アンダー・プレッシャー
「アンダー・プレッシャー」 (Under Pressure) は、イギリスのロック・バンドであるクイーンと、イギリスのミュージシャンであるデヴィッド・ボウイの共作による楽曲。 1981年にEMIとエレクトラ・レコードよりシングルでリリースされ、後にクイーンのアルバム『ホット・スペース』にも収録された[注 1]。またヴァージン・レコードのデヴィッド・ボウイのアルバム『レッツ・ダンス』のリマスターCDにボーナス・トラックとして収録されている他、双方のベストアルバムにもたびたび収録されている。 解説当初ボウイは、クイーンの「クール・キャット」にバッキング・コーラスで参加する予定だった[3]。レコーディングが行なわれたが、双方出来に満足せず、最終ミックスから削除された。その後2組によるジャムセッションが行なわれた後[4][5]、ボウイが「こんな馬鹿げた事をしてないで、一緒に曲を書こうよ。」とクイーンを誘った[3]。 ボーカルの高音パートはフレディー・マーキュリー、低音パートはボウイが担当。また、この楽曲の特徴的なベースラインについて、ジョン・ディーコンは1982年に発行されたミュージック・ライフ誌にて「ボウイが作った」とコメントしているが、ボウイは「関与する前からすでに存在していた」と語っている[6]。 全英シングルチャートでは、クイーンとしては「ボヘミアン・ラプソディ」(1975年)以来2作目、ボウイとしては「スペイス・オディティ」(1975年)、「アッシュズ・トゥ・アッシュズ」(1980年)に次ぐ3作目の1位を獲得するなど大ヒットした。一方で、アメリカのBillboard Hot 100では29位と低調だった[3]。 1993年にアメリカで発売されたボウイの『The Singles 1969 To 1993 featuring His Greatest Hits』、及び1994年にアメリカで発売されたクイーンの『クラシック・クイーン』には、別ミックスで収録されている。 最後に「This is our last dance」という部分が、一度だけのものと、二度繰り返すものがある。 ミュージック・ビデオミュージック・ビデオを制作した当時は、クイーンもボウイもツアー中であったため、メンバーの演奏シーンが存在しない。 『吸血鬼ノスフェラトゥ』、『戦艦ポチョムキン』など、1920年代の無声映画の1シーンやビル崩壊・人ごみ・世界恐慌時のニューヨークの失業者の様子から抗争の映像[注 2]、そして曲の後半部分には色々な映画のキスシーンを収めている。建物の崩壊の映像は映画『コヤニスカッツィ』でも使用されている。 このミュージック・ビデオは、2003年にスラント誌が発表した「The 100 Greatest Music Videos of All Time 」の第27位にランクインしている[7]。 ライブでの演奏共同作品となっている楽曲だが、この曲をライブで演奏したのはクイーンのみだった。1981年から演奏されはじめライブの定番曲だった。 この様子は『伝説の証/クイーン1981』や『オン・ファイアー/クイーン1982』、『クイーン・ライヴ!!ウェンブリー1986』などで見ることができる。 1986年のヨーロッパ/全英ツアーより7月27日のハンガリーのブダペスト公演で演奏された模様がNHK-BS『黄金の洋楽ライブ』で放映された。 1992年のフレディ・マーキュリー追悼コンサートでは、ボーカルにデヴィッド・ボウイとユーリズミックスのアニー・レノックスを迎えて演奏された[8]。 その後もボウイは自身のライブなどでは全く歌わなかったが、1995年のアウトサイド・ツアーから曲目に加えた。マーキュリーのパートはベーシストのゲイル・アン・ドロシーが担当している。 プレイヤー
シングル収録曲7インチシングルCD
その他1990年に本作の特徴的なベースラインをサンプリングしたヴァニラ・アイスのシングル「Ice Ice Baby」がヒットした。しかし、クレジットにクイーンやボウイの名が表記されておらず、無許可でサンプリングを行なったことによりヴァニラ・アイスが提訴され、アイス側が敗訴した[9]。 1999年12月6日にこの楽曲のリミックスバージョン「アンダー・プレッシャー (Rah Mix)」が、カップリングに「ボヘミアン・ラプソディ」「サンク・ゴッド・イッツ・クリスマス」を収録して、発売された。英国では14位、オランダでは19位にランクインした。後にコンピレーション・アルバム『グレイテスト・ヒッツIII 〜フレディー・マーキュリーに捧ぐ〜』に収録されている。 2004年、アメリカ映画『ガール・ネクスト・ドア』で挿入歌として使用された。 2005年、マイ・ケミカル・ロマンスがザ・ユーズドとのコラボレーションでカバー。 2005年、ジョス・ストーンがクイーンのトリビュート・アルバム「キラー・クイーン・ア・トリビュート・トゥ・クイーン」でカバー。 2011年に公開されたアニメ映画『ハッピー フィート2 踊るペンギンレスキュー隊』では、登場キャラクターが本作を合唱するシーンがある[10]。 2017年のアメリカ映画『アトミック・ブロンド』で劇中歌として使用された。 2018年に公開されたクイーンを題材とした映画『ボヘミアン・ラプソディ』では、ミュンヘンにある邸宅でマーキュリーがマネージャー兼愛人のポール・プレンターを解雇するシーンで使用された[5]。同映画のサウンドトラック盤『ボヘミアン・ラプソディ (オリジナル・サウンドトラック)』にも収録されている。 2022年に公開されたイギリス・アメリカ合作映画『aftersun/アフターサン』の終盤で、主人公である父娘が踊るシーンで使用された。 脚注注釈出典
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