フリオ・アルベルト・テヘラン・ピント(Julio Alberto Teheran Pinto[注 1]、1991年1月27日 - )は、コロンビアのボリーバル県カルタヘナ出身のプロ野球選手(投手)。右投右打。MLBのシカゴ・カブス傘下所属。
経歴
プロ入りとブレーブス時代
2007年に契約金85万ドルでアトランタ・ブレーブスと契約してプロ入り。これは同年にアマチュア・フリーエージェントでメジャー球団と契約した投手の中では最高金額だった[3]。
2008年に傘下のアパラチアンリーグのルーキー級ダンビル・ブレーブス(英語版)でプロデビュー。
2009年はルーキー級ダンビルとA級ローム・ブレーブス(英語版)の2球団合計で14試合に先発。その素質が高く評価され、シーズンオフには「ベースボール・アメリカ」誌が選ぶ有望株ランキングで51位に入り、MLB.comの有望株ランキングでは34位に入った[4]。
2010年はA級ロームでスタートし、最終的にはAA級ミシシッピ・ブレーブスまで昇格。3つの階級で24試合に先発し、142イニングで防御率2.59という好成績を残した。7月にはオールスター・フューチャーズゲームに世界選抜の一員として出場し、最高球速97mph(約156.1km/h)を記録している[5]。オフには、「ベースボール・アメリカ」誌により、カロライナリーグのNo.1プロスペクトに選ばれた[6]。
2011年はAAA級グウィネット・ブレーブスで開幕を迎えたが、5月6日にメジャーに昇格し、7日のフィラデルフィア・フィリーズ戦でメジャーデビュー。翌日にAAA級グウィネットに戻され、18日のアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦に登板して以降はAAA級グウィネットに戻された。マイナーでは25試合に登板し15勝3敗、防御率2.55、WHIP1.18の成績を残し、9月3日にメジャー再昇格した。
2013年、先発ローテーションに空きスポットが出来た為、本格的にローテーションに定着した[7]。出だしは調子が上がらなかったが、シーズンが進むにつれて徐々に調子を上げる[7]。最終的には30試合に先発登板して14勝8敗、防御率3.20、WHIP1.17という素晴らしい成績を残した。この活躍ぶりが評価され、シーズン終了後のルーキー・オブ・ザ・イヤーの投票では、ナショナルリーグ5位にランクインした[8]。
2014年2月14日にブレーブスと総額3240万ドルの6年契約(2020年・1200万ドルのオプション付き)で合意した[9][10]。自身初の開幕投手を務めるなど、この年も先発ローテーションで投げ、エース格の存在に飛躍を遂げる[11]。33試合に先発登板し、うち23試合で自責点を2以内に抑える見事なピッチングを披露したが、打線の援護に恵まれずに負け星もかさんだ[11]。それでも、2つの完封勝利を含む2年連続での14勝を挙げたほか、防御率2.89、186奪三振、WHIP1.08という抜群の成績を残した。
2015年はナ・リーグトップタイの33試合に先発し、3年連続二桁勝利となる11勝を挙げたが、投球内容自体はやや低下した。防御率4.04は、先発ローテーション定着後では初めての4.00超であり、被本塁打や与四球も増加した。なお、奪三振は3年連続170以上だった。
2016年は4月はやや不調だったが、5月から調子を上げ、前半戦は防御率2.96の好成績だった。しかし打線の援護に乏しく、3勝止まりだった。オールスターには折り返し時メジャー最低勝率に沈んでいたチームから唯一選出された。最終成績は、30試合の先発登板で防御率3.21、WHIP1.05 (規定投球回に達した直近4年でベスト) と好投したが、チーム事情もあって7勝10敗と負け越しに終わった。オフの12月5日に第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のコロンビア代表に選出された[12]。
2017年はシーズン開幕前の3月に選出されていた第4回WBCに参加。シーズンでは32試合の先発登板で11勝13敗と2年ぶりの二桁勝利を挙げた。しかしその一方、防御率4.49、WHIP1.37は先発ローテーションに定着後ではワーストと、投球内容は前年から再び悪化した。特に新本拠地のサントラスト・パークでは3勝10敗、防御率5.89と苦しんだ。
2018年も開幕投手を務め、5年連続はアトランタ移転後のチーム最長記録となった[13]。8月5日のニューヨーク・メッツ戦で初本塁打を放つ[14]。最終的に31先発で9勝9敗、防御率3.94の成績を残した。ホーム成績も防御率3.96と改善が見えた。
2019年は球団史上最長タイとなる6度目の開幕投手に起用された[15]。最終的に33先発で10勝11敗、防御率3.81を記録。ポストシーズンのロースターから漏れたが、負傷したクリス・マーティンに代わり途中加入[16]。リリーフとして2試合に出場した。オフにオプションが破棄され、FAとなった[17]。
エンゼルス時代
2019年12月21日にロサンゼルス・エンゼルスと900万ドルの単年契約を結んだ[18]。
2020年7月19日に新型コロナウイルスの陽性が示されたことが発表された[19][20]。オフの10月28日にFAとなった[21]。
タイガース時代
2021年2月19日にデトロイト・タイガースとマイナー契約を結んでスプリングトレーニングに招待選手として参加することになったと報じられ[22]、23日に正式公示された[23]。その後3月24日にメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りした[24]。開幕2戦目のクリーブランド・インディアンス戦にて先発し、5回1失点の投球で勝利投手となった[25]。だが、直後に右肩を痛めて故障者リスト入りし[26]、以降の登板は無かった。オフの11月3日にFAとなった[23]。
独立リーグ時代
2022年4月21日にアトランティックリーグのスタテンアイランド・フェリーホークスと契約した[23]。6試合に先発登板して1勝1敗、防御率1.60という成績だった。
メキシカンリーグ時代
2022年6月23日にリーガ・メヒカーナ・デ・ベイスボルのティフアナ・ブルズと契約した[27]。ティフアナでは6試合に先発登板して4勝1敗、防御率4.88の成績を残した。8月1日にリーガ・メヒカーナ・デ・ベイスボルのモンテレイ・サルタンズと契約した[28]。
パドレス傘下時代
2022年11月28日にサンディエゴ・パドレスとマイナー契約を結んだ[29]。
2023年は開幕からAAA級エルパソ・チワワズで8試合に先発登板したが、5月22日にオプトアウト(契約破棄条項)を行使し、FAとなった。
ブルワーズ時代
2023年5月23日にミルウォーキー・ブルワーズと1年契約を結んだ[30]。メジャーでは14試合(うち先発11試合)に登板し、3勝5敗、防御率4.40を記録した。しかし、9月29日にDFAとなり、10月6日にFAとなった。
メッツ時代
2024年2月27日にボルチモア・オリオールズとマイナー契約を結び、同年のスプリングトレーニングに招待選手として参加することになった[31]。メジャーに昇格した場合の年俸は2万ドルで、オプションとして最大100万ドルの出来高が含まれる[31]。しかし開幕のロースターから漏れたため、3月23日にオプトアウト権を行使して退団した[32]。
2024年4月5日にニューヨーク・メッツと1年総額250万ドルでメジャー契約を結んだ[33]。8日のアトランタ・ブレーブス戦で先発出場したが、3回途中まで投げて6安打4失点を許し、翌日にはDFAとなった[34]。4月11日にマイナー契約を拒否としてFAとなった。
カブス傘下時代
2024年4月14日にシカゴ・カブスとマイナー契約を結んだ[35]。
投球スタイル
スリークォーターから、平均92mph(約148km/h)のフォーシームを中心に、平均89mph(約143km/h)のツーシーム、決め球である平均81mph(約130km/h)のスライダー、平均73mph(約117km/h)のカーブ、平均82mph(約132km/h)のチェンジアップを使用する[3][36][37]。
メジャー通算対右被OPSは.563であるのに対し、対左被OPSは.755と左打者を苦手としている[37]。
細身の体型から、しばしばペドロ・マルティネスと比較される[38][4]。
詳細情報
年度別投手成績
年
度 |
球
団 |
登
板 |
先
発 |
完
投 |
完
封 |
無 四 球 |
勝
利 |
敗
戦 |
セ 丨 ブ |
ホ 丨 ル ド |
勝
率 |
打
者 |
投 球 回 |
被 安 打 |
被 本 塁 打 |
与 四 球 |
敬
遠 |
与 死 球 |
奪 三 振 |
暴
投 |
ボ 丨 ク |
失
点 |
自 責 点 |
防 御 率 |
W H I P
|
2011
|
ATL
|
5 |
3 |
0 |
0 |
0 |
1 |
1 |
0 |
0 |
.500 |
87 |
19.2 |
21 |
4 |
8 |
0 |
0 |
10 |
1 |
0 |
11 |
11 |
5.03 |
1.48
|
2012
|
2 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
---- |
24 |
6.1 |
5 |
0 |
1 |
0 |
0 |
5 |
0 |
0 |
4 |
4 |
5.68 |
0.95
|
2013
|
30 |
30 |
0 |
0 |
0 |
14 |
8 |
0 |
0 |
.636 |
774 |
185.2 |
173 |
22 |
45 |
4 |
13 |
170 |
2 |
0 |
69 |
66 |
3.20 |
1.17
|
2014
|
33 |
33 |
4 |
2 |
0 |
14 |
13 |
0 |
0 |
.519 |
884 |
221.0 |
188 |
22 |
51 |
4 |
4 |
186 |
1 |
1 |
82 |
71 |
2.89 |
1.08
|
2015
|
33 |
33 |
0 |
0 |
0 |
11 |
8 |
0 |
0 |
.579 |
774 |
200.2 |
189 |
27 |
73 |
3 |
9 |
171 |
2 |
0 |
99 |
90 |
4.04 |
1.31
|
2016
|
30 |
30 |
1 |
1 |
1 |
7 |
10 |
0 |
0 |
.412 |
758 |
188.0 |
157 |
22 |
41 |
2 |
9 |
167 |
7 |
1 |
70 |
67 |
3.21 |
1.05
|
2017
|
32 |
32 |
0 |
0 |
0 |
11 |
13 |
0 |
0 |
.458 |
812 |
188.1 |
186 |
31 |
72 |
3 |
7 |
151 |
6 |
0 |
103 |
94 |
4.49 |
1.37
|
2018
|
31 |
31 |
0 |
0 |
0 |
9 |
9 |
0 |
0 |
.500 |
724 |
175.2 |
122 |
26 |
84 |
3 |
9 |
162 |
2 |
3 |
80 |
77 |
3.94 |
1.17
|
2019
|
33 |
33 |
0 |
0 |
0 |
10 |
11 |
0 |
0 |
.476 |
754 |
174.2 |
148 |
22 |
83 |
3 |
14 |
162 |
5 |
1 |
81 |
74 |
3.81 |
1.32
|
2020
|
LAA
|
10 |
9 |
0 |
0 |
0 |
0 |
4 |
0 |
0 |
.000 |
149 |
31.1 |
39 |
12 |
16 |
0 |
2 |
20 |
1 |
0 |
35 |
35 |
10.05 |
1.76
|
2021
|
DET
|
1 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1.000 |
20 |
5.0 |
4 |
1 |
3 |
0 |
0 |
3 |
0 |
0 |
1 |
1 |
1.80 |
1.40
|
2023
|
MIL
|
14 |
11 |
0 |
0 |
0 |
3 |
5 |
0 |
0 |
.375 |
288 |
71.2 |
68 |
13 |
13 |
0 |
4 |
50 |
1 |
2 |
36 |
35 |
4.40 |
1.13
|
2024
|
NYM
|
1 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
|
16 |
2.2 |
6 |
1 |
2 |
0 |
0 |
3 |
0 |
0 |
4 |
4 |
13.50 |
3.00
|
MLB:13年
|
255 |
248 |
5 |
3 |
1 |
81 |
82 |
0 |
1 |
.497 |
6133 |
1470.2 |
1306 |
203 |
492 |
22 |
71 |
1260 |
28 |
8 |
675 |
629 |
3.85 |
1.22
|
- 2024年度シーズン終了時
- 各年度の太字はリーグ最高
年度別守備成績
年 度 |
球 団 |
投手(P)
|
試
合 |
刺
殺 |
補
殺 |
失
策 |
併
殺 |
守 備 率
|
2011
|
ATL
|
5 |
4 |
2 |
0 |
1 |
1.000
|
2012
|
2 |
1 |
1 |
0 |
0 |
1.000
|
2013
|
30 |
12 |
25 |
0 |
0 |
1.000
|
2014
|
33 |
16 |
32 |
0 |
2 |
1.000
|
2015
|
33 |
16 |
30 |
1 |
5 |
.979
|
2016
|
30 |
11 |
28 |
1 |
2 |
.975
|
2017
|
32 |
10 |
40 |
3 |
6 |
.943
|
2018
|
31 |
9 |
33 |
0 |
2 |
1.000
|
2019
|
33 |
4 |
25 |
0 |
0 |
1.000
|
2020
|
LAA
|
10 |
2 |
5 |
1 |
0 |
.875
|
2021
|
DET
|
1 |
0 |
1 |
0 |
0 |
1.000
|
2023
|
MIL
|
14 |
6 |
16 |
0 |
1 |
1.000
|
2024
|
NYM
|
1 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1.000
|
MLB
|
255 |
92 |
238 |
6 |
19 |
.982
|
- 2024年度シーズン終了時
- 各年度の太字はリーグ最高
記録
- MiLB
- MLB
背番号
- 43(2011年 - 同年途中)
- 57(2011年途中 - 同年終了)
- 56(2012年)
- 49(2013年 - 2020年、2023年 - 2024年)
- 50(2021年)
代表歴
脚注
注釈
出典
- ^ “スペイン語の発音記号変換ツール”. easypronunciation.com. 2019年10月6日閲覧。
- ^ “英語のIPA発音記号変換(アメリカ英語)”. tophonetics.com. 2019年10月6日閲覧。
- ^ a b Matt Eddy(2009-09-25), Appalachian League Top 20 Prospects With Scouting Reports, BaseballAmerica.com(英語), 2010年10月6日閲覧
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- ^ Carroll Rogers(2010-09-12), Teheran, Beachy minor leaguers to watch among Braves honorees, Atlanta Journal Constitutio(英語), 2010年10月6日閲覧
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- ^ 2013 Awards Voting - NL Rookie of the Year Voting - Baseball-Reference.com (英語) . 2015年12月9日閲覧。
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- ^ 24 All-Stars among initial confirmed players for 2017 World Baseball Classic MLB.com Press Release (英語) (2016年12月5日) 2017年5月1日閲覧
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- ^ “Angels' Julio Teheran delayed by positive virus test”. ESPN. (July 19, 2020). https://www.espn.com/mlb/story/_/id/29497432/angels-julio-teheran-delayed-positive-virus-test July 19, 2020閲覧。
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- ^ “JULIO TEHERÁN REFORZARÁ SULTANES DE CARA AL PLAYOFF”. Sultanes - Club de Béisbol Monterrey (2022年8月1日). 2022年8月6日閲覧。(スペイン語)
- ^ “元球宴投手テヘランがパドレスとマイナー契約 メジャー昇格なら最高で年俸8億円と米記者”. 日刊スポーツ. (2022年11月28日). https://www.nikkansports.com/m/baseball/mlb/news/amp/202211280000259.html 2023年6月1日閲覧。
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- ^ 城之井道人・出野哲也, 「2010 MLB ROOKIES PROSPECT 100 本誌激選 2010注目のメジャーリーガー100人」『月刊スラッガー』2010年8月号、日本スポーツ企画出版社、2010年、雑誌15509-08、45頁。
- ^ a b FanGraphs
- ^ Mark Bowman(2010-01-21), Highly touted Teheran set for Braves camp, MLB.com(英語), 2011年1月24日閲覧
関連項目
外部リンク
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1870年代 | |
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1880年代 | |
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1890年代 | |
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1900年代 | |
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1910年代 | |
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1920年代 | |
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1930年代 | |
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1940年代 | |
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1950年代 | |
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1960年代 | |
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1970年代 | |
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1980年代 | |
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1990年代 | |
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2000年代 | |
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2010年代 | |
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2020年代 | |
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