筆子・その愛 -天使のピアノ-
『筆子・その愛 -天使のピアノ-』(ふでこ そのあい てんしのピアノ)は、2007年公開の日本映画である。 日本映画では非常に珍しく、実際の知的障害児が大勢出演している。ただし前例が無いわけではなく、同様の作品として『太陽の詩』や『春男の翔んだ空』(ともに山田典吾監督)などが挙げられる。 概要日本初の知的障害児施設「滝乃川学園」を創設し、障害児教育・福祉の先駆者と呼ばれた石井筆子の生涯を描いた作品。 大手映画配給網への配給が成されていない(詳細は「現代ぷろだくしょん」の項目を参照)ため、1日単位で借りることのできる演芸場やコンベンションホール(市民会館、公民館、地域集会場など)ないしはミニシアターを利用した地域巡回上映で公開されている作品であり、公開時期は地域によって異なる。撮影においては松竹より特別協力が成されているが、同社による配給も実現していない。巡回上映は現在も行われているため、そのスケジュールを公式サイトなどで確認することができる。そのため地域によっては未配給のため観賞不可能となっている場所もある。 あらすじ滝乃川学園の倉庫に眠る、天使のエンブレムが設えられた1台のピアノ。ピアノは語る。自らの主だった一人の女性の物語を。 肥後国で生まれ育った、その少女は隠れキリシタンの弾圧の中で同じ「人」が虐げられる現実に疑問を抱き心を痛める。後に少女は海外留学を経験し華族女学校の教師となる。さらに鹿鳴館にて才媛としてその名を馳せ、大村藩の家老職を代々務めてきた小鹿島家に嫁いだ。 しかし彼女を待ち受けていたのは、先天的知的障害を患って生まれてきた長女、生後10か月で夭折する次女、結核に倒れる三女という苦難だった。さらに夫である果もまた結核に倒れ帰らぬ人となり、彼女は小鹿島家を追われる。 失意の彼女は長女を養育する最中、娘を受け入れてくれる学校を探し、聖三一孤女学院へと辿り着く。学院の校長である石井亮一は娘を教え子に温かく迎え、彼女もその理念に深く心を動かされる。 彼女の名は渡辺筆子。後に亮一と共に、聖三一孤女学院を滝乃川学園へと改組し、日本障害児者教育の母、日本福祉の母として名を馳せる女性。後の石井筆子であった。 出演者
スタッフエピソード山田火砂子監督自身もヒロインの筆子同様、知的障害の娘がいる。 前述した『太陽の詩』を撮影した山田典吾監督は火砂子監督の夫であり、双方ともに現代ぷろだくしょん作品である(火砂子は『太陽の詩』には製作協力者として関わっている)。 前作『石井のおとうさんありがとう』の主人公・石井十次の名が筆子の読む新聞記事に登場するという、さりげないリンクがある。 関連項目外部リンク
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