院内総務 (アメリカ)院内総務(いんないそうむ)は、議会における院内会派のリーダーであり、アメリカ合衆国においては連邦および州の議会上下各院にそれぞれ存在する。ここではアメリカ連邦議会の上下各院における院内総務について述べる。それぞれの正式呼称は以下の通り
またこれらを総称して「院内総務(floor leaders)」と呼ぶこともある(冠詞なし・語頭小文字・複数形)。 概要アメリカの政治は伝統的に民主党と共和党による二大政党制をとってきたが、これらの政党には党首というものが存在しない。大統領は実質的に所属党を代表する立場となるが、形式上は党首ではなく、あくまで選挙運動期間中における指名候補者であるにすぎない。また、権力分立の見地から、行政府の長である大統領と議会、さらに議会の上院と下院の間にそれぞれ独立性を求める伝統もある。形式上は各党の「全国委員会(National Committee)」の委員長(Chairman/Chairwoman)が党組織全体のトップという形になる。しかし、全国委員会は大統領予備選挙のルールを決定する機関であることから、その委員長は予備選挙を争う各陣営に対する中立性が求められ、政策面で党をリードするようなことは行わない。 そこで、議会では各院の各党所属議員でそれぞれ構成される院内会派の単位が重視され、その代表である院内総務が大きな影響力を持つことになる。院内総務の選出は各院におけるそれぞれの会派所属議員の投票によって行われ、任期は1議会(2年)、多選に規制はない。 院内総務は各院でそれぞれの院内会派を代表し、その政策を決定し、政治日程を調整する、文字通りのリーダーである。ただし、下院議長は院内多数会派の実質的なトップでもあり続けるため、下院多数党院内総務は事実上の会派ナンバーツーである。下院では、総選挙の結果少数党が議席を増やし多数党となった場合、それまでの少数党院内総務が下院議長に昇格し(下院議長は大統領権限継承順位が第2位の要職)、新たな多数党院内総務を改めて選出することが慣例となっている。たとえば2003年1月に下院少数党院内総務に就任したナンシー・ペローシーは、2006年11月の総選挙で民主党が議席を増やして多数党となったため、2007年1月からは下院議長に昇格し、下院多数党院内総務には改めてステニー・ホイヤーを選出している。 注意しなければならないのはその呼称で、個々の院内総務は伝統的に「多数党院内総務(Majority Leader)」または「少数党院内総務(Minority Leader)」という呼称で呼ばれるという点である。単に「院内総務(floor leaders)」とすると総称としての院内総務になる。したがって、選挙で少数党が議席を増やして多数党になった場合、あるいは多数党が議席を減らして少数党に転落した場合には、院内総務の名称も替わることになる。たとえば上院で民主党の院内総務を務めるハリー・リードは、2005年1月の就任時は上院少数党院内総務だったが、2006年11月の中間選挙で民主党が議席を増やして多数党になったため、2007年1月からの2期目は上院多数党院内総務と呼ばれている。 歴代院内総務下院太字と ≥ が多数党院内総務(Majority Leader)、そうでない方が少数党院内総務(Minority Leader)。また参考のため院内幹事 (Whip)と下院議長(Speaker of the House)を添えた。
上院
脚注注釈
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