Share to: share facebook share twitter share wa share telegram print page

 

Mk 44 ブッシュマスター II

Mk 44 ブッシュマスター II
CV 9030歩兵戦闘車に搭載されたMk 44
種類 機関砲
原開発国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
運用史
配備期間 1995年 – 現在
配備先 中華民国陸軍ベルギー陸軍チェコ陸軍フィンランド陸軍アイルランド陸軍ニュージーランド陸軍/海軍ノルウェー陸軍ポーランド陸軍ポルトガル陸軍シンガポール陸軍スイス軍イギリス海軍アメリカ海軍/海兵隊海上保安庁
開発史
製造業者 アライアント・テックシステムズ
(現・ノースロップ・グラマン・イノベーション・システムズ
諸元
重量 160kg(344lb)
全長 3,405mm(134.05インチ
銃身 2,410mm(94.88インチ

口径 30×173mm弾
作動方式 自動機構: チェーン駆動
閉鎖機構: 遊底回転式
発射速度 100 or 200発/分
初速 AP弾 HEI-T弾使用時 1,080m/s(3,500ft/s)
有効射程
  • 車載仕様 3,000 m(9,800ft)
  • 艦載仕様 5,100 m(17,000ft)
テンプレートを表示

Mk 44 ブッシュマスター II英語: Mk 44 Bushmaster II)は、アライアント・テックシステムズ(ATK)社[注 1]が開発した30mm口径チェーンガン

構造

本砲は、先行して開発された25×137mm弾仕様のM242 ブッシュマスターをもとに、30×173mm弾仕様にスケールアップしたモデルである[2]。構成部品の約70パーセントはM242と共通である[3]。給弾機構も、M242と同様に二方向からの装填に対応して、異なる弾種を速やかに切り替えて使用できる[3][2]

上記の通り、標準的な使用弾薬は30×173mm弾だが、砲身や遊底、また送弾機構の一部を変更することで、エリコンKCBラーデン砲英語版などで用いられている30×170mm弾にも対応できる[3][2]

XM813

ブッシュマスターIIをもとに車載砲として最適化した派生型として開発されたのがXM813である[2]。俯仰角を急に変更したときの動作不良への対策として、送弾機構が2方向からのベルト給弾ではなく容量150発の弾倉2個を用いた方式に変更されているほか、銃身が肉厚のものに変更され、ABM弾の使用にも対応した[2]。またわずかな改修によって40×180mm弾仕様に変更することができる[2]

2013年11月の時点で、アバディーン性能試験場での試験においてXM813は3ヶ月以上・平均故障間隔4万発の長期信頼性が確認されている。長期的にはブッシュマスターIII 35 mm 機関砲とともに装架することが検討されている[4][5]

2014年9月10日にはARDEC英語版のディジタル多目的試験複合施設でXM813のデモンストレーションが行われた。XM813は、M2歩兵戦闘車に装架され、最大1,500メートル先の標的に向けて発砲された。火器管制システムの改良により、長射程でも少ない斉射数で有効弾が得られ、時には従来10斉射必要だったところが2、3斉射で済むこともあった。XM813 30mm機関砲は、M242 ブッシュマスター 25mm機関砲を代替するものと考えられており、M2歩兵戦闘車以外の車両にも搭載される可能性がある。ただし、リンクレス給弾と曳火攻撃能力についてはデモンストレーションが行われなかった。曳火攻撃は、掩体に潜む敵と遭遇した際に極めて有効な手段である[6]

運用史

車載型

中華民国CM-34装輪戦闘車型

本砲は、まずノルウェー陸軍向けのCV9030歩兵戦闘車に採用され、1995年より引き渡しが開始された[2]。またスイス陸軍向けの車両も本砲を採用した[3]

アメリカ海兵隊向けのEFV両用戦闘車はこの砲の搭載を予定しており、1999年には試作車が納入されたものの、2011年に開発中止となった[7]。同車向けの砲システムはMk.46 mod.0と称されていた[8]

その他、シンガポール陸軍バイオニクス中華民国CM-34 装輪戦闘車型ポーランドKTO ロソマクなどに標準的な主武装として搭載されている。

また、イスラエルラファエル社によって開発された遠隔操作式砲塔ユニットである、サムソン RCWS-30に組み込まれ、チェコパンデュールIIなどに搭載されている。

艦載型

アメリカ海軍で採用されたMk.46

アメリカ海軍では、EFVむけの砲システムをベースに、ブッシュマスター II 30mm機関砲1門と電子光学センサーなどを砲塔にまとめたMk.46 mod.1(後に改良型のmod.2に移行)を開発して、サン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦の自衛用兵装や沿海域戦闘艦対水上戦(SuW)モジュールにおける近距離用対艦兵器として搭載したほか[8]ズムウォルト級ミサイル駆逐艦でも当初予定のMk.110 70口径57mm単装速射砲にかえて搭載された[9]。また密閉砲塔式ではなく開架式のペデスタルマウント方式のMk.38機関砲システムにおいても、従来は25mm口径のM242チェーンガンを採用してきたのに対し、mod.4では本砲が採用されることになった[10]

イギリス海軍では、エリコンKCBの単装マウントを用いたDS30B 30mm機関砲を採用してきたが、2007年には、その機関砲部をブッシュマスターIIに変更したDS30M Mk.2が装備化された[11][12]

海上保安庁でも、ブッシュマスター IIを単装砲塔に架して、はてるま型巡視船くにがみ型巡視船の13番船以降やいわみ型巡視船に搭載している[13]

機上型

アメリカ空軍は、ブッシュマスター IIを2007年AC-130U ガンシップ搭載のGAU-12 25mmガトリング砲ボフォース 60口径40mm機関砲の代替として検討し、GAU-23/Aとして制式化、2012年よりAC-130WやAC-130Jに搭載している[14]

アメリカ海軍では、MH-60S多用途ヘリコプターに搭載して空中から機雷破壊処理するためのRAMICS(Rapid Airborne Mine-Clearance System)を開発しており、その機関砲部にブッシュマスター IIを採用した[15]。機雷の破壊処理にあたっては、スーパーキャビテーション効果を利用した専用のAPFSDS-T(Armor Piercing, Fin Stabilized, Discarding Sabot-Tracer)弾であるMk 258が用いられる[15]

登場作品

小説
『ゼロの迎撃』
安生正の小説。歩兵用に改造された物が登場。北朝鮮特殊部隊が使用し、橋の警備をしていた陸上自衛隊普通科部隊を蜂の巣にする。

脚注

注釈

  1. ^ もともとチェーンガンを開発したのはヒューズ社の銃砲部門だったが、これは1984年マクドネル・ダグラスに買収され、1997年には同社自体がボーイングに買収された[1]2002年にはボーイング社の銃砲部門はアライアント・テックシステムズ(ATK)社に売却され、2015年にはオービタルATKに改編された後、2018年にはノースロップ・グラマンに買収されてノースロップ・グラマン・イノベーション・システムズとなった[1]

出典

参考文献

  • 多田智彦「現代の艦載兵器」『世界の艦船』第986号、海人社、2022年12月。CRID 1520012777807199616 
  • 中名生正己「巡視船 武装の歩み(下)」『世界の艦船』第825号、海人社、168-173頁、2015年11月。 NAID 40020597434 
  • Gander, Terry J. (2002), Jane's Infantry Weapons, 2002-2003 (28th ed.), Janes Information Group, ISBN 978-0710624345 
  • Polmar, Norman (2013), The Naval Institute Guide To The Ships And Aircraft Of The U.S. Fleet (19th ed.), Naval Institute Press, ISBN 978-1591146872 
  • Williams, Anthony G. (2022), Autocannon : A History of Automatic Cannon and Ammunition, Crowood Press, ISBN 978-1785009204 
  • Mk 44 Bushmaster II 30/40mm Automatic Cannon / Mk 46 Weapon Station” (英語). GlobalSecurity.org. 2009年11月9日閲覧。

関連項目

Kembali kehalaman sebelumnya