ポルトガル陸軍(ポルトガルりくぐん、ポルトガル語:Exército Português)は、ポルトガルの陸軍。
歴史
ポルトガル陸軍の歴史はポルトガルの歴史と密接につながっている。陸軍は12世紀のポルトガル王国成立時から存在し、歴史を継続させている点において世界最古の陸軍である。
陸軍は12世紀にムーア人とレオン王国から独立を勝ち取るために戦い、14世紀にカスティーリャ王国の侵攻に対し、19世紀には半島戦争でフランス帝国による侵攻に対して戦った。
15世紀以来、陸軍はアフリカ、アジア、アメリカ大陸、オセアニアおよびヨーロッパなど世界各地で第一次世界大戦ではポルトガル遠征軍団を編成し連合国の一員としてヨーロッパ戦線やアフリカ西部で戦う。
1961年から1974年までポルトガル植民地戦争のため、ポルトガル領インド、ポルトガル領ギニア、ポルトガル領アンゴラ、ポルトガル領モザンビークおよびカーボベルデで大小様々な戦闘に関与し、多くの戦場では優勢を保持したが最終的には敗北する。1974年4月のカーネーション革命により翌5月にはアントニオ・スピノラ将軍を首班とする臨時政府が成立する。また、カーネーション革命の混乱に乗じてインドネシア軍は東ティモールに侵攻する。
冷戦終結後、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボ、東ティモールおよびアフガニスタンなどで平和維持活動に参加している。2005年12月にはアフガニスタンにおいて自動車爆弾の攻撃で戦死者を出している。
組織
2007年時点で現役26,700人うち徴集兵8,740人、予備役210,000人[1]。
指揮命令系統
- 陸軍司令部
- 陸軍参謀総長(CEME)
- 参謀総長付官房
- 陸軍参謀次長(VCEME)
- 陸軍規律高等会議
- 陸軍懲戒委員会
- 陸軍衛生改訂委員会
- 陸軍監察官
- 陸軍参謀本部
- 中央管理機関
- 教義指導監部(エヴォラ)
- 兵站監部(リスボン)
- 人事監部(ポルト)
- 作戦監部(リスボン、オエイラス)
- 高等教育機関
任務部隊
作戦監部の指揮下で陸軍基礎部隊体系から各種部隊の協力を受けて、任務別の部隊を構成する。
旅団
旅団長には大佐ないし准将が充てられる。
- 機甲旅団(BriMec) 在サンタレン県コンスタンシア
- 旅団司令部
- 戦車群 (第4騎兵連隊と騎兵訓練学校の一部)
- 第1機械化歩兵大隊
- 第2機械化歩兵大隊
- 砲兵群
- 偵察大隊
- 工兵中隊
- 通信中隊
- 本部管理中隊
- 防空砲兵中隊
- 支援任務大隊
- 支援隊
- 緊急展開旅団(BRR) 在サンタレン県ヴィラ・ノヴァ・ダ・バルキーニャ
- 旅団司令部
- 第1落下傘歩兵大隊 (第15歩兵連隊の一部)
- 第2落下傘歩兵大隊 (第10歩兵連隊の一部)
- 特殊作戦部隊 (特殊作戦部隊センターの一部)
- コマンドー大隊 (コマンドー部隊センターの一部)
- 偵察大隊 (第3騎兵連隊の一部)
- 空地支援大隊 (空挺学校の一部)
- 砲兵群 (第4砲兵連隊)
- 通信中隊 (陸軍軽航空隊の一部)
- 防空砲兵小隊 (第1防空砲兵連隊の一部)
- 工兵小隊 (工兵訓練学校の一部)
- 陸軍ヘリコプター群 (陸軍軽航空隊の一部)
- 介入旅団 在コインブラ県コインブラ
- 第1歩兵大隊 (第13歩兵連隊の一部)
- 第2歩兵大隊 (第14歩兵連隊の一部)
- 砲兵群 (第5砲兵連隊と砲兵訓練学校の一部)
- 機関銃群 (第6騎兵連隊の一部)
- 偵察大隊 (第6騎兵連隊の一部)
- 工兵中隊 (第3工兵連隊の一部)
- 通信中隊 (通信訓練学校の一部)
- 防空砲兵中隊 (第1防空砲兵連隊の一部)
- 支援任務大隊 (第19歩兵連隊の一部)
軍管区
軍管区司令官には准将ないし少将が充てられる。
全般支援部隊
各駐屯地に分散配置。
- 防空砲兵全般支援大隊 (第1防空砲兵連隊の一部)
- 陸軍憲兵隊 (第2槍騎兵連隊の一部)
- 軍民一般協力中隊 (第1工兵連隊で訓練を受ける)
- 工兵全般支援中隊 (第1工兵連隊と第3工兵連隊の一部)
- 人的情報中隊 (軍事保安情報センターで訓練を受ける)
- 軍事保安情報分遣隊 (軍事保安情報センターで訓練を受ける)
- 心理戦隊 (軍事保安情報センターで訓練を受ける)
- 橋梁中隊 (工兵訓練学校で訓練を受ける)
- 核防護中隊 (生物化学技術訓練学校で訓練を受ける)
- 爆発物処理群 (工兵訓練学校で訓練を受ける)
- 通信全般支援中隊 (通信訓練学校で訓練を受ける)
- 電子戦中隊 (通信訓練学校で訓練を受ける)
- 補充役務中隊 (役務訓練学校で訓練を受ける)
- 輸送中隊 (輸送連隊で訓練を受ける)
- 整備中隊 (整備連隊で訓練を受ける)
- 機動野戦病院 (陸軍病院で訓練を受ける)
- 地理支援隊 (軍地理研究所で訓練を受ける)
陸軍基礎部隊体系
ポルトガル陸軍の各種部隊は、陸軍基礎部隊体系を構成し教育訓練や人事管理を歴史的および伝統の継承などの理由に基づき、殆どの場合連隊を基幹に基礎部隊を形成している。
- 兵站監部の系統
- 教義指導監部の系統
- 作戦監部の系統
- アゾレス軍管区の系統
- マデイラ軍管区の系統
- 機甲旅団の系統
- 介入旅団の系統
- 緊急展開旅団の系統
- 全般支援部隊の系統
- 陸軍の再編成のため以下の系統は解散される
装備
小火器
車両
火砲
ミサイル
航空機
回転翼機
階級
日本語 |
ポルトガル語 |
NATO階級符号
|
士官
|
陸軍元帥 |
Marechal do Exército |
OF-10
|
陸軍大将 |
General |
OF-9
|
陸軍中将 |
Tenente-general |
OF-8
|
陸軍少将 |
Major-general |
OF-7
|
陸軍准将 |
Brigadeiro-general |
OF-6
|
陸軍大佐 |
Coronel tirocinado / Coronel |
OF-5
|
陸軍中佐 |
Tenente-coronel |
OF-4
|
陸軍少佐 |
Major |
OF-3
|
陸軍大尉 |
Capitão |
OF-2
|
陸軍中尉 |
Tenente |
OF-1
|
陸軍少尉 |
Alferes |
OF-1
|
士官候補生 |
Aspirante |
OF-D
|
准士官および下士官
|
先任曹長 |
Sargento-mor |
OR-9
|
曹長 |
Sargento-chefe |
OR-8
|
上等軍曹 |
Sargento-ajudante |
OR-7
|
1等軍曹 |
Primeiro-sargento |
OR-6
|
2等軍曹 |
Segundo-sargento |
OR-5
|
1等下士官 |
Furriel |
OR-5
|
2等下士官 |
Segundo-furriel |
OR-5
|
兵卒
|
先任伍長 |
Cabo de secção |
OR-4
|
上等伍長 |
Cabo-adjunto |
OR-4
|
1等伍長 |
Primeiro-cabo |
OR-3
|
2等伍長 |
Segundo-cabo |
OR-2
|
兵 |
Soldado |
OR-1
|
脚注
参考文献
- Christopher Langton, Military Balance 2007, Routledge
外部リンク