フィジー語
フィジー語(フィジーご、フィジー語: Na vosa vaka-Viti)は、フィジーで話される言語。オーストロネシア語族、メラネシア語派に属す。第一言語としての話者は35万人、第二言語としての話者は20万人。1997年にフィジー協会が発足し、英語、ヒンディー語にならんで国語としての独立の運動を行っている。 文字と発音ラテン文字を用いる 母音
子音他の言語の表記とは大きく異なる。特に有声音の前に軽い鼻音が出現するのは大きな特徴である[1]。
アクセントは長音(長母音と二重母音)がある場合はそこに来る。短母音だけの語の場合は語末から二番目にアクセントが来る。長い語では末尾の要素のアクセントが主になる。 文法語順SVO型である。 主語が代名詞のときは主語-動詞、主語が名詞のときは動詞-主語という語順になる。[2] 時制は時制を表す標識を動詞の前におく。 au ā rai-ci koya.(私 過去の標識 見る―他動詞化 彼を) 「私は彼を見た。」 au sā rai-ci koya.(私 現在の標識 見る―他動詞化 彼を) 「私は彼を見る。」 na tau na uca.(未来の標識 降る 定冠詞 雨) 「雨が降るだろう。」 否定文は、否定の語句 sega ni を代名詞(時制を表す標識)と動詞の間におく。 au ā sega ni rai-ci koya.(私 過去の標識 否定 見る―他動詞化 彼を) 「私は彼を見なかった。」 形容詞句形容詞(独立性の低い名詞)は、名詞に後置される。[3] na vale levu(定冠詞 家 大きい)「大きい家」 na vale kau (定冠詞 家 木) 「木の家」 同等の名詞は ni でつなげる。 na dela ni vale 「家の頂上」 ただし、固有名詞の前では、例外的に、通常の所有は nei、身体部位、親族は i によって結合する。[3] na i-vola nei Tomasi 「トマスの本」 na ulu i Tomasi 「トマスの頭」 形態論接頭辞、接尾辞をもつ 接頭辞
vaka-dodonu-taka「正す」 (dodonu「正しい」) また、この vaka- は形容詞化、副詞化としても使われる。 vaka-Viti 「フィジーの、フィジー風に」 vika-vinaka「良く」 (vinaka「良い」)
ra-mudu, ka-musu「折れた」 ( musu「壊す」) これらの選択には規則性がない
接尾辞*-a,-ca,-ga,-ka,-ma,-na,-ra,-ta,-va,-ya,および-haka,-kaka,-laka,-maka,-naka,-raka,-taka,-vaka[3] 他動詞化(これらもどれがどの動詞につくかの選択に規則性はない) cina「照明」:cina-va 「照らす」 rere「怖い」:rere-vaka「恐れる」 動詞の目的語が、固有名詞、人称代名詞であるとき、-a を-i に変え、-ca,-caka は-ci,-caki などのようになる。[3] ena dau nanu-mi Viti.(彼+未来の標識 いつも 想う(他) フィジーを) 「彼はいつもフィジーのことを想っている。」 人称代名詞一人称主語(双数以上)に包括型と排除型をもつ。 一人称双数形包括 edaru 排除 keirau 一人称三数形包括 edatou(datou) 排除 keitou 一人称複数形包括 eda(da) 排除 keimami 三人称単数の主語形がなく、また人称に男女の区別はない。 代名詞形は無生物の名詞には適用できないなどの特徴がある。 被所有物への範疇化メラネシア語派的な特徴として、被所有物への範疇化が行われ、[3]範疇が異なるとそれに合わせて所有代名詞の形が変わる。 被所有物が食べ物であれば範疇II、飲み物であればIII、身体部位や親族であればIV、それ以外(中立)のものはIに分類される。 I na nona vale「彼の家」 (nona 彼の vale 家) II na kena uvi「彼のヤムイモ」(mena 彼の uvi ヤムイモ) III na mena tī「彼の茶」 (kena 彼の tī 茶) IV na ulu-na 「彼の頭」 (-na 彼の ulu 頭) これにより、 na nona yaqona 「彼の(栽培した、売るための)カヴァノキ」 na mena yaqona 「彼の(飲むための)カヴァ」 のように、所有代名詞の違いで名詞を形容することができる。
参考文献岩佐嘉親『フィジー語入門』(1985年、泰流社) 亀井孝、河野六郎、千野栄一編著 三省堂『言語学大辞典 第3巻 世界言語編(下-1)』1992年 脚注
外部リンク
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