衛生科(えいせいか、英: Medical)は、陸上自衛隊の職種の一つ。衛生科隊員は患者の治療や医療施設への後送、隊員の健康管理、防疫及び衛生資材等の補給整備等を行う。他国の軍隊における衛生兵に相当する。職種標識の色は濃緑。
概要
衛生科部隊・隊員は、条約及び法の規定に則る場合において、ジュネーヴ条約における衛生部隊・要員として保護対象であり、一定の教育を終了した衛生科隊員は「防衛省陸上幕僚長」の職印が付された衛生腕章を装着しており、装備品も含めて赤十字標章を使用している[1]。近年では海外での大規模災害における国際緊急援助活動でも活躍している。
- 陸上自衛隊の有事における医療支援体制の構想は、即時の救急処置は隊員相互ないし中隊の救護員、応急治療は連隊内の衛生小隊(班)や後方支援連隊衛生隊が行い、病院治療は方面衛生隊及び自衛隊地区病院・中央病院が実施するとされる[2]。平時では自衛隊病院ないし、方面衛生隊隷下の野外病院隊に医官を集中配置し、必要に応じて師団旅団隷下の衛生隊に人員を派出する態勢をとっているとされる。
衛生科部隊
衛生科の部隊は、陸上総隊直轄にNBC兵器(特に生物兵器)対応の対特殊武器衛生隊がある。また、各方面隊には直轄で方面衛生隊が置かれている[注釈 2]。方面衛生隊は方面衛生隊本部、本部付隊、野外病院隊及び救急車隊からなり、方面隊直轄部隊に対する治療・後送業務・健康管理・防疫の技術援助、衛生器材・医薬品の補給並びに限定された衛生器材等の整備及び回収、医官等の衛生要員の管理を行う。同様に各師団・旅団の後方支援連隊・後方支援隊には、衛生隊が置かれており、師団では衛生隊本部、治療隊及び救急車小隊、旅団では衛生隊本部、治療小隊及び救急車小隊の編制となっている。
衛生科又はこれと同種の部隊として、対特殊武器衛生隊、方面衛生隊、後方支援連隊衛生隊、水陸機動団後方支援大隊衛生隊、後方支援隊衛生隊、衛生教導隊が、衛生科又はこれと同種の機関として、自衛隊中央病院、陸上幕僚長の監督を受ける自衛隊各地区病院、陸上自衛隊衛生学校がある。
部隊の一覧
- 師団直轄部隊
- 旅団直轄部隊
- 防衛大臣直轄機関・部隊
- 陸上自衛隊衛生学校(三宿駐屯地):
- 衛生教導隊(三宿駐屯地):1999年(平成11年)3月 教育支援衛生隊から改編。隊本部、治療隊及び救急車小隊からなる。
- 陸上自衛隊開発実験団
- 部隊医学実験隊(三宿駐屯地):2001年(平成13年)3月27日 衛生学校研究部の一部を母体に新編。衛生科部隊であり、隊本部、医学・特殊武器衛生研究科及び実験科からなる。
- その他の配属先部隊
- 普通科・機甲科・特科・施設科の本部管理中隊等に衛生小隊(班)が、その他の部隊にも本部に数名の衛生科職種の隊員が配置される。
- 駐屯地業務隊の衛生科
- 衛生科職種の隊員が駐屯地医務室において駐屯地内の軽病人等の治療・各種衛生業務等を担当する。
共同機関
自衛隊病院
自衛隊病院には自衛隊中央病院と陸・海・空それぞれの幕僚長を通じて指揮監督を受ける自衛隊地区病院(15病院)がある。
自衛隊中央病院
陸上幕僚長を通じて指揮監督を受ける自衛隊地区病院
- 自衛隊札幌病院「札病」(真駒内駐屯地):1955年(昭和30年)3月5日自衛隊札幌地区病院が開設。1988年(昭和63年)4月8日自衛隊札幌病院に改称。2015年(平成27年)3月26日真駒内駐屯地に移転開院。
- 自衛隊仙台病院「仙病」(仙台駐屯地):1971年(昭和46年)7月24日陸上自衛隊仙台地区病院が新設される。
- 自衛隊富士病院「富病」(富士駐屯地):1975年(昭和50年)12月16日:陸上自衛隊富士地区病院が開設。1988年(昭和63年)4月8日自衛隊富士病院に改称。
- 自衛隊阪神病院「阪病」(川西駐屯地):1966年(昭和41年)2月21日陸上自衛隊阪神地区病院の開設に伴い、川西駐屯地新設。1988年(昭和63年)4月8日自衛隊阪神病院に改称。
- 自衛隊福岡病院(春日駐屯地):1955年(昭和30年)1月25日陸上自衛隊福岡地区病院が開設され、春日駐屯地新設。1988年(昭和63年)4月8日自衛隊福岡病院に改称。
- 自衛隊熊本病院(熊本駐屯地):1957年(昭和32年)8月1日陸上自衛隊熊本地区病院が開設される。1988年(昭和63年)4月8日自衛隊熊本病院に改称。
- 自衛隊那覇病院(南那覇駐屯地):2022年(令和4年)3月17日、自衛隊那覇病院が航空自衛隊から陸上自衛隊に移管されたことに伴い南那覇駐屯地が開設。
廃止された陸上幕僚長を通じて指揮監督を受ける自衛隊地区病院
主な装備
脚注
注釈
出典
関連項目
外部リンク
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