三酸化二窒素(さんさんかにちっそ、dinitrogen trioxide, 化学式 N2O3)は不安定な無色の気体で、二酸化窒素 (NO2) と一酸化窒素 (NO) に解離する[1]。液体では濃青色、固体では淡青色である。酸性である。
生成
一酸化窒素と二酸化窒素を低温で混合することで得られる[2]。
性質
水に溶けると加水分解して亜硝酸となり、さらに分解して硝酸、一酸化窒素、水になる[1]。
窒素酸化物で、窒素の酸化数は+3。
構造
通常、N–N結合の長さは145 pmである。だが、三酸化二窒素は186pmで異常に長いN–N結合になっている。他に四酸化二窒素 (175 pm) などの窒素酸化物も長いN–N結合になっている。三酸化二窒素分子は平らで、Cs対称性を示す。以下に示す寸法は、低温のガス状にした分子のマイクロ波分光法によるものである[3]。
脚注
出典
- ^ a b “三酸化二窒素”. 川口液化ケミカル株式会社. 2022年5月23日閲覧。
- ^ “化学よもやま話(2015年10月) ~身近な元素の話~ 2種類の元素でできた化合物(4) | 東京化成工業株式会社”. www.tcichemicals.com. 2022年5月23日閲覧。
- ^ Greenwood, Norman N.; Earnshaw, A. (1984), Chemistry of the Elements, Oxford: Pergamon, pp. 521–22, ISBN 0-08-022057-6