TOO MUCH LOVE
『TOO MUCH LOVE』(トゥー・マッチ・ラヴ)は、日本のシンガーソングライターである吉川晃司の3作目のベスト・アルバム。 1992年3月11日に東芝EMIのイーストワールドレーベルからリリースされた。『FAVORITE SOUNDS ...1988』(1988年)よりおよそ3年3か月ぶりとなるベスト・アルバムであり、吉川関連のアルバムリリースとしては7枚目のアルバム『LUNATIC LION』(1991年)よりおよそ10か月ぶりとなった。 1984年のデビューから1992年に至るまでにリリースされたラブ・ソングのみを収録したベスト・アルバムである。SMSレコードの消滅に伴い同社所属時代のソロ作品が廃盤となり、入手困難になったためファンからの要望に応える形で吉川がスタッフとともに選曲を行った。 本作はオリコンアルバムチャートにて最高位第1位を獲得、売り上げ枚数は20万枚を超えたため日本レコード協会からゴールド認定を受けている。本作にはテレビ朝日系深夜番組『君といつまでも』のオープニングテーマとして使用された「せつなさを殺せない」が先行シングルとして収録されている。 背景吉川晃司は1991年4月12日にソロ復帰作となるシングル「Virgin Moon」、5月17日に初のセルフ・プロデュースとなる7枚目のアルバム『LUNATIC LION』をリリースした[4]。その後同作を受けたコンサートツアー「Lunatic LUNACY TOUR 1991」を、同年5月10日の渋谷ON AIR公演を皮切りに7月24日の日本武道館公演まで21都市全25公演を実施[5]。12月11日および12日、31日には単独公演「1991 LAST SPECIAL EVENT "ROLLING VOICE-Noise1-"」を日本武道館および大阪城ホールにて実施した[4][6]。1992年2月6日には14枚目のシングル「せつなさを殺せない」をリリースした[4]。 制作選曲は俺とスタッフとで一緒に考えたけど、人が聴きたいものっていうのは、自分の思い入れと違うからね。こういうアルバムが吉川晃司のメイン・ストリームだって感じで提示されることについても、別にいいんじゃないかって思うよ。
月刊カドカワ 1993年3月号[7] 吉川は本作についてSMSレコードが消滅し所属当時の作品が廃盤になっていたことから、「買いたくても買えないよ」という要望に応えた作品として制作したと述べている[7]。また、布袋寅泰との音楽ユニットであるCOMPLEX以前の活動を知らない新たなファンからの「知らないから聞いてみたい」という要望に応えた作品であるとも述べている[8]。本作は新しいファンのためのガイダンスとして吉川とスタッフによって選曲が行われた[7]。一方で別のインタビューにおいて吉川は選曲には深く関与していないとした上で、「僕が選ぶと、個人的に好きな曲になってしまうんで、ちょっと離れたとこからピック・アップしてもらった」とも述べている[9]。 吉川は本作収録曲が自身のメイン・ストリームだと提示されても構わないとの発言を行った上で、新作である「せつなさを殺せない」が収録されていることが重要であると述べている[7]。同曲の収録に関して吉川は、「レコード会社的なこともあるんですが(笑)」とも述べている[8]。ラブ・ソングだけの選曲となったことについて吉川は、「この…シラけた時代にあえて、ちょっとテレますけど、愛だ恋だということを大事に生きたいな、と。そう思った次第ですね(笑)」と述べている[8]。また、自身のデビュー曲である「モニカ」(1984年)が収録されていないことについては、「『モニカ』はみんな、知ってるだろうってことかもしれない」とした上で、あえて収録しなかったのではという問いに対して「ないない、そんなことはないです。『モニカ』はきっと50になっても、歌っているでしょう」と述べている[9]。 構成本作はかつて吉川が所属していたSMSレコードが消滅したことで旧譜が入手困難になったこともあり、COMPLEX以降にファンになった人たちに対するアルバムであるとの前提があったことから、以前の音楽を知らない人たちのためにリミックスや再録音を行わずにデビューからの軌跡を示す狙いがあったと吉川は述べている[9]。またそれに応じて各年のアルバムからそれぞれピック・アップして収録曲が決定されたとも述べている[9]。結果として本作には以下のシングルおよびアルバムから選曲されている。
リリース、チャート成績、批評
本作は1992年3月11日に東芝EMIのイーストワールドレーベルからCDにてリリースされた。初回生産分はCDケースのディスクトレイ部分が透明になっており、トレイ面に印刷されている本人の肖像が見える仕様になっている。本作はオリコンアルバムチャートにおいて最高位第1位を獲得、登場週数14回で売り上げ枚数は25.3万枚となった[2]。 音楽情報サイト『CDジャーナル』では、ラブ・ソング・コレクションであるもののバラードばかりではなく、ビートが激しい楽曲も多く収録されていることを指摘した上で、「楽曲の内容を楽しむのはもちろん、ソングライター、アレンジャーの変遷を見ていくのも興味深い」と肯定的に評価した[10]。 収録曲CDブックレットに記載されたクレジットを参照[11]。
スタッフ・クレジットCDブックレット背面に記載されたクレジットを参照[12]。
チャート、認定
リリース日一覧
脚注
参考文献
外部リンク |