ココアバター
ココアバター(英: cocoa butter、カカオバター、カカオ脂とも)はカカオ豆の脂肪分であり、主にカカオリカーから圧搾して製造する。ココアバターはカカオ豆中に40%から50%(カカオマス中では約55%)含まれている。主に菓子(特にチョコレート)、薬品、軟膏、化粧品の原料として利用される。 性質色調と風味カカオリカーから圧搾した直後のココアバターは、若干の非脂肪カカオ分を含有するため、薄黄色である。未脱臭のココアバターには独特の匂いがある。脱臭処理を行うことで、白色・無味・無臭に近くなる。 結晶と融点ココアバターを構成する脂肪酸のうち、95%がオレイン酸(C18:1)、ステアリン酸(C18:0)、パルミチン酸(C16:0)の3種類の脂肪酸である。単純な組成であるため、狭い温度幅で急激に融解する特徴がある。この融点が体温より若干低めのため、常温で保管でき体温で融解する性質がある。またパルミチン酸・ステアリン酸は飽和脂肪酸であり、さらに未脱臭品はポリフェノールなどの抗酸化成分を微量に含んでいる。このため変質しにくい性質であり、2-5年の常温固体保存が可能である。 産地・豆の種類によって異なるが、ココアバターの融点は一般的に摂氏32 - 36度である。ココアバターは多形の結晶であり、融点の異なるγ,α,β',βの結晶構造を有する。液状のココアバターを徐冷するとα型などの結晶が生成され、ぼそぼそとした感触になる。ココアバターやチョコレートの製品を整形する際は、調温(テンパリング)を行ってβ型結晶を生成する。β型の結晶構造にまとめると生地が滑らかになり、表面が艶かで、歯応えよくパキッと折れるようになる。 製造カカオリカーをプレス機で圧搾し、ココアパウダーとココアバターに分離することで生産される。ホワイトチョコレートはカカオ分としてココアバターを含むが、ココアパウダー等の非脂肪カカオ分は含有しない。一部のチョコレート菓子では、同一の製品に一度分離したココアバター・ココアパウダー双方を使用することもある。 食品以外への利用ココアバターは室温で保管でき体温で溶けるため、座薬などの基礎薬剤として用いられる。また、安定した脂質であり、天然の酸化防止剤を含んでいるため腐りにくく、2-5年貯蔵することができる。ココアバターの滑らかな素地、甘い芳香、皮膚を軟化させる特性のため化粧品と石鹸やローションなどのスキンケア製品としてよく使われる。 脚注
関連項目外部リンク
|