『人間なんて』(にんげんなんて)は、1971年11月20日に吉田拓郎(当時はよしだたくろう)がリリースしたオリジナル・アルバムである[1][2][3][4]。レコードナンバーELEC-2003 初リリース時の価格は1900円[1]。
解説
収録曲
- 人間なんて
- ライブでは長時間演奏される曲だが、こちらは弾き語りで2分ほどである[5]。発表時から「イメージの詩」を凌ぐなどと評判をとったが[4][5][16][17]、「日本のフォークを象徴する名曲」[2]「日本の音楽史における伝説」[17]とまで評価され[2][4][5][17]、伝説化していったのは[9][18][19][20]、1971年の第3回全日本フォークジャンボリーや[17]、1975年つま恋、1979年篠島で行われたオールナイトコンサートのラストナンバーとして[21]、時代の節目で長尺バージョンとしてパフォーマンスされてからである[1][4][5][18][19][21][22]。
- 歌詞は「人間なんて ラララ ラララララ」を中心としたサビ部分のみで紹介されることが多いが、実際は広島に対する拓郎の思いを表現した歌詞が続く[16][21][23]。『新譜ジャーナル』1971年5月号の巻頭特集、同誌1971年10月号でも同曲の歌詞が掲載されており[16][23]、1971年5月号ではタイトルに『人間なんて(ヒロシマに帰ろう)』と副題も付いている[23]。歌詞には「フルサトは愛すべきヒロシマ」「ヒロシマへ帰ろう」「何もかも捨ててしまったけど 好きさ 好きさ そうさ 好きなのさ あの あの ヒロシマが」という部分もあり[23][24]、当時はまだ東京に定着するつもりがなかった心情も伺える[24]。拓郎には「いつも見ていたヒロシマ」というアルバム『アジアの片隅で』などにも収録された曲もあるが、これは岡本おさみの作詞なのでタイトルに「ヒロシマ」と表記した真意は分からないが、マスメディアが一般的に「ヒロシマ」と表記する場合は被爆地の意味を込めて使われる[25]。『新譜ジャーナル』1971年10月号では、第3回全日本フォークジャンボリーでの小室等との掛け合いを聞き取ったのか、「よしだたくろうのバカやろう」「よしだたくろうはバカだけど仲良くやりたい」などと小室の歌った部分の歌詞も掲載されている[16]。
- 1991年にMICAがカバーし、とらばーゆのCMソングに採用され、30万枚のヒットとなる。
- 結婚しようよ
- ある雨の日の情景
- 作詞:伊庭啓子 補作詞:よしだたくろう
- 「結婚しようよ」のB面曲。
- ワシらのフォーク村
- 自殺の詩
- 『メモリアルヒット曲集 '70 真夏の青春』に収録された曲のリメイク。
- 花嫁になる君に
- 作詞:岡本おさみ
- 岡本との初コラボ曲[5]。原詩のタイトルは「花嫁になるルミに」[5]。
- たくろうチャン
- どうしてこんなに悲しいんだろう
- 当時拓郎は高円寺の妙法寺横のアパートに住んでいて[8]、新宿で飲んで帰って、ジェームス・ブラウンのバラードを聴いていたら、妙にしんみりした夜で、無性に染み入る曲を書きたくなってギターを手に取ったら、その頃ハマっていたコード進行で一気に書けたという[8]。1976年のアルバム『明日に向って走れ』にリメイクバージョンが収録されている。「人間なんて」と通底する名曲[5]。2013年6月24日、ニッポン放送『坂崎幸之助と吉田拓郎のオールナイトニッポンGOLD』にゲスト出演した竹内まりやのリクエストで本曲を竹内と坂崎幸之助、拓郎の3人で歌唱した[26]。拓郎の歌に、竹内が思わず「本物だあ」と声を上げた。
- 笑えさとりし人ヨ
- ブラスセクションと強力なベースラインが牽引するソウル/R&B調ナンバー[5][6]。広島でのアマチュア時代にロック/R&Bバンドをやっていた拓郎の面目躍如ともいえる楽曲[5]。
- やっと気づいて
- 川の流れの如く
- ふるさと
参加ミュージシャン
- 加藤和彦
- 結婚しようよ/リードギター・ボルトネックギター
- わしらのフォーク村/ボルトネックギター
- 自殺の詩/ギター
- どうしてこんなに悲しいんだろう/ギター
- 林立夫
- 結婚しようよ/パーカッション
- わしらのフォーク村/ドラム
- 自殺の詩/ドラム・パーカッション
- 伊藤保夫
- 結婚しようよ/エレクトリックベース
- わしらのフォーク村/エレクトリックベース
- どうしてこんなに悲しいんだろう/エレクトリックベース
- 松任谷正隆
- 結婚しようよ/バンジョー・ハーモニウム
- わしらのフォーク村/バンジョー
- どうしてこんなに悲しいんだろう/ピアノ・オルガン
- 小室等
- ある雨の日の情景/12弦ギター
- 花嫁になる君に/12弦ギター
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- 木田高介とア・リトル・モア・ヘック
- 笑えさとりし人ヨ
- やっと気づいて
- 川の流れの如く
- ふるさと
- 田辺和博
- ある雨の日の情景/コーラス
- たくろうチャン/リードギター
- 伊藤明夫
- わしらのフォーク村/リードボーカル
- ふるさと/コーラス
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受容
歌手の中村雅俊は、若いころ吉田の歌をよく聞いていたとリアルサウンドとのインタビューの中で話しており、最も魅力的な楽曲として「人間なんて」を挙げている[27]。
当時のライブにおける吉田のパフォーマンスについて「歌ってるときはガラガラ声なんだけど、それでもやっぱりガーッと歌い続ける姿だとか、ああいうのはちょっと打たれたりしますね。」と話している[27]。
中村にインタビューした小野島大はサビの部分を延々と歌うところが一種のトランス状態にあるのではないかと指摘しており、中村も酔っぱらった時にあのような感じになると答えたうえで、「あの止まらない感じが、不思議な連帯感と感動を呼んで。」と話している[27]。
脚注・出典
関連項目
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シングル |
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オリジナル | |
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ベスト |
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ライブ | |
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CD-BOX |
- ONE & ONLY
- 吉田拓郎 '79-'90
- LIKE A ROLLING STONE 1970〜1974
- TAKURO YOSHIDA IN THE BOX
- Have A Nice Day
- Takuro Yoshida Premium 1971-1975
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その他 | |
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映像作品 |
- ONE LAST NIGHT IN つま恋
- ONE LAST NIGHT IN つま恋 Part II
- イン・ビッグ・エッグ Part 1
- イン・ビッグ・エッグ Part 2
- コンサート・イン・つま恋 1975
- TAKURO YOSHIDA TOUR '91“detente”
- '89 TAKURO YOSHIDA IN BIG EGG
- '90 日本武道館コンサート
- '93 TRAVELIN' MAN LIVE at NHK STUDIO 101
- '79 篠島アイランドコンサート
- '82 日本武道館コンサート 王様達のハイキング
- 1996年、秋
- 感度良好ナイト in 武道館
- 吉田拓郎 LIVE 〜全部だきしめて〜
- 101st Live 02.10.30
- 吉田拓郎・かぐや姫 コンサート イン つま恋 1975
- TAKURO & his BIG GROUP with SEO 2005 Live & His RARE Films
- Forever Young Concert in つま恋 2006 (吉田拓郎・かぐや姫)
- 歩道橋の上で COUNTRY BACK STAGE DOCUMENT
- 吉田拓郎・かぐや姫 コンサート イン つま恋 1975+'79 篠島アイランドコンサート
- 吉田拓郎 LIVE 2012
- 吉田拓郎 LIVE 2014
- 吉田拓郎 LIVE 2016
- 吉田拓郎 2019 -Live 73 years- in NAGOYA / Special EP Disc「てぃ〜たいむ」
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楽曲 | |
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テレビ番組 |
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ラジオ番組 |
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関連人物 | |
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関連項目 | |
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