一青 窈(ひとと よう、1976年9月20日 - )は、東京都出身[1]の女性歌手、作詞家、女優。既婚。3児の母[2]。姉は女優・エッセイスト・歯科医の一青妙(ひとと たえ)。
来歴
東京都で生まれ、台湾に移る[1]。幼稚園卒園後に父の顔恵民を台湾に残し、母・姉と日本で生活することとなる[3]。小学2年生の時に父が癌で死去[3]。以降、母の姓の一青を名乗る。小学校高学年の頃に宮沢賢治の詩に触発され、詩を書き始める。神奈川県横浜市にある森村学園に初等部から通い、美術部とバスケットボール部に所属、生徒会では書記を務める。高校生の時に母も癌で亡くす[3]。
半年の浪人期間を経て、AO入試で慶應義塾大学環境情報学部(SFC=湘南藤沢キャンパス)に入学[注釈 1]。慶應義塾広告学研究会、ジャズ研究会、K.O.E.(アカペラサークル)に所属し、ストリートライブを行うなどした。K.O.E.で現ゴスペラーズの北山陽一と出合い、自作の詩を見せたところ「お前の詩は面白い。FAXしてくれたらいくらでも曲を付けるから歌え」と提案され、以降自分の詩で歌うこととなった[3]。
デビューする前は車椅子利用者向け情報誌『WaWaWa』[4]に創刊から携わり、詩を提供したり、同誌編集長・阿部恒世とともに福祉施設でのライブ活動を行ったりしていた[5]。
その後、福祉イベントで歌っているところをスカウトされ、2002年に「もらい泣き」でデビュー[6]。同曲がヒットし日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞、ファーストアルバム『月天心』が注目を集め数々の音楽賞や新人賞を受賞。2003年、第54回NHK紅白歌合戦に初出場。2004年、「ハナミズキ」が大ヒット。
映画『珈琲時光』主演で女優デビューし、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。
初のベストアルバム『BESTYO』を発表時の2006年、日本人アーティストとして初めてカーボンオフセットライブを逗子海岸の音魂 (Otodama Sea Studio) で行い、現在(2009年)まで毎年開催。その『BESTYO』初版もカーボンオフセットとなっている。
台湾でもCD・DVDが発売されており、『もらい泣き』『大家』『月天心』のジャケットは台湾オリジナル仕様となっている。台湾のキリンビールのCMにも出演し、台湾の愛唱歌『望春風』が使われた。
舞台演劇の音楽劇「箱の中の女」(演出岩松了、2008年12月公演)の主演を務めた。
デビュー15周年を迎た2008年にシングル『七変化』、オールタイムベストアルバム『歌祭文 〜ALL TIME BEST〜』をそれぞれリリース[7][8]。
デビュー20周年のアニバーサリーライブを2022年10月30日、中野サンプラザホールにて開催。同年12月には、8年ぶりとなるオリジナルアルバム『一青尽図』をリリース[9][10][11]。
人物・エピソード
父は台湾人、母は日本人[12]。父は九份の金鉱経営で成功し、台湾の5大財閥に数えられた顔一族の長男・顔恵民。釧路で木村炭鉱に出資し現在の太平洋興発の創設に関わる。戦前から戦後にかけて日本に長く滞在していた父と母が出会い、台湾で妙と窈が生まれた[13]。中国語の漢字名は顔窈(イエン・ヤオ)で、「顔」は父親の姓。母の姓である「一青」は母の出身地である石川県に地名としても存在する[3][注釈 2]。なおその縁で、石川県中能登町内のJR七尾線・金丸駅、能登部駅、良川駅、能登二宮駅や町外の宇野気駅、七尾駅で代表曲の一つ「ハナミズキ」が接近メロディーとして使用されている。
亡くなった母親について、「二十一世紀の音霊」にて「想いを巡らすだけで涙がでてくる」と述べており、(父親への想いを歌った曲は『大家』『ぱぱへ』などあるのに対し)母親への想いを初めて歌った曲は9thシングル『つないで手』に収録されている「ささやき並木」がある。
音楽の原点として、父と離れて暮らすようになってから、寂しさをまぎらわすため、父親から毎月送られた「ディズニーのお話のレコード」を眠る前に聞き、歌っていたことをあげている[3][14]
。母親が闘病していた際に母親とともに行ったミュージカルから音楽療法に興味を持ち、大学入試時には音楽療法についての論文を書いた。病院に野外音楽堂を建てるのが夢であるという。音楽プロデューサーの武部聡志は「一青の詞は日本一」と評した。作詞はすべて実体験に基づいているという。
日本語・北京語・英語を話せるトリリンガルである。
身長155cm[12]。小中高一貫してバスケットボール部に所属し、動きが素早かったことから「ジジ(『魔女の宅急便』に登場する黒猫)」というあだ名を付けられた。現在でもバンドメンバーとバスケットボールをすることがある。
少女時代からの中森明菜のファンであり、現在でもカラオケではよく中森の曲を歌う。台湾のR&B歌手デヴィッド・タオ(陶喆)の熱烈なファンで彼の影響も受けている。尊敬する人物は井上陽水、根本敬、阿久悠や谷川俊太郎。
座右の銘は「来る者拒まず、去る者追わず」。
環境問題に強い関心を持ち、ap bank fesなどの環境問題をテーマにしたライブに積極的に参加し、その知識や環境問題への姿勢からap bank dialogueでは出演アーティストの中で唯一ゲストとして出演する。
建築に興味があり、『ダ・ヴィンチ』などの誌上で坂茂、藤森照信、隈研吾といった幾人かの著名な建築家との対談を交わしている。
人生が変わる1分間の深イイ話に一青が投稿したエピソードによると、普段から自転車に鍵を掛けず自転車が盗難に遭うと「私が強く信じていなかったから」と考えることにしており、番組放映時点で6台盗まれているという[15]。
2015年4月27日、ギタリスト・山口周平と結婚し、妊娠4カ月であることをマスコミ各社宛ての直筆メッセージで明らかにした[16][17]。同年11月8日に第1子男児出産を公表[18]。第2子妊娠が2017年2月27日に公表され7月上旬に第2子女児を出産[19][20]。2019年5月には第3子となる次女をもうけている[21]。
吟醸酒「池月 一青(ひとと)」が石川県鹿島郡中能登町一青の鳥屋酒造株式会社から発売されている[22]。
音楽作品
シングル
CDシングル
配信シングル
アルバム
オリジナルアルバム
枚 |
発売日 |
タイトル |
順位
|
1st
|
2002年12月18日 |
月天心(つきてんしん) |
4位
|
2nd
|
2004年4月7日 |
一青想(ひとおもい) |
3位
|
3rd
|
2005年12月21日 |
&(アンド) |
5位
|
4th
|
2008年3月5日 |
Key |
3位
|
5th
|
2010年4月21日 |
花蓮街(かれんがい) |
15位
|
6th
|
2012年6月27日 |
一青十色(ひとといろ) |
23位
|
7th
|
2014年10月22日 |
私重奏(しじゅうそう) |
15位
|
8th
|
2022年12月18日 |
一青尽図(ひととづくしず) |
|
ベスト・アルバム
カバー・アルバム
枚 |
発売日 |
タイトル
|
1st
|
2012年4月8日 |
歌窈曲
|
2nd
|
2015年7月29日 |
ヒトトウタ
|
ライブ・アルバム
DVD
作詞提供
参加作品
タイアップ
出演
ライブ
- 詳細は一青窈の公演を参照
ラジオ
テレビ
- 和の絆 世界遺産モン・サン・ミッシェルに響く! 〜若き和楽器奏者たちの挑戦〜(2010年、BS日本) - ナレーター
- ごぶごぶ(2012年10月23日、2013年12月10、17日、2014年12月9日、2016年3月22日、毎日放送) - ゲスト
- ミチコ靖子窈の女子会 〜夢に唄えば〜 シリーズ(NHK BSプレミアム 2012年12月24日、2013年5月11日、2013年11月9日)
- 中居正広の金曜日のスマたちへ(2015年7月24日、TBS) - 特別篇・ゲスト[30]
テレビドラマ
- それからの海(2012年、NHK総合) - 近藤公子 役
NHK紅白歌合戦出場歴
年度 |
放送回 |
回 |
曲目 |
出演順 |
対戦相手
|
2003年 |
第54回 |
初 |
もらい泣き |
17/30 |
ゆず
|
2004年 |
第55回 |
2 |
ハナミズキ |
21/28 |
松平健
|
2005年 |
第56回 |
3 |
ハナミズキ(2回目) |
20/29 |
グループ魂
|
2007年 |
第58回 |
4 |
ハナミズキ(3回目) |
24/27 |
秋川雅史
|
2008年 |
第59回 |
5 |
はじめて |
22/26 |
北島三郎
|
* 曲名の後の(○回目)は紅白で披露された回数を表す。 * 出演順は「出演順/出場者数」を表す。
|
CM
映画
- 珈琲時光(2004年) - 主演・井上陽子 役
- 恋するイノセントマン(2006年) - バーの店員(友情出演)
- 愛と誠(2012年) - 早乙女美也子 役
- はなちゃんのみそ汁(2015年) - 松永志保 役
- 燕 Yan(2020年) - 林淑恵 役[31]
- 猫と私と、もう1人のネコ(2024年) - 清瀬環 役[32]
音楽劇
執筆
著書
雑誌の連載
- TR(トーキンロック!)
- ダ・ヴィンチ「一青窈のふむふむのヒトトキ」
- SPRING「一青窈と佇む」
- 短歌「万窈のとびら」
受賞歴
- 2003年
- 2004年
- ベストヒット歌謡祭ゴールドアーティスト賞(ハナミズキ)
- 日本有線大賞優秀賞(ハナミズキ)
- 山路ふみ子映画賞新人女優賞(珈琲時光)
- 2005年
- 2014年
- 2023年
- HEROs AWARD 2023アーティスト部門[35]
関連受賞
脚注
注釈
- ^ 面接の際にはア・カペラで"The hills are alive"を歌った。
- ^ 石川県鹿島郡中能登町一青、2005年2月28日までは石川県鹿島郡鳥屋町一青
- ^ 2007年秋公開の亡父の故郷を舞台としたドキュメンタリー映画『風を聴く〜台湾・九份物語〜』に父への想いを歌った楽曲「大家」を挿入歌として提供した。同作では実姉の一青妙もナレーターを務めている。『大家(ダージャー)』の歌詞にある「あの遊園地」は本来、一青窈が幼少の頃両親と過ごした場所である「よみうりランド」で書かれていたが、放送上の事情を考慮し、差し替えられて発表された。セカンドアルバム『一青想(ひとおもい)』やベストアルバム『BESTYO(べすちょ)』にはオリジナルの歌詞のバージョンが収録されている[23]。2006年12月3日によみうりランド内のオープンシアターEASTにて初のフリーライブ「BESTYO Free CONCERTYO(べすちょ・ふりー・こんさーちょ)」を開催、交渉にあたり歌詞差し替えの経緯を知った同園側は「名前を使われているのは光栄」と開催を快諾したという。このライブでは1万人余を動員。当日はよみうりランド遊園地の入園料が無料となった。同園が特定のアーティストのために入園無料にするのは、1964年の開園以来初めてのことであった[24][25]。
- ^ シングル「七変化」はNHK BSの時代劇ドラマ「伝七捕物帳2」の主題歌で、いきものがかりの水野良樹が書き下ろした曲である。
- ^ 7thシングル「かざぐるま」にセルフカバー版が収録。
- ^ 14thシングル「うんと幸せ」にセルフカバー版が収録。
- ^ 6thアルバム「一青十色」収録曲の楽曲提供者本人によるセルフカバー。
- ^ 4thアルバム「Key」収録曲の楽曲提供者本人によるセルフカバー。
- ^ 原曲は周杰倫(ジェイ・チョウ)。中国語詞のままカバーしていたものを、一青が日本語による訳詞を提供した。
- ^ 全編中国語詞の楽曲である。4thシングル「江戸ポルカ/夢なかば」に一部歌詞を日本語化した「生路〜CIRCUIT〜」が収録されている。また、1stシングル「もらい泣き」をリリースしてデビューする前の楽曲となる。
- ^ ゲーム『真・三國無双2』で全中国語詞の楽曲『生路〜CIRCUIT〜』をエンディングテーマとして提供。同曲は同ゲームのサウンドトラックCD『真・三國無双 究極音盤』に収録されており、後にシングル『江戸ポルカ/夢なかば』のカップリングでタイトルを『生路〜MAZE』に変え一部日本語に直して入っている。『真・三國無双4Empires』において新たなヴァージョンの『生路』がエンディングテーマに使用されている。
- ^ 11thシングル「受け入れて」収録曲の楽曲提供者本人によるセルフカバー。一青はデュエットとしても参加している。
- ^ a b 映画の出演者の歌唱も入った劇中使用のバージョンであり、一青自身の各シングル・アルバムに収録されたバージョンとは異なる。
- ^ 未音源化。
出典
外部リンク
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第8回 - 第10回 (1975年 - 1977年) | |
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第11回 - 第20回 (1978年 - 1987年) | |
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第21回 - 第30回 (1988年 - 1997年) | |
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第31回 - 第40回 (1998年 - 2007年) | |
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第41回 - 第42回 (2008年 - 2009年) | |
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第11回 - 第20回 (1969年 - 1978年) | |
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第21回 - 第30回 (1979年 - 1988年) | |
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第31回 - 第40回 (1989年 - 1998年) | |
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第41回 - 第50回 (1999年 - 2008年) | |
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第51回 - 第60回 (2009年 - 2018年) | |
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第61回 - 第70回 (2019年 - 2028年) | |
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注釈
第1回から第10回までは制定なし。第32回から第34回までは演歌・歌謡曲、ポップス・ロックの2部門に分けて発表 (ただし第32回に限り演歌、歌謡曲、ポップス、ロックの4部門に分けて発表した)。
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