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地方自治法(ちほうじちほう、昭和22年法律第67号)は、地方自治について定めた日本の法律。略称は、地自法(ちじほう)である[2][3]。
2001年(平成13年)の中央省庁再編に伴い、所管官庁はそれまでの自治省から総務省(自治行政局)に変更された。
現在は総務省自治行政局行政課が所管している。
概説
日本国憲法(昭和憲法)第92条に基づき、地方自治法1条を目的とする法律である。
昭和憲法施行直前の1947年(昭和22年)4月17日に公布され、同年5月3日、施行と同時に国会法や内閣法などの関係法規とともに施行された。これに伴い、東京都制、道府県制、市制及町村制が廃止され、地方自治法施行の時点で日本国の行政権が及ぶ区域にある、都道府県、市町村は地方自治法による地方自治体となった。
地方自治法施行時点でアメリカ合衆国の行政権下にあり、日本国の行政権が及ばなかった区域においては、それぞれ本土復帰の際に順次地方自治法の適用が行われた。
北緯30度以南北緯29度以北の吐噶喇列島にはポツダム命令である「昭和二十六年十二月五日附連合国最高司令官覚書「若干の外かく地域の日本からの政治上及び行政上の分離に関する件」に伴う鹿兒島県大島郡十島村に関する暫定措置に関する政令」(昭和26年政令第360号)の委任命令である「 鹿兒島県大島郡十島村に関する地方自治法の適用及びこれに伴う経過措置に関する政令」(昭和27年政令第13号)により1952年2月10日より適用され[4]、北緯30度以南(口之島を含む)北緯29度以北の区域を以て新たに地方自治法による「十島村」が設置された。
鹿児島県の奄美群島の各市町村は「奄美群島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律」(昭和28年法律第267号)により1953年12月25日より適用[8]、東京都小笠原村は「小笠原諸島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律」(昭和43年法律第83号)により1968年6月26日より適用[9]されたほか、1972年5月15日、沖縄の本土復帰の際、「沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律」(昭和46年法律第129号)の以下の規定により、沖縄県は「当然に地方自治法に定める県として存続する」ことが定められ、沖縄県の各市町村についても地方自治法が適用された[10]。
また、八郎潟を干拓して造った土地において、「大規模な公有水面の埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等の特例に関する法律」の規定による地方自治法の特例として、1964年10月1日に新設自治体「大潟村」が設置されている[11]。
1999年7月には地方分権改革を目指した大がかかりな改正(2000年4月1日施行)が行われ、この改正地方自治法を「新地方自治法」(松下圭一)と呼ぶこともある。この改正によって機関委任事務は廃止され、国と地方の関係は「上下・主従」の関係から「対等・協力」の関係へと変わった。
構成
第1編 総則(第1条~第4条の2)
第2編 普通地方公共団体(第5条~第260条の2)
第1章 通則(第5条〜第9条の5)
- 第5条(普通地方公共団体の区域)
- 第6条(都道府県の廃置分合、境界変更)
- 第6条の2(都道府県の廃置分合の特例)
- 第7条(市町村の廃置分合)
- 第7条の2(従来地方公共団体の区域に属しなかった地域の編入)
- 第8条(市及び町の基準、市、町又は村とする処分)
- 第8条の2(都道府県による市町村の廃置分合等に関する勧告)
- 第9条(市町村の境界に関して争論がある場合の対応)
- 第9条の2(市町村の境界が判明でない場合、争論がない場合の対応)
- 第9条の3(公有水面に関する市町村の境界変更)
- 第9条の4(公有水面の埋立てが行われる場合における措置)
- 第9条の5(市町村の区域にあらたな土地が生じた場合の対応)
第2章 住民(第10条〜第13条の2)
第3章 条例及び規則(第14条〜第16条)
第4章 選挙(第17条〜第19条)
第5章 直接請求(第74条〜第88条)
- 第1節 組織
- 第2節 権限
- 第96条(議会の権限)
- 第97条(議会の権限に関する選挙、予算の増額に関する議決)
- 第98条(議会の地方公共団体の事務に関する検閲権、検査権、監査請求権等)
- 第99条(議会による国会及び関係行政庁への意見書提出権)
- 第100条(議会による調査権等・刊行物の送付・図書室の設置等)
- 第100条の2(有識者による専門的事項の調査)
- 第3節 招集及び会期
- 第4節 議長及び副議長
- 第5節 委員会
- 第6節 会議
- 第7節 請願
- 第124条(請願の際の請願書提出義務)
- 第125条(議会による執行機関の長等に対する請願書の送付等)
- 第8節 議員の辞職及び資格の決定
- 第9節 紀律
- 第129条(規則違反等のある議員に対する措置)
- 第130条(妨害等を行う傍聴人に対する措置)
- 第131条(妨害等がある場合における議員の議長に対する注意喚起)
- 第132条(会議又は委員会における無礼及び他人の私生活に関する議論の禁止)
- 第133条(会議又は委員会において侮辱があった場合の処分請求)
- 第10節 懲罰
- 第11節 議会の事務局及び事務局長、書記長、書記その他の職員
- 第138条(議会の事務局及び事務局長、書記長、書記その他の職員)
第7章 執行機関(第138条の2~第202条の9)
- 第1節 通則
- 第2節 普通地方公共団体の長
- 第1款 地位
- 第2款 権限
- 第3款 補助機関
- 第4款 議会との関係
- 第176条(議会による条例制定等や予算の議決に対する長による再議)
- 第177条(議会の議決の内容に収入又は支出に関し執行できないものがある場合における長による再議の義務)
- 第178条(長に対する不信任、議会の解散、長の失職)
- 第179条(議会不成立、議会招集の暇がない等の場合における専決処分)
- 第180条(軽易な事項に関する専決処分)
- 第5款 他の執行機関との関係
- 第3節 委員会および委員
- 第4節 地域自治区
第8章 給与その他の給付(第203条~第207条)
- 第203条(議員報酬、議員の費用弁償及び期末手当)
- 第203条の2(非常勤の委員会の委員等への報酬、費用弁償)
- 第204条(長、常勤の職員、常勤の委員等、短期間勤務職員への給料及び旅費、職員への手当)
- 第204条の2(法律又は条例に基づかない給与その他の給付の支給の禁止)
- 第205条(退職年金、退職一時金)
- 第206条(給与その他給付に関する不服申立て)
- 第207条(普通地方公共団体による費用弁償の義務)
- 普通地方公共団体にとっての金銭債権も金銭債務も、5年の消滅時効(第1項)。
- 法律に特別の定めがない限り、時効の援用は不要で、時効の放棄はできない(第2項)。
- 消滅時効の中断、停止その他の事項につき、適用すべき法律がないときは民法の規定を準用(第3項)。
- 普通地方公共団体の行う納入通知と督促は、民法第153条の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する(第4項)。
第10章 公の施設(第244条~第244条の4)
第11章 国と普通地方公共団体との関係及び普通地方公共団体相互間の関係(第245条~第252条の18の2)
- 第1節 普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与等
- 第1款 普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与等
- 第2款 普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与等の手続
- 第2節 国と普通地方公共団体との間並びに普通地方公共団体相互間及び普通地方公共団体の機関相互間の紛争処理
- 第1款 国地方係争処理委員会
- 第2款 国地方係争処理委員会による審査の手続
- 第3款 自治紛争処理委員
- 第4款 自治紛争処理委員による調停及び審査の手続
- 第5款 普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与に関する訴え
- 第3節 普通地方公共団体相互間の協力
- 第1款 連携協約
- 第2款 協議会
- 第3款 機関等の共同設置
- 第4款 機関等の共同設置
- 第5款 事務の代替執行
- 第6款 職員の派遣
- 第4節 条例による事務処理の特例
- 第5節 雑則
第12章 大都市等に関する特例(第252条の19~第252条の26の7)
- 第1節 通則
- 第2節 包括外部監査契約に基づく監査
- 第3節 個別外部監査契約に基づく監査
- 第4節 雑則
第14章 補則(第253条~第263条の3)
第3編 特別地方公共団体(第281条~第297条)
第1章
削除[注釈 1]
第2章 特別区(第281条~第283条)
第3章 地方公共団体の組合(第284条~第293条の2)
第4章 財産区(第294条~第297条)
第5章
削除[注釈 2]
第4編 補則(第298条~第299条)
脚注
注釈
- ^ 特別市についての条項があったが1956年の改正で削除された。
- ^ 地方開発事業団についての条項があったが2011年の改正で削除された。
出典
参考文献
- 法令普及会 編『旬刊時の法令解説』50号、大蔵省印刷局、1952年2月。doi:10.11501/1403197。
- 鹿児島県 著、鹿児島県総務部参事室 編『鹿児島県市町村変遷史』1967年。
- 十島村誌編集委員会『十島村誌』十島村、1995年。
関連項目
外部リンク