ローソン銀行
株式会社ローソン銀行(ローソンぎんこう、英語: Lawson Bank, Inc.)は、大手コンビニエンスストアチェーンのローソンが主導して設立した日本の銀行。全国銀行協会準会員。 本項では、同行の実質的な前身であり、コンビニATM(現金自動預け払い機)の一つである「ローソンATM」の管理運営を行っていた株式会社ローソン・エイティエム・ネットワークス(LAWSON ATM NETWORKS, Inc.、LANs)についても記す。 概要小売業主導で設立された銀行としてはセブン銀行(セブン&アイ・ホールディングス主導)、イオン銀行(イオングループ主導)に次ぐもので、いわゆる「新たな形態の銀行」に分類される。2016年(平成28年)11月25日に「ローソンバンク設立準備株式会社」として設立され[2]、2018年(平成30年)6月1日にローソン・エイティエム・ネットワークス(以下「LANs」と記す。)から「ローソンATM」事業を承継し企業としての業務を開始、同年10月15日に銀行としての業務を開始した。企業理念は「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」。 セブン銀行・イオン銀行同様にATMを使用したリテール部門が業務の主軸となるが、一方で「事業方針」においては、「将来的には新たな決済手段、資産形成をサポートする商品、生活に必要な金融サービスの展開を検討していく」としており[3]、ローソンを含めた複数の店舗でのキャッシュレス決済プラットフォームの構築や地域金融機関のサポートも手がけるとしている。 設立の経緯元々はLANsが2001年(平成13年)10月3日にサービスを開始したコンビニATMサービス「ローソンATM」が端緒となっていたが、この時点ではLANs自身は銀行業免許を有しておらず、単に「他の銀行のATMのアウトソーシング請負」にとどまっており、独自の金融サービスを手がけることができなかった。 こうした中、ローソンでは銀行業への参入を念頭に「ローソンバンク設立準備株式会社」を設立。設立に当たってはローソンの親会社である三菱商事と同じ三菱グループの一員である三菱東京UFJ銀行(現・三菱UFJ銀行)が5%を出資する一方で、幹部には金融庁とのやりとりを見据えて財務省出身でローソン顧問(大和証券グループ本社非常勤顧問)の岩下正を会長に、新生銀行常務執行役員の山下雅史を社長に据え、「三菱色」があまり出過ぎない人事とした[4]。 2018年3月26日に、銀行業免許の予備審査を申請し、銀行業免許が得られ次第、同社を「ローソン銀行」に商号変更する予定とした上で、その関係でLANsから共同ATM事業を吸収分割により承継する予定もあることを発表した[5]。同年6月26日に同社の銀行業予備審査が終了したため、免許申請に先駆けて、同社7月2日付で株式会社ローソン銀行に商号を変更[6]、同年8月10日付で銀行業の営業免許を取得した[7]。 取扱商品普通預金口座と定期預金口座をそれぞれ取り扱っている(セブン銀行・イオン銀行と異なり総合口座ではないため、貸越は行われない)。口座を開設するには、スマートフォンの専用アプリ「口座開設アプリ」をダウンロードするか、パソコンから専用サイト「口座開設Web」にアクセスする必要がある。口座を開設する本人の運転免許証・個人番号カード・日本国発行のパスポート・在留カードのいずれかの画像をアップロードすることで本人確認が行われ、口座が開設される。本人確認書類の画像を送付したくない場合は郵送も可能だが、その場合は「口座開設Web」で申し込んだ上で、運転免許証(運転経歴証明書含む)・個人番号カード・住民基本台帳カード(顔写真入り)・健康保険証・日本国発行のパスポート・在留カード(特別永住者証明書含む)・年金手帳のいずれかの写しに加え、公共料金の請求書・領収書の原本を送付する必要がある[8]。 すべての預金口座開設者にキャッシュカードが発行され、預金通帳は提供されない。パソコン・スマートフォンからの各種取引き・手続き(ローソン銀行ダイレクト)をサービスの基本としており、口座開設にあたってはローソン銀行からの通知を受けるためのメールアドレスの登録が必要になる。口座維持手数料は存在しないが、2年3ヶ月以上一度も取引(ローソン銀行ダイレクトへのアクセスを含む)が行われなかった口座に対しては「未使用口座管理手数料」が発生する(一定条件を満たした場合に限り、未使用口座管理手数料が発生しない場合もある)。また、ローソン銀行の口座を振替(引き落とし)対象口座に指定することは原則としてできない(自行で発行するクレジットカード「ローソンPontaプラス」を除く)[9]。ただし、ローソン銀行の口座からの振込は行えるほか、証券会社・FX会社の利用口座に指定することもできる。ローソン銀行のキャッシュカードを使った取引はローソン銀行のATMでのみ利用可能で、他の金融機関で利用することはできない。 各口座にはローソンを含めた共通ポイントサービス「Ponta」のIDを紐付けることが出来、取引ごとにポイントが加算される。 2024年3月31日現在の口座数は、110,628口座[10]。 店舗ローソン銀行の店舗は全てインターネット上の無人店舗で、本店及び個人向け口座を管理する支店(12店舗)、振込専用口座を管理する支店(2店舗)、ATM管理店であるATM統括支店が存在する。実店舗は存在せず、全ての支店が「24時間営業」という形になっている。 個人向け口座を管理する支店名にはローソンで取り扱う商品に因んだ名前が用いられており[11]、口座開設者の誕生月によって支店割り当てが決まる。
ローソン・エイティエム・ネットワークス
LANsはローソンの他、提携している都市銀行・地方銀行などの金融機関、システム開発・運営を担当する日本アイ・ビー・エム、ATMの遠隔監視・警備・資金警送を行うセコムなどの各社が出資しており(イーネットと同様)、また多くのコンビニATM同様、各ATMの管理は地域ごとに提携する銀行に委託する形態をとっていた。ただし、一部を除き管理銀行の口座でもMICS手数料がかかる。ジャパンネット銀行(現:PayPay銀行)及びイオン銀行の口座は非提携だったが、イオン銀行は2014年10月6日、ジャパンネット銀行は同年10月8日より接続開始されたため利用可能となった。セブン銀行は、各都市銀行の管理機に限り、当該行経由扱いで利用可能となっている。 海外発行のカードは、中国銀聯(ユニオンペイ)は2016年2月5日より、全拠点で対応を始め(新型機に入れ替え済みの拠点は、2015年9月28日から先行対応し、旧来の端末のままだった拠点も含めての対応開始となった)、他のブランドも今後対応させる予定。ユニオンペイは、りそな銀行/埼玉りそな銀行及び各地方銀行及び第二地方銀行管理機は三菱UFJ銀行経由扱いの対応となる。 前述のとおり、2018年(平成30年)6月1日付で「ローソンATM」の事業をローソン銀行に承継して実質的に業務を終了(管理は、ローソン銀行が銀行業免許取得後に各幹事行からローソン銀行ATM統括支店に変更。MICS扱いは、原則三菱UFJ銀行経由とされた)、法人としても同年10月20日付で解散[13]。翌2019年3月4日、清算結了により法人格消滅。 ATM設置状況2024年3月末時点で、全国47都道府県に13,584台のローソンATMを設置している[14]。なお、一部のローソンの店舗には、ローソン銀行ATMでなく他のATMを設置している場合がある。日本郵便が展開するJPローソンにもほとんど置かれていないが、JPローソン赤れんがテラス店にはゆうちょ銀行ATMが、JPローソン東陽公園店にはローソン銀行ATMが設置されている。詳細はローソン#ATMを参照。 一方、ローソン銀行ATMは、ローソン以外に信用農業協同組合連合会を含む農業協同組合(いわゆるJAバンク)、病院等や複数の金融機関の共同ATMに換える形で設置される事例がある(通常これらの場所には、共同ATMや各金融機関のATMコーナーが置かれており、すべての店舗にローソン銀行ATMが設置されるわけではない)。過去には、ドン.キホーテ[15][16]や、日興コーディアル証券(現:SMBC日興証券)の一部支店にも設置されていた[17]。 ローソン銀行に移行後も各金融機関との提携関係は維持されている(直接提携していない金融機関の扱いは、各幹事行経由から三菱UFJ銀行経由によるMICS扱いに統一)。 富士通フロンテック製のATMを設置している拠点では、2024年7月現在、楽天Edy、WAON、交通系ICカードのチャージに対応している。 →利用可能な金融機関、カード、営業時間および利用手数料などについては公式サイトのATMについて参照
クレジットカード2019年1月15日より、クレジットカードである「ローソンPontaプラス」の発行を開始した[18]。名称の通りPonta一体型のクレジットカードであり、ローソンでは税抜の利用額200円あたり、利用日・時間に応じて2ポイントから12ポイントが付与される(2024年現在)[19]。マスターカード加盟店でも利用可能であり、税込200円あたり2ポイントが付与される[19]。 カード発券などの業務は三菱UFJニコスに委託されており[18]、利用額の確認や手続きを行う会員専用Webサービスも同社が運営している。また、ローソン銀行の口座がなくても申し込み可能である[18]。 脚注
関連項目
外部リンク |