ゲンロン
株式会社ゲンロン[1](Genron. Co., Ltd.)は、東京都品川区に本社を置く日本の出版社。人文系の出版のほか、イベントスペース事業やアート・カルチャースクール運営事業などを主な事業としている 概要現在の主要な刊行物は批評誌『ゲンロン』である。同誌は2015年までに刊行されてきた『思想地図β』、『ゲンロン通信』の問題意識を引き継いだ雑誌で、同社が開催するカフェイベントやスクールと連動している。そのほかに、友の会会報の電子批評雑誌『ゲンロンβ』やゲンロン叢書の刊行もおこなっている。 イベントスペース事業では自社運営の「ゲンロンカフェ」にて、人文系の研究者や作家などに留まらず、理系の研究者やアーティスト、ミュージシャンなど、幅広いジャンルの人物を招いたトークイベントをおこなっている。それらはニコニコ生放送、自社の有料配信プラットフォーム「シラス」で配信されている。 スクール事業では、SF作家・読み手を目的とした「大森望 SF創作講座」や、漫画家育成を目指した「ゲンロン ひらめき☆マンガ教室」などを運営している。 2020年からは、有料配信プラットフォーム「シラス」を開始[2][3]し、オンラインにおける視聴者を獲得しつつある。 沿革
主な出版物雑誌
単行本
過去の出版物電子雑誌
webメディアwebゲンロン(旧「ゲンロンα。2020年4月〜):人文系ポータルサイト。時事的な事柄や、「ゲンロンβ」から抜粋された記事が掲載。 シラス2020年10月19日にリリースされた、無料(フリー)のビジネスモデルへの応答として作られた、独自の配信プラットフォーム。運営会社は、ゲンロンのグループ会社である合同会社シラス。開発協力会社は、株式会社グルコース。配信番組は広告を伴わず、すべて有料(チャンネル単位の月額購読または番組単位の個別課金)となっている[15]。2020年9月、クローズドβテスト開始。10月、正式リリース。10月24日、ユーザーチャンネル開設開始。第一弾は、ライターのさやわかの「さやわかのカルチャーお白洲」、近現代史家の辻田真佐憲の「辻田真佐憲の国威発揚ウォッチ」の2チャンネル。26日、ユーザー放送第1回が配信された。サービス名である「シラス」の由来は、魚の「シラス」、「知らせる」「お白州」、「しらす」(坂本多加雄による用語)。2021年2月、登録ユーザー数が1万人を超えたことを発表[16]。2021年12月には、優れた顧客体験を表彰する「CX AWARD 2021」を受賞[17]した。 配信チャンネル
配信終了したチャンネル
スクール事業(ゲンロンスクール)
プロジェクト福島第一原発観光地化計画東浩紀が中心となって2012年から企画した[18]、福島第一原子力発電所跡地付近の復興計画である。 2011年3月に起こった福島第一原子力発電所事故の記憶を風化させず人類史に残すことを目的とする。事故後25年後にあたる2036年頃、除染が進んで福島第一原子力発電所跡から数百メートルの距離まで一般市民が防護服なしに近づけるようになった状態を想定し、事故跡地付近に建設する施設やそこでの展示などを提案した。 先行事例として、撤去を検討されながら保存され世界遺産の指定を受けるに至った原爆ドーム、さらにはチェルノブイリ原子力発電所跡地が観光ツアーの行き先にもなっている例を参照する[19]。 参加メンバーには東浩紀をはじめ、現代美術家の梅沢和木、社会学者の開沼博、ユビキタスエンターテインメント代表取締役社長兼CEOの清水亮、ジャーナリスト/メディア・アクティビストの津田大介、編集者・ライターの速水健朗、建築家の藤村龍至、観光学者の井出明が名を連ねている。 東は2019年に、「『福島第一原発観光地化計画』の出版が失敗に終わったあとは、社会問題に関わること、それそのものが虚しく感じられるようになった。あの失敗は、たんに売上の点で不調であっただけでなく、不調を知った共著者の社会学者が手のひらを返したようにぼくを批判し始めるという、きわめて後味の悪い経験だった。」と述べている[20]。 評価
関連書籍
脚注
外部リンク |