ヘルプマン!
『ヘルプマン!』は、くさか里樹による日本の漫画作品。講談社の『イブニング』、のち朝日新聞出版の『週刊朝日』にて連載された。日本の老人介護を題材に、高齢社会の問題点を描く漫画。認知症や高齢者の性などさまざまな介護問題に正面から切り込み、人気作となった[2]。 年表2003年8月から2014年9月まで、『イブニング』(講談社)にて連載された。 2010年9月、吉祥寺シアターにて舞台化[3]。同年11月18日に就職情報サイト「リクナビ」とコラボレート[4]。介護業界を応援するタイアッププロジェクトとなる「HELP MAN!●JAPAN」の公式サイトが開設[4]。 2011年5月、第40回日本漫画家協会賞大賞を受賞[5]。「老人介護の現場を舞台にした社会派作品で、重要度を増す介護を幅広く描いている点」が評価され、受賞となった[5]。 2012年に本作をモチーフとした全国巡回型の震災復興支援イベントが始動[6]。同年7月28日、29日に宮城県の仙台市市民活動サポートセンターにて、震災復興支援イベント第1弾となる「HELPMAN! JAPAN in 仙台 震災から500日〜100通りのヘルプマン物語〜」を開催[6]。作者のくさか、舞台の演出を務めたなるせゆうせい、本作の担当編集者が「震災編」の舞台裏を語った[6]。 2014年12月より朝日新聞出版の総合週刊誌『週刊朝日』に移籍し、それに伴いタイトルを『ヘルプマン!!』に変更して連載[1]。 2015年4月から開催された企画展「読む人権 じんけんのほん いま読みたい じんけんマンガ50」に本作が展示[7]。「人権について考える上でヒントになり得るマンガ」50作品のひとつとして本作が選ばれた[7]。 2017年11月、本作の「監査編」が舞台化[8]。舞台のタイトルは『HELP MAN!』[9]。同年12月から2019年10月まで新シリーズ『ヘルプマン!!取材記』が同誌にて連載された後、同年11月より新シリーズ『新生ヘルプマン ケアママ!』を連載し、2021年9月に完結[10]。 2022年9月3日より、NHK-FM放送「FMシアター」にて『ヘルプマン -俺たちの介護物語-』のタイトルで、原作とするラジオドラマ(全5回)が放送される[11][リンク切れ] [12]。 あらすじヘルプマン!恩田百太郎(おんだ ももたろう)は、学校にはほとんど登校しないうえにテストの成績は赤点だらけという、典型的な落ちこぼれの高校生。学校卒業まであと半年にもかかわらず将来の進路が未だ決まらず、厳格な祖母に絞られる日々を送っていた。 そんなある日の放課後、百太郎は幼馴染で親友の神崎仁(かんざき じん)から、高校を中退して老人ホームに勤めることを告げられる。「日本はぶっちぎり世界一の老人大国になる」「老人介護は不況に喘ぐ日本を救う唯一の未来産業」と語る仁だったが、百太郎はそのことにはっきりとしたイメージを抱くことができなかった。 帰宅する途中、百太郎は街中で徘徊している一人の老人と出会う。様々な問題行動を起こす老人に手を焼きながらも、百太郎はなんとか老人が入居している特別養護老人ホームまで連れていくが、その施設では事故防止を目的に入居者の身体拘束が行われていた。ベッドに縛りつけられた状態で、鎮静剤を無理やり打たれる入居者の姿を見て衝撃を受けた百太郎は、施設のやり方に強く反発するが、介護主任から「身体拘束は必要悪」と一蹴される。 一連の出来事を通じ、介護現場で巻き起こっている現実と、高齢社会は決して他人事ではないということを痛感した百太郎は、仁と同じく高校を中退し、老人介護の仕事をすることを決意する。 登場人物
ヘルプマン!
ヘルプマン!!取材記
新生ヘルプマン ケアママ!制作背景読者への思い本作の影響により介護職に就いた、という現場の声が、くさかが本作を描くモチベーションであった[10]。「漫画の可能性を感じること」ができたといい、本作で「介護の予習ができた」「親子2代で読んでいる」という読者の声援がありがたいとくさかは話している[10]。くさか自身も取材が予習となり、戸惑うことなく親の介護を始めることができたという[10]。編集者と『家庭の医学』を目標に描いてきたため、介護を知る意味で、本作を多くの人に読んでもらいたいとくさかは考えている[10]。 『ケアママ』のキャラクターについて『ケアママ』でシングルマザーを主人公に選んだ理由は、「何かおもしろい介護のかたち」が描けるのではないか、とくさかが考えたためである[10]。取材中に子育てをしながら介護施設で働く職員がいて、「つくろわない子供が接する中に介護の本質みたいなもの」があり、「子供とお年寄りの関係が描けたらいい」という思いから主人公が作られている[10]。作中に登場する早乙女千陽について、くさかが実際に「パートでヘルパーをしているプロレスラー」に会ったことがあり、インパクトを重視し、「自分が介護されたいナンバーワン」と考え登場させた[10]。 書誌情報
舞台版初演2010年9月15日から20日まで舞台「ヘルプマン!」が吉祥寺シアターにて全9回公演された。脚本・演出はなるせゆうせいが担当[3]。
監査編2017年11月8日から12日まで舞台「HELP MAN!」が俳優座劇場にて全8回公演された[8][9]。初演と同様に脚本・演出はなるせゆうせいが担当[8]。
ラジオドラマ『ヘルプマン -俺たちの介護物語-』のタイトルで、NHK-FM放送「FMシアター」枠にて、2022年9月3日から10月8日の日程で放送された(1話50分、全5回)[11][リンク切れ] [12]。
脚注注釈出典
外部リンク |