バンパイアハンターD
『バンパイアハンターD』(英題:Vampire Hunter D: Bloodlust)は、 日本のアニメ会社マッドハウスが制作したアニメ映画である。 本作は、菊地秀行の小説シリーズ『吸血鬼ハンターD』の第3作「D-妖殺行」を原作としており[5] 、「貴族」と呼ばれる吸血鬼たちが存在する遠い未来を舞台に、"D"とはじめとする吸血鬼ハンターと、「貴族」の一人であるマイエル=リンクの戦いを描いた内容である。 1999年末以降「Vampire Hunter D: Bloodlust」の題でアメリカにて先行公開され、日本では2001年4月に、音声は英語のまま日本語字幕をつけて劇場公開された[6]。DVDソフト化の際は、英語版の他に日本語吹き替え版も発売されている[6]。 ストーリー「貴族」マイエル=リンクは、都の名門エルバーン家の少女シャーロットと駆け落ちをし、貴族の安住の地とされる「夜の都」をめざし、協力者である女貴族カーミラのいる馬車を走らせる。 エルバーン家は、"D"に加え、「貴族」たちでさえ恐れる凄腕のハンター集団・マーカス兄妹にもシャーロットの救出を依頼した。 "D"、マーカス兄妹、マイエル=リンクと彼が雇った怪物の用心棒「バルバロイの民」(妖術師・ベンゲ、妖女・カロリーヌ、怪人・マシラ)が入り乱れての追跡劇が展開される。 そんな中、マーカス兄妹の一員であるレイラはDに思いを寄せ、「どちらかが死んだら、もう一方が墓に花を手向ける」という約束を交わす。 やがて、マイエル=リンクとシャーロットを乗せた馬車は、カーミラの居城・シャイテ城へ到着する。だが、マイエル=リンクとシャーロットの駆け落ちが、カーミラによって仕組まれていたことが判明する。そして、マイエル=リンクとシャーロットの二人は、星々の果てに向けて、宇宙船で旅立った。 それから数十年後、Dは約束通り、レイラの墓参りに行った。 キャストそれぞれ「役名 - 英語版キャスト / 日本語版キャスト」の形で記載。
スタッフ
主題歌
製作二度目となる『吸血鬼ハンターD』の映像化の企画は、マッドハウスの別作品『獣兵衛忍風帖』のマスタリング期間中から始まっていた[9]。 OVA版の続編を作って欲しいというファンから要望が寄せられたことがきっかけで、『吸血鬼ハンターD』の新作映画を作ろうという話になった[10]。原作者の菊地もOVA版が安っぽいと感じていたことを気にしていたことから、新作映画の制作に賛同した[10] 。菊地は映像化にあたり、川尻善昭らに任せる姿勢を見せ、脚本の打ち合わせなどには参加しなかった[9]。 『吸血鬼ハンターD』の映像化の対象として、第三作である『D-妖殺行』を選んだ理由について、監督の川尻善昭は、複雑な背景設定を説明する必要が無く、作品のテンポが映画向けだったことなどを自身のホームページの中で挙げている[9]。 1997年には、川尻善昭監督・マッドハウス製作という開発体制が確立した[10] 。 川尻は準備が出来たらいつでも作品に取りかかることが出来るようにするため、絵コンテや原画のみといった単発の仕事を中心に行っていた[10]。 プロデューサーの山本又一朗は、菊地の別の代表作である『妖獣都市』の権利をマッドハウスから購入したいと考えており[5]、『妖獣都市』について話し合いを進める中で、『吸血鬼ハンターD』の新作映画の話を耳にする[5]。山本は『吸血鬼ハンターD』の新作映画をOVAだけでなく、アメリカで劇場公開したいと考えた[5]。 原作である『D-妖殺行』において、マイエル=リンクの駆け落ちの相手となる少女には名前が割り振られていない[9]。川尻はこのキャラクターにシャーロットという名前をつけた理由について、犠牲者を出してまで禁断の恋をかなえようとする少女の姿勢をもう一人のヒロインであるレイラが許さない点を踏まえ、禁断の恋に対する責任の自覚を含め、原作における幼い少女というよりは、自らの意思を貫く強さを持った年上のキャラクターの方が相応しいと考えたと公式ホームページの中で振り返っている[9]。その一方で、川尻は女性の観客からはわがままに見えるかもしれないことを心配していたとも話している[9]。 また、『D-妖殺行』では終盤に舞台がクレイボーン・ステイツという宇宙港に移行する展開を迎えるのに対し、川尻は吸血鬼ものの定番として城を出したいと考えていた[9][6]。脚本の段階では、終盤で城に眠る大昔のコンピュータが起動し、貴族のホログラムが現れる中、Dと敵の戦いが電脳世界に移行するというアイデアがあった[9]。ところが、プロデューサーはこれをよしとせず、マイエル=リンクの特殊性に着目し、正統派の吸血鬼を敵として出してはどうかと提案し、最終的にカーミラというキャラクターができあがった[9]。川尻はプロデューサーの選択が正しかったと公式ホームページの中で振り返っている[9]。また、物語の結末も同様の理由によるものである[6]。 『獣兵衛忍風帖』などに参加した箕輪豊が、川尻の指名によってキャラクターデザイナーとして起用された[9]。また、同作においては、3DCGをはじめとするデジタル技法が取り入れられたほか、川尻が虫プロ時代に勉強したリミテッドアニメーションという手法が用いられた[9]。 アニメーション製作はマッドハウスの所有する東京のスタジオで行われたが、ポストプロダクションの作業はアメリカ合衆国カリフォルニア州にある別のスタジオで行われた。日本語版のダイアログの収録は、英語版のサウンドトラック収録後に行われた[11] 。 反響全米ビルボードの2002年3月9日付トップDVDセールスチャートで初登場7位を記録[12]。日本の企業・イードが運営するアニメ専門ニュースサイト「アニメ!アニメ!」によると、本作は北米だけでも50万枚以上のDVDを売り上げたとされている[13]。 評価本作はアメリカ合衆国の批評家たちから好意的に受け入れられており、Metacriticでの点数は62点だった[14]。 オルタナティブ新聞「シカゴ・リーダー」のリサ・アルスペクター(Lisa Alspector)は、シュールな冒険物語が豪華なアニメーションによって彩られたと評価している[15] 。タブロイド紙「デイリーニューズ」は、「美しくて、ウィットに富み、時には刺激的」("Beautiful, witty and provocative" )と評価し、ファンか否かにかかわらず楽しめる作品であると評した[14]。 ゲーム『VAMPIRE HUNTER D』は、1999年12月9日にビクターインタラクティブソフトウェア[注釈 1]より発売された[16]、PlayStation用のゲームソフトであり、本作をもとにした物語が展開される。ファミ通の40点満点のクロスレビューでは26点という評価だった[17]。 キャスト(ゲーム)
スタッフ(ゲーム)
脚注注釈
出典
参考文献
外部リンク
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