寺島進
寺島 進(てらじま すすむ、1963年11月12日[1] - )は、日本の俳優。東京都出身[1]。ジャパン・ミュージックエンターテインメント(イー・コンセプト)所属。 来歴男三兄弟の次男で、実家は江東区深川で畳屋を営んでいた[注釈 1]。父親は日本酒を好み、ユーモアがあって丁寧な仕事をする人であるという[3]。江東区立八名川小学校卒業、江東区立深川第二中学校卒業、東京都立葛飾野高等学校卒業[2]。成城にあった三船プロの俳優養成所・三船芸術学院で殺陣やスタントなどを学び、宇仁貫三に師事[1]。同学院卒業後、宇仁率いる剣友会に入門した[4]。 1984年頃からテレビドラマの端役で出演し始め、1985年のドラマ『私鉄沿線97分署』の暴走族の杉山役で初めて名前のある役をもらった[5]。映画のデビュー作は、1986年の松田優作監督の『ア・ホーマンス』[1]。また、映画デビューの同年には『痛快なりゆき番組 風雲!たけし城』に攻撃軍の一員として出場している[6]。 1989年の映画『その男、凶暴につき』に出演したのを皮切りに、以降北野作品などの映画に出演して知名度を上げる[1]。また1993年頃から、ビートたけし所属の『オフィス北野』に寺島も所属する[7]。 元々は映画中心の芸能活動だったが、2005年の『富豪刑事』に出演してテレビドラマなどへも活躍の場を広げ、人気を博す[1]。また同年には、野狐禅のプロモーションビデオへの出演や、それらの総集編となる短編映画『遡河魚』(監督は熊切和嘉)にも出演。 加えて、同年5月にはドラマ『踊る大捜査線』シリーズのスピンオフ映画『交渉人 真下正義』で木島丈一郎役を演じた。同年12月には、木島を主役にした更なるスピンオフ作品『逃亡者 木島丈一郎』が誕生。さらに同役で、2010年に本編映画である『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』への出演を果たした。 2006年からの『アンフェア』シリーズ(連続ドラマ、スペシャルドラマ及び映画を含む)などに次々に出演。また、同年の映画『THE 有頂天ホテル』に出演以降、三谷幸喜作品にも複数回起用されている。 2009年11月30日、一般女性(当時28歳)と結婚。2010年6月7日には第一子となる女児が、2015年3月10日には第二子となる男児が誕生[8][9]。 2018年11月30日をもって25年間在籍した[7]オフィス北野を退社、同年12月1日からジャパン・ミュージックエンターテインメントへ移籍[10]。 人物子供時代地元の知人たちからは、子供の頃から“ムーちゃん”のあだ名で呼ばれている[2]。子供の頃からやんちゃな性格[注釈 2]で目立ちたがり屋だった。当時は映画『トラック野郎』が好きで、主人公の菅原文太演じる桃さんに憧れていた [2]。 中学からは髪型をサイドバックのリーゼントにし、地元の喧嘩に強い兄弟に喧嘩を教わった。野球部に所属し、ポジションはセンター5番で、江東区の中学1年生が出場する大会では、決勝戦で初ヒットを打つなどして優勝[注釈 3]。当時は勉強嫌いだったが、図工と体育だけは成績が良かった。中学の頃に江東区の美化啓発ポスターで江東区長賞をもらったことがある[4]。 高校ではハンドボール部に所属しながら、空いた時間はバンドを組んでボーカルとアコースティックギターを担当した。また16歳の頃から地元の神輿保存会の「深川祭明会」に所属し、やんちゃな先輩たちに目をかけてもらった。進路を考える時期になり、父親や「深川祭明会」の先輩たちの助言を受けて[注釈 4]役者を目指し始める[2]。 下積み生活三船芸術学院の授業は週に3日で、「自分で決めた道だから自分で学費を払おう」との考えにより、授業がない日の昼間に建設現場で、夜に歌舞伎町の水商売などでバイトして学費を稼いだ[注釈 5]。舞台でいろんな殺陣や立ち回りを披露する卒業公演では、全体のトリで大立ち回りがある主役を任された。 その後所属した剣友会では、殺陣やスタントの他、芸能界での挨拶の仕方や先輩との付き合い方、酒の飲み方など様々なことを教わった[5]。大部屋俳優になると、当時宇仁がドラマ『太陽にほえろ!』の殺陣も担当していたことから、同ドラマのチンピラなどの端役をもらうようになる。また男性にしては身長が低いことから、女優のスタントの吹き替えとして時々声がかかるようになった[注釈 6]。 アクションに重きを置いて俳優活動をしていたため、当時は“演技がしたい”とは考えていなかった。そんな中、殺陣師の先輩・二家本辰己から誘われて四月館の舞台に出演し、演技や表現を意識し始めた[5]。この頃劇団の主宰の知人だった松田優作が舞台稽古中に遊びに来て、彼に気に入られたことで映画『ア・ホーマンス』への出演が決まった。寺島は、この頃(当時23歳)から本格的な役者を目指し始める[5]。 北野武作品への出演下積み時代に初対面した北野武から「今売れなくても死ぬ間際に天下取ったら、“あんちゃん”の勝ちだからよ」との言葉をもらった[2]。その後とある2時間ドラマで共演した助監督から、北野の初監督作品である1989年の映画『その男、凶暴につき』のオーディションへの参加を勧められた[5]。 『その男、凶暴につき』のオーデションでは、助監督から質問されて経歴などを話すだけで芝居の審査などはなかった。北野は部屋の隅っこで下を向き一言も話さず、寺島の方を時々見るだけだった。寺島は面接の手応えを一切感じなかったが、後日電話で白竜演じるヤクザの手下役に決まった[6]。 その後の完成披露試写会で作品を見ると、それまでの作品で“斬られたらお終い”という役だったのが、本作ではアップもあってエンドロールに寺島の名前が流れた。本人は「決して大きい役ではないけど、俺にとっては役者として本当にデカい一歩だった」と回想している[6]。このことから寺島にとって、北野は「育ての親」とも言える存在となった[2]。 1991年の映画『あの夏、いちばん静かな海。』の頃に剣友会を辞めてフリーとなり、その後もアクションの仕事を依頼されたが、本格的な俳優を目指すため敢えてそれらの出演を全て断った。周りから「生意気だ」と言われることもあったが、「ここで踏ん張らないと上には行けない」と自分に言い聞かせた [11]。 1993年に出演した映画『ソナチネ』が、カンヌ国際映画祭で上映されて日本国内での寺島の知名度も上がり、いろんな映像作家に出会うきっかけとなった[12]。1996年(32歳の頃)に篠崎誠監督の映画『おかえり』で初主演し、第5回東京スポーツ映画大賞新人賞を受賞。本人はこの受賞をとても喜び、「ようやく役者としてスタートできた」としている[12]。 その後少しずつ映画やドラマの仕事をもらうがまだ役者だけでは食べて行けず、1996年の『キッズ・リターン』の頃まで日光市のウェスタン村でアルバイトをしていた[13] 。30代半ばでバイト生活を終え、2001年の北野作品『BROTHER』辺りから忙しくなり、ようやく俳優業だけで食べていけるようになった[13]。 その他エピソード矢沢永吉のファンで、高校時代のバンド活動では彼をマネて白いバギーに裸に革ジャン姿に、頭にはねじり鉢巻き[注釈 7]をしていた。ちなみに当時は自分の声が嫌いだったが、他のバンドの女性ボーカルから「寺島さん、声いいね」と褒められ、声が好きになったという[2]。 『小さき勇者たち〜ガメラ〜』で寺島を起用した監督の田﨑竜太は、パイロット監督を務めた『仮面ライダー電王』で主人公、モモタロスのキャラクターを決める際、寺島のキャラクターを参考にしたと同作のムック本でのインタビューに答えている[要文献特定詳細情報]。 若いころにヒーローショーの女性キャラクター役のスーツアクター経験がある[14]。2014年には同年秋公開の映画『イン・ザ・ヒーロー』では女性キャラクターを演じるスーツアクター役を務めた[14]。2016年には『スーパー戦隊シリーズ』第40作『動物戦隊ジュウオウジャー』にて森真理夫役でレギュラー出演を果たし、同作でジュウオウヒューマンを演じた際は、自ら変身ポーズを考えてくるなど積極的で、テレビでヒーローを演じられたことが感慨深かったと述べている[1]。 脚本家の太田愛は寺島のファンであり、『ウルトラマンガイア』でゲストキャラクターを寺島で当て書きしたところ、監督の原田昌樹が助監督時代から寺島と交流があったことから寺島の出演が実現した[15]。太田と原田は後に『ウルトラQ dark fantasy』でも、寺島を起用している[15]。 三船芸術学院に通い出してからは役者にストイックに取り組んできたため、恋愛に興味が沸かなかった。しかし、ある時出会った女性に一目惚れし、交際2年目の時に子供を授かったのを機に結婚を決めた[16]。 下積み時代の四月館の舞台稽古中、忍者役の寺島の芝居を見た松田優作から「いいなぁ」と褒められた。また、松田の監督作品である『ア・ホーマンス』にヤクザ役で出演した際も彼から同様に褒められた。このため松田のことを「芸能界に入って初めて自分を褒めてくれた人」と位置づけている[5]。 座右の銘は、「継続は力なり」[17]。長男が生まれた直後から「愛、恩義、結束力」という言葉を寺島家の家訓にしている[18]。 「芸能界の基礎を教わった剣友会は、俺の原点」、「ヤクザ、チンピラ役は俺の原点」と位置づけている[19][2]。 長年チンピラ役・ヤクザ役を依頼されることが多かったが、いつ頃からか刑事役・警察官役をやることが増えてきた。この影響からか(2022年の)数年前には、加須警察署(埼玉県)で一日署長を務めたことがある[20]。また以前は一般人から声をかけられることはめったになかったが、刑事役をやるようになってから気軽に声をかけてもらえるようになったという[17]。 ドラマ『とんぼ』では、ピース(ゆーとぴあ)演じるヤクザの舎弟・直役を演じている。寺島によると当初この役は、“チンピラその5”くらいのセリフのない役だった。しかし、撮影現場で立っていた所、ある人(寺島も人づてにこの話を聞いたため誰が言い出したかは知らないという)から「あのチンピラ役の人、気になるね」と気に入られ、急遽セリフのある「直」という役名に変更になった[21]。 出演テレビドラマ
映画1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
Vシネマ
Webドラマ
劇場アニメゲーム
ラジオ
PV
CM
書籍
受賞歴
脚注注釈
出典
外部リンク
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