防府読売マラソン
防府読売マラソン(ほうふよみうりマラソン)は、毎年12月に山口県防府市で開催されている日本陸上競技連盟(日本陸連)公認のマラソン大会。 概要1970年(昭和45年)12月27日に66人のランナーを迎えて第1回大会が行われ、2019年で第50回を数える。当時の防府市長であった秋本武の「防府には、往年の名ランナーの濱村秀雄(1955年ボストンマラソン優勝、メルボルンオリンピック日本代表。協和発酵所属)、貞永信義(ローマオリンピック日本代表、元カネボウ陸上競技部監督)両氏もおり、市あげての一大行事としての本格的なマラソン大会を」との思いから第1回大会が実現したという[1]。 基本的に12月の第3日曜日に開催されており、日程的に、毎年その年の最後に行われる日本陸連公認マラソン大会となっている。若手有望選手が多く参加していることから、よく「若手の登竜門」と呼ばれている。 防府市に本拠地を置いていたカネボウ陸上競技部の強化という目的もあったが、2006年に同部が山口県から離れ、以後は中国、韓国、エチオピアなど国際色豊かな参加選手から分かるとおり、国際交流が大会開催の意義となってきている。 2009年(第40回)より女子の部、2015年よりIPC(国際パラリンピック委員会)登録の部(ブラインドマラソン)が創設され、IPC登録の部は日本視覚障がい女子マラソン選手権大会を兼ねる。 2021年(第52回)からはジャパンマラソンチャンピオンシップシリーズ(2021年は男子G2、2022年は男子G1)・マラソングランドチャンピオンシップ (MGC) チャレンジに位置づけられ、「日本人1位且つ2時間10分以内」「日本人6位以内且つ2時間09分以内」「2時間08分以内」のいずれかの要件を満たせばMGCへの参加資格が与えられる。 主催など
歴史第1回からしばらくは防府市内にある右田中学校前をスタートゴールとし徳地町下畑(現山口市徳地山畑下畑)で折り返す佐波川沿いの田園風景が広がる平坦基調のコースだったが、1990年の第21回大会から防府市スポーツセンター陸上競技場をスタートゴールする市街地循環コースに変更[1]。1999年の30回大会に初めて優勝者のタイムが2時間10分を切り、大会のレベルが上がってきている。 1990年代前半には防府市の姉妹都市である春川市がある韓国から招待選手が多かったが、2000年代前半から現在ではエチオピアから招待選手がやってきている(2006年の37回大会にはさらにトヨタ紡織(旧アラコ)所属の外国人ランナーがペースメーカーとして参加)。 近年の大会では、完走するために3時間以内での走破が求められていたが、一時は1000人を超えた参加者が400人程度まで減少したこともあり、2008年大会から制限時間が4時間以内と大幅に緩和され、2009年の第40回大会では過去最高の1601人が参加した[1]。だがこの大会での完走が全国のサブスリー級のランナーにとってのモチベーションとなっていたこともあり、緩和についてはランナーの間で賛否を呼んでいる。 国際陸上競技連盟 (IAAF) が世界記録を公認する大会であることから、2017年大会は2020年東京オリンピック男子マラソン代表選考会での「マラソングランドチャンピオンシップ」(MGC) への出場資格を得るための「ワイルドカード」対象レースに認定されていた。本大会の成績のみで無条件にMGC出場資格を得る「2時間08分30秒以内」の記録を出す選手はいなかったものの、2時間10分3秒で3年振りに優勝した川内優輝が、2週間前の第71回福岡国際マラソンのゴールタイム(2時間10分53秒で9位)との平均でMGC出場資格(ワイルドカード対象レースのタイム上位2大会の平均が2時間11分00秒以内)を満たした[2]。 川内は2018年大会で2連覇を達成したことによって、優勝回数も大会史上最多の4回目に到達[3]。その一方で、翌2019年にはMGCへの出場を辞退したうえで、世界陸上ドーハ大会の男子マラソンへ出場した[4]。2020年の本大会では2位に終わったものの、ゴールタイムは2時間10分26秒で、2018年に自ら達成した「フルマラソンにおける2時間20分以内の最多完走数」のギネス世界記録(認定の時点では78回)を100回にまで更新した[5]。 なお、日本陸上競技連盟が2021年に創設したジャパンマラソンチャンピオンシップ(JMC)シリーズでは、本大会を第1期(2021 − 22年)でグレード2、第2期(2022 − 23年)でグレード1に指定。2022年大会の開催日は12月4日で、当大会と同時にJMCシリーズ第2期のグレード1へ指定された「福岡国際マラソン2022」(2021年で終了した福岡国際マラソン選手権大会から運営体制を一新した後継大会で12:10スタート)と重複しているが、当大会ではスタート時間を午前中(10:40)に繰り上げている[6]。 コース
歴代優勝者
実況中継主催者の一つである山口放送が製作してテレビとラジオの実況生中継を行っている(ラジオは1972年の第3回大会から、テレビは1990年の第18回大会から)。 テレビ放送(地上波)『KRY SPORTS SPECIAL 防府読売マラソン』の番組名で、近畿以西の日本テレビ系列各局で放送。1972年から1999年までは丸久、2000年から2003年まではカネボウ、2004年から2006年まではマツダが中継の冠スポンサーに付いていた。 2004年までは伊藤国光(カネボウ陸上競技部監督)、2005年からは坂口泰(中国電力陸上競技部監督)が解説を担当。山口放送が地上デジタル放送を開始した2006年から、ハイビジョン中継を実施している。 2021年までは中継の前座番組として『防府読売マラソン まもなくスタート』を11:45 - 12:00に放送し(一部局でネット)、本放送を12:00 - 14:25に実施。 2022年からは、スタート時間の繰り上げに伴い、中継時間を10:25 - 13:00に変更するとともに、11時台の後半に全国ニュース(『NNNストレイトニュース』など)を放送するための中断時間が設けられた。ただし、山口放送では『NNNストレイトニュース』の放送中も、L字型の小画面を通じて山口県内向けに中継映像を流したほか[注釈 1]、当日深夜(翌日未明)に生中継の中断時間帯を含めたレースの映像を『防府読売マラソン 完全版』のタイトルで放送している。 なお、過去には日本テレビでも中継を放送していたが、現在は制作・技術協力にとどまっている。また、近畿以西の日本テレビ系列のうち、読売テレビでは2002年、福岡放送では2010年限りで同時ネットを終了し、以降は当日深夜(翌日未明)の録画放送で対応している(2022年は上述の「完全版」を放送。詳細後述)。 テレビ放送(衛星放送)2004年から2008年までBS日テレで、2009年・2010年に日テレG+で同時ネット。2011年には放送を見送ったが、2012年以降は、BS日テレが短縮版の録画を放送する年がある。 インターネット動画配信2019年からは、日本テレビが日本法人に出資している動画配信サービス・huluで、テレビ中継の映像を編集した動画を期間限定でアーカイブ配信。2022年以降は、中継動画のライブ配信(地上波テレビ放送のサイマル配信)を実施する[9]。 また、山口放送の公式YouTubeチャンネルでは、2021年からテレビ中継の放送終了後にゴールシーン(フィニッシュ)動画のライブ配信を実施している[10]。 ラジオ放送山口放送単独で放送。2017年まではテレビ放送と同タイトルで放送していたが、2018年の第49回大会からはラジオ単独で東ソーが冠スポンサーとなり『東ソースポーツスペシャル 防府読売マラソン実況中継』の番組名で放送している。 2018年・2019年には11:50 - 14:40、2020年には11:50 - 15:00、2021年には11:45 - 15:00の時間帯を中継に充てていた。2022年・2023年は、10:20 - 13:00と13:30 - 13:55の2部構成で放送[10]。 ネット局(テレビ放送)
テレビの録画中継読売テレビでは2003年から、福岡放送では2011年から、中継の録画を当日の深夜(翌日の未明)に放送している。
脚注注記
出典
関連項目外部リンク
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