ブラック・フォン
『ブラック・フォン』(The Black Phone)は、2022年のアメリカ合衆国のサイコスリラー映画。スティーヴン・キングの息子、ジョー・ヒル原作の短編ホラー小説「黒電話」の映画化。監督はスコット・デリクソン、主演はイーサン・ホーク[7]とメイソン・テムズ[8]など。 ストーリー1978年。コロラド州デンバー郊外に住むフィニーは気弱な少年で、家庭では高圧的な父親に怯え、学校では、いじめグループの標的にされていた。フィニーの町では、“グラバー”と呼ばれる謎の犯人による、少年の連続誘拐事件が続いていた。 フィニーの妹グウェンは、亡き母親譲りの予知夢を見る能力があり、誘拐現場を描写して刑事たちを驚かせた。しかし、父親は超能力を頭から否定し、夢の話をすると折檻されるのがグウェンの悩みだった。 手品師を名乗る“グラバー”に拐われ、地下室に監禁されるフィニー。その部屋には断線した黒電話とマットレスしか無かった。繋がらないのに鳴る黒電話。かけて来たのは、この部屋で殺された少年たちの霊だった。各々、自分が試した脱出方法を伝える少年たち。 妹のグウェンは予知夢によって、フィニーの監禁場所を探していた。殺された少年たちの手を借りて、“グラバー”の家を探し出すグウェン。パトカーも集まる中、“グラバー”を倒したフィニーが現れた。 キャスト※括弧内は日本語吹替。
作中作本作の舞台となる1978年までに製作された映像作品が、作中作として登場している。
原作ジョー・ヒルの原作短編『黒電話』は、2004年に英国のホラー雑誌であるサード・オルタナティブ誌に掲載され、その後、2005年に彼の短編集『20世紀の幽霊たち』[9][10]に収録され、イギリスの出版社より発刊された。この短編集は3種類[注 1]の形態の限定版として発売された。その後、2007年にアメリカの出版社より、普及版[注 2]のハードカバーも発売されている。 日本語訳は2008年に小学館より発刊。 本短編は、必要以上に長くしたくないというヒルの意向で、雑誌掲載時に最終章の数ページが削除されている。この削除部分は『黒電話[削除部分]』として、200部限定のハードカバー版にボーナス・マテリアル[注 3]として収録された。日本語訳版にもこの削除部分は収録[注 4]されている。 また、収録作品についてのノートのなかで、この短編がSF作家のジャック・フィニイと関連があることを挙げている。 相違点原作の舞台はイリノイ州ゲイルズバーグで、誘拐犯は“ゲイルズバーグの人さらい”[注 5]と呼ばれている。犯人の本名はアルバートで、外見は肥満体の男となっている。また、主人公はジョン・フィニイという名前の13歳の少年で、両親ともに健在。妹のグウェンは登場せず、替わりに3歳年上のスザンナという名の姉が登場する。物語は主人公が誘拐される場面から始まり、学校内などでの描写はない。主人公が断線した電話で通話をするのは、原作ではブルース・ヤマダのみであるなどの違いがある。 原作の物語は、地下室内の描写と主人公の回想や想像のみで展開し、事件を捜査する刑事などは登場しない。ただし、映画版での主人公と誘拐犯のやり取りは、原作の会話の内容を、ほぼそのまま踏襲している。 削除部分雑誌掲載されなかった削除部分では、3年後、16歳になった主人公が描かれる。彼が携帯電話を持つことから、原作の時代背景は、携帯電話の普及後である1990年代以降であることが分かる。 評価Rotten Tomatoesによれば、255件の評論のうち高評価は83%にあたる211件で、平均点は10点満点中7.1点、批評家の一致した見解は「『ブラック・フォン』はもっと怖くできたかもしれないが、恐ろしいほど優れた原作を、いい演技でおもしろく映画化したものであることに変わりはない。」となっている[11]。 Metacriticによれば、38件の評論のうち、高評価は23件、賛否混在は12件、低評価は3件で、平均点は100点満点中65点となっている[12]。 続編2023年4月のシネマコンで、ジェイソン・ブラムは本作をブラムハウス・プロダクションズのフランチャイズの1つとし、続編の計画を発表した[13]。2023年10月、続編はユニバーサル・ピクチャーズ配給で、2025年6月27日に公開予定だと報じられた[14]。 脚注注釈
出典
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