレートの聖母』(ロレートのせいぼ(伊: Madonna dei Pellegrini)は、バロック期のイタリア人画家カラヴァッジョが描いた絵画。ローマのナヴォーナ広場近くにあるサンタゴスティーノ教会 (en:Basilica of Sant' Agostino, Rome) カヴァレッティ礼拝堂に所蔵されている。二人の巡礼中の農夫の前に裸足の聖母マリアと裸の幼児キリストの幻影が現れた情景を描いており、肖像における聖母マリアの象徴性を高めた作品ともいわれている。 概要1603年にエルメーテ・カヴァレッティの遺産相続人の一人が、一族の礼拝堂の装飾用に聖母マリアをモチーフとした絵画制作を依頼して描かれた。当時のカラヴァッジョの競争相手で、現在では才能的には劣っているとされている画家ジョヴァンニ・バリオーネ (en:Giovanni Baglione) は、この作品が不敬で聖母子を中傷しているというして裁判を起こし、この作品が公開されると「大衆の嘲笑の的となり大騒ぎを巻き起こすことは間違いない」という理由で、カラヴァッジョを投獄することに成功している。ただし、騒ぎになることは容易に予測できたといえる。聖母マリアは自身を崇敬する巡礼者と同じく裸足で描かれている。聖母子の背景にはその地位に相応しい高貴な雲も天使たちも存在せず、古ぼけて崩れかけのレンガ壁が見えるだけで、マリアとキリストを辛うじて聖なる存在としているのは頭上の円光のみである。その一方で夜の暗闇から現れたマリアはこの上なく整った容姿で描かれている。 参考文献
脚注
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