蛍光灯蛍光灯(けいこうとう)または蛍光ランプ(fluorescent lamp)、蛍光管(けいこうかん)は、放電により飛び出した電子が、ガラス管内に封入された水銀の原子に衝突することで発生した紫外線を、ガラス管内面に塗布した蛍光体に当てて可視光線に変換する光源である。 方式は熱陰極管(HCFL; hot cathode fluorescent lamp)方式と冷陰極管(CCFL; cold cathode fluorescent lamp)方式とに大別される。一般照明用に使用される蛍光灯は一部の例外を除いてほとんどが熱陰極管方式である。冷陰極管方式は液晶モニターのバックライト用途として1990年代に開発が進み、2000年代には液晶テレビの普及に伴い大規模に使用されたが、非常灯や自動車の丸型ヘッドライト(いわゆる「イカリング」)など他用途への応用を模索し始めた2000年代後半にちょうどLEDの普及期に入ったため、一般照明用としてはほとんど利用されないまま淘汰された。 本稿では主に照明用途で用いられる熱陰極管方式の蛍光灯について記す。冷陰極管方式の詳細については冷陰極管を参照されたい。 最も広く使われている方式は、電極をガラス管内に置き(内部電極型)、低圧水銀蒸気中のアーク放電による253.7 nm線を使うものである。ガラス管内面に蛍光物質を塗布せず、紫外線をそのまま放出すると殺菌用蛍光灯(殺菌灯)になる。 水銀含有製品ながら、2010年代までは白熱電球などとともに家庭用の代表的な光源として広く使われていた。他の方式の光源ともども、2010年代以後に次第にLEDに置き替えられているが、蛍光灯はあまりに普及していることから、日本では、LEDへの置き換えが完了していない。2020年時点で、国内に18.1億台と推定される一般照明器具のうち、蛍光灯は約7億台と推定されている[1]。 水銀含有製品であることから、リサイクルできる施設が限られ、「資源ごみ」として回収している自治体は少なかった。「資源ごみ」として回収された蛍光灯は水銀・ガラス・鉄・などにリサイクルされ、回収された場合のリサイクル率は高いが、そもそも回収率が低く、日本で回収されリサイクルされている蛍光灯は、2003年時点で7.5%に過ぎなかった[2]。ほとんどの蛍光灯は「埋め立てごみ」として破砕して埋め立てられた。水銀含有製品であることから、埋め立てる場合は遮断型もしくは管理型処分場が望ましいが、日本でそのような処分場は不足しており、多くがそのまま埋め立てられた。2000年代前半には液晶テレビの普及に伴い蛍光管の販売量が急拡大し、リサイクルの確立が急務となったが[3]、2000年代後半よりLEDの普及期に入り、蛍光管は次第に販売量が少なくなった。LEDの普及および蛍光灯の減少に伴い、2024年に蛍光灯リサイクル業界2位のJ&T環境が撤退し、2024年現在、北海道北見市留辺蘂町にある野村興産イトムカ鉱業所(旧・イトムカ鉱山)が日本唯一のリサイクル施設となっている。 水銀含有製品であることから、RoHS指令および水銀に関する水俣条約(水俣条約)において早期の廃止が議論されたものの、事業所や家庭などに多くの蛍光灯が残る日本などの反対により、例外的に生産が許可されてきた[4]。しかし、2023年に開催された水俣条約の第5回締約国会議の合意に基づき、世界における電球型蛍光灯およびコンパクト蛍光灯の製造終了は2025年末日、直管蛍光灯を含む全ての蛍光灯の製造終了は2027年末日と決定し、日本もそれに従うものと想定されている(ただし、2028年以後も蛍光灯の使用の継続、および輸出入を伴わない国内在庫品の販売は可能である)。 原理蛍光灯は低圧にしたガラス管内の水銀蒸気中に放電を行い、発生した紫外光(波長253.7 nm)を蛍光体で可視光に変換するもので、蛍光体の種類ごとに異なる光源色や演色性の光を得ることができる[5]。 構造蛍光灯は、蛍光物質が管内に塗布されたガラス管(白く見えるのは蛍光物質のため)と、両端に取り付けられた電極とで構成されている。電極はコイル状のフィラメントにエミッター(電子放射性物質)を塗装したもので、これが両端に2本ずつ出ている4本の端子に繋がっている。ガラス管内には、放電しやすくするために2–4 hPa(1気圧は1013.25 hPa)の封入ガス(アルゴンあるいは混合希ガス)と少量の水銀の気体が封じ込まれている。発光時の内部温度は1万 °Cに達するが、気圧が非常に低いため、ガラスが溶けることはない。 蛍光灯に使用される水銀は、金属水銀(無機水銀の一種)である[5]。水銀封入量は、1975年には40 W直管形で約50 mgだったが、2007年には約7 mgにまで削減されている[5]。 点灯の仕組み電極(陰極)に電流を流すと加熱され、高温になったエミッターから大量の熱電子が放出される。放出された電子はもう片方の電極(陽極)に移動し、放電が始まる(通常は交流を流すため、陰極・陽極は同じ形状である)。放電により流れる電子は、ガラス管の中に封入されている水銀原子と衝突する。すると水銀原子が電子のエネルギーを受け、紫外線を発生させる。発生した紫外線はガラス管内に塗布されている蛍光物質に照射され、可視光線が発生する。 白熱灯と比べると、同じ明るさでも消費電力を低く抑えられる。消費したエネルギーの変換比率は、可視放射25 %、赤外放射30 %、紫外放射0.5 %で、残りは熱損失となる。 白熱灯と違い、点灯には安定器(インバータ含む)が必要なため、直接電圧を掛けただけでは使用できない。ただし電球形蛍光灯では安定器を内蔵しているため、直接ソケットに差すだけでよい。 蛍光灯の点灯開始に当たってはフィラメントの予熱が必要なため、始動専用回路が必要である。 用途歴史
2024年現在、日本国内メーカーではパナソニックが唯一、蛍光灯を生産している。日本を含む「水俣条約」を締結する全ての国において、全ての蛍光灯は2027年末に生産禁止が予定されている。 始動方式スタータ式以下の3種類がある。この器具に使えるランプは FL・FCL・FPL・FDL・FMLである。 グロースタート式(点灯管式)点灯管を用いて電源を入れると自動的に点灯する。蛍光管・安定器・点灯管(グロースタータ)で構成される。かつて一般家庭用として最も普及した。
始動にかかる時間は、従来型の点灯管を使用した場合は3秒程度と、蛍光灯の中では遅い。点灯する際に点灯管から「ピンッ」もしくは「コン、コン」など、若干の音が出る(バイメタルの復帰のため)。電子点灯管に交換すると、約0.6–1.2秒と通常よりも早く点灯する。 2008年現在使用されている点灯管は
である。動作回数は6000回程度(長寿命形は約18000回)である。4–32 Wのランプでも200 V用の安定器を使用している場合はFG-4Pが使用できる。 100 V30 W以下および200 V40–65Wはチョークコイル形安定器を用いる。100 V32–65 Wと100 V/200 V52 Wは放電を維持する電圧まで昇圧する必要があるので、小形で安価になる単巻磁気漏れ変圧器形安定器を用いる。一般にこれら安定器は低力率のため、必要に応じて電源側に適当な値のコンデンサを並列接続し高力率にする。この器具は省エネ形のランプを除き(省電力形のFLR40M/36は安定器に過電流が流れ、過熱・焼損の恐れがあるので不可)ラピッドスタート式のランプを取り付けても使用できる(ただし即時点灯はしない)。 手動スタート式(マニュアルスタート式)グロースタータの代わりに始動用のスイッチを接続する。始動スイッチを長押しして(プルスイッチを引いて)フィラメントを予熱し、ボタンを放す(プルスイッチを放す)際に安定器にキック電圧が発生して放電が開始される。旧式のデスクスタンドや初期の蛍光灯器具に見受けられる。 電子スタート式グロースタータの代わりに電子点灯管もしくは電子点灯回路を利用したもの。ほぼ瞬時に点灯する(約0.6–1秒)。照明器具内蔵の場合と、別売り品をグローソケットに差し込む場合とがある。始動時の点滅がないので電極に与える負荷が少ない。ランプ寿命時には点滅を繰り返さずに消灯する。無接点なので一般の点灯管にくらべ長寿命である(動作回数は10万–20万回)。大型の円形蛍光灯に多い。 2020年現在市販されている電子点灯管は
がある。
ラピッドスタート式ラピッド(rapid)で「速い」の意。 この器具に使えるランプは FLR である。 点灯管を使用せず始動補助導体を持ったラピッドスタート形ランプと、予熱巻線付きの磁気漏れ変圧器形安定器の組み合わせで始動する。点灯はほぼ即時(1–2秒)。ビル・百貨店・ホテル・駅・病院・学校・会社・スーパーマーケット・コンビニエンスストアなどの公共施設の多くはこの方式の蛍光灯を用いているが、後述のHf式への移行が進んでいる。 安定器は大きい。ビルなどではビルメンテナンス要員が交換することが多いが、重量が重いため交換には手間がかかる。特に直管110H形になると安定器だけで3 kg近い重さ(リードピーク形安定器の場合)になり、2人以上の交換要員が必要になることも多い。 施設照明用電子式安定器(FLR指定)はこの方式の発展で、予熱用電源部・放電用電源部で構成されている。
ランプ背面に茶色の帯が焼き付けられているのと、口金がギザギザの物で端子部の絶縁体が大きいのが特徴。
インバーター式点灯管が不要でインバーター回路により始動する。高周波点灯により毎秒の発光回数が増えるため、ワット数あたりの明るさは向上するが、使用不可の蛍光灯が多い。 機種によって FL・FCL・FLR・FPL・FPR・FHP・FHC・FHD・FHG・FDL・FHT・FML・FWL・FHF ランプのいずれかが使える。ランプフリータイプもある。 瞬時起動式1ピンタイプのスリムライン蛍光灯に使用される。余熱無しで高電圧で瞬時に始動する。 FSLから始まるもの。2ピンのスリムラインFSR・FSLはラピッドスタート式。 安定器の種類磁気回路式安定器電磁安定器、または主材料から銅鉄形安定器とも言う。通常、安定器といえばこちらを指す。磁気回路によって電流を制御する。銅・鉄が材料なので、寸法・重量ともに電子式に比較して大きい。大きなインダクタンス分なので、電源電圧に対して電流の位相に遅れが生じ低力率である。したがって必要に応じて適当な値のコンデンサを電源側もしくは二次回路側に接続して進相電流を流し、高力率にしている。回路形式によってグロー式安定器・ラピッド式安定器の2種類がある。 グロー式安定器
ラピッド式安定器
電子式安定器インバータ式と呼ばれることが多い。以下の種類の器具がある。
回路形式により次のものがある。 電子式蛍光灯安定器(スタータ式、ラピッド式ランプ専用)従来のスタータ式・ラピッドスタート式ランプ専用の電子式安定器。高周波点灯のためちらつきが少なく、銅鉄形安定器に比較して小型・軽量である。Hfランプは使用できない。
高周波点灯専用安定器(Hfランプ専用もしくはランプフリー)右の回路図の電子式安定器は、セミ共振形と類似した方法で点灯する。回路はハーフブリッジ式が多い。先の一灯用のほか、従来の直列逐次始動形に類似した方法で始動する2灯用の安定器もある。単にインバーター式という場合、この形式を指すことが多い。
蛍光管の種類大手メーカーは一般住宅用蛍光灯器具のうち「FL型蛍光管」と「FCL型蛍光管」を用いる従来型器具の生産を大幅縮小しており、現行モデルはスリム型(FHF・FHD・スパイラル・二重環型)が殆どである(従来型のFL・FCL蛍光管を用いる器具の現行モデルは浴室灯・流し元灯・物置用のみ)。またグローランプ(点灯管)を用いる従来型器具も一般住宅向けは生産が大幅縮小され、現行モデルは流し元灯や廊下・物置用のみとなった。 ランプを2本以上用いる(点灯管が不要な)インバータ器具の場合、1本でもランプが寿命を迎えると全てのランプが点かなくなるため、(従来型点灯管器具とは異なり)ランプ交換は全て同時に行う必要がある(新しいランプと古いランプを混ぜて使ったり・ランプを一部外して使うと器具が故障するおそれがあるため)。 またランプを2本以上用いる器具の明るさ調節方法も従来型点灯管器具とインバータ器具とで異なっており、前者は点灯本数を増減させるのに対し(「2灯・3灯・4灯いずれか→1灯・2灯いずれか→豆球→切」)、後者はランプ全体の明るさを変える「段調光」を採用している(全灯→段調光→豆球→切)。 直管形蛍光管棒状の蛍光管。直管蛍光灯は実用化当初は現在に比べ太かった。 太さは38 mmで、型番のワット数を表す数字の後にSが付かないか、またはSが1つのみ(32.5 mm)だった。細い直管蛍光灯(28 mm)が一般的になった当時は、新しい直管蛍光灯に換えたときに、古い直管蛍光灯が太いため新しい直管蛍光灯の箱に入らないという問題も起こった。 通常の器具の場合、太さの異なる直管蛍光灯に交換しても問題ないが、一部の密閉器具(防水型など)の場合、例えばFL20を使用する器具で太さの異なるFL20SS / 18を使用した場合、発熱量が増え危険であるため、この器具では必ずFL20を使用しなければならない。また、口金部に防水パッキンがついている場合も、太さが同じものを使用する必要がある。但し、旧型の直管蛍光灯の専用器具は現在はあまり見かけないが、個人で営んでいる電器屋では、売れ残りで旧型の太い直管蛍光灯が残っている場合がわずかながらある(だいたい処分してしまう店が多いので、希少である)。メーカーによってはSのないタイプをまだ製造している場合がある。 2010年現在世に出回っている直管蛍光管の直径は普通のタイプが32.5 mm、省エネタイプは28 mm、Hfタイプが25.5 mm、T5管が15.5 mmである。省電力設計のランプは、頻繁な点滅や温度変化に弱いといわれる。
環形蛍光管→「サークライン」も参照
丸形、円形ともいう。ドーナツ状の蛍光管(環形蛍光灯を総称して「サークライン」と呼ぶことがあるが、東芝ライテックの登録商標<日本第468682号>である)。
コンパクト形蛍光管発光管を折り曲げるまたはブリッジで組み合わせることにより小型化した蛍光管。
太字のランプはラピッド式器具もしくは一部のHf器具でも使用できる。
電球口金付蛍光灯・電球形蛍光灯→詳細は「電球形蛍光灯」を参照
ねじ式口金部分に点灯回路を内蔵し、電球とそのまま差し替えられる蛍光ランプ。
初期のころの発光管は環形・U形・ダブルU形が多かった。点灯回路もチョークコイル・点灯管・トランジスタインバーターを使用していたため、電球に比べて大きく重かった。現在はブリッジ形(東芝など)、スパイラル形(パナソニック(旧松下電器)など)の発光管が多くなり、小形・軽量化・高効率化が進んでいる。点灯回路も小形・軽量化され、点灯回路を口金内に収め、寸法的に一般電球と遜色ないものも現れた。従来は一体式であった発光管を交換できるタイプもある。 従来品は調光器具では使用できなかったが、現在は調光器具対応のランプも市販されている。口金はE26、E17タイプのものが市販されている。
シームレス形特殊な形状でスリムライン蛍光ランプの一種(管径は20 mmと15.5 mmの2種)[5]。 光源色の種類色温度の種類蛍光灯の色が、暖色系(低色温度)か寒色系(高色温度)かの数値であり、以下の5種類のいずれかに分類されることが多い(以下の温度は色温度)。
これらの呼び名はあくまで基本的なものであり、各メーカーが独自に名前をつける場合もある。2500 K・5700 K・8000 Kなど、上記5色の通常値以外の色温度の製品が増加しつつあり、それらは「ウォーム色」「クール色」「フレッシュ色」など、基本色とは異なる名称をつけて販売されているため、消費者は色温度を確認してから買うことが求められる。白色の近辺にはあまり製品のバリエーションが存在しない。色温度は低い領域ほど少ない温度差で色味の変化が激しく、電球色と温白色の差(500–700 K)は単独の光源を別な機会に目視しても判別がつくが、昼光色と昼白色の差(1500 K)はそれほどではない(色温度#色温度と視覚を参照)。 上記は一般照明用のものであるが、これ以外にも栽培などの特殊用途向けの「海の色(17000 K)」という物も存在する。カメラのホワイトバランス設定などで「冷白色蛍光灯(4150 K)」というものがあるが、この名称を冠した蛍光灯はまず見かけない。おそらく海外のcool - whiteを直訳したものと思われるが、これは日本で言う白色(3900–4500 K)のことである。 太陽光については、太陽そのものの発する光線(直射日光)のみならず、青空などの太陽以外の部分からの放射(天空光)も地表に到達するため、青白い光であっても不思議ではない。このため、天空光のみとなる日陰や、曇天・雨天時の色温度は高くなる(もちろん、宇宙空間から見た太陽光線の色は一定である)。 演色性の種類
色彩に関する事業所や病院、美術・博物館向けに、各光源色に演色性を重視した設計の高演色形「SDL」や色評価用「EDL」がある(この場合の演色性とは「特殊演色評価数」、つまり原色を基準色とした見え方の忠実度を指す。これは通常用いられる、中間色を基準色とした「平均演色評価数」よりも達成が難しい)。まれにRaが90を超えていてRaでは演色AAの製品に匹敵する三波長形の製品があるが、この点で演色AAの製品とは異なる。 光色の使い分け普通、蛍光ランプの光色としては価格的に安い一般型白色[W]・昼光色[D]のものが事務所などでは広く使われていたが、1980年代以降は住宅や店舗などを主体に三波長域発光型(電球色[EX-L]、昼白色[EX-N]、昼光色[EX-D]など)の普及が進んできた。事務所などでは一般型の白色や昼光色に替わって昼白色[N]が主流になりつつある。住宅用照明器具では、住宅設備照明のカタログに掲載される型番の器具(主にハウスメーカーや電気工事会社向けとされる)では昼白色と電球色のラインナップとする一方、小売店向け型番の器具では昼白色の代わりに昼光色をラインナップに入れているメーカーが多い。 なかでも店舗照明においては色温度や演色性を含めた照明設計が購買意欲(売上)に大きく影響することが認識され、それを実現するためのさまざまな光色、配光性のランプ商品が用いられている。ただし、商品をより良く見せるには演出過剰でもいけないため、特定の波長を強くしたりといった工夫がある(生鮮食品展示用・食肉展示用蛍光ランプなど)。演色性は色温度ごとに決まっているため、演色性が最高でも色温度によって青く見えたり赤く見えたりする[注 2]。 ランプの明るさ(効率)についても、その光色によって差異がある。最も明るいのは3波長発光型の昼白色と電球色であるが、3波長型でない一般型では白色[W]が最も明るい。昼光色系の場合、見た目には明るく(青白く)感じるが、実際には白色系に比べると10 %前後暗く(照度や輝度が低く)なるものの、実用上はあまり変わらない。自然光への忠実度(特殊演色評価数)を重視したタイプでは、一般照明用と比べて30–40 %も暗い場合もある。 演色性を示す数値は同じでも、メーカーによって個性があり、色の見え方(感じ方)は少し異なる。例えばパナソニックのパルックは、やや緑色の再現が過剰であると写真家から指摘されている。 分光分布蛍光管のカタログには、分光分布が載っていることが多い。これはどの色の波長が多いかを示したもので、単に色温度を見るよりも視覚的に分かりやすい。 ただし、分光分布の斜線がなだらかであるほど優れているわけではなく、一般形と高演色形はともに分布図がよく似ており、なだらかな山型のラインにところどころ飛び出ている部分があるが、三波長形は全体的にギザギザである。しかし実際には三波長形は演色性の面では一般形と高演色形の中間である。つまり分布図が不規則であっても、それが色の見え方が悪いということではない。 明るさ蛍光灯は、エネルギーを光に変える効率がよい。一般的には白熱電球の5倍の発光効率があるといわれる。白色LED(発光ダイオード)も高効率化が進んでおり、ほぼ同程度の照度が出る物も発売されている。 ランプの明るさの単位は全光束・ルーメン(lm)である。これはランプから放射される、全ての方向の光の合計である。最新型の三波長のものでは、32 W環形のランプは2640 lmに達している。ランプに表示されている全光束の数値は、標準の試験用安定器を使用して測った場合の数値であるため、効率のよいインバータ器具で使用した場合、ランプ表示の全光束を大きく超えることがある(インバータの性能がよいためであり、過負荷というわけではない)。蛍光ランプ自体の発光効率は、1980年代ごろからほとんど進歩していない(新方式のランプを除く)。 蛍光灯器具の発光効率は、ルーメン毎ワットであらわされる。これは器具によって大きく違い、一般的な28 mm管の器具でも90 lm/Wぐらいのものから50 lm/Wぐらいのものまである。インバータ式の物は高効率で、磁気安定器式の物は低効率である。ランプが長い方が発光効率良い。スリム管・スリムツイン管の場合は従来管よりも明るい。 器具のカバーも明るさに影響を及ぼす。和室用照明などの飾りがついているものや、分厚いプラスチック製のカバーは明るさを落とす。経年変化による変色も明るさや色温度が変わる元になる。 寿命蛍光ランプの寿命は、種類により異なるが、およそ6000–20000時間である。 蛍光ランプが点灯しなくなり寿命を迎える原因は、ランプ点灯中に起こる、電極に塗布された電子放出性物質(主にタングステン酸バリウム等)の蒸発、飛散による消耗が主である。蛍光ランプは始動時にもっとも負荷がかかり、グロースタータ(点灯管方式。後述)の場合、一回の点灯で約1時間寿命が縮むため、頻繁に点滅させる用途には向かず、より長時間点灯する場所に向く。蛍光ランプ大手のパナソニックは同社ランプ総合カタログにおいて、消灯時間おおむね数分程度を境に、連続点灯による電力消費の損失が、消灯して再始動することによるランプ寿命の損失を上回る(つまり、数分間の電気代より球の寿命の短縮のほうが安い)としている。 後述の高周波点灯方式では、電子機器で制御することによって始動時の電極予熱を最適化し、従来方式に比べ不点となる寿命の大幅向上を実現した(先に述べた「再始動することによるランプ寿命損失」が減少することを意味する)。 直管は、一般に消費電力が大きいほど定格寿命が長い。よって、器具が選べる場合は20 W管2本のタイプより40 W管1本のタイプを選択することにより、交換の手間を減らすことができる。 蛍光灯器具によってもランプ寿命は変わり、良質な設計の器具であれば長持ちしたり、その逆のことが起こったりもする。グローとインバータによる差のほか、メーカー間の差もある。 点灯することができても輝度は次第に低下するため、JIS規格では光束が当初の70 %に低下した時点も寿命としている。ただし、メーカーによっては80%としている場合もある。また蛍光灯は点灯後に徐々に明るくなるため、数分待ってから計る必要がある。 輝度が低下する原因としては、水銀蒸気がガラス中のナトリウムと反応して黒色の付着物となること、ガラスが紫外線を吸収して透明でなくなること、などがある。 北欧ではガラスからナトリウムが浸出することを防ぐコーティング技術と電子放射物質(タングステン酸バリウム等)のスパッタリングを防ぐ特殊な陰極とを組み合わせることによって、8万時間を超える蛍光管が実用化されている。 グローランプの寿命は蛍光灯の点灯時間ではなく、点灯回数に比例する。グローランプは蛍光灯の交換と同時に取り替えるのが蛍光灯を長持ちさせるコツだといわれることもあるが、あまり消耗していない場合は替えなくてもよい。ただし、蛍光管の終末期に激しく点灯動作が繰り返されると、グローランプもそのたびに消耗するため、この状態で放置すると劣化が激しく進む。 外観の経時変化
器具の寿命蛍光灯照明器具の寿命については消費者にはあまり認知されていないが、安定器がおよそ8–10年、それ以外の部分についてはおよそ15年が目安とされている。器具の寿命は周囲温度、点灯時間などによって変化する。一般に点灯時間が長く周囲温度が高いほど短くなる。これは熱による安定器の絶縁体の劣化が進みやすくなるからである。 一般家庭向けの製品では安定器のみを交換することは想定されていないため、器具全体の買い替えとなるケースがほとんどである。オフィス向けのものでは安定器のみを交換できる場合が多いが、一般家庭向け、オフィス向けともに設計寿命を超えて使用されることが多く、20年を超えて使用されることも珍しくない。 古くなった安定器は、「ジー」という騒音・振動を発することがある。最近の安定器は安全装置が内蔵され、寿命が来るとコイルやヒューズが切れて電源を遮断するため、発煙・発火の恐れはほとんどない。しかし、安全装置のない古いタイプの安定器をいつまでも使い続けるとレアショートして過熱し、最悪の場合発煙・発火すると共に漏電事故を起こす危険性がある。電子式安定器ではコンデンサの容量抜けなどによりヒューズが飛んだり、コンデンサが破裂・焼損することがある。 しかし、実際には安定器が原因による事故は稀である。 グロー式の器具にラピッドスタート省エネ型(36 W)を点けてしまったがために、騒音が大きくなる、点かなくなることがある。 1957年1月から1972年8月までに製造された業務用・施設用の蛍光灯器具や水銀灯器具、低圧ナトリウム灯器具の安定器内部に組み込まれている力率改善用コンデンサの絶縁体にはPCBが使われており、近年、学校に設置された蛍光灯器具内の安定器が破裂して漏れ出したPCBが児童に降りかかる事故が発生している。これらPCB使用照明器具の安定器は設置から40年以上が経ち既に寿命を迎えている。危険なので早急な交換が必要である。PCB含有安定器は排出者が厳重に安全に保管しなければならない[1]。 シーリングライトなどの蛍光ランプが直接見えない構造の器具の場合は、光を透過するプラスチックが蛍光ランプから出る紫外線によって劣化し、黄色く変色することがある。こうなると照度は低下し、効率が悪くなる。現在は変色しにくく透過率が高いカバーが、メーカーによってクリーンアクリルなどと名づけられて採用されることが多い。 器具本体とは別の寿命だが、袋打ちコードと呼ばれるこたつコードにも似た発熱に耐えられるコードのみで吊り上げている蛍光灯器具の場合、コードが老朽化し、器具の重さによって床に落下するケースもある。心配ならば、鎖で吊り上げるとよい。ほとんどの蛍光灯器具には鎖をかけられる孔が開いている。これは天井側が普通のコンセントかあるいは電球ソケットにセパラボディという組み合わせに考慮したものである。蛍光灯器具によっては引掛シーリングをコンセント用に変換できるプラグを購入しなくても上部のフタを取り外すとコンセントに差し込めるプラグが包まれている場合もある。 蛍光ランプと蛍光灯器具の規格表示
これは一般的なHf蛍光灯昼白色32 W形直管の型番である。FHFはHf式の直管を、32は32 W形であることを、EXは三波長を、Nは昼白色(ナチュラル)を示している。FL式においてはSSは直径28 mmであることを、18は実際の定格消費電力を現している(ただし器具によってはこれより高低がある場合もあり、特にインバーター器具では消費電力もそれぞれである)。 直管(FL・FHF)型蛍光灯の場合、メーカー・種類・光色表記がパナソニック ライティングデバイス・三菱電機照明・ホタルクス製品は左側に、東芝ライテック・日立アプライアンス製品は右側にそれぞれ書かれている。: なお、表記中のME、TSP、HLK、SOC、N(「▲▼」のような表記)、PRINCE.D.(またはIWASE.P.D.、もしくはNSD)はそれぞれ実際の製造メーカーであるパナソニック ライティングデバイス、東芝ライテック、日立アプライアンス、三菱電機照明、ホタルクス、プリンス電機を指している。そのため、たとえばメーカーがホタルクスでもMEと表記されていればパナソニック ライティングデバイスが製造した製品ということがわかる。 蛍光灯の価格器具については、磁気安定器式の製品は安く、インバータ式の製品は高い。ただし、デザインやリモコンなどの付加価値をつけた製品はさらに高価であるため、点灯方式による価格差はさほど大きくない。インバーター式でも、オーソドックスなペンダント型器具であれば環形2灯式で5000円程度、直管1灯式のベースライトであれば3000円程度のものもある。近年は、磁気安定器かインバーターかというよりも、環形では従来管かスリム(スリムツイン)管か、直管では従来管かHf管かという点に注目ポイントが移りつつある。 蛍光管については、かつては高価なもので、1950年の大卒公務員初任給が4000円強の時期に20 W管が450円から600円、40 W管900円であった[16]。2010年代には一般型(演色性・明るさが低い)の製品が100円ショップで売られるようになり、まれに電球型蛍光灯も100円で売られることがあるが、ある程度の品質を持った製品は数百円台である。三波長タイプの相場としては、20 W直管は300円台、30 W環形は500円程度、40 W環形は800円程度となっている。ただし、残光型や長寿命型などはより高価である。高演色型は、SDLは三波長タイプより少し高め、EDLは三波長タイプの2倍程度の価格である。ただし明るさが低いので、三波長形と同じ光量を得るには1.5倍程度の本数が必要である。また、美術館やデザイン用途向けの色評価用や紫外線カット、食品製造現場向けなどに飛散防止フィルムコート、誘虫防止型など、特殊用途向けの製品も多数存在し、これらは付加価値に応じた価格となっている。一般型のうち昼白色のものについては、各メーカーとも独自の名称(「ホワイト」が付くことが多い)を与え、やや高価な価格設定をしていることが多い。スタータ型とラピッドスタート型の価格差はあまりない。環形の物については、1ランク下のサイズの管が管の内側に納まるサイズであることと、両方の管を使う器具が多いことから、2種類のサイズの管を同梱して売る場合も多い。 2020年代に入ると、蛍光灯器具の生産終了並びに、LED照明の普及に伴い、生産量が減少などを理由に生産を撤退もしくは値上げするメーカーが増えてきており、蛍光灯の価格が2010年代と比べて2022年現在、価格が約1.7倍まで上昇している[17]。 蛍光灯の保守管理清掃ランプにほこりや塵が付着すると光出力が減衰するため省エネルギーの見地からも定期的な清掃が必要になる[5]。ランプの清掃にはスポンジが好ましく、清掃時には導電部分、ソケット、安定器、配線部などに水がかからないようにする[5]。 交換ランプの交換はランプの価格、交換費用、交換作業、美観などを総合的に判断し、定格寿命の70 %程度を経過したときに行うのが経済的とされている[5]。一般家庭においてはランプが点灯しなくなった時点でそのランプを新品と交換する個別交換でよいが、カバー付き照明器具のように蛍光ランプが直接見えずそのうち一個が不点になってもわかりにくいものも多くなっている[5]。ランプの交換には次の方法がある。
管理蛍光灯はガラス製品のため衝撃を加えると破損するおそれがある[5]。また、取り付けが不十分だと点灯せず落下したり、接触不良によりランプの寿命が短くなったり発熱の原因となる[5]。蛍光灯は点灯中や消灯直後は熱くなる性質がある[5]。なお、エアコンなどによって風の当たりやすい部分には黒化や斑点現象がおきやすい[5]。 適正な電圧適正な電圧は安定器で指定の電圧のプラスマイナス6 %とされている[5]。 適正な周波数事故を防ぐため、設置地域の商用電源周波数に合った蛍光灯器具・安定器を使用する。 蛍光灯は点灯に際し安定器が必要であるが、適合電源周波数で使用しないとさまざまな問題が生じる。施設照明器具の市場の大半を占めるパナソニック(旧:パナソニック電工、松下電工)と東芝ライテックでは、周波数区分が容易に判るように、器具型番のシールと電線色を分けている。
建築基準法による非常灯は、周波数区分にかかわらず赤である。
これは、安定器内部のコイルは周波数の高い交流ほど流しにくくなり、逆にコンデンサは周波数が高いほど交流を流しやすくなるためである。このため、一般の安定器を使用する器具を周波数の違う地域で使用する場合、安定器を交換しなければならない。ただしインバータ式安定器は日本国内であればどこでも使用できる。 子供用学習机に付帯される蛍光灯照明は「チラツキが少なく目に優しい」としてインバータ式の普及が急速に進んだため、現在では見かけることはまずないが、スタータ式の照明の時代には周波数切り替えスイッチが取り付けられているものが多く、これを切り替えることにより周波数の異なる地域でもそのまま使用できた。 適正な周囲温度適正な周囲温度は5 °Cから40 °Cで5 °C以下になると点灯直後は暗くちらつきなどを起こす[5]。 蛍光管の点灯方式や省エネタイプ管の互換性事故を防ぐため、照明器具の始動方式に合った蛍光管を使用する必要がある。 特に、複数方式に対応するランプフリーの安定器を搭載しているなど方式そのものは問題がない場合であっても、器具全体としては管の支持方法やカバーの取り付け、放熱設計など種々の制約により適合ランプを限定している場合があるので、たとえ下記記述で互換性があるとされる場合であっても、取扱説明書や器具本体の表示等を必ず確認すること。
廃棄蛍光灯には水銀を含むガスが封入されているため、割って埋め立て処分するなどの方法では、割った際にガスが環境中に放出されたり、最終処分場が水銀で汚染されてしまうなどの問題がある。そのため適切に回収され再資源化することが望ましい。 米国では廃蛍光ランプは専門業者が回収を行い、この際割らずに回収させなくてはならず、割れた場合には高額な回収費用が請求される。回収された廃蛍光ランプは専門の設備により口金金属部、管状部に丁寧に分割され、中の水銀は銅キャニスターに回収される。残りの部材はアルミ、電極、ガラス、蛍光体へと分別され、完全リサイクルされる体制が確立されている。北欧では、廃棄蛍光灯の総量を減らすため、蛍光灯の長寿命化への取り組みが盛んである。 一方、日本では、回収して水銀をリサイクルできる専用の施設(例: イトムカ鉱山を参照)に処理を委託する方法がとられつつあり、環境マネジメントシステム ISO 14000 の認証を取得している企業などではこちらの方法が一般的である。一般家庭から廃棄される蛍光灯は、一部の自治体が回収を行っているものの、現在でも多くの地方自治体が燃えないごみに出すように定めており、環境意識の高まりとともに改善を求める声があがっている。自治体が回収を行っていない地域であっても、一部の家電量販店や電器店・ホームセンターなどが「蛍光管回収協力店」として店頭で無料で回収している場合、または蛍光灯購入を条件に回収している場合、などがある。また、大日本プロレスが試合会場や郵送で無料回収している。回収された蛍光灯は実際に蛍光灯デスマッチに使用される。 特殊加工を施した蛍光管飛散防止膜付蛍光管ガラス管の外面全体にポリエステルフィルムの合成樹脂で被膜を施した蛍光管。Pタイプと呼ばれている[5]。 万一の破損に対し、樹脂フィルムで落下や飛散を防ぐ。防飛型とも呼ばれる。薄いガラス素材である蛍光管は、破損の際に非常に細かい破片が飛散し、人の目や口腔をはじめ、気管にも到達する危険がある。そのため異物の混入が事故となる現場や、破片の除去・清掃が困難な製品や機器を扱う環境で利用されている。 公共施設や鉄道・路線バスを始めとする輸送機械、加工食品の工場、学校で使用されている[5]。また、サーバ・コンピュータルーム、国際宇宙ステーションでも使用されている。高価なため、一般家庭には普及していない。 フィルムにUVカット性能を持たせ、防虫(避虫)効果を兼ね備えた製品もある。 光触媒膜付蛍光灯蛍光管の表面に酸化チタンの被膜を施した蛍光管[5]。PCタイプと呼ばれている[5]。光触媒の作用でランプ表面に付いた有機物の汚れを分解し、室内の臭いを軽減する機能もある[5]。 低誘虫用蛍光灯夜間活動性の昆虫は明るいところでは視機能が低下する性質を利用して果樹園などでの吸害被害を防止するための蛍光管(黄色蛍光ランプ)[5]。Yタイプと呼ばれている[5]。 捕虫用蛍光灯夜行性昆虫の捕虫用の蛍光灯で近紫外域の光を効率よく発するようにした蛍光管[5]。BLタイプと呼ばれている[5]。 食品展示用蛍光灯生鮮食品や食肉を新鮮で美味しく見せるための食品展示用の蛍光灯[5]。冷蔵・冷凍ショーケース内では低温下でも明るさの低下が少なく始動性に優れた低温用蛍光ランプが使用されている[5]。 鑑賞用・植物育成用蛍光灯青色と赤色の発光成分を組合せたランプで、観葉植物や熱帯魚の観賞用と光合成を促進する植物育成用がある[5]。BRタイプと呼ばれている[5]。 紫外放射吸収膜付蛍光灯蛍光管の内部に紫外放射吸収膜を施した蛍光管[5]。NUタイプと呼ばれている[5]。美術館などで作品の色への影響を軽減するために利用される[5]。また、店舗や食品工場では誘虫を防ぐため白色系のランプが利用される[5]。 色彩検査・展示用蛍光灯繊維、塗装、染色などの分野で利用される表面色評価用の標準光源として自然光に近似した光を出す蛍光灯[5]。色評価用ランプは印刷工場、写真現像所、美術館・博物館でも使用される[5]。 鑑定用・効果照明用蛍光灯→「ブラックライト」を参照
近紫外光のみを有効に放射する、文書や鉱物の鑑定・鑑識、舞台や看板用などの効果照明用のブラックライト蛍光ランプが使用した蛍光灯[5]。BL-Bタイプと呼ばれている[5]。 養鶏用蛍光灯養鶏場で使用される光放射による産卵時期の制御のための蛍光灯[5]。 半導体工業用蛍光灯半導体工場のクリーンルーム内に使用される純黄色の蛍光灯[5]。Y-Fタイプと呼ばれている[5]。 殺菌用蛍光灯紫外放射による殺菌を行うための蛍光灯[5]。GLタイプと呼ばれている[5]。 バックライト用蛍光灯→「冷陰極管」を参照
パソコンのモニターやテレビ用の管径の細い蛍光灯[5]。 その他の特殊な種類
終息への流れ省エネと環境負荷低減の観点から、2010年代以降はLED照明への移行が急速に進み、一般照明としての蛍光灯と水銀ランプは終息する方向にある。 省エネの観点赤崎勇、天野浩、中村修二らによる、実用的な青色発光ダイオードの発明と高輝度化への成功、これを応用した高輝度白色LEDの開発により、2000年代に実用化したLED照明は、蛍光灯より消費電力が少なく、かつ長寿命のため長期間にわたりランプ交換も不要という利点により、急速に普及し低廉化、日本においては2011年3月11日の東日本大震災に伴って、日本の原子力発電所が全基停止措置による電力不足が普及に拍車をかけた。 これを受け日本の大手電機メーカー各社は、蛍光灯照明器具の新製品発表を2012年以降取りやめており(乾電池や充電式電池で駆動するアウトドアランタンはLEDへ完全移行し、蛍光灯を用いるランタンの生産は終了)、中でも照明器具国内シェア首位のパナソニックは、先陣を切って「2015年度を以て蛍光灯及び白熱電球を用いる一般住宅向け従来型照明器具生産を終了し、今後はLED器具へ完全移行(蛍光ランプ及び電球型蛍光ランプは交換用途のみに絞って生産を継続)する」旨を公式発表した(2014年3月4日付、朝日新聞経済面記事にて報道。なお卓上型の電球&蛍光灯器具生産は、2011年限りで終了しLEDへ完全移行)。こうした「脱蛍光灯」の動きは、今後他社にも広がる可能性がある。なお白熱電球生産は(一部特殊用途を除き)2012年度を以て、日本の製造メーカー全社が完全終了した。 従来型蛍光ランプ(Hf器具専用スリム管も含む)・電球型蛍光ランプ・点灯管・ミニクリプトン電球は「交換用途に絞って」生産が継続されているが、日立グローバルライフソリューションズは「LED器具&電球の普及で従来型蛍光ランプの需要が減少傾向にあり、かつ材料価格高騰で製品の安定供給が今後困難となることが予想されるため、蛍光灯・白熱電球器具に続き蛍光ランプ・点灯管生産を2019年12月限りで完全終了し、今後はLED電球及びLED照明器具のみの生産へ完全移行(日立製蛍光ランプ・点灯管は2020年3月までに在庫品限りで販売終了)する」と発表。蛍光ランプ生産からの完全撤退は、日立グローバルライフソリューションズ(旧・日立ライティング)が大手電機メーカーで初となり、翌2021年3月には三菱電機照明が蛍光ランプ・点灯管・ミニクリプトン電球生産を完全終了(LED電球とLED照明器具のみの生産へ完全移行する)予定。東芝ライテックは2016年限りで蛍光灯の自社生産より撤退し、以降(「メロウZプライド」シリーズを中心とする)「TOSHIBA」ブランド蛍光灯生産はパナソニック ライティングデバイスとホタルクスへの委託へ切り替わっている。 今後、日本の蛍光ランプ&点灯管メーカーはパナソニック ライティングデバイスとホタルクス(NECブランド)のみとなり、日立系列店「日立チェーンストール」と三菱系列店「三菱電機ストアー」で販売される蛍光灯は今後パナソニック ライティングデバイス「パルックプレミア」・東芝「メロウZプライド」・NEC(ホタルクス)「ホタルック」などの他社製品へ置き換わっていく[注 3]。 2015年11月26日の複数の報道で、日本国政府が省エネ法の政令を改正し、2020年度をメドに蛍光灯や白熱灯の生産や輸入を、実質的に禁止する方向であると報じられたが[18][19][20]、経済産業省は「これらを一律禁止するものではない」として、報道内容を否定した[21]。 環境負荷の観点蛍光灯が使用する水銀は『環境負荷物質』として、EU域内では、RoHS指令による規制の対象であるが、蛍光灯を代替できる他の技術が確立されていなかったことや、蛍光灯が広く普及していたこと、発光原理上水銀を使用せざるを得ないことを理由として、蛍光灯への使用は許容されている。 しかし、水銀の使用と輸出入を2020年以降規制する、水銀に関する水俣条約 が2017年8月16日に発効、これを受け日本でも廃棄物処理法に新たに水銀含有廃棄物の区分が設けられ、廃棄蛍光ランプも『有害廃棄物』として管理を求められるなど、処分費用の負担が増加することから、産業廃棄物処理業者の中には、廃棄蛍光ランプの受け入れを取りやめたり、追加費用を請求する例が出ている。家庭から排出される廃棄蛍光ランプを無料回収していた量販店も、東急ハンズなど一部は有料回収に切り替えている。 蛍光灯を代替する技術として、LED照明も既に実用化されていることから、日本においては、新築のオフィスビルなどでは全館LED照明を採用する事例も増えている。家庭向けにも蛍光灯照明器具の製造・販売を終息するメーカーが相次いでおり、蛍光灯の使用は淘汰される方向へと情勢が大きく変化している。 なお、いわゆるレトロフィットの一種として蛍光灯器具に装着可能なLED管も存在するが、電球型蛍光管からの事実上の発展型である電球型LEDとは異なり、装着にあたって安定器をバイパスする工事を要するものや、スターター式のみ工事不要としているもの、完全工事不要のものなどが製品によりまちまちだったり、LED管自体も元来からのLED器具に装着するものと互換性がない等(元来からのLED器具に装着するものは蛍光灯器具に装着できないよう口金が片方異なる)で電球型LEDほどは普及しているとは言い難い。そもそもが直流駆動であったり、交流でも商用電源とは互換性のない高周波駆動であったりする車内照明用途では管自体の破損対策等もあり器具ごと交換するのが一般的となっている。 旧式の蛍光管・ペンダントライトを使用(特にコンセント式)して、蛍光灯タイプのLED照明を取り付けると、特に古いものになると故障はおろか火災の発生するリスクが大きいとされているため、LED方式の場合、シーリングライト型の照明に変えるように求めている[22]。 国際会議での製造禁止決議2027年末で、直管型蛍光灯の製造を禁止することを国際会議で合意した[23]。電球型蛍光灯は2025年に製造禁止となる[23]。パナソニックが2027年末で蛍光灯の生産を終えると発表している[24][25]。 メーカー
脚注出典
参考文献
関連項目
外部リンク
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