大阪公立大学
大阪公立大学(おおさかこうりつだいがく、英語: Osaka Metropolitan University[3])は、大阪府にある公立大学。略称は公大[4](こうだい)、大公大、阪公大、公立大[5]、OMU[3]、ハム大[6][7][8]。 大阪府立大学(府大)と大阪市立大学(市大)の設置者である公立大学法人大阪が、両大学の統合を図るため新設した大学である[注釈 1]。 概要大阪公立大学は、2022年(令和4年)4月に大阪府立大学、大阪市立大学の2大学を統合することで新しく設置された公立大学である[注釈 2]。1学域11学部と大学院15研究科を設置予定である。2大学の統合により、学生数(学部生と大学院生の総数)は約16,000人となり、公立大学としては日本最大の規模となる。また、一学年あたりの学部生定員は2,853人となり、国公立大学としては大阪大学、東京大学に次いで第3位となる[12][13][14]。 学部学生数12,398人(公大8,682人・府大1,732人・市大1,984人)、大学院学生数3,593人(公大3,251人・府大123人・市大219人)、計15,991人[注釈 3](2024年5月1日時点)[15]。 理念大阪の発展を牽引する「知の拠点」としての大学を目指し、新たに都市シンクタンク機能、技術インキュベーション機能という2つの機能を加えるとしている。これにより、大阪の都市問題解決や、大阪の産業の競争力強化に貢献する。また、学校教育法上の大学の機能である教育、研究、地域貢献の3機能を統合により強化し、世界に展開する高度研究型大学を目指すとしている[14]。 名称かねてより、大阪府立大学と大阪市立大学の2大学を統合した新大学を設置するという構想は存在していたが、大学名に関しては決まっていなかった。ただし両大学の統合は大阪都構想による大阪府・大阪市の二重行政解消が目的とされていたため、大阪都立大学構想などと呼ばれていた。 その後、2020年4月より新大学の名称の検討が始まり、同年6月に新大学の名前が「大阪公立大学(英語表記:University of Osaka)」に決定したと発表した[18]。しかし、国立の大阪大学の英語表記である「Osaka University」との混同が指摘される問題があった。大阪大学は「教育研究活動を行う海外の研究者や、両大学で学ぶ留学生数の規模等を考えると、大学名称の混同は国際的にも影響が著しく、英語名称は研究者や留学生に誤解や混乱を生じさせないようグローバルな視点から決定される必要がある[19]」として、英語表記の再考を検討すべきであると主張していた。このため、英語表記は大阪大学との協議を経て「Osaka Metropolitan University」への変更が2021年3月に決定された[20][21]。 入学試験2022年度入学者選抜については“2022年度入学者選抜要項”(2021年7月時点)等を参照[22]。 開学後1期生となる2022年度入学者に係る初の入学選抜試験は、2022年2月25日に行われており、全体の志願者数は13,188人、倍率は5.4倍となった[23]。なお、一般選抜入試における実質合格率は3.67倍であって、受験者10,261人中2,795人が合格した(追加合格者除く)[24]。また、学校推薦型での入学者366人を含む特別選抜入試の合格者は400人であった。 同年4月11日に初の入学式が大阪城ホールで行われ、学部生2,917人(私費外国人留学生19人を含む)と大学院生1,480人を合わせた1期生の総勢4,397人が入学した[25]。 沿革略歴2011年12月27日に開催された第1回大阪府市統合本部会議の中で、二重行政の解消に向けた経営形態の見直し検討項目(A項目)の一つに「大学」が示された[26]ことがきっかけとなり、大阪府立大学と大阪市立大学の本格的な統合検討が始まった[27]。 2012年5月、第12回大阪府市統合本部会議において「大阪における公立大学の使命を明確にするとともに将来ビジョンを取りまとめ」るため、有識者会議の設置が決定[28]し、同年6月に「新大学構想会議」が設置され、府大ならびに市大関係者へのヒアリングが進められた。新大学構想会議はその後、同年11月に地方自治法に基づく大阪府と大阪市による共同設置の附属機関である「大阪府市新大学構想会議」となり[29]、2013年1月18日に新大学構想について提言が行われた[30]。 2013年10月には、両大学で「新大学案」が策定され、2016年度の開学が目指されていたが、2013年11月に大阪市会において大学統合関連議案(中期目標の変更などが中心だった)が否決されたことを受け、2014年、統合スケジュールを2016年開学から2022年開学に延期することが決定した。そして2015年、両大学間で「新・公立大学」大阪モデルが決定し、大学の統合によって、教育、研究、地域貢献などの大阪の発展を促進する大学を目指すという方向性が明確化された。 2019年4月、大阪府立大学、大阪市立大学の両法人が合併し「公立大学法人大阪」が設立され、大学統合の先駆けとなった。2020年6月、新大学の名称が「大阪公立大学」(英語名 University of Osaka)に決定される。 2020年7月、年初めに府・市・法人間で纏められた「新大学基本構想」等を参考にし、森之宮キャンパスによりふさわしい教育組織を再考し、各キャンパスの配置学部などの調整がなされた。 2022年4月に大阪公立大学の開学、2025年度内に大阪市城東区森之宮に新キャンパスの開設が予定されている[1][2]。 年表各大学の沿革は「大阪府立大学」「大阪市立大学」の項を参照のこと。
基礎データ所在地
象徴ロゴマーク大阪公立大学のロゴマークは、大阪府立大学・大阪市立大学の両大学の在学生および教職員ならびに両大学の卒業生による第1次投票を経て、その後の策定委員・外部委員による第2次投票の結果を踏まえたビジュアルアイデンティティ策定委員会での最終審議によって決定されて、2021年1月29日に発表された[34]。(A)大阪府・大阪府立大学、(B)大阪市、(C)大阪市立大学それぞれの象徴である(a)銀杏、(b)桜、(c)ヤシの3つを融合したデザインとなっている[注釈 4]。商標登録番号:6371441[42]。 シンボルカラー大阪公立大学のシンボルカラーは、ファーストカラーである"OMUゴールド"と、セカンドカラーである"OMUシルバー"との2色がある("OMU"はOsaka Metropolitan Universityの略)[43]。 組織構成学部・学域大阪公立大学では各学部・学域を中心に様々な分野の最先端の研究を実施し、学部・学域の枠を超えた研究・教育をすることで新技術の開発等を行う[44][13]。 また新領域の学部・研究科は検討中であり、キャンパス整備に応じて設置予定である[14]。
大学院(出典[44]) ※2020年8月17日現在、大学院がどのように融合しているか正確な情報がなかったためここでは記載していない。
学生生活教育「基幹教育、高度専門教育の充実」「グローバル・コミュニケーション教育、地域志向教育の充実」「副専攻プログラム」の整備が目指されている。[46] 基幹教育科目の教育構成
部活動一部の部活動は2022年度以降、大阪府立大学・大阪市立大学の両大学合わせて一つの団体となるが、活動拠点となるキャンパス地はクラブごとに検討中である。体育会系の部活動以外のクラブ・サークルは当分の間、各キャンパスにての活動予定である。[47] 開学前の両大学公認団体数(大阪府立大学で約90、大阪市立大学で約150)のうち、開学時点で60余りの団体が統合した一方、約40の団体はこれまでの大学ごとに活動することとなった[48]。将来、メインキャンパスが大阪市城東区森之宮に開設されることによって部活動の一体化が進むことが期せられている。 応援団旗・応援歌両大学の応援団が一つの団体に統合するとともに新しく大阪公立大学の応援団旗が作成された。これは両大学のスクールカラーのウルトラマリンブルー(大阪府立大学)とえんじ色(大阪市立大学)を混ぜ合わせた紫色を旗の基調色として、中央に大阪公立大学のロゴマークが描かれている。また、大阪公立大学の応援歌も作られた[48]。 イベント
役員・教員公立大学法人大阪の役員体制→詳細は「公立大学法人大阪 § 役員体制」を参照
大阪公立大学学長大阪公立大学学長候補者の推薦受付が実施され(2020年7月8日から8月14日までの期間で募集していた)[49]、初代学長は辰巳砂昌弘大阪府立大学学長となった[50]。 教員のこれから府大では教育組織(学部・学域、大学院研究科)と教員(学術研究院)を分離しており、研究の傾向も学際的・応用分野の教員が多いなど、より実践的である。一方市大では教員は大学院研究科に所属し研究の傾向として基礎分野の教員が多い。教育内容は研究者育成に重点があり国立基幹大学に近い。両大学は統合にあたりそれぞれの強みが活かされた良い相乗効果が起こると考えられている[30]。 教員数開学前の教員数は、大阪府立大学[51] と大阪市立大学[52] のウェブサイトによる(各年5月1日現在)。
《表の注記》 施設ここでは、2020年7月24日時点での発表に基づいた情報[14][63]を掲載する。 キャンパスキャンパスの建設や移築に関わる事業規模推計は約1,000億円(第1期)[14]。財源はキャンパスの一部売却など。 開学(2022年)、分野集約(2024年)、第1期新キャンパス(2025年)の3段階によってキャンパスを設立及び編成することが計画されている。その内、2024年までは既存のキャンパスにおいて、同種の分野を集約させて対応する。2025年度内に森之宮の都心メインキャンパスを開設する[1][2]。 森之宮メインキャンパス大阪公立大学の象徴となるキャンパスで、2025年以降、JR森ノ宮駅から京橋駅にかけての範囲に開設される見込み[14]。都市シンクタンクとしての機能を発揮することが期待されている[14]。基幹教育・人文系等を担当する。
中百舌鳥キャンパス→詳細は「大阪府立大学 § 中百舌鳥キャンパス」を参照
大阪府立大学のキャンパスであり、工学系・先端研究を担当する。
羽曳野キャンパス→詳細は「大阪府立大学 § 羽曳野キャンパス」を参照
大阪府立大学のキャンパスであり、健康医療系を担当する。
りんくうキャンパス→詳細は「大阪府立大学 § りんくうキャンパス」を参照
大阪府立大学のキャンパスであり、獣医学を担当する。また、動物検疫所関西空港支所などの機関とも連携する[63]。
杉本キャンパス→詳細は「大阪市立大学 § 杉本キャンパス」を参照
大阪市立大学のキャンパスであり、理学系・社会科学系・先端研究を担当する。国内最大規模[64][注釈 5] の大学図書館を有する。
阿倍野キャンパス→詳細は「大阪市立大学 § 阿倍野キャンパス」を参照
大阪市立大学のキャンパスであり、健康医療系を担当する。大阪市立大学医学部附属病院にも隣接する。
梅田サテライト→詳細は「大阪市立大学 § 梅田サテライト」を参照
大阪市立大学のキャンパスであり、都市経営学を担当する。社会人向け大学院(都市経営研究科)などがある。
その他対外関係国際交流2020年6月時点で、大阪府立大学と大阪市立大学の両大学合計で319の海外交流協定・研究機関とのネットワークを持つ(主な地域別の内訳としては、アジアが193、欧州が73、北米が32、その他が21)[67]。交換留学をはじめ、実地・オンラインにおける交流プログラム、相互教員派遣、講義を通した国内での海外留学体験、文化交流といったプログラムを提供する[67]。 また留学生も受け入れており、2019年度では留学生数は大阪府立大学と大阪市立大学の両大学合計で625名[67]。大阪公立大学は基本構想において、留学生の受け入れ増加や、海外の大学及び研究機関との間で、若手研究者や大学院生の派遣及び受け入れを行っていくとしている[14]。 地域貢献大阪公立大学は、基本構想において「大阪の歴史、伝統、文化を支える地域貢献拠点(COC = Center of Community)の形成」を掲げている。これに基づき、大学、初等・中等教育機関、研究機関、行政機関、産業界、医療保健機関等との連携強化を促進していくとしている[14]。 社会との関わり司法試験合格率大阪市立大学[注釈 6] 法科大学院は、2022年(令和4年)の司法試験では、合格率36.6%、全法科大学院中で第11位となった[68][69][70]。 脚注注釈
出典
参考文献関連項目外部リンク
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