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セルジュ・アロシュ

Serge Haroche
セルジュ・アロシュ
2012年、ストックホルムにて
生誕 (1944-09-11) 1944年9月11日(80歳)
フランス保護領モロッコ・カサブランカ[1](のちフランスに移住)
国籍 フランスの旗 フランス
研究機関 ピエール・エ・マリー・キュリー大学
イェール大学
コレージュ・ド・フランス
出身校 高等師範学校
ピエール・エ・マリー・キュリー大学 (Ph.D.)
博士課程
指導教員
クロード・コーエン=タヌージ
主な受賞歴 国立科学研究センター 金メダル (2009)
ノーベル物理学賞 (2012)
公式サイト
www.college-de-france.fr/site/en-serge-haroche
プロジェクト:人物伝
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ノーベル賞受賞者ノーベル賞
受賞年:2012年
受賞部門:ノーベル物理学賞
受賞理由:個々の量子系の計測と操作を可能にした画期的な手法の開発

セルジュ・アロシュ: Serge Haroche1944年9月11日 - )は、フランス物理学者。2012年に「個々の量子系の計測と操作を可能にした画期的な手法の開発」、すなわち光子の研究でノーベル物理学賞デービッド・ワインランドと共同受賞した[2][3][4]。2001年以降、アロシュはコレージュ・ド・フランス量子力学教授を務めている。

私生活

セルジュ・アロシュはカサブランカユダヤ系の家に生まれた。父はアルベール・アロシュ(1920年-1998年)、母はロシア系で旧姓 Roubleva (ロシア語: Рублёва) のヴァランティーヌ・アロシュ(1921年-1998年)である。父のアルベールは法律家であり、その両親のイーザク・アロシュとエスタ・アロシュはマラケシュ出身で、École de l’Alliance Israélite で教師として働くためカサブランカに移ってきた[5][6][7][8][9][10]。母のヴァランティーヌは教師であり、生まれは当時ウクライナ・ソビエト社会主義共和国だったオデッサである。ヴァランティーヌの両親はキシナウミンスク生まれのアシュケナジムであり、1920年代はじめにパリに移ってきた[6][11][12][13]

アロシュは1956年のモロッコ独立の際にフランスに移った。現在はパリに住んでいる。彼の妻は科学者のクローディーヌ・アロシュであり、旧姓は Zeligsonというやはりロシア系ユダヤ人の移民である。40歳、43歳の二子がある[14][15][16]

フランスのシンガー・ソングライター俳優であるラファエルは甥にあたる[17]

経歴

アロシュは1967年-1975年の間、フランス国立科学研究センター (CNRS) に研究員として務め、1972年-1973年の間はスタンフォード大学アーサー・ショーローの研究室の客員博士研究員 (visiting post-doc) だった。1975年にピエール・エ・マリー・キュリー大学(パリ第6大学)の教授となった。同時に他の機関、具体的にはエコール・ポリテクニーク(1973年-1984年)、ハーバード大学(1981年)、イェール大学(1984年-1993年)でも教鞭を執っている。1994年-2000年の間は高等師範学校の物理学部長を務めた。

2001年以降、アロシュはコレージュ・ド・フランス量子力学教授を務めている。彼はフランス物理学会 (Société Française de Physique)、ヨーロッパ物理学会の会員であり、アメリカ物理学会フェロー・会員である。

2012年9月、アロシュは同僚らによってコレージュ・ド・フランスの学長に選出された[18]

2012年10月9日、アロシュのノーベル物理学賞受賞が発表された。アメリカの物理学者デービッド・ワインランドとの共同受賞であり、個々の量子系の計測と操作に関する研究が授賞理由とされた。

研究

アロシュの主な研究領域は原子物理学量子光学である[19][20][21][22][23][24][25]。1996年にパリの高等師範学校で同僚らと共同研究を行ない、実験観察によって量子デコヒーレンスを実証したことで最も知られる。

クロード・コーエン=タヌージ(ノーベル賞受賞者)の指導を受けて1967年から1971年にかけてドレス原子 (dressed atoms) に関する博士論文を著したのち、1970年代にアロシュは量子ビート英語版超放射の研究をもとに分光法の新しい手法を編み出した。そしてリュードベリ原子英語版の研究に移った。この大型原子状態はマイクロ波の影響を受けやすく、その性質が光と物質の相互作用を調べるのに役立った。数個の光子を格納した超伝導キャビティ(共振器)でリュードベリ原子を扱うことにより、リュードベリ原子が量子デコヒーレンスの検証、および量子情報の処理で必要となる量子論理演算の実現に適していることをアロシュは示した[26]

受賞歴

ノーベル賞受賞講演を終えて

出典

  1. ^ Serge Haroche – Biographical”. Royal Swedish Academy of Sciences. 2013年1月12日閲覧。
  2. ^ “ノーベル物理学賞に米仏2氏 量子物理学の発展に貢献”. 朝日新聞デジタル. (2012年10月9日). http://www.asahi.com/special/nobel/TKY201210090502.html 2020年2月27日閲覧。 
  3. ^ a b Press release – Particle control in a quantum world”. Royal Swedish Academy of Sciences. 2013年1月12日閲覧。
  4. ^ Haroche, Serge (2012). “The secrets of my prizewinning research”. Nature 490 (7420): 311–311. doi:10.1038/490311a. ISSN 0028-0836. 
  5. ^ French Jew, American researcher share Nobel Prize in Physics” (英語). Jewish Telegraphic Agency (2012年10月9日). 2013年1月12日閲覧。
  6. ^ a b Réfugié Juif d’un pays arabe, Serge Haroche remporte le Nobel de Physique” (フランス語). JSSNews (2012年10月9日). 2013年1月12日閲覧。
  7. ^ Genealogy of the Haroche and Roublev families”. MyHeritage.com. 2013年1月12日閲覧。
  8. ^ Laskier, Michael M. (1983) (英語). The Alliance Israélite Universelle and the Jewish Communities of Morocco: 1862-1962. New York: State University of New York Press. p. 192. https://books.google.co.jp/books?id=2ngrRcV7XPgC&pg=PA192&lpg=PA192&dq=isaac+Haroche&source=bl&ots=A4enixw4D1&sig=JQj2_JkwiYwo-829WDhUj_K9iVM&hl=en&sa=X&ei=s3p0UPDKBPS30AGN6IGQAQ&redir_esc=y#v=onepage&q=isaac%20Haroche&f=false 2013年1月12日閲覧。 
  9. ^ MAROC LXXV E 2.25”. Europeana. 2013年1月12日閲覧。
  10. ^ French Jew wins 2012 Nobel Prize in Physics along with American colleague” (英語). European Jewish Press (2012年10月9日). 2013年1月12日閲覧。
  11. ^ Jean-Louis Beaucarnot (2012年10月9日). “Origines et généalogie de Serge Haroche, prix Nobel de physique” (フランス語). La Revue française de Généalogie. 2013年1月12日閲覧。
  12. ^ alexandra j. wall (2004年6月4日). “New Jewish Agenda founder Roublev dies at 69” (英語). jweekly.com. 2013年1月12日閲覧。
  13. ^ Columbia University School of Public Health and Administrative Medicine, class of 1958 (p. 30)” (英語). 2013年1月12日閲覧。: Alexander Roublev, M.D. (Serge Haroche's grandfather)
  14. ^ Claudine Haroche (Zeligson)” (フランス語). Institut interdisciplinaire d'anthropologie du contemporain. 2013年1月12日閲覧。
  15. ^ Marriage of Louis Zeligson and Raymonde Sandberg, Serge Haroche's in-laws” (フランス語). Le Figaro (1936年). 2013年1月12日閲覧。
  16. ^ Obituary of Raymonde Zeligson (née Sandberg)” (フランス語). Le Monde (2008年3月8日). 2013年1月12日閲覧。
  17. ^ Die Nobelpreisträger 2012” (ドイツ語). Handelsblatt (2012年10月11日). 2013年1月12日閲覧。
  18. ^ a b セルジュ・アロシュ氏、新たなノーベル物理学賞フランス人受賞者”. 在日フランス大使館 (2012年10月18日). 2013年1月17日閲覧。
  19. ^ “The secrets of my prizewinning research”. Nature 490 (7420): 311. (October 2012). doi:10.1038/490311a. PMID 23075943. https://doi.org/10.1038/490311a. 
  20. ^ “Real-time quantum feedback prepares and stabilizes photon number states”. Nature 477 (7362): 73–7. (August 2011). doi:10.1038/nature10376. PMID 21886159. https://doi.org/10.1038/nature10376. 
  21. ^ “Reconstruction of non-classical cavity field states with snapshots of their decoherence”. Nature 455 (7212): 510–4. (September 2008). doi:10.1038/nature07288. PMID 18818653. https://doi.org/10.1038/nature07288. 
  22. ^ “Progressive field-state collapse and quantum non-demolition photon counting”. Nature 448 (7156): 889–93. (August 2007). doi:10.1038/nature06057. PMID 17713527. https://doi.org/10.1038/nature06057. 
  23. ^ “Quantum jumps of light recording the birth and death of a photon in a cavity”. Nature 446 (7133): 297–300. (March 2007). doi:10.1038/nature05589. PMID 17361178. https://doi.org/10.1038/nature05589. 
  24. ^ “A complementarity experiment with an interferometer at the quantum-classical boundary”. Nature 411 (6834): 166–70. (May 2001). doi:10.1038/35075517. PMID 11346787. https://doi.org/10.1038/35075517. 
  25. ^ Jean-Michel Raimond; Serge Haroche (2006). Exploring the quantum: atoms, cavities and photons. Oxford: Oxford University Press. ISBN 0-19-850914-6 
  26. ^ 古田彩 (2012年10月10日). “ノーベル物理学賞 量子力学の基礎実験の最高峰 光子/イオンの状態を操り、測る”. 日経サイエンス. 2013年1月13日閲覧。
  27. ^ Franklin Laureate Database – Albert A. Michelson Medal Laureates”. Franklin Institute. 2012年4月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年1月12日閲覧。
  28. ^ Charles Hard Townes Award” (英語). The Optical Society. 2013年1月12日閲覧。

関連項目

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