コペンハーゲン
コペンハーゲン(ドイツ語: Kopenhagen [kopənˈhaːgən])、クブンハウン(ケブンハウン)(デンマーク語: København 発音 [kʰøb̥m̩ˈhɑʊ̯ˀn] ( 音声ファイル))は、デンマークの首都。デンマーク最大の都市で、自治市の人口は81万人。市名はデンマーク語の"Kjøbmandehavn"(商人たちの港)に由来する。「北欧のパリ」と比喩される。 概説コペンハーゲンはデンマーク東部のシェラン島東端[注釈 2]に位置しコペンハーゲン湾に面する港湾都市である。湾はシェラン島とアマー島との間の水道の北端部でもありエーレスンド海峡に面している。 海峡対岸はスウェーデンスコーネ県のマルメ市、ルンド市で、道路・鉄道橋/トンネルであるオーレスン・リンクによって繋がる。それらを含めた都市圏人口は190万人に達し、北ヨーロッパ最大級の都市圏である(エーレスンド地域)。 日本の民間研究所が2016年に発表した「世界の都市総合力ランキング」では、世界19位と評価された[1]。一方、アメリカのシンクタンクが2016年に発表した世界都市ランキングでは世界42位と評価された[2]。 歴史コペンハーゲンのあるシェラン島周辺は、古代ローマ時代にはハフニア (Hafnia) と呼ばれたが、辺境の地の島とみなされていた。 都市としてのコペンハーゲンの起源は、1000年ころスヴェン1世とその息子クヌート大王によって良港として発見されたのが最初である。 最初期の港の位置はコペンハーゲン湾奥部(シェラン島とアマー島との間の水道[注釈 3])の現在のホイブロ広場にあり[3]、目の前には小島(スロッツホルメン島)があった。エーレスンド海峡に臨む港は漁港から次第に商業の要衝へ発展を始めた。 1167年にロスキレ司教アブサロンはスロッツホルメン島に城塞を築き、都市建設の始まりとされる。これはデンマーク王による国内統治強化とも連携していた。1254年にはヤーコプ・エルランドセン司教から都市の特許を受けた。しかしハンザ同盟と対立し市街地および城塞は度重なる攻撃を受けた。1417年に城塞はロスキレ司教からデンマーク王の所有へ移り、王国の主要都市となっていき、近世には首都となる。 1658年から1659年に、カール10世指揮下のスウェーデン軍に包囲され降伏した(北方戦争中の氷上侵攻)。 1801年に、デンマーク艦隊と英国艦隊(パーカー提督指揮)との海戦[注釈 4]がコペンハーゲン湾内で行われ、デンマーク艦隊は撃破された(コペンハーゲンの海戦)。また、1807年、英国遠征軍がコペンハーゲンを砲撃し、旧市街に甚大な被害が出た。 1850年代までに旧市街を囲んでいた城壁は取り壊された。これにより旧市街の衛生状態も改善した。 第二次世界大戦中の1940年4月9日早朝、ドイツ軍が国境を越えて侵攻すると、コペンハーゲンは当日の午前中のうちに占領された[4]。デンマークは占領軍と協力し「モデル被占領国」となった。1943年8月、協力は崩壊し「抵抗の時代」が始まった。デンマーク軍は何隻かの船をコペンハーゲン湾に沈め、ドイツ軍を妨害した。1945年5月4日にコペンハーゲンは解放された。 2000年にオーレスン・リンクが開通し、エーレスンド海峡をまたいで、スウェーデンのマルメと鉄道及び道路で結ばれた[5]。 気候ケッペンの気候区分によると、コペンハーゲンの気候は西岸海洋性気候(Cfb)に属する。 北緯55度に位置するにもかかわらず、北大西洋海流の影響により、冬季の気温が高い。低緯度である北緯35度から北緯40度に位置する飛騨地方や長野県、東北地方よりも冬季の日平均気温と平均最低気温が高く、降雪量も少ない。
経済同国の経済の中心であり、世界的な海運会社A.P. モラー・マースク、ビール会社のカールスバーグ、製薬会社ノボノルディスクの本社などが置かれている。 文化ストロイエ(Strøget)は、コペンハーゲン中心の旧市街を東西に貫く約1kmの歩行者通りの繁華街で、1961年に歩行者専用となった。コペンハーゲン旧市街の広大な歩行者道路網はこの40年で建築家兼大学教授であるヤン・ゲールの手によって発達した。また、『コペンハーゲン・ジャズ・フェスティバル』は有名な年中行事の一つである。 1996年の欧州文化都市(現:欧州文化首都)に選出された。将来的なカーボン・ニュートラル計画、自転車レーンの構築などの環境政策などが評価され、2012年6月には2014年の欧州環境首都にも選出された[6][7]。さらに男女同権、性差における対等性(Sexual Equality)はデンマークでは高い優先順位が与えられている。 近年ではeスポーツが盛んであり、2022年7月14日にはFIFAeワールドカップがコペンハーゲンで初めて開催されている[8]。なお、デンマークは過去に2度優勝を果たしている強豪国でもある。 文化施設美術館博物館学術・教育スポーツ→詳細は「Category:コペンハーゲンのスポーツ」を参照
サッカーコペンハーゲンではサッカーが最も人気のスポーツとなっており、プロリーグのデンマーク・スーペルリーガに所属するFCコペンハーゲンは、デンマーク国内において非常に知られている。リーグ最多優勝を誇っており、UEFAチャンピオンズリーグではグループリーグに何度も出場経験をもつ。さらにUEFAヨーロッパリーグでは、2019-20シーズンにベスト8の成績を収めた。パルケン・スタディオンをホームスタジアムとしており、ブレンビーIFとのダービーマッチは『ニューファーム』と呼ばれている。 また、デンマーク・ファーストディビジョン(2部リーグ)に所属するABコペンハーゲンも存在している。クラブの創設は1889年と非常に古く、1999年にはデンマーク・カップを制した。 その他の競技コペンハーゲンには3つのアイスホッケーチームが存在しており、レドフレ・ミヒティ・ブルズ、ヘルレフ・ホルネッツ、ノルトスイェラント・コブラズがある。さらに男女両方のハンドボールチームがあり、両チームともトップリーグに所属している。また、「デンマーク・オーストラリアン・フットボール・リーグ」がコペンハーゲンを本拠地としており、英語圏以外では最大のオージーフットボール・リーグである。デンマーク式の「40オーバー・ルール」のクリケット・クラブの複数が、コペンハーゲンをホームタウンとしている。 交通空港コペンハーゲン空港(カストロップ空港、København Lufthavn Kastrup)が市中心から南東約10kmに位置する(アマー島内)。日本との直行便が就航する。 空港内に2つの鉄道駅がある:
鉄道デンマーク国鉄(DSB)が市内の主要DSB駅に乗り入れている。
地下鉄コペンハーゲン地下鉄 (Metro Copenhagen) があり2002年にM1路線が開業した。北欧で4番目の地下鉄。2007年にはコペンハーゲン空港駅まで分岐するM2路線が開業した。2019年にM3・M4路線(コペンハーゲン中央駅へも連絡)が開業した。 バスコペンハーゲン市交通局が市バスを運行している。 S-Tog、Regionaltog、地下鉄とも共通のゾーン運賃体系となっており、初乗り運賃は隣接ゾーンまで移動可能で24kr、また乗り継ぎ(1時間以内)には追加運賃は発生しない。デンマーク国内公共交通にはRejsekort(プリペイド式非接触カード)が導入されている。また、コペンハーゲン近郊域用の運賃支払いを可能とするスマートフォンアプリが提供されており、回数券[注釈 7]はこのアプリでのみ提供されている。 自転車→詳細は「Cycling in Copenhagen」を参照
コペンハーゲンは「世界一の自転車都市」と称されるほど自動車の利用が進んでいる[10]。1907年頃にはヨーロッパでもトップクラスの自転車都市になっていたが、1960年代後半にマイカーブームが到来して政策も自動車を重視するようになった[10]。しかし、1970年代のオイルショックで自転車が再び注目されるようになり、交通事故の増加で自転車専用道路の整備を求めるデモが行われるようになった[10]。 大きな通りには歩道と車道の間に自転車専用レーンがある。自動車と同じく右側通行であり逆走はできない。また、青信号の際に、20km/hで走行すると、決して赤信号にかからないよう、信号機も工夫されている。これにより、自転車通勤・通学の利便性も向上した。2014年にはサイクル・スネーク (Cykelslangen) という自転車専用道路が開通している[11][12]。
船舶コペンハーゲン港と北欧各首都、主要都市を結ぶラインが毎日運行されている。またバルト海クルーズなどのクルーズ船も出航している。2012年には372隻の大型客船が寄港し約84万人の乗客が訪れた。 名所、旧跡→「§ 文化施設」も参照
広場・歩行者通り
近郊
姉妹都市著名な出身者→詳細は「category:コペンハーゲン出身の人物」を参照
脚注注釈
出典
関連項目外部リンク
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