イエローナイフ(英: Yellowknife、発音:[ˈjɛloʊnaɪf])は、カナダのノースウエスト準州の州都である。人口は約2万人(2021年)。北極圏からはおよそ400 km南に位置し、グレートスレーブ湖畔の北にある。ノースウエスト準州は有人の地域が僅かと、川や湖、果てしない永久凍土が広がる広大な大地である。民族構成はイヌイットをはじめ、多数のネイティブカナディアンなどが定住しており、公用語は8つで構成される。ノーススレーブ地域の行政区役所が置かれている。
イエローナイフはオーロラ帯(北緯62度27分)のほぼ真下に位置しており、障害物のない広い土地や晴天率の高さもあって年間を通してオーロラの出現率が高いことで有名である。夏は平原地帯の緑が美しく、湖も多いことからカヌーやフィッシングなどを楽しむ人々も多い。
名称
都市名は先住民のイエローナイフ族(英語版)に因む。
ドグリブ語では、「お金のある場所」を意味する Somba K'e (英: where the money is)と呼ばれている[2]。
言語
ノースウエスト準州の公用語は、11言語(ノースウエスト準州#公用語)ある。そのうち多く話されているのは、チペワイアン語(Dene Suline、チペワイアン)、ドグリブ語(Tłı̨chǫ)、スレイビー語(ノースとサウス、en:Slavey people)、英語およびフランス語である。
歴史
19世紀1930年頃に金の鉱脈が発見されるとゴールド・ラッシュで人口が増え始め、都市としての成長を始めた。1920年代には航空機による北極圏探索の基地となった。その後も鉱脈は次々と見つかり、町として発展。1950年代には地方自治体として成り立つようになった。1967年、当時の準州政府所在地がオンタリオ州のオタワからイエローナイフに移動した時に、ノースウエスト準州の州都となり、同市は州政府関連の労働者を集めるようになる。1970年に市制に昇格。1978年1月24日にソ連の軍事衛星コスモス954号が大気圏に突入し、グレートスレーブ湖から北西方向の広範囲に破片が落下した。原子炉搭載だったので放射能汚染が問題になり、米加合同で破片の回収が行われた。1991年には同市北300 kmの地点でダイアモンドの鉱脈(ダイアヴィク鉱山)が見つかり、1998年に操業を開始した。一方、2004年には最後の金鉱が閉鎖した。現在では行政都市、ダイアモンド鉱業の中心都市として栄えている。
2023年8月、ノースウエスト準州内で山火事が頻発。同年8月16日、カナダ政府はイエローナイフと周辺の住民に対し避難命令を出した[3]。
気候
亜寒帯湿潤気候に属する。
イエローナイフ(イエローナイフ空港)(1981−2010年平均)の気候
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月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
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最高気温記録 °C (°F)
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3.4 (38.1)
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6.2 (43.2)
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9.3 (48.7)
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20.3 (68.5)
|
26.1 (79)
|
30.3 (86.5)
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32.5 (90.5)
|
30.9 (87.6)
|
26.1 (79)
|
19.0 (66.2)
|
7.8 (46)
|
2.8 (37)
|
32.5 (90.5)
|
平均最高気温 °C (°F)
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−21.6 (−6.9)
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−18.1 (−0.6)
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−10.8 (12.6)
|
0.4 (32.7)
|
9.7 (49.5)
|
18.1 (64.6)
|
21.3 (70.3)
|
18.1 (64.6)
|
10.4 (50.7)
|
0.9 (33.6)
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−10.0 (14)
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−17.8 (0)
|
0.0 (32)
|
日平均気温 °C (°F)
|
−25.6 (−14.1)
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−22.9 (−9.2)
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−16.8 (1.8)
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−5.3 (22.5)
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4.6 (40.3)
|
13.3 (55.9)
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17.0 (62.6)
|
14.2 (57.6)
|
7.2 (45)
|
−1.7 (28.9)
|
−13.7 (7.3)
|
−21.8 (−7.2)
|
−4.3 (24.3)
|
平均最低気温 °C (°F)
|
−29.5 (−21.1)
|
−27.5 (−17.5)
|
−22.7 (−8.9)
|
−11.0 (12.2)
|
−0.5 (31.1)
|
8.5 (47.3)
|
12.6 (54.7)
|
10.2 (50.4)
|
4.0 (39.2)
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−4.2 (24.4)
|
−17.5 (0.5)
|
−25.7 (−14.3)
|
−8.6 (16.5)
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最低気温記録 °C (°F)
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−51.2 (−60.2)
|
−51.2 (−60.2)
|
−43.3 (−45.9)
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−40.6 (−41.1)
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−22.8 (−9)
|
−4.4 (24.1)
|
0.6 (33.1)
|
−0.6 (30.9)
|
−9.7 (14.5)
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−28.9 (−20)
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−44.4 (−47.9)
|
−48.3 (−54.9)
|
−51.2 (−60.2)
|
降水量 mm (inch)
|
14.3 (0.563)
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14.1 (0.555)
|
13.9 (0.547)
|
11.3 (0.445)
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18.4 (0.724)
|
28.9 (1.138)
|
40.8 (1.606)
|
39.3 (1.547)
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36.3 (1.429)
|
30.3 (1.193)
|
24.8 (0.976)
|
16.2 (0.638)
|
288.6 (11.362)
|
降雪量 cm (inch)
|
19.7 (7.76)
|
20.0 (7.87)
|
18.5 (7.28)
|
10.3 (4.06)
|
4.7 (1.85)
|
0.0 (0)
|
0.0 (0)
|
0.1 (0.04)
|
3.5 (1.38)
|
20.9 (8.23)
|
36.5 (14.37)
|
23.5 (9.25)
|
157.6 (62.05)
|
平均降雨日数 (≥0.2 mm)
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0.2
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0.1
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0.3
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1.2
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5.3
|
7.5
|
9.6
|
10.4
|
10.6
|
5.5
|
0.6
|
0.2
|
51.3
|
平均降雪日数 (≥0.2 cm)
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11.9
|
11.0
|
9.2
|
4.4
|
2.1
|
0.1
|
0.0
|
0.1
|
1.2
|
10.0
|
16.0
|
12.8
|
78.6
|
% 湿度
|
64.6
|
61.6
|
54.7
|
52.5
|
45.9
|
45.2
|
47.9
|
55.7
|
64.7
|
75.2
|
77.8
|
69.2
|
59.6
|
平均月間日照時間
|
50.6
|
107.3
|
188.4
|
276.4
|
335.7
|
373.8
|
358.0
|
276.2
|
157.7
|
65.0
|
42.7
|
24.6
|
2,256.5
|
出典:[4]
|
イエローナイフ(イエローナイフ空港)(1961−1990年平均)の気候
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月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
|
平均最高気温 °C (°F)
|
−23.9 (−11)
|
−19.7 (−3.5)
|
−12.5 (9.5)
|
−0.5 (31.1)
|
10.1 (50.2)
|
18 (64)
|
20.8 (69.4)
|
18.1 (64.6)
|
10 (50)
|
1.3 (34.3)
|
−10.8 (12.6)
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−20.1 (−4.2)
|
−0.8 (30.6)
|
日平均気温 °C (°F)
|
−27.9 (−18.2)
|
−24.5 (−12.1)
|
−18.5 (−1.3)
|
−6.2 (20.8)
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5 (41)
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13.1 (55.6)
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16.5 (61.7)
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14.1 (57.4)
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6.7 (44.1)
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−1.4 (29.5)
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−14.8 (5.4)
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−24.1 (−11.4)
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−5.2 (22.6)
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平均最低気温 °C (°F)
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−32.2 (−26)
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−29.4 (−20.9)
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−24.6 (−12.3)
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−12 (10)
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−0.1 (31.8)
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8.2 (46.8)
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12 (54)
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10 (50)
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3.4 (38.1)
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−4.2 (24.4)
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−18.9 (−2)
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−28.2 (−18.8)
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−9.7 (14.5)
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降水量 mm (inch)
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14.9 (0.587)
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12.6 (0.496)
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10.6 (0.417)
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10.3 (0.406)
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16.6 (0.654)
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23.3 (0.917)
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35.2 (1.386)
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41.7 (1.642)
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28.8 (1.134)
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34.8 (1.37)
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23.9 (0.941)
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14.7 (0.579)
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267.3 (10.524)
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出典:[5]
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経済
イエローナイフは周辺地域における鉱山や工業、運輸、通信、教育、福祉、観光、商業、行政などの中心地として根付いている。歴史的に行政とゴールド・ラッシュを基盤に発展してきたが、1999年にヌナブト準州が分離されたことで行政は縮小し、鉱業では金の価格低下に苦しみ、2004年には最後の金鉱が閉山となった。しかし、近年、ダイヤモンド・ブームを受け、町の経済は回復し、2003年におけるノースウエスト準州の経済成長率は10.6%を記録した[6]。
ノースウエスト準州内の新しい産業としては観光業が最も大きい。日本国からのオーロラ目的の観光客を含めた訪問客のほとんどが、準州内に入る際にイエローナイフを経由している。1990年代から2000年代にかけて日本で「オーロラ鑑賞旅行ブーム」があり、日本の三大都市圏の各国際空港からイエローナイフ空港への臨時チャーター便が運航されたこともある。
交通
空港
姉妹都市
出典
- ^ “Population and dwelling counts: Canada, provinces and territories, and census subdivisions (municipalities), Northwest Territories”. Statistics Canada (February 9, 2022). April 17, 2022閲覧。
- ^ “Yellowknife Visitors Guide” (PDF). Yellowknifer. 2007年7月26日閲覧。
- ^ “カナダ森林火災、北西部イエローナイフの全住民2万人に避難命令(字幕・18日)”. ロイター (2023年8月18日). 2023年8月19日閲覧。
- ^ “1981 to 2010 Canadian Climate Normals station data YELLOWKNIFE A カナダ環境省”. 2014年8月8日閲覧。
- ^ “1961 to 1990 Canadian Climate Normals station data YELLOWKNIFE A カナダ環境省”. 2014年8月8日閲覧。
- ^ “2006 NWT Socio-Economic Scan” (PDF). Government of the Northwest Territories. 2007年5月12日閲覧。
外部リンク
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