広電西広島駅(ひろでんにしひろしまえき)は、広島市西区己斐本町一丁目にある、広島電鉄の駅である。駅番号はM19。
概要
市内線である本線(軌道線)の終点の停留場かつ宮島線(鉄道線)の起点の駅である。鉄軌分界点は当駅構内の東高須駅寄りにある。
かつては市内線の停留場は己斐電停(こいでんてい)と称し、宮島線の駅(広電西広島駅)とは隣接する別の施設とされていたが、1962年(昭和37年)から市内線と宮島線との直通運転が始まり、1991年(平成3年)8月8日からはほぼすべての電車が直通運転するようになった。そして2001年(平成13年)1月中旬から同年7月末まで、宮島線の広電西広島駅に市内線の己斐電停を統合する駅舎の工事が行われ、同年11月1日に統合された[2]。
以来、本停留場は『鉄道要覧』において広電西広島(己斐)と表記されている[3]が、案内上は括弧内を含むものと含まないものが混在している。同様の経緯を持つ駅として、廿日市市役所前(平良)駅がある。
歴史
1945年米軍作成の広島市地図。一部1930年代の情報で書かれており"Koimachi Station"表記で確認できる。
駅構造
4面6線(頭端式2面2線、島式2面4線で、そのうち1線は島式ホーム内での行き止まりの頭端式)のホームを有する[2]。1番線に宮島線方面からの、4・5・7番線に市内線方面からの車止めがあり、行き止まり構造となっている[2]。なお、4・5番線は同じ1本の線路の両側にホームがある構造となっている[2]。前述のような経緯から宮島線の線路は本線のやや北寄りにずれた位置に配置されていたため、1番線と7番線以外は構内でS字カーブする構造となっている。
運行系統とホーム(2001年11月以降)
1
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広電宮島口行き[2]
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平日朝ラッシュ時の折り返しのみ
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2
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広島駅行き[2]
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3
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広電宮島口行き[2]
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通常はこのホームを使用
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4
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広電本社前行き・日赤病院前行き
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広電本社前行き・日赤病院前行き
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5
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(降車専用)[2]
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6
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広電本社前行き・日赤病院前行き
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平日朝ラッシュ時のみ[2]
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広電宮島口行き
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夕時間帯を中心とした折り返しのみ
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7
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(臨時ホーム)
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通常は使用せず[2]※クリスマス電車や、荒手車庫に廃車・休車等で送られるために待機している車両のために使用する場合がある。[8]
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- 以前は平日朝夕ラッシュ時に駅員が数名配置され[2]、可搬式カードリーダーを用いた運賃収受、両替、PASPYの発売、安全管理や案内などを行っていたが、全扉乗降サービスの拡大により、2022年7月をもって無配置となった[9]。
- 駅構内には定期券販売窓口がある[10]。
- 各ホーム間を連絡する構内踏切には一部を除いて遮断機がない。かつての駅員配置時には駅員が両手を広げて通行を遮断していた。
- 当駅の東高須寄りには構内踏切があり、その先には鉄軌分界点がある。
- 2番線から広電宮島口方面へ出発、広電宮島口方面から3番線へ到着できる信号があるが、回送・臨時を除いて運用がない。
- 駅の統合工事で3番線の線路を延伸して市内線と直結、逆に4番線を市内線側からの行き止まり構造として5番ホームを増設した。これによって、上記の通り2番線が広島駅方面の乗降ホーム、3番線が広電宮島口方面の乗降ホームとなった。
- 市内線電車の待機線にホームを新設して6・7番ホームとした。
- かつては当駅始発のJA広島病院前行き、広電廿日市行きが設定されていたが、2013年11月のダイヤ改正でどちらも廃止された。
- 2号線(広島駅ゆき)・3号線とも土橋・十日市町・紙屋町西を経由する。広島港まで利用する場合は紙屋町電停などで1・7号線に乗り換えとなる[11]。
運行系統とホーム(2001年10月以前)
2001年10月以前は鉄道線側に2面4線(頭端式1面2線、島式1面2線)のホームがあり、以下の通り運用されていた[12][1]。
1
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広電廿日市・JA広島病院前・広電宮島方面
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頭端ホーム・当駅折り返し
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2
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広島駅・広電本社前・宇品二丁目方面降車ホーム
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宮島線からの直通列車用
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3
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広電廿日市・JA広島病院前・広電宮島方面
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頭端ホーム・当駅折り返し
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4
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広電廿日市・JA広島病院前・広電宮島方面乗車ホーム
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市内線からの直通がメイン
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- 宮島線⇒市内線の電車は西広島で降車を扱った後に己斐で乗車を扱った。市内線⇒宮島線はその逆だった。
- 宮島線専用の高床車の全廃に伴って全ホームを低床化、2番線の線路を延伸して市内線と直結し、直通列車の広島駅方面の降車ホームとして乗降分離が図られた。
- 運賃は、西広島駅は駅改札での支払いだったが、己斐電停では車内精算が基本であり、状況に応じて可搬式運賃箱で対応した。
- 2番線からの宮島方面への発車と宮島方面から4番線への到着は可能だったが、市内方面から2番線への到着と4番線からの市内方面への発車はできなかった。
- 1・2番ホームと3・4番ホームは、構内踏切で連絡されていた。
- 現在の6番線・7番線にあたる線路にはホームはなく、市内線電車の待機線として使用されていた。
運行系統とホーム(1989年8月以前)
1
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広電五日市・広電廿日市・広電宮島方面
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頭端ホーム・当駅折り返し(高床電車専用)
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2
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広電五日市・広電廿日市・広電宮島方面
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頭端ホーム・当駅折り返し(高床電車専用)
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3
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広電五日市・広電廿日市・広電宮島方面
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頭端ホーム・当駅折り返し(高床電車専用)
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4
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広電五日市・広電廿日市・広電宮島方面
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頭端ホーム・当駅折り返し(高床電車専用)
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5
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市内→宮島線直通乗車ホーム・宮島→市内線直通降車ホーム
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市内線-宮島線直通列車が使用
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- ホームは頭端式2面4線。山陽本線寄りのホームを1番線と2番線、太田川寄りのホームを2・3番線(1本の線路の両側にホームがある形)と5番線が挟み、太田川寄りホームの3番線宮島側の面を切り欠く形で4番線が設けられていた[2][3][4]。
- 1番線から東高須側に向かって電留線が設置されていた。
- 4番線は元来は高床車用だったが、低床車運用の増加に伴い80年代に低床化された。またこの際にホーム番号が整理されて4番線→3番線、5番線→4番線となり、旧3番線は2番線に統合された[5]。
- 宮島線⇒市内線の電車は西広島で降車、己斐で乗車を扱う。市内線⇒宮島線はその逆。5番線→4番線が直通列車専用ホームで、宮島方面と広島駅方面の双方の乗降を扱っていた。
旧己斐電停
2001年10月以前の己斐電停は相対式2面2線のホームが設けられており、下り側は市内線(本線)からの降車専用、上り側はひろでん会館の1階部分と一体化した構造で市内線(本線)への乗車専用となっていた。
このホームは駅統合後も残されていたが、下り側は自転車置き場に、上り側は露店スペース「ひろでん横丁」に転用され、共にホーム前面に柵が設置されて乗降はできない状態であった。その後2018年に、ひろでん会館と共に解体された。
なお、戦前の己斐町駅→西広島駅は後にひろでん会館が建つ場所に木造二階建ての駅舎があり、市内線の電停のホームはその北側の面に、東西方向に向いて設置されていた。また1953年までは、宮島線ホームの南東側に本線に隣接する形で宮島線車両の車庫(己斐車庫)があった[6][7]。
利用状況
以下の情報は、広島市統計書に基づいたデータである。1日平均乗車人員データは、年度毎の乗車総数を365(閏年は366)で割った値を小数点2位を丸めて小数点1位の値にした物である。広島電鉄のデータは1,000で丸めて提供されているので、1年毎ではプラスマイナス500の誤差があり、1日当たりでは1.4人程度の誤差が発生する。
年度
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1日平均 乗車人員
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1年毎 乗車総数
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1年毎 定期
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1年毎 定期外
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出典
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1998年(平成10年)
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14,898.6
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5,438,000
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1,688,000
|
3,750,000
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[統計 1]
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1999年(平成11年)
|
14,967.2
|
5,478,000
|
1,594,000
|
3,884,000
|
[統計 1]
|
2000年(平成12年)
|
14,567.1
|
5,317,000
|
1,551,000
|
3,766,000
|
[統計 1]
|
2001年(平成13年)
|
13,969.9
|
5,099,000
|
1,483,000
|
3,616,000
|
[統計 2]
|
2002年(平成14年)
|
13,860.3
|
5,059,000
|
1,439,000
|
3,620,000
|
[統計 3]
|
2003年(平成15年)
|
13,767.8
|
5,039,000
|
1,453,000
|
3,586,000
|
[統計 4]
|
2004年(平成16年)
|
13,821.9
|
5,045,000
|
1,410,000
|
3,635,000
|
[統計 5]
|
2005年(平成17年)
|
13,326.0
|
4,864,000
|
1,409,000
|
3,455,000
|
[統計 6]
|
2006年(平成18年)
|
13,430.1
|
4,902,000
|
1,458,000
|
3,444,000
|
[統計 7]
|
2007年(平成19年)
|
13,475.8
|
4,932,000
|
1,478,000
|
3,454,000
|
[統計 8]
|
2008年(平成20年)
|
13,487.4
|
4,923,000
|
1,482,000
|
3,441,000
|
[統計 9]
|
2009年(平成21年)
|
12,605.5
|
4,601,000
|
1,490,000
|
3,111,000
|
[統計 10]
|
2010年(平成22年)
|
11,975.3
|
4,371,000
|
1,497,000
|
2,874,000
|
[統計 11]
|
2011年(平成23年)
|
11,945.4
|
4,372,000
|
1,469,000
|
2,903,000
|
[統計 12]
|
2012年(平成24年)
|
11,945.2
|
4,360,000
|
1,439,000
|
2,921,000
|
[統計 13]
|
2013年(平成25年)
|
11,964.4
|
4,367,000
|
1,442,000
|
2,925,000
|
[統計 14]
|
2014年(平成26年)
|
12,150.7
|
4,435,000
|
1,532,000
|
2,903,000
|
[統計 15]
|
2015年(平成27年)
|
12,061.6
|
4,415,000
|
1,534,000
|
2,881,000
|
[統計 16]
|
2016年(平成28年)
|
12,043.8
|
4,396,000
|
1,554,000
|
2,843,000
|
[統計 17]
|
2017年(平成29年)
|
11,939.7
|
4,358,000
|
1,620,000
|
2,738,000
|
[統計 18]
|
2018年(平成30年)
|
11,813.6
|
4,312,000
|
1,666,000
|
2,646,000
|
[統計 19]
|
2019年(令和元年)
|
11,696.7
|
4,281,000
|
1,719,000
|
2,562,000
|
[統計 20]
|
駅周辺
西日本旅客鉄道(JR西日本)西広島駅の南方、山陽本線と宮島街道(旧国道2号)に挟まれた場所に位置する。駅周辺は西区の中心地区にあたり、西区役所も駅近くにある。
旧己斐電停部分の上は広島電鉄の所有する「ひろでん会館」として、当駅の駅ビル的な位置づけとなっていたが、2018年に解体。跡地は2020年に暫定活用スペース「KOI PLACE」(コイプレイス、略称:コイプレ)となっている。
本線(市内線)は新己斐橋(太田川放水路)を超えるとほぼ直角に左カーブして駅に進入する。毎年1月の天皇盃全国都道府県対抗男子駅伝競走大会の最終区(第7区)ではランナーが軌道を横断して走行するため、電車が広電西広島駅または新己斐橋でランナーを待避する姿が見られる。
バス路線
広電西広島駅周辺のバスのりば
→JR西広島駅(1,2,3番バスのりば)を発着するバスについては「 西広島駅#バス路線」を参照
- 4番のりば(宮島街道 広電西広島駅向かい 西行 下り)
-
- 5番のりば(宮島街道 広電西広島駅側 東行 上り)
-
書籍との関連
- 那須正幹作の「ズッコケ三人組」シリーズ(ポプラ社刊)では、主人公達が住む花山町の市電花山駅のモデルとなっている(但し宮島線が無いなど若干実際と異なる)。これは、那須本人も様々な書物で語っている。また駅ビルであるひろでん会館は花山デパートとして作中に登場しており、駅構内にもそれを示す看板がある。
隣の駅
- 広島電鉄
- ■本線・■宮島線
- 福島町電停 (M18・本線) - 広電西広島駅 (M19) - 東高須駅 (M20・宮島線)
脚注
出典
本文
利用状況
- ^ a b c 『広島市統計書』平成13年版
- ^ 『広島市統計書』平成14年版
- ^ 『広島市統計書』平成15年版
- ^ 『広島市統計書』平成16年版
- ^ 『広島市統計書』平成17年版
- ^ 『広島市統計書』平成18年版
- ^ 『広島市統計書』平成19年版
- ^ 『広島市統計書』平成20年版
- ^ 『広島市統計書』平成21年版
- ^ 『広島市統計書』平成22年版
- ^ 『広島市統計書』平成23年版
- ^ 『広島市統計書』平成24年版
- ^ 『広島市統計書』平成25年版
- ^ 『広島市統計書』平成26年版
- ^ 『広島市統計書』平成27年版
- ^ 『広島市統計書』平成28年版
- ^ 『広島市統計書』平成29年版
- ^ 『広島市統計書』平成30年版
- ^ 『広島市統計書』令和元年版
- ^ 『広島市統計書』令和2年版
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、 広電西広島駅に関連するカテゴリがあります。
外部リンク
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