フィンエアー
![]() フィンエアー(英語: Finnair、フィンランド語: Finnair Oyj フィンナイル・オーウーイィー)は、フィンランドに本拠地を置く航空会社。フィンランドのフラッグ・キャリアである。 概要フィンランドのヘルシンキ・ヴァンター国際空港を拠点にフィンランド国内、ヨーロッパ・アジア・北アメリカ・中東方面などへ路線を展開している。航空連合のワンワールドに加盟しており、路線網は国内線、国際線の合計で約100都市にわたる。 また、日本路線では東京(羽田・成田)、大阪、名古屋といった三大都市圏のみならず、福岡や札幌といった地方中枢都市にも就航しており、日本発着の欧州系エアラインの路線ではフィンエアーが一番便数が多く、ネットワークは最大規模である。2024年現在、新型コロナウイルスやロシアによるウクライナ情勢などの影響により、東京・大阪以外の路線は全て運休となっていたが、2024年5月31日より、名古屋発着の路線が再開された。それ以外の路線は引き続き運休となる。 航空券の座席予約システム(CRS)は、アマデウスITグループが運営するアマデウスを利用している[3][4]。 歴史1923年〜
2000年〜2010年代
2010年〜
2020年〜
運航形態地理的にフィンランドの首都ヘルシンキは東アジアとヨーロッパ主要都市間の最短ルート上から近い好位置にあるため、日本への飛行時間は約9時間30分と短い[13]。その為、ヨーロッパの都市で日本から直行便が無い都市へは、ヘルシンキ経由の方が同一国間で国内線に乗り継ぐよりも時間のロスが少ない場合がある[13]。ヨーロッパで、ある程度の人口を抱える都市規模でありながら、その都市からのアジアへの直行便としては就航・運航しにくい都市(例として、マンチェスターやハンブルク、また、ニースやフィレンツェなど)から移動する際、一度は乗り換えなければならない旅客を、コンパクトで利便性の高いヘルシンキ・ヴァンター国際空港で乗り換え客の需要を取り込み、また、旅客の移動時間を数時間短縮するという点を広くアピールしており、アジアとヨーロッパの、それぞれに存在する一定規模の都市間の移動需要を、ハブ空港のあるヘルシンキで一度束ねて運航するという戦略を取っている[14]。日本の三大都市圏に就航しているため欧州各都市への乗り継ぎのために滞在する日本人旅行者も空港内に多くみかける。 2009年より始まったヘルシンキ・ヴァンター国際空港のリニューアルにより、さらにトランジット効率を主眼とした国際空港になり、旅客の利便性も向上した。国際線ラウンジもリニューアルされ、フィンエアー・ラウンジ(Finnair Lounge)や、ターミナル全体で無料Wi-Fi接続サービスも始まった。2009年12月にオープンしたフィンエアー・スパ&サウナ(Finnair Spa & Saunas)[15]は、ビジネスクラス利用者や、フィンエアープラスプラチナおよびゴールド会員、ワンワールドエメラルド、サファイア会員は無料で利用できるが、その他の乗客も有料で利用可能である[16]。 新しいヘルシンキ・ヴァンター国際空港の旅客ターミナルでは、ヨーロッパの主要空港と比較して乗り継ぎ時間が短くなり[17]、国際線の出発ゲートも、ターミナル1がヨーロッパ各都市への出発便に集約され、ターミナル2が、シェンゲン協定非加盟国のアジア・アメリカ・イギリス・アイルランド、ロシア等の路線専用出発ゲートとなっている[18][19]。 機内サービス![]() 機内クラス編成は、ビジネスクラス(Business Class)・コンフォートクラス(Comfort Class)[20]・エコノミークラス(Economy Class)の3クラス制[21]。ビジネスクラスはフィンランドを代表するブランド「イッタラ」や「アラビア」、「マリメッコ」の食器を使用している。また、日本人客室乗務員も在籍しており、基本的に各便2・3名乗務している。コンフォートクラスは、ヨーロッパ域内発着の長距離レジャー便(AY1000便番台となるフライト)のみの設定となる。 長距離国際線、および長距離レジャー路線[22]では、機体年齢の新しいエアバスA330-300より、人間工学に基づいたゾディアック(Zodiac Seats UK)製の、次世代ライフラットおよびフルフラットシート座席が順次装備され、2014年秋までに全て完了する予定である[23]。ゾディアックは、エアバスの次世代機のエアバスA350 XWBの座席も開発している[24]。 長距離レジャー便では、クオリティー・エコノミークラスとデラックス・コンフォートクラスから、座席が選択可能となっている。コンフォートクラスの場合は、座席と足元にスペースが確保されている[20]。レジャー便では付加サービスがあり、特定の座席の予約や、プレミアムミール(有料)等が注文可能となっている[22]。スキーなどのスポーツ器具や、超過手荷物の輸送料を事前に支払いを行えるサービスを出発便の30日前から受け付けている[22]。 ヨーロッパ便では、フィンランド語と外国語の新聞と雑誌を、ビジネスクラスのすべての乗客に提供している。 エコノミークラスとビジネスクラスがある長距離便では、エコノミークラスの乗客は、International Herald Tribune紙、またはIlta-Sanomat紙を、3ユーロで購入出来る。国際線では、エコノミークラスとビジネスクラスの両方の乗客に、新聞と雑誌を無料で提供している[25]。 機内エンターテイメント![]() すべてのエアバスA330-300とエアバスA340-300では、エコノミークラスやビジネスクラスを問わず、各座席にパーソナルエンターテインメントシステムとスクリーンが装備されており、パーソナルエンターテインメントシステムで、衛星電話、映画、ゲーム、テレビ番組、音楽チャンネル、音楽アルバムが利用出来る[25]。ただし、他社と同じくアナウンス中は使用できない。 音楽サービスでは、オリジナルのプレイリストを作成することも可能で、ラップトップコンピューターやミュージックプレーヤー用の電源も利用出来る。ただし、一部のレジャー便(AY1000便番台)では5〜8ユーロのエンターテインメント料金が必要となる。 機内では、座席にある衛星電話を使って地上のネットワークにテキストメッセージやショートEメールを送信する事も可能。地上から送られた返信メッセージを機内で受け取る事も可能で、この場合、1メッセージにつき1USドルの料金がかかる[25]。 機内食長距離国際線のビジネスクラスでは、前菜、スープ、メインコース(3種類から選択)、チーズ、デザートとフルーツによるコースメニューが提供される。また、手短に食事を済ませることのできるエキスプレスミールサービスも用意されている。エアバスA340-300およびエアバスA330-300では、ビジネスクラスのメインエントランスに専用のスナックバーも設けてあり、ビジネスクラスの乗客は、ここで軽食や飲み物を自由に選ぶ事が出来る。また、「Wellness and Energy」(ヘルシーな食材を使ったメニュー。アジアの香味料や食材が比較的多く使われている)、「Food Lover's Treat」(ブラットヴルストやシチュー)、「Chef's Gourmet」(トナカイのテンダーロインなどの料理が中心)の、3種から1つを選び、事前に予約する事が出来る[26]。 エコノミークラスの乗客は、サラダ、メインコース、チーズ、デザートなどが基本となっている。また、ほぼすべての長距離路線で、着陸前に温かい軽食も提供される。ヘルシンキ―日本(成田・中部・関西)路線では夕食メニューに「メバルの煮付け」登場するなど北欧の航空会社らしからぬ趣向を凝らした献立が存在する為、日本人旅客のフィンエアー機内食に対する評価は高い。その他にも、軽食を機内でいつでも購入する事が出来る。日本、中国、韓国、インド、シンガポール便などのエコノミークラスでは、さまざまな種類の飲み物が用意され、ソフトドリンク、ジュース、ミネラルウォーター、ビール、白ワイン、赤ワインは無料で提供され、その他のアルコール類は有料となっている[27]。 機内誌機内誌は『Blue Wings』 である。インターネット上でデジタル形式でも閲覧が可能となっている[28]。 就航路線→詳細は「フィンエアーの就航都市」を参照
保有機材フィンエアーは、ヨーロッパの航空会社として初めてエアバスA350 XWBを運航した航空会社となった[29][30][23]。 当初の機体塗装は白地に青色のラインと『FINNAIR』の文字、尾翼にフィンランドの国旗というパターンだったが、2000年代頃からラインが廃止され尾翼には『F』を図案化した会社のロゴマークに変更されている。 リスト
ギャラリー
退役機材フィンエアーから、子会社のノルディック・リージョナル・エアラインズ(NORRA)、ノルディック・グローバル航空に移管された機材も含まれる[34][35]。 退役機材リスト
退役機材画像マイレージサービスフィンエアーではマイレージプログラムとしてFinnair Plus(フィンエアー・プラス)を運営している。フィンエアーの公式サイト上で入会手続きが出来る。 2歳以上であれば誰でも加入することができ、フィンエアーおよびワンワールド加盟航空会社での利用距離に応じて4種類のカードが用意されている(その他に18歳未満のホルダー対象のカードが1種類ある)。2歳から17歳までの乗客は、フィンエアー・プラス・ジュニアプログラムに入会出来る。フィンエアー・プラス・ジュニアの会員資格は、会員が18歳になるまで有効となっており、その後、 ベーシック会員カードに自動的に切り替わる[38]。 ワンワールド加盟航空会社、およびその他の航空会社への搭乗や提携しているホテル、レンタカーなどの利用でポイントをためることができる。なおフィンエアー・プラスでは、航空会社利用でのポイント加算は他社のマイレージサービスで一般的に利用されているマイルによるものではなく、飛行距離1キロメートルにつき1ポイントとして積算する。レベルポイントを貯めることで、フィンエアープラスプログラムの会員レベルがベーシック、シルバー、ゴールド、プラチナと上がる[39]。なお、ポイントの失効期間が設けられており、獲得から3年たったポイントは順次失効する。 2013年にリニューアルされたフィンエアーの航空券のタイプは、『BASIC(50%獲得)』『VALUE(100%獲得)』『PRO(150%獲得)』『BUSINESS SAVER(200%獲得)』『BUSINESS(200%獲得)』の5種類[40][41]。 2012年5月15日より、フィンエアープラスライフタイムゴールド、またはプラチナレベルの会員資格に達した会員は、フィンエアープラスのレベルに応じた特典について、特典利用期間を廃止し、永久的に特典が利用可能となった[42]。フィンエアープラスライフタイムゴールドレベルには、通算3,000,000レベルポイント、フィンエアープラスライフタイムプラチナレベルには、通算5,000,000レベルポイントを獲得する必要がある[43]。 2012年10月1日より、フィンランド国内線のフライトで、Flybe(フライビー)のフライトを利用すると、特典ポイントに加えて、レベル別ポイントが付与される。航空券に、FlybeのIATAコードである『BE』コードに加えて、フィンエアーの『AY』コード(便名:AY8100〜AY8700)が記載されている、すべてのフライビーのフライトが対象となる。フィンエアー・プラスのすべての通常会員特典も、これらのフライビーのフライトで有効となる。航空券にAYコードが記載されていないフライビーのフライトについても、今後特典ポイントが付与されるようになるが、イギリス発着のフライビーのフライトについては、ポイントは付与されない[44]。 航空券の『航空会社(CARRIER)』欄に提携航空会社の航空会社コードが記載されており、使用される航空機が、「提携航空会社の航空機である場合」に限り、提携航空会社のフライトもポイント付与の対象になる。提携航空会社のフライトで付与されたポイントは、特に指定のない限り、フィンエアー・プラス会員レベル別ポイントには加算されない[45]。 フィンエアー提携航空会社ワンワールド加盟航空会社
独自提携航空会社
フィンエアー提携鉄道会社2002年11月18日より、フィンエアーとSBB・スイス連邦鉄道は、コードシェア便を開始した。フィンエアーが運航する、ヘルシンキ=チューリッヒ線と接続する形で、スイス連邦鉄道の列車が走る、チューリッヒ中央駅(チューリッヒ)、バーゼルSBB駅(バーゼル)、ベルン中央駅(ベルン)、ルツェルン駅(ルツェルン)、ローザンヌ駅(ローザンヌ)間でコードシェアが行われ、フィンエアーのフィンエアー・プラスのマイレージが加算される。利用者は航空券と鉄道の予約のみならず、目的地までのチェックインが一度に可能となった[46]。 広告・イメージキャラクター
事件・事故フィンエアーの前身となっていたアエロ時代には、死亡事故が起きている。
しかし、フィンエアーは、217便の事故以降、2019年3月現在まで一度も死者を出す航空事故は起こしていない。このためカンタス航空やキャセイパシフィック航空などと並び、「世界的にも最も安全な航空会社」と言われる希有な航空会社である。[要出典][誰によって?] 事故以外には、ミサイルでの撃墜未遂事件が発生している。
フィンエアー・カーゴ![]() ![]() ![]() フィンエアー・カーゴ(Finnair Cargo)は、フィンランド航空の貨物部門で、貨物専用機の運航はフィンエアー・グループのノルディック・グローバル航空が行っている。カーゴキャパシティーは月間平均1,000トン以上[56]。フィンエアー・カーゴ(Finnair Cargo)は世界各地への航空貨物輸送を担っており、毎週150便を超えるフレイターと、RFS(ロードフィーダーサービス)で、委託された貨物はフィンランド航空が各路線で使用している旅客機の貨物室及び、マクドネル・ダグラス(ボーイング)MD-11Fなどの貨物機で、フィンエアー・カーゴ本社があるヘルシンキ・ヴァンター国際空港へ貨物運搬される。 ヘルシンキ経由でヨーロッパとアジアを最短最速で結ぶことにより、飛行距離を短縮し、航空燃料費を削減している[56]。フィンランド国内のフィンエアー機の着陸の内、60〜80%は連続降下進入方式によるもので、不要な旋回や誘導路は使用せず、これにより二酸化炭素排出量の削減を実現している[57][57]。貨物はヘルシンキ到着当日には、空路、陸路、海路にて各地へ配送される。 2013年4月7日から、ヘルシンキ・ヴァンター国際空港に次ぐ、ヨーロッパにおける貨物のハブ空港として、ベルギーのブリュッセル国際空港を新たに貨物ハブ空港[37]として機能させ、ブリュッセルからは貨物船も使用して貨物を運搬する[1][58][59]。2013年6月6日より、マクドネル・ダグラス(ボーイング)MD-11F貨物専用機の運航に加え、ヘルシンキ=ブリュッセル線で使用しているエアバスA320-200などの旅客機の一部を、エアバスA340-300に大型化し、旅客機の貨物室もさらに活用する事で、アジアとの貨物輸送量増加に対応する[38]。 貨物便就航都市
貨物便提携会社
脚注注釈出典
関連項目外部リンク |