準大手私鉄準大手私鉄(じゅんおおてしてつ)とは、日本の民営鉄道事業者(私鉄)の分類の一つで、中小私鉄の一種。準大手民鉄とも呼ばれる。 「大手私鉄」に対する語で、中小私鉄でありながら沿線地域の発展に伴って企業が成長し、鉄道事業が大手私鉄に準ずる規模まで増大した鉄道事業者が「準大手私鉄」と呼ばれる。 準大手私鉄・準大手民鉄の語は、公的機関や報道・出版においても用いられており、国土交通省も「準大手民鉄」の呼称を用いて分類している[1]。しかし、大手私鉄、準大手私鉄および中小私鉄の明確な定義はない[2][3][4]。業界団体である日本民営鉄道協会は、協会に加盟している72社のうち、「大手民鉄」(大手私鉄)16社以外の56社を総称して「地方民鉄」(中小私鉄)と呼んでいる[4]。日本民営鉄道協会は、2000年代の中頃までは「準大手」の呼称も用いていたが、その基準が曖昧なため、現在では使っていない[3]。 大手私鉄の承認は国土交通省などの公的機関ではなく、日本民営鉄道協会が行っており、鉄道事業者からの要望を受けて同協会理事会で審議の上、承認を受ければ大手私鉄とされる[2]。そのため、日本民営鉄道協会に加盟していない鉄道事業者は事業規模にかかわらず大手私鉄とはみなされず、既に同協会に加盟していた東京地下鉄(東京メトロ)は民営化に伴い大手私鉄入りしたが、大阪市高速電気軌道 (Osaka Metro) は民営化後も同協会非加盟のため大手私鉄とはみなされない[2]。一方で、準大手私鉄とされている5社のうち神戸高速鉄道は同協会に加盟していない[注釈 1]。 また大手私鉄・準大手私鉄という場合、鉄道会社や企業グループの規模だけでなく、鉄道事業の規模が占める割合が重視される[2]。一例として、遠州鉄道グループや静岡鉄道グループ[5]は連結売上高は大きい[注釈 2]ものの、グループ全体の利益に占める鉄道事業の割合は低い[2][5]。また富士急行グループは売上高の多くを富士急ハイランドなどのレジャー産業などが占めている。こうした鉄道事業者は準大手私鉄とはみなされていない。 準大手私鉄の一覧現在の準大手私鉄2023年度現在、準大手私鉄とされているのは以下の5社である。5社の掲載順序は『鉄道要覧』に準ずる。日本民営鉄道協会(民鉄協)は、非加盟の神戸高速鉄道以外の4社を全て地方民鉄に分類している[6]。 新京成電鉄は、2025年4月1日に親会社で大手私鉄の京成電鉄に吸収合併される予定[7]。これにより、今後中小私鉄の事業者が新たに準大手私鉄に昇格が行われない限り、東日本より準大手私鉄が消滅する。 泉北高速鉄道は、2025年4月1日に親会社で大手私鉄の南海電気鉄道に吸収合併される予定[8]。同社は2014年6月30日までは大阪府などが出資する第三セクターで、社名は「大阪府都市開発[1]」であった。
過去の準大手私鉄相模鉄道は、1990年5月31日、日本民営鉄道協会より大手私鉄への昇格が承認された[19]。 また1980年代から1990年代前半には神戸電鉄においても、相模鉄道同様に大手私鉄に昇格する計画が存在した[20]。国土交通省監修・財団法人運輸政策研究機構発行の『数字でみる鉄道』によれば、2004年版までは準大手民鉄に分類されていたが、2005年版以降では中小民鉄に分類されている。
脚注注釈
出典
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