久大本線
久大本線(きゅうだいほんせん)は、福岡県久留米市の久留米駅から大分県大分市の大分駅に至る九州旅客鉄道(JR九州)の鉄道路線(地方交通線)である。「ゆふ高原線」の愛称がある[1][4]。 概要路線名の由来は久留米と大分を結んでいることから。大分駅と熊本駅を結ぶ豊肥本線とともに、九州を横断する鉄道路線である。 大分県九重町と由布市の境にある分水嶺の水分峠より西側は筑後川(三隈川)とその支流の玖珠川に沿って、東側は大分川に沿って九州を横断している。沿線には大分県の小京都といわれる日田や温泉地の由布院などの観光地を控えている。福岡県福岡市の博多駅から鹿児島本線久留米駅経由で由布院や大分・別府を結ぶ特急「ゆふ」や「ゆふいんの森」が運行されている。 2016年(平成28年)12月22日より、リアルタイム列車位置情報システム「どれどれ」が開始され、列車位置情報がスマートフォンアプリ「JR九州アプリ」で閲覧可能になった[5]。 また、運行管理システム「JACROS」を使用した自動放送を採用している久留米駅と大分駅を除いた35駅すべてに、次発案内放送・自動遠隔放送の設備がある。 国鉄時代は途中の夜明駅で日田彦山線、恵良駅で宮原線が分岐していたが、1984年(昭和59年)12月1日に宮原線が廃止され、1987年(昭和62年)の国鉄分割民営化後、日田彦山線が2023年(令和5年)8月28日に添田駅 - 日田駅間で運行を開始した日田彦山線BRT(BRTひこぼしライン)になり[注釈 1]、当線から途中駅で分岐する鉄道路線がなくなった。これにより、九州新幹線を除けば途中に分岐路線のない在来線鉄道路線として九州内で最長の路線となっている。 路線データ
久留米駅 - 豊後三芳駅間が本社鉄道事業本部直轄、豊後中川駅 - 大分駅間が大分支社の管轄である。 運行形態優等列車優等列車として、全区間で博多駅 - 由布院駅・大分駅・別府駅間の特急「ゆふ」「ゆふいんの森」が運転されている。特急は博多駅 - 久留米駅間で鹿児島本線、大分駅 - 別府駅間で日豊本線に乗り入れる。 他にD&S列車(観光列車)として「或る列車」および「かんぱち」「いちろく」も運行されているが、これらは旅行商品専用の団体専用列車である。 地域輸送全線を直通する普通列車は長らく設定がなくなっていたが、2022年9月23日ダイヤ改正で久留米発大分行き(1821D→1823D)として下り列車が1本設定された[11]。 久留米駅 - 日田駅間普通列車は基本的に久留米駅発着だが、朝には鹿児島本線の鳥栖発着の列車が上下各1本設定されている(下り列車は2022年9月23日ダイヤ改正から)。久留米駅に車両留置スペースがないため鳥栖駅まで回送されて留置され、久留米駅から営業運転に入る列車もある。この場合鳥栖駅 - 久留米駅間は回送扱いとなる。これらの列車は久留米駅の久大本線専用の2番線には構造上入線できない[12]。久留米駅 - 善導寺駅・筑後吉井駅・うきは駅間の区間運転列車も設定されており、久留米駅 - 善導寺駅・筑後吉井駅・うきは駅間は1時間に1 - 2本[注釈 2]、うきは駅 - 日田駅間は1時間に1本程度運行されている。 なお、夜明駅 - 日田駅間では平成29年7月九州北部豪雨で被災した日田彦山線をBRTによる運行とした日田彦山線BRTも利用可能であり、久大本線と日田彦山線BRTを合わせて1時間2 - 3本の運行本数となる。 ワンマン運転の場合、久留米駅 - 善導寺駅間においては、駅員配置の有無に関係なく車内精算を行わない(都市型ワンマン運転)。なお、この区間はSUGOCAでの運賃支払いができる。 日田駅 - 由布院駅間大きく分けると久留米駅・日田駅 - 豊後森駅間の列車と、日田駅 - 由布院駅・大分駅間の列車が多いが、豊後森駅 - 由布院駅・大分駅間の列車もある。久留米駅 - 豊後森駅・由布院駅間および日田駅 - 大分駅間の列車など久留米方面や大分方面の区間と直通する列車も設定されている。この区間の本数は少なく4 - 5時間ほど運行されない時間帯がある。 また、日田駅 - 天ケ瀬駅間の区間列車も設定されていたが[13][注釈 3]、2008年3月15日のダイヤ改正時には廃止されている[14]。 由布院駅 - 大分駅間この区間は由布院駅 - 大分駅間直通を1時間に1本(日中2時間ほど開く場合あり)、向之原駅 - 大分駅間の区間運転列車を1時間に1本、交互に運行するダイヤをベースとして、朝に豊後国分駅 - 大分駅間、夕方以降に庄内駅・向之原駅 - 大分駅間の区間運転列車を1-2時間に1本設定し、合わせて1時間に1本 - 2本の列車が運行されている。また、豊後森駅・日田駅 - 大分駅間を直通する列車も運行されている[15]。 ワンマン運転の場合、向之原駅 - 大分駅間では駅員配置の有無に関係なく車内精算を行わない(都市型ワンマン運転)。なお、この区間はSUGOCAでの運賃支払いができる。 2015年3月14日のダイヤ改正からは亀川発向之原行きとして日豊本線からの直通列車が設定されたが[16]、2018年3月17日のダイヤ改正で再び廃止されている[15]。 使用車両クルーズトレインを除き、すべて気動車。キロシ47形(佐世保車両センター所属)、キハ71系・キハ72系(直方車両センター所属)を除き、大分車両センター所属車。
過去の使用車両
歴史→久大本線の優等列車の沿革については「ゆふ (列車) § 久大本線優等列車沿革」を参照
大分駅 - 小野屋駅間は私鉄の大湯鉄道として開業している[24][25]。1922年に買収、国有化され大湯線(だいとうせん)となった[25]。大湯鉄道が計画していた湯平駅[26]まで延伸されたのは、第一次世界大戦の影響[24]で国有化後の1923年であった[25][27]。 大湯鉄道買収後の1923年5月に新規に着手すべき鉄道線路として「大分所管 大分日田間 久大東線」「熊本所管 久留米日田間 久大西線」が公示された[28]。これに伴い、東側は久大東線の名義で工事が実施され[29]、大湯線として1933年に天ケ瀬駅まで開業した[25][30]。 久留米駅 - 天ケ瀬駅間は久大線として開業した[31]。最初に開業したのは久留米駅 - 筑後吉井駅間で1924年に久大西線として工事が始まり[32]、1928年に久大線として開業した[33][31]。それまで久留米駅 - 豆田駅(日田町)間に私鉄の筑後軌道が走っていたが、久大線と競合するため補償を受けて1929年に廃止された。日田駅まで開業したのは1934年で、同年中に最後の区間である日田駅 - 天ケ瀬駅間が開業して久留米駅 - 大分駅間が全通した[31]。 年表大湯線(大分駅 - 天ケ瀬駅間)
久大線→久大本線
駅一覧
廃駅
過去の接続路線新駅設置計画
久留米市は、御井駅 - 善導寺駅間と田主丸駅 -筑後吉井駅間[107] において新駅設置を検討している[108]。 輸送実績平均通過人員(輸送密度)、旅客運輸収入は以下の通り。
脚注注釈出典
参考文献
関連項目 |