Umie
umie(ウミエ)は、兵庫県神戸市中央区・神戸ハーバーランドにあるイオンモール株式会社運営のショッピングセンターである。 概要六甲山側から順に「NORTH MALL」・「SOUTH MALL」・「MOSAIC」の3棟で構成されている。これらは元々別の商業施設(それぞれ「Ha・Re」、「神戸阪急」、「神戸モザイク」)だったが、いずれも売上の低迷などの改善すべき課題を抱えていることから、一部のテナントの入れ替えや施設の名称を統合[4]した上で、2013年(平成25年)4月18日にリニューアルオープンした。 店舗数は3館合わせて225で、リニューアル当日にはオープン前から約1500人もの来場客が行列を作った[5]。 リニューアルに際して、新たにイオンモールが運営に参画している[4]が、施設内には2017年まで『イオン』を初めとするイオン系列の店舗は原則として出店していなかった[注釈 1]。同社によると、年間1500万人の来客を見込んでいる[6]。 地下駐車場内に無料の電気自動車用充電器(200V急速・CHAdeMO)を2台設置している。会員登録などは必要ない[3]。 NORTH MALL(北館)神戸ハーバーランドの街開きの翌月、1992年(平成4年)10月1日に『ダイエーハーバーランドシティ』と『Kou'Sホールセールメンバーシップクラブ』(神戸ハーバーランド店)として開業[7]。 『Kou'S』は会員制のホールセールクラブ業態で、チェーン化される前、全国に先駆けて営業していた。1994年(平成6年)4月までに16万人の会員を集めていた[8]が、1995年(平成7年)1月17日の阪神・淡路大震災の発生により営業を停止し、ポートアイランド・エキゾティックタウンにあった『バンドール』(ディスカウントストア業態)の跡地に独立移転した[9]。当店には震災の対策本部が置かれ、翌日(同年1月18日)には一部フロアの営業を再開した[10]。 『Kou'S』の撤去跡地には、より専門性の高い商品を取り揃えた『ダイエーハーバーランド店』が、ビルの修復を経て同年11月10日に営業を再開した[11][注釈 2]。 その後は2003年(平成15年)8月22日のソフマップの移転などのテコ入れが図られた[12]が振るわず、2006年(平成18年)9月末の契約満了[13]を前に、ダイエーの事業再生計画に基づく不採算店閉鎖の一環として2005年(平成17年)11月30日をもって閉店して撤退した[14]。 約1年間の閉鎖を経て、2006年(平成18年)11月22日の1階と地下1階に売り場面積約10,000m2のイズミヤ[13][15]を初めとする新たなテナントが同年11月16日から順次開業し、三菱倉庫傘下の『ディエヌ建物管理』が運営する新たなショッピングセンターとして2007年(平成19年)3月30日に『Ha・Re』(ハ・レ)として開業[16]。約6年間にわたって営業を続けた。 『イズミヤハーバーランド店』は10年間の契約期間を満了し、将来的に収益が見込めない事を理由に2016年7月16日を以て閉店[17]。その後、ダイエーからイズミヤへ移行した時と同様に約1年間の閉鎖を経て、イオンリテールが運営する『イオンスタイルumie』がグランドオープン。約300席のイートインスペースを有する食料品中心の店舗となっている[18]。 NORTH MALL(東館)1992年(平成4年)10月に星電社が約20億円を投じたハーバーランド店を開業[19][20]。 1995年(平成7年)3月には、震災で入居するビルが倒壊した三宮本店[21]にあった『PC-PORT神戸』が移転する形でオープンした(三宮本店側も、再開店時に『PC-PORT三宮』としてリニューアル)。 2000年(平成12年)7月、集客力の低下を理由に星電社は閉店[19][21]。その約5ヶ月後の2000年(平成12年)12月9日にコムサストア・神戸ハーバーランド店がオープンした[22]。関西初の直営店でもある。 その後、別店舗の「神戸店」が現在の北館2階に開店し、しばらくの併存を経て2007年(平成19年)4月20日に閉店。Ha・Reの東館として編入され、現在の『umie』に至る。 SOUTH MALL
1992年(平成4年)10月1日に百貨店の『神戸阪急』が開業した[23]。 開業当初総投資額は神戸西武の倍以上で、後年の博多阪急を上回る約250億円。売上目標は年商260億円で、外商にも注力した地域密着型の営業活動を行うことで、7-8年での累積一掃を目指していた。 外観は、フランスの豪華客船であるノルマンディー号をヒントに設計され[27]、店内中央には1階から6階までの高さ62メートル、直径16メートルもの吹き抜け「ロタンダ」があった。英国の環境保護団体「ザ・ナショナル・トラスト」の化粧品や家具、食器を扱うショップ、神戸市の要請を受けて設置した[23]、英国のヴィクトリア・アンド・アルバート美術館と提携した展覧会を開くミュージアム(700平方メートル)、などを設置して文化性を強調し、低価格品を中心とする神戸西武に対して差別化を図った。ターミナル立地である阪急百貨店の他店舗に対しても[注釈 3]、ベイエリアに立地することから、外商顧客らがゆったりと買い物できる店舗を目指した[28]。一方、それまで「神戸阪急」とも呼ばれていた阪急百貨店神戸支店(三宮阪急。営業面積2200平方メートルで、1994年3月期の売上高は33億円[29])は店舗面積が狭いものの、好立地で親しまれていることから、食料品中心の店舗に転換して棲み分けを図った[26]。 オープニングセレモニーには、東宝芸能に所属する沢口靖子や、宝塚歌劇団雪組スターの一路真輝、トップ娘役の紫ともをはじめとする生徒が参加し、阪急百貨店の社長や副社長とともにテープカットを行った[27]。 当初は午前10時から午後7時までの営業だったが、開店後1時間の客はわずかだった。このため、1993年(平成5年)10月1日より平日については[30]、午前11時開店に開店時間を繰り下げることで夕方の接客を手厚くすることにした。 復興契機による活性化阪神・淡路大震災の発生後は、建物、店内設備、什器、商品に大きな損害を受けたことから、全館で営業を停止した。 しかし、震災以前からの百貨店らしい高級品に加え、手ごろな商品も扱うように品揃えを変更したうえで、同年3月10日午前11時から地上3階までの低層階で、同年4月26日には全館で営業を再開した[27]。兵庫県内では地震発生数日後から川西阪急や宝塚阪急が営業していたが、神戸市中心部にある百貨店の中では一番乗りであった。3月10日の再オープン時には来店客には富山県砺波市から贈られたチューリップの花が配られた。 そごう神戸店や大丸神戸店も建物の一部が損傷して部分営業にとどまっていたので、ハーバーランド地区が神戸の都心として注目されるきっかけとなった[23]。こうしたことから、1997年(平成9年)3月期には年間売上目標をほぼ達成した[31]。 なお、三宮阪急は、入居する神戸阪急ビルが崩壊し、同ビル内にある三宮駅を発着する阪急神戸本線の復旧を優先するため、閉鎖に至り[29]、1936年(昭和11年)オープンの「三宮食料品店」時代からの歴史に幕を閉じた[27][注釈 4]。 客離れによる経営悪化開業当初は開店の半年前(1992年・平成4年4月)に設立された子会社の「株式会社神戸阪急」により運営されていた。登記上の本店は親会社の阪急百貨店と同一の場所にあった[26]。1998年以降の売上低迷もあって債務超過になり、2001年(平成13年)12月に阪急百貨店(当時)に営業を引き継ぎ、株式会社神戸阪急は会社清算した[32]。 2005年(平成17年)、現在のNORTH MALLに入居していたダイエーが撤退[33]したことで、街開き当初から営業を続けている大型商業施設は当店とグループ企業の阪急商業開発が運営する『神戸モザイク』(当時)のみになるなど、店舗の入れ替わりにより大きく客層が変化していった[34]。こうした客層の変化などに対応するため、2004年(平成16年)にはアカチャンホンポを誘致したり[34]、2006年(平成18年)2月1日にグループのスーパーマーケット『阪急オアシス』を入居させたり[35]、2006年(平成18年)3月期に子供関連売場のエンターテインメント性を強化[32]したりなどのテコ入れを行った[34]。 しかし、実際にはうめだ本店で人気の商品が中心に販売されるなど、地元のニーズには応えきれず[36]、1997年(平成9年)3月期に259億円に上った売上高[31][37]はマイナスが続き、2011年(平成23年)3月期には91億4300万円[25]にまで落ち込んでいた。1995年(平成7年)と1996年(平成8年)度を除いて毎年赤字が続いた[24]。このため、エイチ・ツー・オーリテイリングは営業を継続するのは困難と判断し、2011年(平成23年)5月12日、賃貸借契約の切れる2012年(平成24年)9月30日までに神戸阪急を閉店させることを正式に発表。そして同年10月27日、閉店日を2012年(平成24年)3月11日にすることを発表した[25]。2011年(平成23年)12月14日からは閉店セールが行われ、セール期間中の入店者数は前年同期比1.5倍、売上は倍増した[24]。 そして2012年(平成24年)3月11日20時、1階山側正面出入口にて閉店セレモニーが行われ、20時35分にシャッターが下ろされて閉店した[38]。その後は約1年間の空白期間を経て、『umie』の一部に編入された。 なお、阪急百貨店は約7年半の空白期間を挟み、2019年(令和元年)10月に旧・そごう神戸店の店名変更で神戸市中央区に再進出した。店名は同じ「神戸阪急」である[39]。 当時のフロア構成
歴代社長
MOSAIC→詳細は「umie MOSAIC」を参照
フロア構成2013年(平成25年)4月現在。特記しない限り、各店共に『umie』へのリニューアル以前から引き続き営業している。 NORTH MALL
SOUTH MALL
過去NORTH MALL(ダイエー)
NORTH MALL(星電社)交通アクセス関連項目
脚注注釈
出典
外部リンク |