指輪指輪・指環(ゆびわ)は、手(まれに足)の指にはめる環状の装飾品。 歴史初期の指輪は装飾品というよりも身体を守るための護符や実用的な印章として用いられた[1]。 古代ギリシャでは紀元前6世紀にはベゼル(周縁)に装飾のある金や銀の指輪の製作が本格的になり、紀元前5世紀半ばには宝石付きの指輪も製作されるようになった[1]。 中世には宝石はカットされなかったため大ぶりのままで光の反射ではなく、石そのものの華やかな色彩が利用された[1]。12世紀以降には山形にせりあがったベゼルの頂点に小ぶりの宝石を置いた「あぶみ型」と方形や楕円のベゼルに大ぶりの石を置いた「パイ皿型」の2つのデザインが指輪の典型になった[1]。また、中世になっても印章指輪は廃れなかったが、硬い宝石に彫り込むインタリオの技術は失われ、金属製のベゼルに彫り込まれるようになった[1]。 15世紀にはポイントカットの加工技術が誕生し、さらにルネサンス期には宝石だけでなく彫金とエナメルの加工技術も主役級の役割をもつデザインとなり、指輪は工芸技術の粋を集めた装飾品になった[1]。17世紀初頭にダイヤモンドに多くの切子面を施すローズカットが生み出されたことで、宝石が指輪の主役となり、彫金とエナメルは二次的なものとなった[1]。17世紀には印章は腰からぶら下げるスタイルとなり、印章指輪の流行は下火になったが、王侯貴族では伝統的な印章指輪が用いられた[1]。 19世紀末から20世紀にかけては、新たな装飾美術運動(アーツ・アンド・クラフツ、アール・ヌーヴォー、アール・デコ)の流れと伝統的なデザインと指輪づくりにこだわった宝飾品メーカーの二つの潮流がみられるようになり、さらに第二次世界大戦頃からはニューヨークの宝飾品メーカーの台頭もみられるようになった[1]。 文化装着する指装着する指によって意味が異なる。結婚指輪はその代表で、薬指には「聖なる誓い」の意味がある。結婚指輪以外の指輪は、通常は中指にはめる。 用途による種類
素材素材は主に金属だが、宝石を付したものもある。 よく利用されている金属は金(イエローゴールド、ホワイトゴールド、ピンクゴールドなど)、銀、白金(プラチナ)などの貴金属。このほか、チタン、ステンレス鋼、タンタル、イリジウムなどを用いたものも見られる。また旧くは、鉄、真鍮、青銅の金属や、メノウやヒスイ、べっこう、象牙など宝石や類似のものを用いたものが市場がまれにある。 製造現在の主流は鋳造法であるが、その中でも「ロストワックス法」(ロストワックス = 蝋を消失させる)と呼ばれる方法が一般的。 →詳細は「ロストワックス」を参照
製法ごとの特徴は以下のとおり。
プレスで打ち抜き、絞りプレスで成形されたり、パイプ状で製作された貴金属材料をバイトでカットする製法は、カットリングと呼ばれ、結婚リングなどに多く用いられる。 サイズ指輪のサイズの表示は各国により異なっているため、国際標準化機構(ISO)により ISO 8653 として標準化が進められている。 日本では、1998年にISOに準拠した JIS S 4700 が制定された。2002年より普及が始まっているが、従来表記のものも併用されている。 ISO(JIS)規格表記は、指輪の内周を、最小41mmから 最大76mmまでの1mm間隔で、最も近い整数で表す。 国内では明治以降慣習的に用いられている、慣習サイズが一般的に利用されている。内径(直径)13mmを「1」とし、内径が1⁄3mm増加するごとに「1」を加える。 なお、指輪のサイズを決める際にはリングゲージ(サイズごとの金属環(リング)を一連に繋げたもの)などの測定具も用いられる。
脚注関連項目
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