『ナンバー7』(ナンバーセブン)は、手塚治虫による日本のSF漫画作品。『日の丸』1961年(昭和36年)1月号 - 1963年(昭和38年)2月号に掲載。
あらすじ
世界戦争の勃発を未然に悟った大島博士は、自身の発明品と共に息子七郎を人工冬眠させ、100年後の未来へと送り出す。2061年に七郎が目覚めると、地球は異星人や奇妙な動物の跋扈する大地へと変わり果て、人類は地球周辺にある「空中島」で細々と暮らしていた。空中島へと救出された七郎は、放射線への耐性や身体能力が買われて地球防衛隊にスカウトされ、7番目の隊員としてナンバー7を名乗ることになる。七郎ら地球防衛隊は絶えず迫り来る異星人と戦い、いつの日か地球を奪還することを目指して死闘を繰り広げる。
登場人物
大島一家
- 大島 七郎(おおしま しちろう) / ナンバー7
- 本編の主人公。大島一郎博士の息子で、父の頼みで発明品「イメージ現像機」と共に地下洞で100年の眠りについていた。眠りから覚めた後、「地球防衛隊・特別攻撃班」に入隊、ナンバー7として活躍する。
- 大島 一郎(おおしま いちろう)博士
- 七郎の父で科学者。頭に描いた事を実体化させる「イメージ現像機」を開発するが、世界戦争を仕掛けたY国のスパイに捕われ自爆。だが現像機は七郎と共に眠りにつくことになる。妻あり。
地球防衛隊
- コスミ博士
- 日本の空中島の指導者で、地球防衛隊の顧問。
- キミコ
- コスミ博士の秘書。七郎の母(一郎の妻)に似た美女だが、実は地球に在する宇宙人のスパイ。コスミ博士との交流を経て地球人を愛するようになる。マクロライフ(天体型超巨大生命体)から七郎を連れて脱出する際に死亡。
- ナンバー1
- 特別攻撃班隊長。冷静沈着な指揮官で七郎を指導する。サングラスを外した事は一度もなく、また前身も教えない。最終話で戦死し、七郎が後任に就いた。
- ナンバー2
- 元・落語家。
- ナンバー3
- 元・寿司屋。
- ナンバー4
- 元・提灯屋。眠ると大きな鼻提灯を作り、それが割れると驚いて目を覚ます。かつて蓄膿症にかかっており、手術後は付け鼻。この鼻には煙幕や剃刀が仕込まれている。キャラは『リボンの騎士』のナイロン卿を流用。
- ナンバー5(初代)
- 原始人に奪われた現像機を奪回するため戦死。
- 佐々木 小次郎(ささき こじろう) / ナンバー5(2代目)
- 14歳ながら剣の達人。隊員武器の銃兼用サーベルの他、背中に刀を背負っている。自信家で尊大でお調子者。キャラは手塚スターの「佐々木小次郎」。
- ナンバー6(初代)
- 元・小学校校長。宇宙人のロケットを奪い返して戦死。
- ミッチ / ナンバー6(2代目)
- 子供ながら勇敢だが、実はギャングの女ボス「スペードのジェーン」の息子として現像機により生み出された存在。母が死ぬと同時に消え去る運命だった。
幻のアニメ化
当作品は虫プロダクションによりアニメ化が検討されていたが、東映動画より設定の酷似した『レインボー戦隊ロビン』が企画されたため、タイトルはそのままに大幅に設定を変えることとなった。しかし、またしても設定の良く似たアニメが『宇宙少年ソラン』として制作されたため、虫プロはタイトルから抜本的に設定を練り直し、その結果生まれたのが『W3』である[1]。
アニメ化にはならなかった『ナンバー7』であるが、その設定は初代アニメ版『鉄腕アトム』の第56話「地球防衛隊」に流用されている[2]。また1964年7月26日公開の劇場版『鉄腕アトム 宇宙の勇者』にカラーでブロウアップ公開、更に1980年3月20日には『鉄腕アトム 地球防衛隊』として、本作を独立して公開された。
なおアニメ版は原作とは次の様な相違点がある。
- 舞台となっている年は、アニメ版『アトム』の舞台である「2013年」(劇場版では「世界暦2004年」)
- 地球防衛隊基地は月面に設置されている。
- ナンバー7の本名は「大島七郎」から「宮本武蔵」(声 - 北條美智留)に変更。これはナンバー5こと佐々木小次郎との対比のため。
- コスミ博士(声 - 熊倉一雄)[3]の秘書は「キミコ」から「ハルコ」に変更、キャラも一新し、また「宇宙人のスパイ」という設定はなくなった。
単行本
脚注
- ^ 手塚マンガ あの日あの時 第13回:もうひとつのW3(ワンダースリー)(虫ん坊 2010年11月号)
- ^ 鉄腕アトム・宇宙の勇者:アニメ・映像wiki - TezukaOsamu.net
- ^ 演じた熊倉は、後年第2作でヒゲオヤジ役でレギュラー出演する。
外部リンク
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