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アラバマ・ソング

アラバマ・ソング
楽曲
英語名Alabama Song
作詞者
作曲者クルト・ヴァイル

アラバマ・ソング」 (Alabama Song[注釈 1]) は、ベルトルト・ブレヒトによって書かれた詩である。1925年にブレヒトと親しいエリーザベト・ハウプトマンが英語に訳したものが、1927年に出版された詩集『家庭用説教集』に掲載され、同年にクルト・ヴァイルが演劇『小マハゴニー』のために作曲を手がけた。1930年のオペラ『マハゴニー市の興亡』でも使用されたほか、ドアーズデヴィッド・ボウイらによってカバーされた。

オリジナル・バージョン

「アラバマ・ソング」
ロッテ・レーニャシングル
B面 Denn wie man sich bettet
リリース
規格 SPレコード
録音 1930年2月24日
ジャンル オペラ
レーベル ホモコード英語版
作詞・作曲
  • ベルトルト・ブレヒト(作詞)
  • クルト・ヴァイル(作曲)
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「アラバマ・ソング」は、元々ドイツ語の詩として描かれた作品で、1925年に作家のベルトルト・ブレヒトのためにブレヒトの親しい協力者であるエリーザベト・ハウプトマンが英訳[2]したものが、マルティン・ルターの説教集のパロディであるブレヒトの『家庭用説教集』(1927年)に掲載された[3]。1927年にクルト・ヴァイルが『小マハゴニー』のために作曲を手がけ、この楽曲は1930年に上演された『マハゴニー市の興亡』でも使用された[4]

ヴァイルの妻である女優のロッテ・レーニャが、1927年に上演された『小マハゴニー』でジェシー役として披露[5]。1930年2月24日に[6]ホモコード英語版のためにレコーディングが行われた[7]。同年にウルトラフォンのために再録音され、1930年にライプツィヒでの『マハゴニー市の興亡』の初演に合わせて発売されたが、同公演にはレーニャは出演していない[8]。レーニャは生涯にわたって本作を演奏し続け、1955年には『Lotte Lenya Sings Kurt Weill (Lotte Lenya sigt Kurt Weill)』(アメリカでは『Berlin Theater Songs』)というアルバムを発売している[7]

ドアーズによるカバー

アラバマ・ソング
ドアーズ楽曲
収録アルバムハートに火をつけて
英語名Alabama Song (Whisky Bar)
リリース1967年1月4日[9]
録音1966年8月
ジャンル
時間3分20秒
レーベルエレクトラ・レコード
作詞者ベルトルト・ブレヒト
作曲者クルト・ヴァイル
プロデュースポール・A・ロスチャイルド
ハートに火をつけて 収録曲
20世紀の狐
(A-4)
アラバマ・ソング
(A-5)
ハートに火をつけて
(A-6)

1966年にロックバンドのドアーズによって録音され、タイトルが「Alabama Song (Whisky Bar)」に変更されている。ドラマーのジョン・デンズモアとギタリストのロビー・クリーガーによると、本作のカバーはキーボーディストのレイ・マンザレクの提案によるもので、他のメンバーがメロディに不満を持ったことから変更を加えたとのこと[11][14]。レコーディングにおいて、マンザレクはオルガンキーボード・ベース英語版に加えて、マーキソフォン英語版も演奏している[15]

ドアーズによるカバー・バージョンは、カーニバル英語版からの影響[13]のほか、アヴァンギャルド[10][11]スカ[12]サイケデリア[12]を融合した音楽スタイルとなっている。リード・シンガーであるジム・モリソンは、2番のヴァースの「Show us the way to the next pretty boy」というフレーズを「Show me the way to the next little girl」に変えているが[16]、1967年に発売された『Live at the Matrix』に収録されているライブ音源では原曲と同じく「next pretty boy」と歌っている[17]

演奏

※出典[14][15][18]

デヴィッド・ボウイによるカバー

「アラバマ・ソング」
デヴィッド・ボウイシングル
B面 スペイス・オディティ (再録音)
リリース
録音
  • 1978年7月2日
  • Good Earth Studio
ジャンル ロック
時間
レーベル RCAレコード
作詞・作曲
  • ベルトルト・ブレヒト(作詞)
  • クルト・ヴァイル(作曲)
プロデュース
チャート最高順位
デヴィッド・ボウイ シングル 年表
  • ジョン、アイム・オンリー・ダンシング (アゲイン)
  • (1979年)
  • アラバマ・ソング
  • (1980年)
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デヴィッド・ボウイは、かねてよりブレヒトを敬愛しており、1978年の『アイソラーII・ツアー』のセットリストに本作を加えて演奏していた[20]。ツアー終了後の1978年7月2日にロンドンにあるGood Earth Studioで本作のレコーディングが行なわれ[21]、1980年2月15日にRCAレコードからシングル盤として発売された[22]

型破りとも言える転調により、音楽ジャーナリストのロイ・カー英語版は「運よく流れたラジオ番組を混乱させるために作られたような曲」と述べている[23]。シングル盤のB面には「スペイス・オディティ」のアコースティックバージョンが収録された[24]。シングル盤は、全英シングルチャートで最高位23位を獲得[19]

2020年には40周年を記念した7インチ・ピクチャー・ディスクが発売され、AA面には1978年7月18日の『アイソーラーII・ツアー』のアールズ・コート公演のサウンドチェック時に録音された「ライオンのジョー」と、同公演での「アラバマ・ソング」のライブ音源[注釈 2]が収録された[20]

ボウイによるカバー・バージョンは、後に『ザ・シングルス・コレクション』(1993年)や『ザ・ベスト・オブ・デヴィッド・ボウイ 1980/1987英語版』(2007年)などのベスト・アルバムにも収録された[25]。1980年初頭に日本限定で発売されたシングル盤『クリスタル・ジャパン』にも収録され[26]、1992年に再発売された『スケアリー・モンスターズ』にボーナス・トラックとして収録された[27]

ライブでは前述の『アイソーラーII・ツアー』のほかにも、1990年の『サウンド+ヴィジョン・ツアー[28]や、2002年の『ヒーザン・ツアー英語版[29]でも演奏された。

その他のアーティストによるカバー

脚注

注釈

  1. ^ Moon of Alabama」、「Moon over Alabama」、「Whisky Bar」というタイトルでも知られている[1]
  2. ^ 2018年に発売されたライブ・アルバム『ウェルカム・トゥ・ザ・ブラックアウト〜ライヴ・ロンドン'78英語版』に収録されている音源とは別のパフォーマンス[20]

出典

  1. ^ Guilbert, Georges-Claude (2018). Gay Icons: The (Mostly) Female Entertainers Gay Men Love. McFarland, Incorporated, Publishers. p. 193. ISBN 1-4766-7433-7 
  2. ^ Willett & Manheim 1990, p. 223.
  3. ^ Farina 2013, p. 38.
  4. ^ Goldsmith, Melissa Ursula Dawn (2019). Listen to Classic Rock! Exploring a Musical Genre. ABC-CLIO. p. 93. ISBN 1-4408-6579-5 
  5. ^ Top 10 Famous Songs With Unknown Originals”. listverse.com. Listverse Ltd (2012年7月31日). 2021年10月18日閲覧。
  6. ^ Schleifer, Bernard; Farneth, David; Juchem, Elmar (2000). Kurt Weill: A Life in Pictures and Documents. Harry N. Abrams. p. 105. ISBN 0-8795-1721-2 
  7. ^ a b Lotte Lenya Discography”. The Kurt Weill Foundation for Music. 2021年10月18日閲覧。
  8. ^ Lenya (Media notes). Lotte Lenya. Bear Family Records. 1998. p. 32..
  9. ^ Music – The Doors”. thedoors.com. The Doors Property, LLC. 2021年10月18日閲覧。
  10. ^ a b Jones 2015, p. 52.
  11. ^ a b c Childed 2018.
  12. ^ a b c d Matijas-Mecca 2020, p. 76.
  13. ^ a b Luhrssen & Larson 2017, p. 95.
  14. ^ a b The Doors (2008). Classic Albums: The Doors (DVD). Eagle Rock Entertainment.
  15. ^ a b The Doors (2008). Classic Albums: The Doors [Extras] (DVD). Eagle Rock Entertainment.
  16. ^ Weidman, Richie (2011). The Doors FAQ: All That's Left to Know About the Kings of Acid Rock. Rowman & Littlefield. p. 141. ISBN 978-1617131141. https://books.google.com/books?id=wNCGDwAAQBAJ&pg=PT141 
  17. ^ Live at the Matrix 1967”. Thedoors.com. 2015年9月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月18日閲覧。
  18. ^ The Doors (Album notes). The Doors. New York City: Elektra Records. 1967. Back cover. ELK-4007。
  19. ^ a b Official Singles Chart Top 75”. Official Charts Company. 2021年10月18日閲覧。
  20. ^ a b c David Bowie(デヴィッド・ボウイ)、未発表音源“Alabama Song”を収録した7インチ・ピクチャー・ディスク”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード (2020年1月22日). 2021年10月18日閲覧。
  21. ^ Pegg, Nicholas (2016) [2000]. The Complete David Bowie. Titan Books. p. 37. ISBN 1-7856-5533-7 
  22. ^ Griffin, Roger (2016). David Bowie: The Golden Years. Omnibus Press. p. 593. ISBN 0-8571-2875-2 
  23. ^ Carr, Roy; Murray, Charles Shaar (1981). David Bowie: An Illustrated Record. Avon. p. 108. ISBN 0-3807-7966-8 
  24. ^ David Bowie: Critical Perspectives. Taylor & Francis. (2015). p. 58. ISBN 1-3177-5448-4 
  25. ^ Buckley 2015, p. 145.
  26. ^ Gilbert, Pat (2017). Bowie: The Illustrated Story. Quatro Publishing Group USA. p. 157. ISBN 0-7603-5961-X 
  27. ^ Pegg 2012, pp. 926–927.
  28. ^ Pegg 2012, p. 1068.
  29. ^ Pegg 2012, pp. 1480–1481.
  30. ^ a b c Terrail 2013, p. 43.
  31. ^ Dalida site Officiel - Alabama song”. Dalida site Officiel. 2013年10月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月18日閲覧。
  32. ^ 湯浅学『ドライブ・スルー・アメリカ』(ライナーノーツ)柳原幼一郎、イーストワールド、2012年。 
  33. ^ Travelling Light - Lesley Garrett | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2021年10月18日閲覧。
  34. ^ 芳垣安洋率いるOrquesta Libre、スタジオ・アルバムを2作同時リリース”. OTOTOY. 株式会社オトトイ (2012年7月4日). 2021年10月18日閲覧。

参考文献

外部リンク

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