油油(あぶら、ゆ、Oil)とは、動物や植物、鉱物などから採れる水と相分離する疎水性の化学物質で、通常は多数の化合物からなる混合物である。生体内では主に細胞膜の主要構成物質(脂質)として存在している。一般に可燃性であり、比重が小さく水に浮く。狭義には油脂を指すが、広義では炭化水素を主成分とする石油や、テルペノイドなどを主成分とする精油など油脂以外のものも油と呼ばれる。油脂については、常温で液体のものを油(または脂肪油)、固体のものを脂(または脂肪)と区別する[1]。高級一価アルコールと高級脂肪酸とのエステルは蝋と呼ばれる。 用途は食用、燃料用、産業用などに多岐にわたる。 構造と性質常温で液体である植物油や魚油などには不飽和脂肪酸が多く含まれ、常温で固体である肉の脂などには飽和脂肪酸が多く含まれている。両者をまとめて油脂と呼ぶ。普通の油脂は脂肪酸とグリセリンの化合物であり、一般にトリグリセリド(トリ-O-アシルグリセリン)の形態を取る(例外: エコナ等)。 不飽和脂肪酸とは脂肪酸を構成する炭素鎖に二重結合もしくは三重結合を持つもののことで、α-リノレン酸、ドコサヘキサエン酸 (DHA)、エイコサペンタエン酸 (EPA) に代表されるオメガ3(n-3系)、リノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸に代表されるオメガ6(n-6系)、オレイン酸に代表されるオメガ9(n-9系)がある。飽和脂肪酸とは炭素鎖に二重結合もしくは三重結合を持たないもののことで、パルミチン酸、ステアリン酸等がある。普通、二重結合が多いほど融点は低いが、酸化によって固まりやすく、そのようなものを乾性油とよぶ。この性質は油絵具・塗料などに利用される。 多くの油は引火点と発火点を持ち、消防法における危険物第四類に分類される。また、発火点が沸点より低いので酸化雰囲気では沸騰しない。 用途食用→詳細は「油脂」を参照
化粧
燃料→詳細は「燃料」を参照
熱した際に可燃性ガスを発生させるため燃料として利用される。蝋燭のように、燃やす以外に明かりとして利用もされる。 工業
波対策鎮波用として海に撒き波を鎮めるのに使用された。波飛沫を抑え、表面張力と粘性で波の勢力を打ち消す効果がある。そのため粘性に富む動物油、特に魚油・海獣油などが効果が高く、石油は効果がほとんどない。アリストテレス時代には既に知られていた。昭和七年においては、海が荒れた時に船側から麻袋に油を入れたものを海中に沈め、徐々に浸出させることが行われた。また海中作業者が口に油を含み、浮上時に海面の波を鎮めるために吐き出す技もある[2]。 生体内での代謝→詳細は「脂質代謝」を参照
代表的な油脚注
関連項目外部リンク
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