地の骨
『地の骨』(ちのほね)は、松本清張の長編小説。『週刊新潮』に連載され(1964年11月9日号 - 1966年6月11日号)、1967年6月に新潮社から単行本が刊行された。 あらすじ東京のマンモス私立大学である大和大学で助教授を務める稲木治夫は、町野啓子との逢瀬後に乗ったタクシーの車内に入試問題の草稿を置き忘れ、上条学部長および有田専務理事と急ぎ善後策を講じる。対立する川西一派に草稿が渡ることを怖れる稲木のもとに、楢沢夾子の署名と共に入試草稿が届けられて安堵するが、そのお礼及び口外無用を意図し夾子に会った稲木は、夾子の美貌や教養に圧倒されると共に再訪の勧誘を受ける。 啓子は稲木との邂逅を一時の交渉として振ったのち、バーに通い詰める川西に、友人の住吉初子からの息子の裏口入学に関する融通を依頼する。啓子の口吻から稲木の入試問題草稿紛失を察した川西は、有田理事の傘下にある稲木の追い落としを図るが、すでに草稿が取り戻されていた為に不発に終わる。しかし川西は竹岡総長の息子夫婦が世田谷の一等地に新築住宅を建てることを聞きつけ、大学の隠し金が流用されているのではないかと疑い始める。 夾子へと心を移した稲木は夾子との再会を試み、自宅に出入りしていた倉吉秀夫に一度は拒絶されるも、熱海のホテルで夾子と再会、早速アプローチを始め、抵抗を受けるも、関係を持つことに成功する。しかしその翌日、秀夫が稲木の自宅を訪れ、自分は夾子と関係を持っていると主張する。 川西は興信所を使って世田谷の土地購入に東陽銀行をはじめとする諸銀行の架空名義預金が関係していることを嗅ぎ付け、さらに学生から有田理事が専断で授業料の大幅な値上げを計画しているとの情報を得る。一方で啓子との距離を縮めたい川西は、啓子との旅行を計画しその資金に初子からの裏口入学依頼金の一部をあてようと考える。 稲木は秀夫の予想外の行動に巻き込まれることになり、川西は啓子との旅行先で予想外のトラブルに巻き込まれる。 主な登場人物
エピソード
関連項目テレビドラマ
1980年版
「松本清張の地の骨」のタイトルで(サブタイトルは「犯罪大学 入試問題を拾った女」)、1980年3月22日(21:02-22:51)にテレビ朝日系列の「土曜ワイド劇場」枠にて放映。原作同様に稲木助教授と楢沢夾子を主要人物とするが、川西は法学部長の設定に変更されている。視聴率18.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。
1984年版
「松本清張の地の骨」のタイトルで(サブタイトルは「消えた入試問題 女が決めた教授の椅子」)、1984年3月9日(20:02-21:48)に、フジテレビ系列の「金曜ファミリーワイド」枠にてドラマスペシャルとして放映。1980年版とは対照的に、有田理事長の追い落としを狙う川西助教授を主人公とした上で、クラブ「ユーカリ」のママである松村麗子に焦点を当てている。
脚注 |