富良野線
富良野線(ふらのせん)は、北海道(上川管内)旭川市の旭川駅と富良野市の富良野駅を結ぶ北海道旅客鉄道(JR北海道)の鉄道路線(地方交通線)である。 旭川や美瑛、富良野という有名観光地を沿線に持つ、北海道を代表する観光路線である一方、近年は周辺地域が旭川のベッドタウンとして発展しており、旭川方面への通勤・通学路線としての一面も持ち合わせている。 なお、線路名称では起点が富良野駅、終点が旭川駅となっているが、『鉄道要覧』ではその逆となっている。 概要元々は北海道官設鉄道によって旭川と釧路を結ぶ幹線鉄道(十勝線、釧路線)の一部として建設されたもので、富良野駅までは1900年(明治33年)8月1日に十勝線の一部として開通している[2]。1913年(大正2年)11月10日に滝川駅 - 下富良野駅(現在の富良野駅)間の新線が下富良野線として開通し[3][4][新聞 1]、釧路本線(現在の根室本線)の起点が旭川駅から滝川駅に変更されたのに伴い[3][4][5]、下富良野駅 - 旭川駅間が富良野線として分離された[2]。 2020年(令和2年)に全線開通120周年を迎え、7 - 10月にかけて記念行事が開催された(5駅でのパネル展示やスマートフォン動画配信[報道 1][新聞 2]、10月10日の「山紫水明号」運行[6][報道 2][新聞 3])。 存廃問題2016年(平成28年)11月18日、JR北海道は厳しい経営状況を理由に「自社単独で維持することが困難な路線」として、10路線13区間を発表した[報道 3]。本路線は「自社単独では老朽土木構造物の更新を含め『安全な鉄道サービス』を持続的に維持するための費用を確保できない線区」とされ[報道 3]、今後は経費節減や運賃値上げ、利用促進策、上下分離方式への転換などを軸に沿線自治体と協議する予定とした[報道 4]。 なお、北海道による総合交通政策検討会議が2018年(平成30年)2月10日に発表した『北海道の将来を見据えた鉄道網(維持困難線区)のあり方について』では「観光客の利用だけで鉄道を維持していくことは難しいことから、関係機関が一体となって、観光路線としての特性をさらに発揮するよう取組を行うとともに、地域における負担等も含めた検討・協議を進めながら、路線の維持に最大限努めていくことが必要と考える」としている[報道 5]。 歴史北海道官設鉄道国有鉄道十勝線→釧路線
富良野線
日本国有鉄道
民営化以後
運行形態定期列車は普通列車のみが運転されており、全ての列車がワンマン運転を行っている[新聞 5]。旭川駅 - 富良野駅間の直通列車と旭川駅 - 美瑛駅間の区間列車が設定されており、全体の4割程度が区間列車である(2015年5月25日時点で、富良野線の列車19往復中7往復[13][報道 9])。一部列車は西中駅、鹿討駅、学田駅を通過する(朝と夜の旭川駅行き2本はさらに北美瑛駅、西聖和駅、西瑞穂駅も通過)。朝の一部は平日・土曜日のみの運行である。旭川駅 - 美瑛駅間は毎時1本程度運転されている。 国鉄時代の最末期に当たる1986年11月1日国鉄ダイヤ改正では当時の旭川鉄道管理局が旭川・北見近郊エリアの普通列車を「マイタウン列車」と称し、運転線区や区間毎に沿線の名所に因んだ愛称を付けたことがあった。富良野線では旭川駅 - 富良野駅間の直通列車に「ラベンダー」、旭川駅 - 美瑛駅間の区間列車に「しろがね」(美瑛町内にある白金温泉に因んでいる)の愛称が与えられ、民営化後の1990年代頃まで北海道内の列車時刻表や駅構内の案内放送などに使用されていた。『JTB時刻表』1988年3月号では旭川駅 - 美瑛駅間運行の列車に「しろがね」、旭川駅 - 富良野駅間運行の列車に「ラベンダー」の名称が確認できる[14]。しかし翌1989年3月号では列車名が消去されている。 その後は愛称名のない「普通列車」として案内されるようになったが、当時の名残でキハ150形気動車の方向幕の一部に2010年代頃まで「マイタウン列車」の表記が残存したケースがあった。また、旭川駅 - 帯広駅間で臨時快速「ホリデーおびひろ」「ホリデーあさひかわ」も運転されていたが、2003年(平成15年)1月5日を最後に運行を終了している。 2023年3月18日のダイヤ改正より、全ての普通列車がH100形気動車で運転されている[報道 10][15]。 また、観光路線として充実が図られており、毎年6月から10月にかけてトロッコ列車の「富良野・美瑛ノロッコ号」などの臨時列車が運転される[16]。 2023年7月の土日祝日を中心に札幌 - 富良野間で運行される特急フラノラベンダーエクスプレスが富良野線に乗り入れ旭川まで乗り入れていた。線内は快速とし、停車駅は富良野・中富良野・ラベンダー畑(通過日あり)・上富良野・美馬牛・美瑛・旭川[17] 使用車両現在の使用車両
過去の車両
データ路線データ
全区間が旭川支社の管轄であるが、富良野駅構内のみ本社鉄道事業本部直轄となっており、同駅の下り場内信号機が支社境界となっている。 輸送密度輸送密度は以下の通り。データが公開されている1975年(昭和50年)度以降では、全体的に減少傾向にあるが、2004年(平成16年)以降、微増傾向にあり、2016年(平成28年)に発表された「自社単独で維持することが困難な路線」(後述)の中では最も高い。
収支・営業係数収支(営業収益、営業費用、営業損益)と営業係数は以下の通り。JR北海道発表分についてはいずれも管理費を含めた金額である。▲はマイナスを意味する。
駅一覧全区間において駅ナンバリングが設定されているが、駅ナンバリング順ではなく、旭川駅から下り方向に記述。駅ナンバリングの詳細については「北海道旅客鉄道の駅ナンバリング・区間カラー」を参照。
脚注注釈出典
報道発表資料
新聞記事
参考文献書籍
関連項目外部リンク
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