MediaWiki
MediaWiki(メディアウィキ)は、GNU General Public Licenseで配布されるウィキソフトウェアである。PHPで書かれており、データベースとしてMySQLやPostgreSQL、またはSQLiteを使用する。また、MariaDBにも対応している[1][2]。 概要MediaWikiは、ウィキペディアのためにマグナス・マンスキーらによって作成された。最初はUseModWiki (別名"Phase I") を使用していたが、2002年1月25日に新しいバージョン ("Phase II") に切替えられた。その日は、ウィキペディアコミュニティー内では、新ソフトウェアの原作者にちなんでMagnus Manske Day(マグナス・マンスキーの日)と呼ばれている。 Phase IIソフトウェアを書き直して改良したものは、一時「Phase III」と呼ばれていた。このソフトウェアは、それがウィキペディアだけでなく他のプロジェクトにも使用可能であり、バージョン番号の必要性があるという背景により、MediaWikiと改名された。この名前は、ウィキペディアの母組織であるウィキメディア財団をもじったものである。プロジェクトに新たに参加した人を混乱に招くという理由で、この名称のウィキメディアとの類似性がしばしば非難されている。 開発史ウィキペディア立ち上げ当初の2001年1月は、UseModWikiという既存のソフトウェアで駆動しており、記述はPerlを採用してすべてのウィキページをテキスト形式で保存していた。ところがすぐに機能面でもパフォーマンスでも制約の多さが目につき始めた。2001年半ばにはマグナス・マンスキーという当時ウィキペディアの編集者でケルン大学在籍の大学生開発者が、ウィキペディアに使うUseModWikiの代替となるソフトウェアを書き始める。PHPを使用し情報はすべてMySQLデータベースに保存、英語版ウィキペディアには2002年1月に実装し、他の言語版ウィキペディアのサイトでも徐々に実装が進んでいく。このソフトウェアが「PHPスクリプト」あるいは「phase II」と呼ばれたことから、UseModWikiには「phase I」という別名が与えられた。 英語版ウィキペディアへの実装が2001年11月の新ソフトウェアメタ・ウィキペディア実装の直後ではなく、また、すぐに英語版ウィキペディアに展開したいという希望が集まった[3]のに翌年まで延びた背景には、クリスマス前に期末試験を控えたマンスキーが、もしもバグが発生すると自分では手当できないからと、ためらった事情がある[4]。 利用者が増えるにつれて読みこみ速度の問題が再燃したことから、ふたたびソフトウェアの書き換えが始まり、リー・D・クロッカーが主導して「phase III」という名前で進行した。この新しいソフトウェアは「phase II」時代の基本的なインターフェースを踏襲しながら、よりスケーラブルになるように記述にPHPを採用、バックエンドにMySQLを置いている。こうして2002年7月にウィキペディアとして動き始めた。 ウィキメディア財団の発足は2003年6月20日で7月にはウィキペディアの寄稿者ダニエル・メイヤーからソフトウェアの名称として財団名をもじった「MediaWiki」が提案され[5]、その名前は同年8月ごろから徐々に定着した。ただ(意図的とはいえ)財団名に似ているため、しばしば混乱を引き起こしている(財団名そのものも製品である「ウィキペディア」に酷似)[6]。「ウィキメディア」という呼称を発案したのはウィキペディア寄稿者シェルドン・ランプトンで、WikiEN-lメーリングリストに2003年3月6日付に投稿している[7]。 製品ロゴはフロランス・ドゥヴアールが撮影した写真に基づいてエリック・メラーが制作しており、本来は2003年中盤に行われたウィキペディアの新しいロゴを募集する国際コンテストに提出したもので[8]3位に入賞、ウィキペディアではなくMediaWikiの商標として、財団第2のロゴ採用が決定した[9]。 ヒマワリを挟む二重の角括弧 ([[ ]]) はMediaWikiが他のウィキページへのハイパーリンク作成に用いる構文の象徴で、ヒマワリはウィキペディアの多様性、たゆまぬ成長と枠にとらわれない面の象徴である[10]。 その後、ウィキメディア財団最高技術責任者ブリオン・ヴィッバー(Brion Vibber)[11]が更新管理者ならびに最も活発な開発者の役を引き受ける[12][13]。 MediaWiki開発の主要なマイルストーンは順に、カテゴリ・システム(2004年追加)、構文解析(2006年追加)、拡張機能Flagged Revisions(2008年追加)[14]、「ResourceLoader」というCSSならびにJavaScriptの配置システム(2011年追加)[15]、さらに2013年に編集機能のVisualEditorとWYSIWYG(What You See Is What You Getの頭文字)が追加される[16]。 新しいロゴのデザイン公募は2020年6月22日に始まる。初代のロゴはビットマップで描画され、解像度の高低によって読み込みに問題を生んだことがきっかけであった。公開の投票2回を経て2020年10月24日に MediaWiki の2代目のロゴが決定、2021年4月1日より正式に採用された(デザインはSerhio Magpie)[17]。 利用→詳細は「mw:Sites_using_MediaWiki/ja」を参照
MediaWikiは自由ソフトウェアであり、誰でもダウンロードして自由に利用できる[注釈 1]。 MediaWikiはその当初のターゲットであるウィキペディア、そしてその姉妹プロジェクトである各種のウィキメディア・プロジェクト群で利用されている。またWikiaというウィキファーム、wikiHow、WikiLeaksも同様。チャクウィキといった様々なウェブサイトの構築に使用されている。 ウィキペディアの他にウィキ形式の百科事典でMediaWikiを採用するものを挙げるとアンサイクロペディア、Citizendium(シチズンジアム)、スカラーペディア 、Metapedia、コンサーヴァペディアがある。またNovellやIntelの例のように企業内での採用も多い[18][19] アメリカ政府内部でもMediaWikiを使用し、顕著な例としてインテリペディア(アメリカ知的活動コミュニティ採用)、外交ペディア(アメリカ合衆国内務省採用)ならびにアメリカ合衆国国防総省が採用するmilSuiteの一部milWikiにも使われている。国連機関では国連開発計画及びINSTRAWが独自ウィキをMediaWikiで駆動すると決定した理由は「ウィキペディアが動くソフトウェアであることから試験が行き届き、将来的にも開発活動が持続可能で、未来の技術者はおそらくどんなウィキソフトウェアよりもMediaWikiに最も触れて育つと予測されるため」だという[20]。 フリーソフトウェア財団はLibrePlanetウェブサイトの運営にMediaWikiを使っている[21]。 バージョンの履歴→「mw:News/ja」も参照 MediaWikiの最初のバージョンは 1.1として、2003年12月に公開された。
脚注注釈
出典
関連項目
外部リンク
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